嫌いかもしれない
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雪がしんしん降り、微かに積もる街。
ふりはじめの柔らかな雪で雪ダルマを作る少年がいた。
しかし、少年は困ったことに悪ガキ達に囲まれている。
「やーい、チビ!」
『違うもん!』
「ばっかじゃないの!?小学生にもなって雪だるまだって!」
「チビは頭ん中までチビなガキと一緒なんだよ!」
『…ち、違うもんっ』
「それしか言えないのかよ!ばーか!」
近所でも有名な悪ガキに囲まれて小さくなる少年がいた。
おそらくは少年の家先だろう場所で、悪ガキ達が白い息を吐きながらけたけた笑う。
中心にいる少年は小さなからだを縮こませさらに小さくなっている。
気が弱いためか強く言い返せない少年は、しまいには震えて涙で瞳を潤わせた。
泣くまいと必死に耐えていた少年だったが、一滴涙が流れてしまえばそれを皮切りにわんわんと声を上げその場にうずくまってしまった。
「泣き虫だ!」
「男はないちゃダメなんだぞ」
「男女だ!こいつ、おかまだ!」
「おかまー!おかまー!」
『違うもん!おれは、男だもん!』
「うるせー、男は泣かないんだよ」
『うわっ!』
少し体つきがいい悪ガキが少年を突き飛ばす。少年は声を上げ尻餅をついてしまった。せっかく作っていた六つ目の、小さな雪ダルマは少年の尻の下であっけなく崩れ去る。
急いで立ち上がるも見るも無残な雪ダルマ。
「うわぁー!雪ダルマ可哀想!」
「こーわしたこーわした!」
「どげざしろよ!雪ダルマにどげざ!」
『…俺悪くないもん!お前が謝れ!』
「なんだよ!チビの癖に!」
「やるのか!」
「雪玉ぶつけてやろうぜ!」
『わっ!やめて!』
悪ガキ達は各々地面の雪を丸めて少年の方へと投げる。ただの雪玉なのだがこの時の少年には弾丸のように凄まじく恐ろしいものであった。
玄関先で雪玉責めに合う少年は、今にも逃げ出したかった。しかし少年はそうはしなかったのだ。
少年には兄らがいた。兄らは少年から見ればヒーローそのもの。いつも守られてばかりいた少年は常常兄らのように強くなりたいと願っていた。
見返してやるまたとないチャンスなのだが、やはり怖くて何もできない。
『…兄ちゃん、助けてっ』
ずずっと鼻をすすりながら小さくつぶやく少年。
知ったこっちゃないと悪ガキ達は少年に雪玉を投げつけようとした時。
「うわぁ!?」
「冷たいっ」
「いたっ!」
誰かが悪ガキ達に向かい先に雪玉をぶつけたのだ。
驚いている最中も雪玉は、止むことはせはずに悪ガキ達の背中を白くしていく。
「な、なんだよ!」
『兄ちゃん!』
「ただいま、甘いやつ駄菓子屋で買ってきたよ!」
俯く少年の前にやってきたのは少年とよく似た顔つきの兄である。安心しなさいと優しげに微笑みながら少年の服についた雪をはらってやる。
未だ雪玉攻撃を、やめない兄弟達。どうやらかなり腹が立っているようだ。
「一松!どうする?」
「雪ダルマにしちゃお」
「さんせーい!」
「手を緩めるな!トド松!十四松!」
「はいはーい!」
「それにしても随分ななしを虐めたみたいだねー。おそ松兄さん。ななしは大丈夫?」
『…へ、平気だよ!』
「だってチョロ松、まぁ謝ったって許さないから、謝らなくていいけどさ」
「俺達の可愛い弟を二度と虐めないでくれ」
「わかった?」
「…っ!」
「わかったか聞いてんだよ、」
「次はないからねー」
「ていうか、もう限りなくアウトに近いから!やっちゃお!おそ松兄さん!」
「そうだな!あ、ななしバケツ持ってきて!」
『ぇ、うん!』
「よし、みんな!題して雪ダルマ大作戦決行だー!」
「おぅ!」
「わかった!」
「はいはい」
「いくぞー!」
「了解!」
その後バケツを持っていった少年が目にしたのは真っ白になった悪ガキ。そして冬なのに腕まくりをしている兄達。
バケツを兄に渡すと、一番大きな悪ガキの頭にすっぽり被せたのだ。
そして一言「松野家雪ダルマ完成」と叫ぶ。
「よし!家はいろー」
「ななし怪我は?」
「こんなに冷たくなって!」
「大丈夫ー?」
「平気?」
「着替えなきゃね!」
『うん、大丈夫!ありがとう兄ちゃん!』
頭を順に優しくなでてくれる兄達。
少年はにっこりとわらった。</font>
『…ん、…夢…』
目を開いたななしは先程のものが夢であったことを確認した。
どうやら、何だかんだしていたら眠ってしまったらしい。布団にろくに入りもせず、しかも各自の色のパーカーを着たままな兄達を見ると、彼らが昨日夜遅くまで看病していてくれたということがなんとなしに分かる。
