嫌いかもしれない
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目の前にも女性、後ろにも女性、四方八方女性。どこを見渡しても女性しかいない。
世に言うバレンタイン。何処も彼処も女性で溢れ帰りなんだか慌ただしい。
いきつけのデパートの一角にはチョコレートの山。そんなチョコレートを傍らで見ているのはななしだ。柱から怪しまれないようにバレンタインコーナーを覗いているが、かなり怪しい。ななし自身は気づいていないようだが周りは白い目を向けている。
別に好きな女性がいるわけではなく逆チョコを用意しようという訳では無い。ただ最近の兄達がバレンタインと言うイベントが近づいてくる度に絶望一色になるのが見ていられなかったから、なんとなくチョコレートを渡してみようかなと思い立ったのだ。今日バレンタイン当日なんて屍が七つ子ルームに六つ転がっていた。流石にあんな兄達を放置するわけにも行かずに、ななしは母に買い物を頼まれたと言う口実を元にデパートのチョコレート売り場をさまよっているのだ。
しかしどこを見渡しても女性しかいない空間。そんなコーナーに足を踏み入れるにはかなり勇気がいる。戦場に丸腰で飛び込むようなものだ。流石にそんな無謀な真似は小心者のななしには出来るわけはがない。だが、手作りなどもっと無理だ。
そんなに女子力は高くない。
買おうか、買うまいか。
悩みに悩むがなかなか次にいけない。
しかしよくよく考えみれば六つチョコレートを持ってレジにつくなんて死んだって出来ない。
結果バレンタインコーナーにある可愛らしいラッピングのチョコレートなど買えるはずもなく。
ななしは手持ち無沙汰でデパートを後にした。
『……ぁあ…』
買えなかった。
しょんぼり道を歩いて家を目指す。今日もバイトがあるのだから遅くまで出歩くのはやめにした方がいい。
ただ、なんだかやるせない気持ちが充満してもやもやしている。なんとなく兄達にチョコレートを買えないのは面白くない。せめて兄達のあの顔の死相を消せる何かないだろうか。
悶々と考えて歩いていたら道の端に小さな屋台が出ているのに気づいた。屋台と言うには祭り感はない。ピンク色の屋根はバレンタインな因んでだろうか。チョコレート!と看板がたっておりななしは少し覗く。
するとそこにいたのはでこぼこコンビのイヤミとチビ太。ななしを見るなり顔には厭らしい笑みを浮かべたが、生憎彼は気づいていないようだ。
知り合いの店だったことに安堵してななしは小走りで駆け寄る。
「いやー、久しぶりザンスね」
『……チョコレート売ってるの?』
「そうザンス!ななしもどうザンスか?今なら一つ五千『高い』うぇ、最後まで聴くザンス!五千円のところ千円ザンス!お買い得ザンスよ~」
『……へぇ、可愛いラッピング』
「買うザンスか?買わないザンスか?」
『ん……しばらく見せて?』
「ゆっくり選ぶザンス」
ななしが手に取り一つ一つ確認する中、イヤミとチビ太は振り返り二人小さく話し合う。
「い、イヤミ!やっぱりななしを騙すのは…」
「何を言うザンス!チョコレートはチョコレートザンスよ!騙してないザンス!」
「…バーロー!チョコレートはチョコレートでもっもがっ!」
「黙るザンス!!聞こえるザンス!!」
「もがっ、もがもが!!」
「これは計画通りザンス!ななしには悪いザンスがこれはあの馬鹿兄弟達に仕返しするチャンスザンス!チビ太思い出すザンス!昔いじめられ泥を被った日々を」
「うっ、」
「泣いても笑っても取り戻せないマイライフ!ズタズタにした馬鹿は誰だったザンスか!?」
「く!」
「さぁ!」
『あの、』
「なぁ!な、なんザンスか?ななし?」
『……?あの、これ六つ欲しいなって……』
「ななし…」
「チビ太!よすザ「毎度あり!!六千円だバーロー!!」よ、よく言ったザンス!!」
『…ん、六千円、ありがとうね』
「てやんでェバーローちくしょー!!こちらこそありがとうございますだ!バーロー」
イヤミから袋に詰められたチョコレートを受け取るとななしは嬉しそうに歩き出した。
