嫌いかもしれない
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おそ松兄さんとななしを炬燵でみつけてから、ふと思ったんだ。
このバカ2人は風邪をひきたいのか?と。
そして案の定、風邪ひいたみたい。まぁ、でも体力自慢のおそ松兄さんはかなり元気だけどね。ひいたのはななし。寝苦しそうだったからまさかなぁ、と思ってたらこれだ。
急いで十四松兄さんにななしを運んでもらって今は7つ子ルームに静かに眠っている。
上3人の兄さん達には買い物に行ってもらった。なんで、ってそりゃあ、うるさいから。
なんとなく理解していたカラ松兄さんは僕にこっそり「遠回りしてくる」と教えてくれた。本当にイタくなかったら常識人だよねぇ。
さぁて、どうしよっか。
熱を図ったら少し高めだった。普段から病弱なくせに夜のバイトなんてするからだよ。本当に馬鹿だなぁ。
「ななし、だいぶ汗かいてるよ。水飲みなよ」
『ん"……喉いたい』
「……風邪だからね」
『……ごめんなさい』
「…?なんで謝るの?」
『……迷惑掛けたから』
ななしは昔からそうだ。
体も声も僕らより一回り小さなななしは昔から小心者で、人一倍自身を軽んじてる。
遊んでいてもすぐに転んだり、苦しくなったりしてその度に僕達は遊ぶのを中断してななしを介抱しついた。僕達はななしに無理して欲しくはないからいつもずっとついていたんだ。だけどいつからか、ななしは僕達から離れていって気づいたらかなり遠くにいた。
今でさえ一線を引いているような時はあるし、今だって昔みたいに迷惑かけてるとか、思ってるんだろうな。
なんで迷惑、なんて思ってると思ってるんだろう。
7つ子だし、皆で1人みたいなものなのに。
迷惑なんてかけてなんぼだし。僕からしてみれば弟はななしだけだから。ななしに"兄さん"って呼ばれるだけでこそばゆい気持ちになる。
そんなふうに呼ぶから僕はもっともっと欲しくなって。
今だってほら、もっと甘えてくれてもいいのにだなんて考えてるんだよ。
「ななし、僕じゃキミのお兄さんには役不足?」
『?……そんなことないよ』
「なら、もうちょっとだけ。甘えてよ。迷惑だなんて1ミリも思ってないから」
『…っ、』
汗で張り付いたななしの前髪をどかしてやる。真っ赤になった顔を優しく撫でて安心させるようににっこり笑ってあげればななしの瞳がうるうるしだした。
あれ、泣かせちゃったかな!?
ゆっくりゆっくり涙を流したななしは僕の手をきゅっと握った。すごく熱い。
『……兄ちゃん、本当はね、俺』
「うん」
『……バイトなんて行きたくない。夜は暗いしみんなと寝てたいんだ。でもね、駄目なんだ』
兄ちゃんなんて何年ぶりだろうか。
しゃくりあげながら喋るななしの頭を優しくなでる。
「どうして、駄目なの?」
『……母さんと父さんの期待に答えたい』
「っ、ななし。本当っ、いいこすぎー!!」
『…?』
「あんな兄さん達なんだもん、ななしがしっかりしないとって思っちゃうんだよね。偉いな」
『……』
ななしの涙は止まらなかった。
きっとね、僕の憶測だけどね。
ななしは誰かから認められたかったんじゃないかな?
7つ子で一括りが嫌だったんだと思う。中でも一番小さくてあまりに目立たないから。
だからピアスを開けてさ、7つ子とは違うんだ。って、言いたかったんじゃないかな?でもね、ななしは思ってるより皆に愛されてるよ。そしてななしって認められてる。
「あんまりさ、無理しないでよ。ななしが風邪ひいたからって皆てんやわんや。僕も今日女の子とデートだったんだけどドタキャン。ななしが一番大切だからだよ」
『……トド松兄ちゃん』
「ん?どうしたの?」
『俺……ね、7つ子でよかった。トド松兄ちゃんが兄ちゃんでよかった』
「…僕もねななしがいて良かった。だからさ、もっともっと甘えて?」
『……兄ちゃん、』
「うん?」
『……ずっと、手繋いでてね』
「っー!分かったから!そんな可愛い顔しないでよ!」
いつだってどんな時だって愛されてるんだよななし。
だから一人暮らししたいとか、あんまり言わないでよね。
なんだか、寂しいから。
うーん、それもそうなんだけど。
さっき、期待に答えたいって言ってさななしにばかり無理させちゃ可哀想だよ。
きーめた!僕バイト始めよっと。ななしの、心が少しでも安らげばいいな。
そうしたらこんなふうにストレスを溜め込まなくて良くなるかも。
泣かなくてすむかも。
「ななし、おやすみ」
僕の弟は甘え下手で、無口。だけど人一倍怖がりで寂しがり屋で甘えんぼう。
唯一無二の、可愛い弟様。
僕らはいつもななしの見方だから。
弟松の、受難 トド松
(あーぁ、可愛い顔しちゃってまぁ)