兄達の甲斐甲斐しい看病に、熱もだいぶ下がったらしく身体のだるさはなかった。
布団からはい出てカーテンを開く。
『うわぁ、つもったんだ』
2階から見えたのはあたり一面の雪。
だからこんなに寒いのかと1人納得したななしは窓に張り付くゆきを手に取り雪玉をつくった。
ぎゅっと丸めた雪玉を、未だに眠るおそ松に立った位置から普通に落とす。
何のじゃまもなく普通におそ松の頭に雪玉がベチャッと落ちる。
「ぬわぁぁあああ!?な、何!?え?」
『……おはよう、』
「え、あ、おはよう。ななし。って、なんで雪当てた!?冷たかったんだけど!?」
『……雪だしね』
「目が完璧開いちゃたじゃん。あ、積もったの?」
『だいぶ』
「うわぁ、まじだ!」
『……兄さん。雪合戦しようよ』
「え?風邪は?」
『治った。だからやろう?』
「でも、ぶり返すかもしれないだろ?大人しく、ねてなよ」
『……だあめ。雪合戦しよう。今なら勝てる気がする』
「ん、まぁ。いいけどさ。皆起こす?」
『……そだね』
しんしんと降る雪の下、七つ子で雪合戦大会が開かれたのだ。ななしの気まぐれで。
「ちょ、たんぶふだ!チョロ松さっきから俺狙いすぎだから!」
「そう?ウラぁ!!」
「ごファ!?」
「あ、一松兄さん石入れてるじゃん!カラ松兄さん死んじゃった…ぶっ!ちょっと!誰投げたぶはっ!十四松兄さん!?」
「あははは!トッティ!とう!」
「待った待った!十四松にいぐふ!?」
「やりやがって…クソシコ松!くらえ!」
「ぶふ!?いったいなぁ!」
「ちょっと。ななしだけ参加してない!」
『……してるしてる、あ!できた!ぶっ』
「あはははは!!ななし!真っ白!」
『っ、やったな十四松兄さん!それ!』
「いた、ちょっと、僕一松だから」
「くらえぇえ!おそ松サンダースノウボール!!」
「くらわないし。馬鹿なの!?」
『ぶふっ!?』
「ななしー!?」
『…許さない。おそ松兄さん…』
今日、寒空の下。雪玉があちらこちらに飛び交う中。
玄関先には七つの小さな雪ダルマがひっそり並べられていたのだった。
まるで、雪合戦を眺めているような雪ダルマ。
まだしばらく松野家七つ子雪合戦大会は続くみたいだった。
白く儚く美しく
(昔の記憶)
ふりはじめの柔らかな雪で雪ダルマを作る少年がいた。
しかし、少年は困ったことに悪ガキ達に囲まれている。
「やーい、チビ!」
『違うもん!』
「ばっかじゃないの!?小学生にもなって雪だるまだって!」
「チビは頭ん中までチビなガキと一緒なんだよ!」
『…ち、違うもんっ』
「それしか言えないのかよ!ばーか!」
近所でも有名な悪ガキに囲まれて小さくなる少年がいた。
おそらくは少年の家先だろう場所で、悪ガキ達が白い息を吐きながらけたけた笑う。
中心にいる少年は小さなからだを縮こませさらに小さくなっている。
気が弱いためか強く言い返せない少年は、しまいには震えて涙で瞳を潤わせた。
泣くまいと必死に耐えていた少年だったが、一滴涙が流れてしまえばそれを皮切りにわんわんと声を上げその場にうずくまってしまった。
「泣き虫だ!」
「男はないちゃダメなんだぞ」
「男女だ!こいつ、おかまだ!」
「おかまー!おかまー!」
『違うもん!おれは、男だもん!』
「うるせー、男は泣かないんだよ」
『うわっ!』
少し体つきがいい悪ガキが少年を突き飛ばす。少年は声を上げ尻餅をついてしまった。せっかく作っていた六つ目の、小さな雪ダルマは少年の尻の下であっけなく崩れ去る。
急いで立ち上がるも見るも無残な雪ダルマ。
「うわぁー!雪ダルマ可哀想!」
「こーわしたこーわした!」
「どげざしろよ!雪ダルマにどげざ!」
『…俺悪くないもん!お前が謝れ!』
「なんだよ!チビの癖に!」
「やるのか!」
「雪玉ぶつけてやろうぜ!」
『わっ!やめて!』
悪ガキ達は各々地面の雪を丸めて少年の方へと投げる。ただの雪玉なのだがこの時の少年には弾丸のように凄まじく恐ろしいものであった。
玄関先で雪玉責めに合う少年は、今にも逃げ出したかった。しかし少年はそうはしなかったのだ。
少年には兄らがいた。兄らは少年から見ればヒーローそのもの。いつも守られてばかりいた少年は常常兄らのように強くなりたいと願っていた。
見返してやるまたとないチャンスなのだが、やはり怖くて何もできない。
『…兄ちゃん、助けてっ』
ずずっと鼻をすすりながら小さくつぶやく少年。
