短編 男主
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*ハリーと恋人前提のエグジー(一応)です
(Kingsm@n)
今日も疲れたと項垂れキングスマンの基地内をうろつくエグジー。疲れたからと言って彼の探究心がなくなるわけでなく。見たことない場所や武器を見たくてたまらないエグジーは夜の基地内を歩き回った。
ハリーやマーリン、そしてマーリンの助手であるななしに見つかればこっぴどく叱られるに違いない。できるだけ誰にもバレないようにしなくては。まだ試験に合格してもいないのにスパイになった気分で壁に張り付いてみればなんだか楽しくなってきた。
誰もいないと信じ込み手で銃を作ってみる。
「なんか、すげぇな」
スパイなることも、なろうとしていることも。エグジーにとってはすごい事なのだ。最下層の暮らしでも立派になれると義父であるディーンに証明してやる。決意を胸に角を曲がった時。
「うわっ」
「なんだ、エギーじゃないか」
「な、なんだチャーリーか…」
「なんだとはなんだ。というか、その手はなんだよ?銃か?あはは!ごっこ遊びなら他所でしろよエギー」
「……」
先にいたのは同じ候補生のチャーリーだ。後ろにはチャーリーの連れもおり、エグジーを見てニヤニヤ笑っていた。
一番見られたくない人物に見られてしまったことが何より恥ずかしく、エグジーはキッとチャーリーを睨んだ。
「そう睨むなよ!なんならその銃で撃ってみるか?エギー」
「おい、俺はエグジーだ」
「なんだって?エギー?」
何を言ってもダメだと悟ったエグジーは、頭には来ているものの殴るまいとその場を退散する。ここで殴れば試験はパーだ。ディーンを見返すどころかさらに見下されて終わる。息巻いて飛び出したからには結果を残し、母を安心させてやりたいから。
しかしそんな心境など露知らずチャーリーはさらにエグジーをまくし立てた。
「ここはお前みたいな貧乏人が来るところじゃない。お遊びは家に帰ってやれよ」
「貧乏人だって関係ないだ『エグジー?』…あ、ななし」
我慢の限界にエグジーが怒鳴り返そうとした瞬間、先程曲がった角をマーリンの助手であるななしが曲がって来たのだ。
エグジーより些か背の高いななしは怒りに顔を真っ赤にしたエグジーを牽制するようにバインダーを彼の頭に載せた。
ハッとし口を抑えるエグジー。今ばかりはななしに感謝しなくては。
『候補生が夜中にウロウロしてちゃダメだよ。ハリーに言いつけるよ?』
「よ、よせよ」
『あはは!冗談冗談』
「なんだ、冗談か…」
ななしに見つかったことに動揺している候補生逹はほんの冗談も通じないくらいには焦っている。
「では、これで!」とそそくさ逃げていくチャーリーだがななしは『待ちなさい』とそれを制した。大人しく従ったチャーリーはななしを見つめる。
大人の色気というものを醸し出したななしは妖艶な笑みを浮かべた。ただ彼自身は普通に笑ったつもりなのだが、周りにはそうは見えていないらしい。
『僕は昔、劣悪な環境でそだったからね。言葉もままならなかったのだけど…僕はまだ完璧に言語を操れていないらしい』
「え?」
『EGGSYって、エギーって読むのかい?』
「あ、それは」
『いやいや、正しいのなら僕が間違えていたんだよ。本当の事を教えてくれてありがとうチャーリー』
ななしの言葉には妙な威圧感があった。言い返せなくなったチャーリー。エグジーはしてやったりと顔をほころばせたが、第一試験の時のマーリンの言葉を思い出した。
「チームワークを大切にしろ」
こんなニュアンスの言葉であった気がする。
チームワークと言っていいのかは分からなかったが、エグジーはチャーリーに「あだ名だよあだ名!な?チャーリー」と助け舟を出す。
チャーリーも必死に首を立てに降ったがななしの顔は笑ったまま。
エグジーにも分かる。偽物の笑顔だ。
『いい事での贔屓は歓迎だけど、悪いことでの贔屓はさせないでね。チャーリー』
「は、はい!」
冷たくいいはなったななし。チャーリーや、チャーリーの連れが走っていくのを尻目にエグジーはななしを盗み見た。チャーリーが逃げていく姿をいたずらが成功した、子供のような笑顔で見つめていた。
『エグジー。君はいつからエギーに改名したの』
「してない、あいつらが勝手に呼ぶんだ」
『でも。あの突発的な君が我慢してたのを見てさ。なんだか、ほかほかしたよ』
「いつから見てたんだよ!!」
『最初からに決まってるでしょ?あ、あと!銃の持ち方はこうだから』
「そこから!?」
『言ったでしょ?初めからって』
「まじかよ」
『まじまじ』
まさか、ななしにまで見られているとは。エグジーは恥ずかしさやいたたまれなさにその場で顔を隠すしかなかった。
