短編 男主
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(続き/R15)
「ななし」
バーのカウンターに不二子と座っていたななしの肩に手を置き名前を呼んでやる。
ぴくりと大袈裟に肩をビクつかせたななし。振り向いたやつのかおはそれはそれは、真っ赤だ。
酒のせいだけではないな、と確信して急に現れた俺にあたふたするななしの唇を人目も憚らず奪ってやった。
柔らかく潤ったこいつの唇はスプリッツァーで甘いのなんの。
「よぉ、スーツの似合うななしさんよ。迎えに来たぜ」
『え、あ?え、次元?』
「もう筒抜けなら隠さねぇよ。抱かせろ」
『!?ちょ、ど、どうしたのさ?ここバーだぞ?』
「ちょっと次元、ななしと飲んでるんだから横槍はやめなさいよ」
「すまねぇがこっからレンタルするなら金払ってからにしてくれ」
「呆れた、それで頭を冷やしたつもり?」
「るせぇ、とっくに冷えてらぁ」
「…はぁ、全く。貴方たちって本当に面倒だし回りくどい。まるで高校生の恋愛みたいだわ」
『え?あーと、本当によく分からないんだけど、俺はどうしたらいい?』
「お前さんは俺と来るんだよ」
『ちょっ、あ、チップは!?』
「払っておくわ、早く次元に抱かれてやりなさい」
『ふ、不二子!?』
「許可もらったんだ行くぞななし」
呆れてものも言えないわ、と不二子はカウンターで足を組みなおしながら手をヒラヒラと動かした。
早くあっちにいけとでも言いたげだ。
一連のやり取りにバーにいた客は驚き固まっていたが、んな事はどうでもいい。
ルパン達がいた部屋とは別に割り当てられていたスイートルームにむかう。クルーズカードを使い客室に入ると、スイートルームなだけありめちゃくちゃに広い。
問答無用で連れてこられたななしは未だに状況が呑み込めていないらしく首を傾げるばかりだ。
まぁ、ななしからしたらそうなるよな。
勝手にウジウジして、勝手に自己解決して、勝手に納得して、勝手にスイートルームに連れてきて。
『次元?』
結局何も分からないななしは不安そうに俺の名を呼んだ。
あぁ、そんな声出すな。別に怒ったり怒鳴ったりする訳じゃねぇから。
一番、今のお前さんに伝えてやらなきゃ行けないこと。
早く言ってやらねぇと。
「ななし」
『ん?』
未だに不安そうにしているななしを正面から包むように抱きしめた。
瞬間香り立つのはイフ オーデパルファム。あまりななしから香水は香ったことがないが今のスリーピーススーツをきたこいつにはとてもよく似合っている。
「……めちゃくちゃ似合ってる」
『スーツ?』
「あぁ。悪かった。褒めてやるところでおどけた。まぁ、……お前さん。どうやらおどけただけじゃねぇって気づいてたらしいがな」
『あぁ、まごにも?なんちゃら?』
「馬子にも衣装だ」
『気づく。あんな真摯な眼差しだったら』
「自覚はねぇよ」
『はは!無自覚か[D:12316]でも、これは俺だけが知ってればいい。あんな生々しい眼差しは俺だけに向けててよ』
「自覚はねぇが、了解した」
『ふふ、ありがとう』
抱きしめた腕に力を込めればななしも俺の背に腕をまわしてきた。
やんわりと背を撫でられまるであやされているみたいな気分になる。
…悪かねぇがな。
クツクツと笑うななしの振動が心地よくて、白のドレスシャツから覗くこれまた白くて細い首に唇を這わせる。
確かな温もりを感じれば先程まであんなに悩んでいたことが嘘みたいに無くなっていくから不思議だ。
『くすぐったい』と身をよじるななしを逃げぬように固定してクイーンサイズのベッドに押し倒してやった。