傍らイヤミとチビ太は特有の笑みを浮かべてその後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。
世に言うバレンタイン。何処も彼処も女性で溢れ帰りなんだか慌ただしい。
いきつけのデパートの一角にはチョコレートの山。そんなチョコレートを傍らで見ているのはななしだ。柱から怪しまれないようにバレンタインコーナーを覗いているが、かなり怪しい。ななし自身は気づいていないようだが周りは白い目を向けている。
別に好きな女性がいるわけではなく逆チョコを用意しようという訳では無い。ただ最近の兄達がバレンタインと言うイベントが近づいてくる度に絶望一色になるのが見ていられなかったから、なんとなくチョコレートを渡してみようかなと思い立ったのだ。今日バレンタイン当日なんて屍が七つ子ルームに六つ転がっていた。流石にあんな兄達を放置するわけにも行かずに、ななしは母に買い物を頼まれたと言う口実を元にデパートのチョコレート売り場をさまよっているのだ。
しかしどこを見渡しても女性しかいない空間。そんなコーナーに足を踏み入れるにはかなり勇気がいる。戦場に丸腰で飛び込むようなものだ。流石にそんな無謀な真似は小心者のななしには出来るわけはがない。だが、手作りなどもっと無理だ。
そんなに女子力は高くない。
買おうか、買うまいか。
悩みに悩むがなかなか次にいけない。
しかしよくよく考えみれば六つチョコレートを持ってレジにつくなんて死んだって出来ない。
結果バレンタインコーナーにある可愛らしいラッピングのチョコレートなど買えるはずもなく。
ななしは手持ち無沙汰でデパートを後にした。
『……ぁあ…』
買えなかった。
しょんぼり道を歩いて家を目指す。今日もバイトがあるのだから遅くまで出歩くのはやめにした方がいい。
ただ、なんだかやるせない気持ちが充満してもやもやしている。なんとなく兄達にチョコレートを買えないのは面白くない。せめて兄達のあの顔の死相を消せる何かないだろうか。
悶々と考えて歩いていたら道の端に小さな屋台が出ているのに気づいた。屋台と言うには祭り感はない。ピンク色の屋根はバレンタインな因んでだろうか。チョコレート!と看板がたっておりななしは少し覗く。
するとそこにいたのはでこぼこコンビのイヤミとチビ太。ななしを見るなり顔には厭らしい笑みを浮かべたが、生憎彼は気づいていないようだ。
知り合いの店だったことに安堵してななしは小走りで駆け寄る。
「いやー、久しぶりザンスね」
『……チョコレート売ってるの?』
「そうザンス!ななしもどうザンスか?今なら一つ五千『高い』うぇ、最後まで聴くザンス!五千円のところ千円ザンス!お買い得ザンスよ~」
『……へぇ、可愛いラッピング』
「買うザンスか?買わないザンスか?」
『ん……しばらく見せて?』
「ゆっくり選ぶザンス」
ななしが手に取り一つ一つ確認する中、イヤミとチビ太は振り返り二人小さく話し合う。
「い、イヤミ!やっぱりななしを騙すのは…」
「何を言うザンス!チョコレートはチョコレートザンスよ!騙してないザンス!」
「…バーロー!チョコレートはチョコレートでもっもがっ!」
「黙るザンス!!聞こえるザンス!!」
「もがっ、もがもが!!」
「これは計画通りザンス!ななしには悪いザンスがこれはあの馬鹿兄弟達に仕返しするチャンスザンス!チビ太思い出すザンス!昔いじめられ泥を被った日々を」
「うっ、」
「泣いても笑っても取り戻せないマイライフ!ズタズタにした馬鹿は誰だったザンスか!?」
「く!」
「さぁ!」
『あの、』
「なぁ!な、なんザンスか?ななし?」
『……?あの、これ六つ欲しいなって……』
「ななし…」
「チビ太!よすザ「毎度あり!!六千円だバーロー!!」よ、よく言ったザンス!!」
『…ん、六千円、ありがとうね』
「てやんでェバーローちくしょー!!こちらこそありがとうございますだ!バーロー」
イヤミから袋に詰められたチョコレートを受け取るとななしは嬉しそうに歩き出した。
傍らイヤミとチビ太は特有の笑みを浮かべてその後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。