忘れてくれと言うもそんな簡単には忘れられないよとクスクス笑われる。
『さぁ、明日も試験があるのだから。早くねなエグジー』
「言われなくても」
『応援してるよ』
「じゃ、"いい事での贔屓"してくれる?」
『それはしないよ。みんな平等であるべきだ』
「そういうと思った」
『分かってたの?エグジーすごいね』
「馬鹿にしてるだろ!」
『してないしてない。ほら!』
「いて!」
『君の部屋はあっち』
「へいへい、おやすみ」
『おやすみ、エグジー』
バインダーで叩かれた頭をさすりながらようやく歩き出したエグジー。
エグジーが見えなくなった当たりでななしは『いったよ』と、呟くと影に隠れるようにしていたハリーがゆったり姿を現した。
『盗み聞きなんて紳士じゃないね。ハリー』
「君がさせたんだろう?」
『ハリーが選んだエグジーを放っておけないよ』
「なんだか、妬けてしまうね」
『そう?』
「で、いい事での贔屓はするつもりかい?」
『しないよ?言った通りみんな平等であるべきだからね』
そうでしょう?と、上目で言われハリーは視線をそらした。まぁそうだと納得する。
「しかし、あれくらいの事は自力でなんとか出来なければいけないがね」
『確かにね』
「君は彼に甘いから」
『そんな事ないよ。でも甘いのだとしたらハリーのせい』
「私が?」
『君が選んだんだから、君の理想のエグジーに育ててあげたい』
「想われているのか、よく分からないね」
『それはハリーの想像に任せるよ。そろそろ、僕らも寝なくちゃね』
「あぁ。その通りだ」
己の腕時計を確認し、ななしは伸びをする。
ハリーもまた時間を確認しうなづく。お互い別々の部屋があるためそちらで寝るが、少しの間も離れたくないななしはハリーのネクタイをつかみ彼を引き寄せ軽いキスをしてやる。
「職場恋愛は危険だ」
『公認だしー』
「さぁて、私も寝るとしよう。私にはきつい時間だ」
『そんなこと言ったら僕もだよ!』
「君はまだ若いだろ」
『ん』
今度はハリーがななしにキスをする。柔らかく優しいキスでななしは満足したらしい。
歩いていくハリーの背に手を振り彼も基地内に設けられた自室に向かう。
ふと、バインダーの資料が目に入る。パラパラ捲ればゲイリー・エグジー・アンウィンの情報がのった資料が現れた。
小さな写真には彼の顔がうつっている。親指でその写真を撫でななしは『頑張りなよ、エグジー』と、そう呟いたのだった。
end
(Kingsm@n)
今日も疲れたと項垂れキングスマンの基地内をうろつくエグジー。疲れたからと言って彼の探究心がなくなるわけでなく。見たことない場所や武器を見たくてたまらないエグジーは夜の基地内を歩き回った。
ハリーやマーリン、そしてマーリンの助手であるななしに見つかればこっぴどく叱られるに違いない。できるだけ誰にもバレないようにしなくては。まだ試験に合格してもいないのにスパイになった気分で壁に張り付いてみればなんだか楽しくなってきた。
誰もいないと信じ込み手で銃を作ってみる。
「なんか、すげぇな」
スパイなることも、なろうとしていることも。エグジーにとってはすごい事なのだ。最下層の暮らしでも立派になれると義父であるディーンに証明してやる。決意を胸に角を曲がった時。
「うわっ」
「なんだ、エギーじゃないか」
「な、なんだチャーリーか…」
「なんだとはなんだ。というか、その手はなんだよ?銃か?あはは!ごっこ遊びなら他所でしろよエギー」
「……」
先にいたのは同じ候補生のチャーリーだ。後ろにはチャーリーの連れもおり、エグジーを見てニヤニヤ笑っていた。
一番見られたくない人物に見られてしまったことが何より恥ずかしく、エグジーはキッとチャーリーを睨んだ。
「そう睨むなよ!なんならその銃で撃ってみるか?エギー」
「おい、俺はエグジーだ」
「なんだって?エギー?」
何を言ってもダメだと悟ったエグジーは、頭には来ているものの殴るまいとその場を退散する。ここで殴れば試験はパーだ。ディーンを見返すどころかさらに見下されて終わる。息巻いて飛び出したからには結果を残し、母を安心させてやりたいから。
しかしそんな心境など露知らずチャーリーはさらにエグジーをまくし立てた。
「ここはお前みたいな貧乏人が来るところじゃない。お遊びは家に帰ってやれよ」
「貧乏人だって関係ないだ『エグジー?』…あ、ななし」
我慢の限界にエグジーが怒鳴り返そうとした瞬間、先程曲がった角をマーリンの助手であるななしが曲がって来たのだ。
エグジーより些か背の高いななしは怒りに顔を真っ赤にしたエグジーを牽制するようにバインダーを彼の頭に載せた。
ハッとし口を抑えるエグジー。今ばかりはななしに感謝しなくては。