撫で付けた髪が乱れて、色気が増しやがった。
なんつー、破壊力。
『じ、次元?盛った?』
「ん?お前さんがそのスーツを着て披露してきた瞬間から、ずっとな」
『え、そんな前から』
「当たり前だろうが。俺が選んだスーツを俺が選んだ男が着てるんだ。興奮しないはずねぇ」
『そんな力説しなくても…』
「お前は自分の魅力をこれっぽっちも分かっちゃいねぇな」
『み、魅力ぅ?確かに瞬間記憶能力は魅力のひとつかもだけど』
「馬鹿野郎、そんなもんじゃねぇよ。ななしの魅力ってのはよ」
『えぇ?次元の方が大人だし色気もあるしフェロモンむんむんだし…俺からしたら魅力的だけどなぁ』
「は、言ってろ。……あんまりに色気を纏ってるもんだから…早々にかっさらってやりたくなったんだ。ルパンや五ェ門の目につかない場所にな。今のお前さんは柄じゃねぇが……本当に綺麗だ」
『じ、次元[D:12316]!?ど、どうした!?』
「黙って俺に抱かれてくれ、ななしの色気に当てられただけだ」
『だけって…んぅ』
まだ、ぺちゃくちゃしゃべる可愛げのない口を塞いでやる。
ガチガチに固まったななしの体を解すように触ってやれば口がゆっくり開く。
舌を滑り込ませ、余すことなく舐め尽くせばななしは潤んだ瞳で俺を見上げた。
本当に…嫌になるくらい綺麗な野郎だ。全く…。
そそくさジャケットを脱がせ、ベストのボタンを外す。
脱がせるのは勿体ないが汚れちまうのは不本意だ。
『じ、次元!本当にするの?まだ俺屋外シアターとかカジノとかダンスフロアとき行きたかったんだけど!』
「諦めろ、明日だ」
『う、スーツは!?汚れるぞ?』
「クリーニングすりゃいいだろ」
『次元、お腹空かない?』
「後でルームサービスする」
『お酒は?』
「あとだあと」
『[D:12316]っ!もう!』
「許せよ、ななし。お前がエロいのが悪い」
『エロくない!』
「どうだか」
『うんぅ!』
ドレスシャツも全開にしてやれば、現れたのは持ち主同様にエロい胸。
何もしてなくても既に尖った乳首に舌を這わせば感じるのか甘い声が響く。
ななしの息も上がってきた、これじゃもう後には引けねぇな。
何度も舌と指で弾けばななしは諦めたように、俺の頭を抱きしめた。
『…も、大介の馬鹿野郎…セックスしたくなった』
「だろうな、勃ってやがる」
『…大介もだろ』
「当たり前だろ」
目がトロンと溶けた。呼び方も名前呼びに変わった。
スイッチが入ったらしい。
大人気ないし、意地の悪い卑怯なやり方だとは思う。だが好きなもんを愛でたいのだから許してくれ。
俺よりも精神的に大人で、俺よりも俺を知っていて、なにより愛らしいななし。
こんなやり方しかできない汚ぇ俺を許してくれよ。
それからあわよくば…
「こんな俺だがぁ…嫌ってくれるなよ」
『…だ、大介…』
再度ななしの唇にキスをしてやる。
目を瞑り受け入れたななし。
そっと顔が離れれば真剣な瞳で俺を見つめるななし。
『当たり前だろう』
弱くて小さくて見栄っ張りな俺の頬に白くて少しふしくれたななしの手が触れた。
『愛してるよ、大介』
「あぁ、愛してる」
その暖かい手に俺も手を重ねぎゅっと握る。
ふふっと嬉しそうに笑ったななしにもう一度キスをして、この後訪れるであろう甘く気持ちのいい夜に思いを馳せ、俺はゆっくりと目を瞑った。
嫌ってくれるな
(こんな俺を)
OMAKE
(その後)
結局夜通し獣のように混ざりあった。
朝方(ルームサービスも酒も何も無かった)ようやく幕を閉じ、体だけ綺麗にしてL字型のデケェソファに2人裸で抱き合って眠りについた。
