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『……疲れた』
バイトを終えて心身共に疲れきったななしはゆっくりと階段を上がり7つ子ルームに入る。ぐっすり眠る兄達に少し苛立ったななしは6人全員の、上に乗るように寝転がる。さぁ、苦しんでねるがいいわ。ニートは今に始まったことじゃないが憎たらしいのは昔から。これくらいしたって問題ないだろう。
すぐに眠気が来るとななしは逆らうことなくゆったりと瞳を閉じた。
『……あ?』
目が覚めた。
と言うよりは瞬きをしたような感覚に近い。
先程眠ったばかりなのに疲れはなく。なんだかいつもと違う雰囲気。
周りは布団もなければ7つ子ルームでもない。
何故かいきなり控え室のような場所にいて、違和感がぬぐい去れないまま立ち上がってみる。
俺、こんなに視線高かったかな?
全体的にかなりおかしいようだが何が起きているのかさっぱりわからないななし。
近くにあった鏡を覗き見る。
『え』
俺じゃない。
鏡に写ったのは何かが違う自分の顔。具体的には説明がつかないが、時代を超えたような顔つきと等身になった。
しかしピアス等の装飾品はかわっていない。
何が起こったからさっぱりわからない。夢、なのか?それすらななしには分からず彼は再び椅子に座る。
すると、部屋の扉が開いた。
「あ!来てたんだ!」
『……え?』
「ほら、準備はいい?」
『いや、』
「早くバックステージにいくよ。始まるし」
『、まって』
「どうしたの?」
『いや。どうしたのって、』
「どんくさいやつだな。俺らのライブ忘れてたのかよ?」
『ら、ライブ?』
「どんくさいはないだろ!ななし、ごめんよ。ほら、行こう」
『…いやいや、おかしいからぁ!』
無口松と呼ばれるだけあって張り上げた声はかなり小さかったが、あれがななしの本気である。
なかなか大人しく気弱なななしだが、流石に突っ込まずにはいられなかった。
「ななし、まだ準備できてないの?」
『と、トド松兄さん?』
「今日のななし変だよ。どうしたの?」
『十四松兄さん…』
「まだ、かかりそう?」
『一松兄さん』
「一松。せかさないであげてくれないか。ななし慌てなくていいから」
『チョロ松兄さん』
「は、やっぱりどんくさいな。ほら、早くしろよな」
『か、カラ松兄さん、』
「カラ松、ななしにひどいことばかり言わないで、可哀想だろ?」
『おそ松兄さん』
「ん?どうしたんだい?かわい『違う』ななし?」
『なにこれ、何の真似?』
「あー。昨日遅かったもんね。まだ寝ぼけてるんだよ」
「え!大丈夫なの?」
「一応マネージャーの仕事だから、寝ぼけてるなら休んでなよ」
「一松のいうとおり」
頭を抑えてななしは現実を逃避した。髪の毛色と声で誰が誰松かは、すぐ分かる。
にしたってこの状況。
だいたいなんでそんな服を着ているのか。
「ななし、本当にどうしたの?」
『…、おそ松兄さんっ!近いっ!』
顎をクイッと支えられた。
変わったとはいえやはり自分より身長の高いおそ松を見上げる形になる。
そうすれば端正な赤髪がズイっと近づいてきた。鼻先がふれあい顔中が赤くなる。
仕上げにおそ松はななしの額に額をあて、「ねつはないみたいだね」とキメ顔で呟いた。
『……』
「けど、おそ松兄さん。こいつ顔真っ赤だぜ?」
「困ったね。せっかくななしのために企画した初ライブなのに」
『……ライブって、兄さん達なにしてんの?』
「僕達F6だよ?忘れたの!ななしは僕達のマネージャーでしょ!」
『……マネージャー』
トド松がななしの肩をつかみゆるく揺する。
マネージャーと言われて何かが頭の中でじわじわ覚醒していく。
あれ、なんだか不思議な感覚だ。
確か……赤塚学園にかよってて、マネージャーで。
今日はF6の初ライブ。5月24日皆の誕生日に決定して。体が弱いとかなんとかでF6に入れなかった自分にこのライブをプレゼントしたい。
だから、自分は一番近くで見ていて。
『あ!!』
「?大丈夫?」
『…い、一松兄さん時間!』
「さっきからみんな言ってる」
『…は、早く!お客さん待ってるよ』
「はは、いつものななしだ!」
「頑張るからね見ててよななし」
「僕達からの誕生日プレゼント」
「ちゃんとその目に焼き付けろよ」
「俺達の可愛いななし。張り切っていくから応援しててね」
『っ、』
おそ松はななしの額に小さくキスをして、舞台袖から勢いよく駆け出した。
続いてカラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松。
溢れんばかりの歓声の中マイクを持った6人はにこやかに叫んだ。
「ななし!誕生日おめでとう!」
どっと、溢れた歓声にどこか涙腺がゆるくなる。
意味のわからない空間だったが、頑張る兄達を見て心が弾むようだった。
『……っな、訳あるかぁぁあ』
「うわぁっ!?なに?どうしたのななし!!」
『あ、あれ?夢?』
「ふ、どうしたんだ、ブラザー」
『……カラ松兄さんだ』
「夢見悪かったの?だから降りろって言ったんだよ馬鹿兄さん」
「馬鹿って、もはや名前の原型ないし。つか。多分こうやって皆で囲んでるからだろ」
「ななし大丈夫?冷や汗凄いよー!」
「…こんな視線でよくねれるね」
目が覚めた。
こんどこそ正真正銘目が覚めた。
見覚えのある昭和顔6つにかなり安堵する。
のそのそ起き上がると十四松が言ったとおり冷や汗をかいていた。なんとなしにパジャマをパタパタする。
不思議な夢を見たせいで頭が痛い。心なしか寝る前より体が重い。
「ねぇ、どんな夢みたの?」
『……歌歌ってた…』
「僕達が?」
「あ!あれでしょ!」
「あれだね」
「さぁ、笑おう君に捧げる」
「「「「「シェー!」」」」」
「渾身のギャグ」
「「「「「だよーん!」」」」」
『……………』
「どう?」
「気に入った?」
「なかなかユニークだろ?ななし」
「ねる間も惜しんで作ったんだよね!」
「そうそう。ななしも、って、あれ?また寝るの?」
『……プチパニック』
「ななし?」
『プチパニック!!』
何故、知っている。
何故、歌える。
夢じゃないから?
布団が怖くてまくれなかったです。
あってないようなこんな日常なんて
(やっぱり無いほうがいい!)