『候補生が夜中にウロウロしてちゃダメだよ。ハリーに言いつけるよ?』
「よ、よせよ」
『あはは!冗談冗談』
「なんだ、冗談か…」
ななしに見つかったことに動揺している候補生逹はほんの冗談も通じないくらいには焦っている。
「では、これで!」とそそくさ逃げていくチャーリーだがななしは『待ちなさい』とそれを制した。大人しく従ったチャーリーはななしを見つめる。
大人の色気というものを醸し出したななしは妖艶な笑みを浮かべた。ただ彼自身は普通に笑ったつもりなのだが、周りにはそうは見えていないらしい。
『僕は昔、劣悪な環境でそだったからね。言葉もままならなかったのだけど…僕はまだ完璧に言語を操れていないらしい』
「え?」
『EGGSYって、エギーって読むのかい?』
「あ、それは」
『いやいや、正しいのなら僕が間違えていたんだよ。本当の事を教えてくれてありがとうチャーリー』
ななしの言葉には妙な威圧感があった。言い返せなくなったチャーリー。エグジーはしてやったりと顔をほころばせたが、第一試験の時のマーリンの言葉を思い出した。
「チームワークを大切にしろ」
こんなニュアンスの言葉であった気がする。
チームワークと言っていいのかは分からなかったが、エグジーはチャーリーに「あだ名だよあだ名!な?チャーリー」と助け舟を出す。
チャーリーも必死に首を立てに降ったがななしの顔は笑ったまま。
エグジーにも分かる。偽物の笑顔だ。
『いい事での贔屓は歓迎だけど、悪いことでの贔屓はさせないでね。チャーリー』
「は、はい!」
冷たくいいはなったななし。チャーリーや、チャーリーの連れが走っていくのを尻目にエグジーはななしを盗み見た。チャーリーが逃げていく姿をいたずらが成功した、子供のような笑顔で見つめていた。
『エグジー。君はいつからエギーに改名したの』
「してない、あいつらが勝手に呼ぶんだ」
『でも。あの突発的な君が我慢してたのを見てさ。なんだか、ほかほかしたよ』
「いつから見てたんだよ!!」
『最初からに決まってるでしょ?あ、あと!銃の持ち方はこうだから』
「そこから!?」
『言ったでしょ?初めからって』
「まじかよ」
『まじまじ』
まさか、ななしにまで見られているとは。エグジーは恥ずかしさやいたたまれなさにその場で顔を隠すしかなかった。
忘れてくれと言うもそんな簡単には忘れられないよとクスクス笑われる。
『さぁ、明日も試験があるのだから。早くねなエグジー』
「言われなくても」
『応援してるよ』
「じゃ、"いい事での贔屓"してくれる?」
『それはしないよ。みんな平等であるべきだ』
「そういうと思った」
『分かってたの?エグジーすごいね』
「馬鹿にしてるだろ!」
『してないしてない。ほら!』
「いて!」
『君の部屋はあっち』
「へいへい、おやすみ」
『おやすみ、エグジー』
バインダーで叩かれた頭をさすりながらようやく歩き出したエグジー。
エグジーが見えなくなった当たりでななしは『いったよ』と、呟くと影に隠れるようにしていたハリーがゆったり姿を現した。
『盗み聞きなんて紳士じゃないね。ハリー』
「君がさせたんだろう?」
『ハリーが選んだエグジーを放っておけないよ』
「なんだか、妬けてしまうね」
『そう?』
「で、いい事での贔屓はするつもりかい?」
『しないよ?言った通りみんな平等であるべきだからね』
そうでしょう?と、上目で言われハリーは視線をそらした。まぁそうだと納得する。
「しかし、あれくらいの事は自力でなんとか出来なければいけないがね」
『確かにね』
「君は彼に甘いから」
『そんな事ないよ。でも甘いのだとしたらハリーのせい』
「私が?」
『君が選んだんだから、君の理想のエグジーに育ててあげたい』
「想われているのか、よく分からないね」
『それはハリーの想像に任せるよ。そろそろ、僕らも寝なくちゃね』
「あぁ。その通りだ」
己の腕時計を確認し、ななしは伸びをする。
ハリーもまた時間を確認しうなづく。お互い別々の部屋があるためそちらで寝るが、少しの間も離れたくないななしはハリーのネクタイをつかみ彼を引き寄せ軽いキスをしてやる。
「職場恋愛は危険だ」
『公認だしー』
「さぁて、私も寝るとしよう。私にはきつい時間だ」
『そんなこと言ったら僕もだよ!』
「君はまだ若いだろ」
『ん』
今度はハリーがななしにキスをする。柔らかく優しいキスでななしは満足したらしい。
歩いていくハリーの背に手を振り彼も基地内に設けられた自室に向かう。
ふと、バインダーの資料が目に入る。パラパラ捲ればゲイリー・エグジー・アンウィンの情報がのった資料が現れた。
小さな写真には彼の顔がうつっている。親指でその写真を撫でななしは『頑張りなよ、エグジー』と、そう呟いたのだった。
end