次に目が覚めたのは夕方。日も傾いて赤く色づく空に自然と舌打ちが鳴る。
まずは昨日の情事で汚れたシーツを取り替えてもらわなくてはならない。とりあえず体液まみれのシーツをシャワールームへ持っていきお湯をぶっかける。
溢れ出る欠伸を我慢することもせず漏らせば、シャワーの音に目が覚めたのかななしがやってきた。
『はよー、大介。いい朝だね』
「馬鹿野郎、夕方だ」
『んふふ、こんにちはだね』
「言ってる場合か」
寝起きでまだ覚醒しきらないななしはブレイドに身を包みながら俺と同じように欠伸をしている。
バスローブを渡してやりどうにかこうにか腹ごしらえをと思案していればコンコンと部屋の扉がノックされた。
シャワーをとめ俺もバスローブを羽織り扉を開けば
めちゃくちゃにやけている見慣れたルパンの姿があった。
「…なんだ」
「おー、2人きりを邪魔されてご機嫌ななめかー?次元」
「言ってろ」
「まぁまぁ、これでも心配してたんだぜ?上手くいったみたいで俺様一安心」
「けっ、調子のいい野郎だな」
「そろそろ、腹減ってるだろうと思ってほら酒とつまみ!俺たちがルームサービスして貰ったやつの残りで悪いけどやるよ。仲直り記念のプレゼント[D:12316]」
「喧嘩なんざしてねぇ…だが、ありがたく貰うぜ」
「おうよ」
ルパンが持ってきた酒瓶と、トレイに乗ったハンバーガーやら肉やらを受け取る。
まだ暖かく美味そうな匂いが充満する。
残りという割に綺麗な食べ物に違和感を感じつつ「まだまだ楽しめよ[D:12316]」と、早々に帰ろうとするルパンを引き止めた。
「お前さん、妙なことしてねぇだろうな?」
「なになに?妙なことって」
目が覚めた瞬間にやってきたのだ。
こうも見計らったようにタイミングよく普通は来れないだろう。
こいつは昨日盗聴と言う前科がある。
全てにおいて怪しい。
「まさか…」
「なぁに?次元ちゃん」
「いや、考えすぎか。軽口男のルパンでもそこまでデリカシーがないこたぁないだろ」
「なぁ、次元」
「あ?」
「最中、大介呼びはクるよなぁ」
「なっ!?!?」
「ニシシシ[D:12316]!」
ルパンの一言でやはり彼が盗聴していたため、タイミングがあったのだと分かった。
瞬間的に頭に血が登り、こいつは生かしちゃおけねぇと玄関そばに置いていたコンバット・マグナムをルパンに構えた。
しかし俊敏に「あばよ[D:12316]!」と走り去っていくルパン。流石に廊下でぶっぱなす訳にも行かず俺は行き場をなくした怒りをぶちまけるように「おぼえてやがれ!!」と叫ぶことしか出来なかった。
『どした?』
「ん?あぁ。馬鹿ルパンにしてやられた」
『んー、いつもの事じゃん』
「違いねぇが、今回は許せねぇ」
『あ、ハンバーガー』
扉を叩きつけるように閉めればとことこななしがやってきた。
俺が持つハンバーガーを見つめ、食べていいか?と聞いてくる。
構わないと伝えれば素早くハンバーガーを頬張るななし。昨日から今日にかけての情事でだいぶ腹が空いていたらしい。
『うまぁ』
「…そりゃぁ、良かったな」
『次元食べる?』
「おう」
未だに盗聴されているのか。
流石にしてないか、いやルパンのことだ。また耳を済ませているかもしれない。
だが、目の前でただのハンバーガーを美味そうに幸せそうに食べるななしを見ていればそんなこともちっぽけにおもえてくる。
腹はたっていたが、2人きりなんだ。ルパンじゃなくてななしのことを考えよう。
むしろ俺達の甘ったるい会話でも聞いて1人虚しくなりやがれ。
