短編 男主
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(百地三太夫/※前世の記憶がありそのまま転生した的な話です)
※ななしくん高校卒業→三太夫に誘われて(誘拐)二人暮らしを始める(三太夫のお金で建てた新築、田舎)というう細かな設定がありますが頭空っぽで読んでもらっても多分大丈夫です。
『家康…俺これまじ分かんない…どしよ』
「英語か…ななしは昔から苦手だな」
『まず助動詞ってなにぃ[D:12316]』
「教えるのは構わないが、まず起き上がってくれ」
『うんぅ、家康が冷たい』
「何を言う。教えると言っているのだから冷たくはないだろう」
『はぁーい』
「と、いうか私はまだななしの勉強範囲を履修していない可能性があるのだが…」
『家康頭いいから大丈夫。だと思うぞ、多分?』
「ふふ、なんだそれは。まぁ、見てみよう」
『ありがとう』
大きなローテブルで勉強をしているのは家の持ち主である家康と、幼なじみであるななしだ。
現在、夏休みに突入し彼らは出された宿題を解いているらしい。
ななし1人であれば答えを見ながら丸写し、なのだが。今年は高校1年目ということもあり厳しい監視(家康、半蔵の家)のもと行われている。
暇をしていた(とは名ばかりでななしがいるならと来ていた)三太夫も加わり彼らの勉強を眺めていた。
早々にやる気をなくし寝転がりながら問題集を解いていたななしだったが、家康に窘められむくりと体を起こした。
嫌々ながらも家康から習い(家康の方が年下であるのだが)必死に問題を解くななしを、まるで穴があくように凝視するのは三太夫だ。
夏ということもあり、半そで短パンであるななし。
晒された腕や太ももは白くしなやかだ。
時折短パンからちらりと覗くボクサーパンツや、鎖骨。白くきめ細かい肌は血色よくそれはそれは柔らかそうである。
「……」
ソファに座る三太夫は深々ため息を着くと額を手で押え、背もたれに体を預けるような脱力した。
ななしを見て、思うこと。
……エロい。
その一言に尽きるのだ。
16歳であるななしと26歳である三太夫。
一回り違う彼らだが、お互い相思相愛でありもれなく恋人同士。
それは前世から続く淡い関係である。
もちろんこれからも永劫続く予定だ。
「(だが、歳の差は埋まんねぇからなぁ)」
しかし、10歳。
これはどう足掻こうとも埋められはしない。
お互いそれが、どうした?問題ないだろう状態ではいるのだがやはり10歳はでかい。
まだ未成年であるななし。だが既に三太夫を魅了するには十分すぎる体つきなのだ。
それを良くも悪くも理解していないななしに三太夫はこうしていつも翻弄されている。
今だってチラチラ見える肌にこれでもかと欲情しているし、家康や半蔵がいなければすぐにでも押し倒しているだろう。
結局いつもなんとか理性をつなぎ止めて、悶々とした日々を過ごすしかない。
「あー、だりぃ」
せめて高校卒業までは待てとななしの幼なじみ兼親代わりの半蔵に再三念押しされているため無闇なことは出来ないのが現状だ。
早く卒業しやがれ、飛び級しろ。などと心の中で悪態をつきながらも三太夫はななしを熱心に見つめ続けた。
「はぁ」
「珍しい、ため息か三太夫 」
「ため息くらいつく」
「飄々としたお前からは想像出来ないな」
「言ってろよ」
おぼんに冷えた麦茶が入ったコップを乗せやってきたのはお母さん…ではなく半蔵だ。
「自分で解け」とななしを小突きながらお茶を机に置き、三太夫の座るソファの端に彼もまた腰掛ける。
頬杖しながらななしを一心に眺める三太夫に何かを悟ったように「なるほど」と呟いた半蔵。
「ななし事か」
「………」
「お前がななしにどれほど執着しているかは知っている。故の葛藤も分からなくはない。しかし、必ず自制はしなければならないぞ」
「ったくよぉ、いちいちうるせぇんだよ」
「口煩く言わなければ自制などしようともせんだろう」
「……出会って数年。物心ついて数十年。据え膳状態が何年続いてると思ってやがる?」
「だからと言って手を出していい理由にはならないだろう」
「頭が死ぬほど硬ぇんだな半蔵。お前はモテねぇ」
「話をそらすな。手を出そうものなら、儂は黙ってないぞ」
「めんどくせぇなぁ。だいたいななしは俺のモンだろ。半蔵がきにすることじゃねぇよ」
「可愛がってきたのは三太夫だけでは無いということだ。意味くらいわかるだろう」
「あ"ぁ"?殺されてぇのか?」
頬杖をついたまま半蔵をきつく睨みつける三太夫。
見えはしない虎の仮面が赤く光っているよう。
怒りを体に纏った三太夫は今にも掴みかかりそうなほどだ。
半蔵は飄々としているものの、何時何が起きても対応出来るくらいには臨戦態勢である。
一触即発。
まさに大喧嘩が勃発しそうなほどピリピリしていた。
そんな様子を家康とななしはまたやっていると苦笑いしながらみつめている。
どうして出会って数十秒で喧嘩できるんだ、と呆れるしかない。
取っ組み合いが始まりそうな雰囲気のふたりを見兼ねたななし。
ローテブルから離れソファに座る三太夫の足をちょいちょいと持っていたシャープペンシルでつつく。
「あ?」
『三太夫』
「ななしじゃねぇか」
三太夫の足元で三角座りをしたななしは『やめなよ』とニコニコ笑った。
「…」
「…」
『ね?』と首を傾げるななしの仕草に三太夫はグッと歯を食いしばる。
…俺の気持ちは露知らずってかぁ?
