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ピンポーン
『はーい』
元旦。弱井ななしのいる魚屋のインターホンが押され慌てて玄関に出れば昔懐かし顔ぶれがそこにたっていた。
『6つ子ちゃんの、トド松と一松とチョロ松じゃん!あけましておめでとう』
「おそ松」
「カラ松」
「一松」
『そうなの?あんまり似ててよくわかんないよね~。あ、今トト子いないぞ』
「大丈夫大丈夫!俺らななしに用事あるから!」
『あ、お年玉!?用意してないよ!!』
「大学生にたかれないし」
「かといって俺達もなにも用意してないけどな」
「…成人してんだから、お年玉とかもらえないでしょ、普通」
『それもそうだな。で、何か用事?この後母さん達と初詣なんだよ』
「久々にあったんだしそんな事言わずにさ!」
『え、あ、ここ俺ん家』
ななしの背を押しながらおそ松は魚屋にはいっていく。ななしの家であるが気にした様子もなくずかずか入るおそ松は昔と何も変わっていない。ななしの大学は少し離れた場所にあるので滅多にこちらに帰れない。しかし昔と変わらない様子のおそ松達を見てなんとなくホッとする。
昔からななしの部屋であった場所はいまもかわらず彼の部屋だ。おそ松はそこへ半ば引きずるようにつれていく。
『どうした?どうした?』
「久々にあったんだしさ!話しようよ」
「あっちの生活は慣れたか?」
「…あっちに行ってどれだけ経ってるとおもってんの。クソ松」
「そうだよなぁ。もう、二年近くいってるよなぁ」
『まだまだ、いる予定だけどね』
「いつかえってくるんだ?」
『ん~。さぁ?あっちで働く予定なんだ』
「………ふーん。カラ松!一松!」
『?』
おそ松がカラ松と一松を呼び、3人で輪を作った。ななしはキョトンと首をかしげるが6つ子のことだ。また良からぬことをたくらんでいるのだろう。
別段気にした様子もないななしはベッドに座る。携帯をチェックすればトト子からのLINEがいくつか来ていた。しばらくしたら向かうと返信して輪になる3人を何をするでもなく眺める。
『なにしてるの?』
「兄弟会議」
『なんの?』
「秘密さ」
『いつまで?』
「…さぁ」
『さぁって…俺ちょっと急いでるからさ。また来てくれる?』
「まぁ、待なよななし」
『うわっ、』
立ち上がり扉に手をかけるも反対のてをおそ松にひかれ逆戻り。その間一松が扉の鍵をガチャりとしめ、カラ松はおそ松がつかんでいない方の手をひく。身動きが取れなくなり、再びベッドにすわる。先程と違うのは両脇に6つ子がいること。
普通とは異なる異様な雰囲気にななしは少し動揺し唾を飲み込む。
『まじで、なんだ?どうした?』
「…ねぇ、ななし」
『ど、どうした?チョロ「一松」い、一松』
「……ひめはじめってなに?」
『え?』
「文系だったよねー?」
「俺達に教えてくれ」
『し、調べれば出るし。つか、わからないの?』
「うん」
何を言うかと思えば、"ひめはじめ"とはなにかであった。なにか重大なことかとおもったのだが、気の持ち用であった。しかしこれはこれでやっかいな話である。
知らないはずがないのに問うおそ松達。これは言わせたいだけに違いない。ななしは唇を尖らせて嫌そうに説明する。
『ひめはじめはね、諸説が沢山あるんだけどこれと言って正解はないんだ。姫飯を食べる日であるとか、飛馬始めで馬に乗る日とか色々言われてるよ』
「で、実際なんなの?」
『さぁ。よく一般では如何わしい解釈もされてるし…色々でしょ?』
「如何わしい?ってなに?」
『だから、年明け初めての性行為ってこと』
「うわー。如何わしいね!ななし」
『まぁ、夫婦での話だから如何わしいってわけでもないけど………?なに?』
「?何ってひめはじめ?」
『ん?え?えぇええ!!?』
おそ松のあまりの一言にななしは驚くしかなかった。
両脇におそ松とカラ松がいるため抜け出そうにもうまくいかない。
いったいどうしてそういった発想になるかは分からないがななしはとてつもなく身の危機を感じている。
唯一地面に座っていた一松がズイっとななしの足の隙間に入り込む。
『ちょ、ちょっと、待なよ?ね?トド松!』
「…一松だって。まぁ、トド松なら、良かったかも。こんな事もされずにすんだかもね」
「でも仕方ないんだよなぁ、ななし」
「そうさ。罪作りなななし」
『俺の、せい?』
「そーぅ。ここにいるヤツら皆ななしが死ぬほど好きなんだよね。だからひめはじめしよ?」
『し、しないしない!だからじゃない!』
「ななしがこちらに帰ってくる日。唯一確実なのは、お正月だろ?だから、誰よりも早く奪いに来た」
「…まぁ。そう言うわけだから、」
『ひっ』
「大人しくしてなよ!ななしっ」
語尾にハートマークをつけウィンクするおそ松に嫌気がさした。しかしそんな暇もなく足の間に入っていた一松がななしのズボンのベルトをカチャカチャいじり出す。
これから始まるであろう"ひめはじめ"にななしはサァっと血の気が引く。急に眩暈を感じた。
『まじで!やめなって!トト子いるじゃん!』
「うわぁ、自分可愛さにトト子ちゃん売ったよ。下衆だね~」
「お仕置き、に切り替えだな」
「…やる事かわんないし」
「確かに!」
『ちょ、皆考え直せ?やっぱりいったいいちのほうが、いいだろ?だからひこう。ここは、改めよう?』
「ひかないよ。だって、決めたんだよ俺ら」
「何があっても、協力するっ。てな」
「…抜け駆けしたら狡いし」
『…っ、』
ベルトがするりと引き抜かれて、ゆっくりチャックがさがる。
足の間から見える一松のにやけた顔。
なぜこんな時だけ手を組むのか。理解出来ない。
両脇から冷たい手と暖かい手が服に侵入してきた。ななしは絶望一色。
「気持ちよくしてあげるよ」
「何も、問題は無いさ」
「…そういうこと」
今年もよいお年になりますように。
そんな儚い願いは今年の、初っ端。元日にもろくも崩れさるのだった。
end