俺はそんな無神経なことを考えながらハンバーガーをむさぼるななしにキスをお見舞いしてやった。
END
「ななし」
バーのカウンターに不二子と座っていたななしの肩に手を置き名前を呼んでやる。
ぴくりと大袈裟に肩をビクつかせたななし。振り向いたやつのかおはそれはそれは、真っ赤だ。
酒のせいだけではないな、と確信して急に現れた俺にあたふたするななしの唇を人目も憚らず奪ってやった。
柔らかく潤ったこいつの唇はスプリッツァーで甘いのなんの。
「よぉ、スーツの似合うななしさんよ。迎えに来たぜ」
『え、あ?え、次元?』
「もう筒抜けなら隠さねぇよ。抱かせろ」
『!?ちょ、ど、どうしたのさ?ここバーだぞ?』
「ちょっと次元、ななしと飲んでるんだから横槍はやめなさいよ」
「すまねぇがこっからレンタルするなら金払ってからにしてくれ」
「呆れた、それで頭を冷やしたつもり?」
「るせぇ、とっくに冷えてらぁ」
「…はぁ、全く。貴方たちって本当に面倒だし回りくどい。まるで高校生の恋愛みたいだわ」
『え?あーと、本当によく分からないんだけど、俺はどうしたらいい?』
「お前さんは俺と来るんだよ」
『ちょっ、あ、チップは!?』
「払っておくわ、早く次元に抱かれてやりなさい」
『ふ、不二子!?』
「許可もらったんだ行くぞななし」
呆れてものも言えないわ、と不二子はカウンターで足を組みなおしながら手をヒラヒラと動かした。
早くあっちにいけとでも言いたげだ。
一連のやり取りにバーにいた客は驚き固まっていたが、んな事はどうでもいい。
ルパン達がいた部屋とは別に割り当てられていたスイートルームにむかう。クルーズカードを使い客室に入ると、スイートルームなだけありめちゃくちゃに広い。
問答無用で連れてこられたななしは未だに状況が呑み込めていないらしく首を傾げるばかりだ。
まぁ、ななしからしたらそうなるよな。
勝手にウジウジして、勝手に自己解決して、勝手に納得して、勝手にスイートルームに連れてきて。
『次元?』
結局何も分からないななしは不安そうに俺の名を呼んだ。
あぁ、そんな声出すな。別に怒ったり怒鳴ったりする訳じゃねぇから。
一番、今のお前さんに伝えてやらなきゃ行けないこと。
早く言ってやらねぇと。
「ななし」
『ん?』
未だに不安そうにしているななしを正面から包むように抱きしめた。
瞬間香り立つのはイフ オーデパルファム。あまりななしから香水は香ったことがないが今のスリーピーススーツをきたこいつにはとてもよく似合っている。
「……めちゃくちゃ似合ってる」
『スーツ?』
「あぁ。悪かった。褒めてやるところでおどけた。まぁ、……お前さん。どうやらおどけただけじゃねぇって気づいてたらしいがな」
『あぁ、まごにも?なんちゃら?』
「馬子にも衣装だ」
『気づく。あんな真摯な眼差しだったら』
「自覚はねぇよ」
『はは!無自覚か[D:12316]でも、これは俺だけが知ってればいい。あんな生々しい眼差しは俺だけに向けててよ』
「自覚はねぇが、了解した」
『ふふ、ありがとう』
抱きしめた腕に力を込めればななしも俺の背に腕をまわしてきた。
やんわりと背を撫でられまるであやされているみたいな気分になる。
…悪かねぇがな。
クツクツと笑うななしの振動が心地よくて、白のドレスシャツから覗くこれまた白くて細い首に唇を這わせる。
確かな温もりを感じれば先程まであんなに悩んでいたことが嘘みたいに無くなっていくから不思議だ。
『くすぐったい』と身をよじるななしを逃げぬように固定してクイーンサイズのベッドに押し倒してやった。
撫で付けた髪が乱れて、色気が増しやがった。
