嫌いかもしれない
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「…トド松、」
「あ、一松兄さん!僕ちょっとトイレ行きたいからななし見てて!あと、なんか軽いもの作ってくる」
「…うん、」
トド松が股抑えてはしっていった。そんなギリギリまで我慢するとか馬鹿でしょアイツ。
トド松が繋いでいたななしの手を今度は僕が握った。
昔から寒くても暖かくてもななしの手は温い。あー、昔はよくカイロ代わりにしたっけ。いまこそそんなことはしないけどたまにはいいかも、……しれない。
『…一松兄ちゃん?』
「何?」
『ん。冷たい』
「あ、手?」
『…うん。俺今熱いから気持ちいい』
「風邪、引いてるし。当たり前。まぁ、しばらく貸してあげるよ」
『…うん。ありがとう兄ちゃん』
兄ちゃんなんて何年ぶりにきいたことか。こいつ見た目はまだ小さいくせに中身はバカ兄弟(僕含めて)で一番しっかりしてると思う。そのせいで母さんや父さんからの期待というプレッシャーはかなりでかいと思う。けど、そうしたいと思うならいいんじゃない。だって、ななしにとっての幸いがそうなら、仕方ない、……部分もあるとは思うケド。風邪をひくのはまた別問題。もしこれからもこんな事があるなら僕はバイトを、止めさせるかもね。
柄じゃないけど仮にも弟が寝込むのはいつでも心臓に悪い。特にななしは。
昔から風邪ばかり引いていた。
7つ子だし7人で引くこともざらにあった。けど、一番長く続くのも後遺症が残るのも全部ななし。
どうして7つ子なのにななしだけこうも弱いのだろうか。先に生まれたおそ松兄さん達が全部元気を吸い取って生まれたからだよ。で、十四松が残りの全部を吸い取った。
ななしに残ったのはほんの少しの元気。そのせいで我慢することにはかなり長けている。
「ななしさ、」
『?』
「よく、1人でバイトできるね。僕は無理。店長殺すかも」
『…ハハッ。兄ちゃんはそんな事しないよ。だって優しいから』
「優しい?僕が?」
『うん。……一松兄ちゃんは優しいよ』
「ふーん」
『……俺にだっていつも優しい、いつも助けられてるもん』
「……そう、よかったね」
熱があって苦しそうな状態でななしは笑った。
こんな状況でよく笑えるな、と思う。苦しいなら無理して笑わなくていいのに。
でも
多分。自惚れてるって言われるかもしれないけど、ななしは僕がいるから笑ったと思う。
いつだって僕の前では笑ってるから。まぁ、他の兄弟の前でも笑ってるのは知ってるけど。他人には絶対見せない弱った笑み。だからこの笑顔をみれるのはななしの兄弟である、僕の特権。
こいつは人一倍寂しがり屋。泣き虫。そのくせ他人には優しいとか。簡単に言えばそんな性格。溜め込みやすいタイプ。
雑に見えて意外と繊細。
おそ松兄さんに当たりが強いこともあるけど多分愛情の裏返し。
「……ななし」
『…?』
「風邪なおったら、駅近くの猫カフェ連れてって」
『……猫カフェ?』
「うん。こんなに献身的にななしの看病してるし、それなりのお返しはもらってもいいでしょ」
『……いつだって行こ。俺はお返しとかじゃなくて、いつだって行きたいから一松兄ちゃんと』
「っ!……なら、はやく風邪なおしなよ」
『…はは、そだね』
汗のかいた額を撫でてみた。
冷たい僕の手が気持ちいいらしくて擦り寄ってくる。猫みたいだ。ななしは猫に似てる。そんな気がする。
ガラガラと麩があいて粥を作ってきたトド松がやってきた。
十四松も一緒に来てななしの布団の前に座った。
「ねぇねぇ!野球できなかったけど、またやろうね!今度は皆元気な時に!」
『……うん。ごめんなさい十四松兄ちゃん』
「なんで謝るの?十四松兄さんおこってないよななし」
『……ん、ありがとう、』
「え?野球?」
「一松兄さんにいってなかったっけ!?7つ子で野球やるんだよ!今度!」
「ふーん、まぁ、いいんじゃない」
「十四松兄さんについてけるかな?」
「気合い気合い!マッスルマッスル!ハッスルハッスル!」
『ははっ』
多分だけど、ななしがいなかったら兄弟はもっとバラバラだったと思う。
おそ松兄さんはパチンコで、
カラ松は逆ナン待ちで、
チョロ松兄さんはアイドルの追っかけで、
十四松は野球で、
トド松は女の子とデート。
皆そっちを優先してるだろうけど、そうしないのはいつだってななしとの時間を過ごしたいから。
ななしとは無意識に愛されて、無意識に求められてる。そんな弟。
きっと、僕も7つ子の1人であの兄弟と血がつながってるから。ななしとの時間を過ごしたいと思ってるんだと思うよ。
じゃなければ、今ここにだっていないし。
ほら、風邪なんて引いてたら皆から求められなくなるよ。
だからなによりも早く治しなよ。