知ったこっちゃないと悪ガキ達は少年に雪玉を投げつけようとした時。
「うわぁ!?」
「冷たいっ」
「いたっ!」
誰かが悪ガキ達に向かい先に雪玉をぶつけたのだ。
驚いている最中も雪玉は、止むことはせはずに悪ガキ達の背中を白くしていく。
「な、なんだよ!」
『兄ちゃん!』
「ただいま、甘いやつ駄菓子屋で買ってきたよ!」
俯く少年の前にやってきたのは少年とよく似た顔つきの兄である。安心しなさいと優しげに微笑みながら少年の服についた雪をはらってやる。
未だ雪玉攻撃を、やめない兄弟達。どうやらかなり腹が立っているようだ。
「一松!どうする?」
「雪ダルマにしちゃお」
「さんせーい!」
「手を緩めるな!トド松!十四松!」
「はいはーい!」
「それにしても随分ななしを虐めたみたいだねー。おそ松兄さん。ななしは大丈夫?」
『…へ、平気だよ!』
「だってチョロ松、まぁ謝ったって許さないから、謝らなくていいけどさ」
「俺達の可愛い弟を二度と虐めないでくれ」
「わかった?」
「…っ!」
「わかったか聞いてんだよ、」
「次はないからねー」
「ていうか、もう限りなくアウトに近いから!やっちゃお!おそ松兄さん!」
「そうだな!あ、ななしバケツ持ってきて!」
『ぇ、うん!』
「よし、みんな!題して雪ダルマ大作戦決行だー!」
「おぅ!」
「わかった!」
「はいはい」
「いくぞー!」
「了解!」
その後バケツを持っていった少年が目にしたのは真っ白になった悪ガキ。そして冬なのに腕まくりをしている兄達。
バケツを兄に渡すと、一番大きな悪ガキの頭にすっぽり被せたのだ。
そして一言「松野家雪ダルマ完成」と叫ぶ。
「よし!家はいろー」
「ななし怪我は?」
「こんなに冷たくなって!」
「大丈夫ー?」
「平気?」
「着替えなきゃね!」
『うん、大丈夫!ありがとう兄ちゃん!』
頭を順に優しくなでてくれる兄達。
少年はにっこりとわらった。</font>
『…ん、…夢…』
目を開いたななしは先程のものが夢であったことを確認した。
どうやら、何だかんだしていたら眠ってしまったらしい。布団にろくに入りもせず、しかも各自の色のパーカーを着たままな兄達を見ると、彼らが昨日夜遅くまで看病していてくれたということがなんとなしに分かる。
兄達の甲斐甲斐しい看病に、熱もだいぶ下がったらしく身体のだるさはなかった。
布団からはい出てカーテンを開く。
『うわぁ、つもったんだ』
2階から見えたのはあたり一面の雪。
だからこんなに寒いのかと1人納得したななしは窓に張り付くゆきを手に取り雪玉をつくった。
ぎゅっと丸めた雪玉を、未だに眠るおそ松に立った位置から普通に落とす。
何のじゃまもなく普通におそ松の頭に雪玉がベチャッと落ちる。
「ぬわぁぁあああ!?な、何!?え?」
『……おはよう、』
「え、あ、おはよう。ななし。って、なんで雪当てた!?冷たかったんだけど!?」
『……雪だしね』
「目が完璧開いちゃたじゃん。あ、積もったの?」
『だいぶ』
「うわぁ、まじだ!」
『……兄さん。雪合戦しようよ』
「え?風邪は?」
『治った。だからやろう?』
「でも、ぶり返すかもしれないだろ?大人しく、ねてなよ」
『……だあめ。雪合戦しよう。今なら勝てる気がする』
「ん、まぁ。いいけどさ。皆起こす?」
『……そだね』
しんしんと降る雪の下、七つ子で雪合戦大会が開かれたのだ。ななしの気まぐれで。
「ちょ、たんぶふだ!チョロ松さっきから俺狙いすぎだから!」
「そう?ウラぁ!!」
「ごファ!?」
「あ、一松兄さん石入れてるじゃん!カラ松兄さん死んじゃった…ぶっ!ちょっと!誰投げたぶはっ!十四松兄さん!?」
「あははは!トッティ!とう!」
「待った待った!十四松にいぐふ!?」
「やりやがって…クソシコ松!くらえ!」
「ぶふ!?いったいなぁ!」
「ちょっと。ななしだけ参加してない!」
『……してるしてる、あ!できた!ぶっ』
「あはははは!!ななし!真っ白!」
『っ、やったな十四松兄さん!それ!』
「いた、ちょっと、僕一松だから」
「くらえぇえ!おそ松サンダースノウボール!!」
「くらわないし。馬鹿なの!?」
『ぶふっ!?』
「ななしー!?」
『…許さない。おそ松兄さん…』
今日、寒空の下。雪玉があちらこちらに飛び交う中。
玄関先には七つの小さな雪ダルマがひっそり並べられていたのだった。
まるで、雪合戦を眺めているような雪ダルマ。
まだしばらく松野家七つ子雪合戦大会は続くみたいだった。
白く儚く美しく
(昔の記憶)