なんつー、破壊力。
『じ、次元?盛った?』
「ん?お前さんがそのスーツを着て披露してきた瞬間から、ずっとな」
『え、そんな前から』
「当たり前だろうが。俺が選んだスーツを俺が選んだ男が着てるんだ。興奮しないはずねぇ」
『そんな力説しなくても…』
「お前は自分の魅力をこれっぽっちも分かっちゃいねぇな」
『み、魅力ぅ?確かに瞬間記憶能力は魅力のひとつかもだけど』
「馬鹿野郎、そんなもんじゃねぇよ。ななしの魅力ってのはよ」
『えぇ?次元の方が大人だし色気もあるしフェロモンむんむんだし…俺からしたら魅力的だけどなぁ』
「は、言ってろ。……あんまりに色気を纏ってるもんだから…早々にかっさらってやりたくなったんだ。ルパンや五ェ門の目につかない場所にな。今のお前さんは柄じゃねぇが……本当に綺麗だ」
『じ、次元[D:12316]!?ど、どうした!?』
「黙って俺に抱かれてくれ、ななしの色気に当てられただけだ」
『だけって…んぅ』
まだ、ぺちゃくちゃしゃべる可愛げのない口を塞いでやる。
ガチガチに固まったななしの体を解すように触ってやれば口がゆっくり開く。
舌を滑り込ませ、余すことなく舐め尽くせばななしは潤んだ瞳で俺を見上げた。
本当に…嫌になるくらい綺麗な野郎だ。全く…。
そそくさジャケットを脱がせ、ベストのボタンを外す。
脱がせるのは勿体ないが汚れちまうのは不本意だ。
『じ、次元!本当にするの?まだ俺屋外シアターとかカジノとかダンスフロアとき行きたかったんだけど!』
「諦めろ、明日だ」
『う、スーツは!?汚れるぞ?』
「クリーニングすりゃいいだろ」
『次元、お腹空かない?』
「後でルームサービスする」
『お酒は?』
「あとだあと」
『[D:12316]っ!もう!』
「許せよ、ななし。お前がエロいのが悪い」
『エロくない!』
「どうだか」
『うんぅ!』
ドレスシャツも全開にしてやれば、現れたのは持ち主同様にエロい胸。
何もしてなくても既に尖った乳首に舌を這わせば感じるのか甘い声が響く。
ななしの息も上がってきた、これじゃもう後には引けねぇな。
何度も舌と指で弾けばななしは諦めたように、俺の頭を抱きしめた。
『…も、大介の馬鹿野郎…セックスしたくなった』
「だろうな、勃ってやがる」
『…大介もだろ』
「当たり前だろ」
目がトロンと溶けた。呼び方も名前呼びに変わった。
スイッチが入ったらしい。
大人気ないし、意地の悪い卑怯なやり方だとは思う。だが好きなもんを愛でたいのだから許してくれ。
俺よりも精神的に大人で、俺よりも俺を知っていて、なにより愛らしいななし。
こんなやり方しかできない汚ぇ俺を許してくれよ。
それからあわよくば…
「こんな俺だがぁ…嫌ってくれるなよ」
『…だ、大介…』
再度ななしの唇にキスをしてやる。
目を瞑り受け入れたななし。
そっと顔が離れれば真剣な瞳で俺を見つめるななし。
『当たり前だろう』
弱くて小さくて見栄っ張りな俺の頬に白くて少しふしくれたななしの手が触れた。
『愛してるよ、大介』
「あぁ、愛してる」
その暖かい手に俺も手を重ねぎゅっと握る。
ふふっと嬉しそうに笑ったななしにもう一度キスをして、この後訪れるであろう甘く気持ちのいい夜に思いを馳せ、俺はゆっくりと目を瞑った。
嫌ってくれるな
(こんな俺を)
OMAKE
(その後)
結局夜通し獣のように混ざりあった。
朝方(ルームサービスも酒も何も無かった)ようやく幕を閉じ、体だけ綺麗にしてL字型のデケェソファに2人裸で抱き合って眠りについた。
次に目が覚めたのは夕方。日も傾いて赤く色づく空に自然と舌打ちが鳴る。