どうせ暇だし、ずっと傍にいるから。
弟松の、受難 一松
(気にかけてはいるよ)
「あ、一松兄さん!僕ちょっとトイレ行きたいからななし見てて!あと、なんか軽いもの作ってくる」
「…うん、」
トド松が股抑えてはしっていった。そんなギリギリまで我慢するとか馬鹿でしょアイツ。
トド松が繋いでいたななしの手を今度は僕が握った。
昔から寒くても暖かくてもななしの手は温い。あー、昔はよくカイロ代わりにしたっけ。いまこそそんなことはしないけどたまにはいいかも、……しれない。
『…一松兄ちゃん?』
「何?」
『ん。冷たい』
「あ、手?」
『…うん。俺今熱いから気持ちいい』
「風邪、引いてるし。当たり前。まぁ、しばらく貸してあげるよ」
『…うん。ありがとう兄ちゃん』
兄ちゃんなんて何年ぶりにきいたことか。こいつ見た目はまだ小さいくせに中身はバカ兄弟(僕含めて)で一番しっかりしてると思う。そのせいで母さんや父さんからの期待というプレッシャーはかなりでかいと思う。けど、そうしたいと思うならいいんじゃない。だって、ななしにとっての幸いがそうなら、仕方ない、……部分もあるとは思うケド。風邪をひくのはまた別問題。もしこれからもこんな事があるなら僕はバイトを、止めさせるかもね。
柄じゃないけど仮にも弟が寝込むのはいつでも心臓に悪い。特にななしは。
昔から風邪ばかり引いていた。
7つ子だし7人で引くこともざらにあった。けど、一番長く続くのも後遺症が残るのも全部ななし。
どうして7つ子なのにななしだけこうも弱いのだろうか。先に生まれたおそ松兄さん達が全部元気を吸い取って生まれたからだよ。で、十四松が残りの全部を吸い取った。
ななしに残ったのはほんの少しの元気。そのせいで我慢することにはかなり長けている。
「ななしさ、」
『?』
「よく、1人でバイトできるね。僕は無理。店長殺すかも」
『…ハハッ。兄ちゃんはそんな事しないよ。だって優しいから』
「優しい?僕が?」
『うん。……一松兄ちゃんは優しいよ』
「ふーん」
『……俺にだっていつも優しい、いつも助けられてるもん』
「……そう、よかったね」
熱があって苦しそうな状態でななしは笑った。
こんな状況でよく笑えるな、と思う。苦しいなら無理して笑わなくていいのに。
でも
多分。自惚れてるって言われるかもしれないけど、ななしは僕がいるから笑ったと思う。
いつだって僕の前では笑ってるから。まぁ、他の兄弟の前でも笑ってるのは知ってるけど。他人には絶対見せない弱った笑み。だからこの笑顔をみれるのはななしの兄弟である、僕の特権。
こいつは人一倍寂しがり屋。泣き虫。そのくせ他人には優しいとか。簡単に言えばそんな性格。溜め込みやすいタイプ。
雑に見えて意外と繊細。
おそ松兄さんに当たりが強いこともあるけど多分愛情の裏返し。
「……ななし」
『…?』
「風邪なおったら、駅近くの猫カフェ連れてって」
『……猫カフェ?』
「うん。こんなに献身的にななしの看病してるし、それなりのお返しはもらってもいいでしょ」
『……いつだって行こ。俺はお返しとかじゃなくて、いつだって行きたいから一松兄ちゃんと』
「っ!……なら、はやく風邪なおしなよ」
『…はは、そだね』
汗のかいた額を撫でてみた。
冷たい僕の手が気持ちいいらしくて擦り寄ってくる。猫みたいだ。ななしは猫に似てる。そんな気がする。
ガラガラと麩があいて粥を作ってきたトド松がやってきた。
十四松も一緒に来てななしの布団の前に座った。
「ねぇねぇ!野球できなかったけど、またやろうね!今度は皆元気な時に!」
『……うん。ごめんなさい十四松兄ちゃん』
「なんで謝るの?十四松兄さんおこってないよななし」
『……ん、ありがとう、』
「え?野球?」
「一松兄さんにいってなかったっけ!?7つ子で野球やるんだよ!今度!」
「ふーん、まぁ、いいんじゃない」
「十四松兄さんについてけるかな?」
「気合い気合い!マッスルマッスル!ハッスルハッスル!」
『ははっ』
多分だけど、ななしがいなかったら兄弟はもっとバラバラだったと思う。
おそ松兄さんはパチンコで、
カラ松は逆ナン待ちで、
チョロ松兄さんはアイドルの追っかけで、
十四松は野球で、
トド松は女の子とデート。
皆そっちを優先してるだろうけど、そうしないのはいつだってななしとの時間を過ごしたいから。
ななしとは無意識に愛されて、無意識に求められてる。そんな弟。
きっと、僕も7つ子の1人であの兄弟と血がつながってるから。ななしとの時間を過ごしたいと思ってるんだと思うよ。
じゃなければ、今ここにだっていないし。
ほら、風邪なんて引いてたら皆から求められなくなるよ。
だからなによりも早く治しなよ。
どうせ暇だし、ずっと傍にいるから。
弟松の、受難 一松
(気にかけてはいるよ)