まずは昨日の情事で汚れたシーツを取り替えてもらわなくてはならない。とりあえず体液まみれのシーツをシャワールームへ持っていきお湯をぶっかける。
溢れ出る欠伸を我慢することもせず漏らせば、シャワーの音に目が覚めたのかななしがやってきた。
『はよー、大介。いい朝だね』
「馬鹿野郎、夕方だ」
『んふふ、こんにちはだね』
「言ってる場合か」
寝起きでまだ覚醒しきらないななしはブレイドに身を包みながら俺と同じように欠伸をしている。
バスローブを渡してやりどうにかこうにか腹ごしらえをと思案していればコンコンと部屋の扉がノックされた。
シャワーをとめ俺もバスローブを羽織り扉を開けば
めちゃくちゃにやけている見慣れたルパンの姿があった。
「…なんだ」
「おー、2人きりを邪魔されてご機嫌ななめかー?次元」
「言ってろ」
「まぁまぁ、これでも心配してたんだぜ?上手くいったみたいで俺様一安心」
「けっ、調子のいい野郎だな」
「そろそろ、腹減ってるだろうと思ってほら酒とつまみ!俺たちがルームサービスして貰ったやつの残りで悪いけどやるよ。仲直り記念のプレゼント[D:12316]」
「喧嘩なんざしてねぇ…だが、ありがたく貰うぜ」
「おうよ」
ルパンが持ってきた酒瓶と、トレイに乗ったハンバーガーやら肉やらを受け取る。
まだ暖かく美味そうな匂いが充満する。
残りという割に綺麗な食べ物に違和感を感じつつ「まだまだ楽しめよ[D:12316]」と、早々に帰ろうとするルパンを引き止めた。
「お前さん、妙なことしてねぇだろうな?」
「なになに?妙なことって」
目が覚めた瞬間にやってきたのだ。
こうも見計らったようにタイミングよく普通は来れないだろう。
こいつは昨日盗聴と言う前科がある。
全てにおいて怪しい。
「まさか…」
「なぁに?次元ちゃん」
「いや、考えすぎか。軽口男のルパンでもそこまでデリカシーがないこたぁないだろ」
「なぁ、次元」
「あ?」
「最中、大介呼びはクるよなぁ」
「なっ!?!?」
「ニシシシ[D:12316]!」
ルパンの一言でやはり彼が盗聴していたため、タイミングがあったのだと分かった。
瞬間的に頭に血が登り、こいつは生かしちゃおけねぇと玄関そばに置いていたコンバット・マグナムをルパンに構えた。
しかし俊敏に「あばよ[D:12316]!」と走り去っていくルパン。流石に廊下でぶっぱなす訳にも行かず俺は行き場をなくした怒りをぶちまけるように「おぼえてやがれ!!」と叫ぶことしか出来なかった。
『どした?』
「ん?あぁ。馬鹿ルパンにしてやられた」
『んー、いつもの事じゃん』
「違いねぇが、今回は許せねぇ」
『あ、ハンバーガー』
扉を叩きつけるように閉めればとことこななしがやってきた。
俺が持つハンバーガーを見つめ、食べていいか?と聞いてくる。
構わないと伝えれば素早くハンバーガーを頬張るななし。昨日から今日にかけての情事でだいぶ腹が空いていたらしい。
『うまぁ』
「…そりゃぁ、良かったな」
『次元食べる?』
「おう」
未だに盗聴されているのか。
流石にしてないか、いやルパンのことだ。また耳を済ませているかもしれない。
だが、目の前でただのハンバーガーを美味そうに幸せそうに食べるななしを見ていればそんなこともちっぽけにおもえてくる。
腹はたっていたが、2人きりなんだ。ルパンじゃなくてななしのことを考えよう。
むしろ俺達の甘ったるい会話でも聞いて1人虚しくなりやがれ。
俺はそんな無神経なことを考えながらハンバーガーをむさぼるななしにキスをお見舞いしてやった。
END