計らずしも上目遣いをくらってしまい三太夫はまた理性をつなぎ止めるために深ーいため息をつくしかない。
もちろんななしはため息の理由など知りもしない。
愛らしいが小憎たらしい。
可愛いが小悪魔のよう。
ななしを思う気持ちはあれど翻弄され続けるのは三太夫にとって癪だ。
別に邪な気持ちはない、ただ恥ずかしがればいい。
そんなふうに思いながら三角座りをするななしの脇に両手を入れ持ち上げた三太夫。
『うわぁ!?』と驚くななしを尻目に己の足の上に彼を座らせてやる。
まさか抱えられ、座らされるとは思わなかったななしは顔を真っ赤にして三太夫を見つめた。
『な、なにするのさ[D:12316]』
「抱っこしただけだ」
『家康と、半蔵がいるだろ!』
「見せつけてやろうぜ」
『ん、さ、三太夫ぅ』
半蔵がいる手前、ななしに触れるのははばかられる。普段ならキスは解禁しているためスキンシップには必ず用いるが今回はそうはせず。
細身のななしをこれでもかときつく抱きしめてやった。
鼻先にななしの項が触れる。
瞬間香るななしのとても美味しそうな匂いを堪能するように腕に力を入れる。
『く、くすぐったいよ』
「おめぇさんは首筋が弱いよな。昔から変わらねぇな」
『だって、』
「も、百地殿!このような所でそ、そのような戯れは如何なものだろうか!」
「三太夫、今すぐななしを降ろせ。さもなくば切るぞ」
ななしにその気なしだがまるで惚気を見せつけられているような家康と半蔵。
片一方は顔を赤らめあたふたし、片一方は顔を赤らめ怒り狂っている。
その様子をななしの肩口から覗き見ながら三太夫は楽しげに笑った。
「家康坊ちゃんよ、瀬名さんとはイチャつかねぇのか?」
「な、なな!?い、イチャつく!?」
「やめろ三太夫!!」
「半蔵。おめぇちと過保護に育てすぎやしねぇか?家康然りななし然り」
「黙れ!年齢を考えろ!!不相応な事を若やななしに教えるな!」
「し、しかし。私とて男子…瀬名もそれを望むのなら…」
「あぁ、誰だって形で見える愛を伝えられりゃ嬉しいと思うぜ?」
「若!自身のご年齢を思い出してください」
「わ、私は14歳だが…」
「清い付き合いで良い。三太夫の思考回路が奇態なだけです」
「奇態とは言うじゃねぇか。恋人同士触れ合うのは何も変わったことじゃねぇだろ」
『三太夫…』
「ん?」
『こ、これも形で見える愛なのか?』
「……あぁ、そうだな」
『ふふ、嬉しい』
「………」
抱きしめられるななしは顔を赤らめながらモジモジとしている。
本当に嬉しかったらしく三太夫の分厚い胸板に頭をすりすりと擦り付けている。
翻弄されるのが癪で仕返しのつもりで(少しだけでも恥ずかしがればそれで良かったが)抱き上げたのだが、心底嬉しそうなななしに罪悪感すら芽生えてくる。
しかし、それ以上に照れ恥じらうななしが余りにも愛しくて愛しくて。
今まで我慢していたそれらはとんでもないスピードで散り散りになると、三太夫は力任せにななしの頬を両手で掴むとその小さな口に貪るように噛み付いた。
後ろで半蔵と家康の驚いた声が聞こえたが無視を決め込み、ななしの舌に舌を絡ませる。
『んー!っん、ふ』
「はぁ…」
まだ鼻で息継ぎも上手くできないななしは快感と苦痛で体の力が抜けていく。
自分で支えられなくなり後ろに倒れそうになるも屈強な三太夫がそれを支えた。
「若!目を閉じて!!あと、耳も塞いで」
「え?あ、あぁ!」
「三太夫ぅう!!!」
『んぅ、ぅ、さ、三太夫…はぁ』
「あぁ?邪魔すんな半蔵。空気読んで消えてくれ」
「貴様が消えろ!!ななしを置いて今すぐ消えろ」
「出来ねぇ相談だな」
「あれほど手を出すなと忠告しても貴様には通じないようだな…金輪際ななしに近寄るな。この色狂!!」
「てめぇが初心なのは分かった。だが、ななしには近寄るし触るぜ?」
「[D:12316]っ!今すぐ出ていけ!!!」
今日1番の半蔵の叫び声。
耳をふさいでいた家康も快感にヘロヘロになっていたななしも吃驚して肩を揺らした。
三太夫は飄々としておりなんのそのだ。
そんなデケェ声出せるんだなとケタケタ笑っている。
「よし、半蔵に殺られる前に帰るかななし」
『ん?うん?』
「待て、ななしを置いて帰れ」
「やだね」
「この期に及んでまだ言うのか貴様は」
「うぉ!?っぶねぇな!ななし抱えてんのが見えねぇのか!?」
「この儂がななしを切りつけると思うのか?」
立ち上がりななしを抱えたまま帰ろうとしていた三太夫に向かい半蔵はどこから取り出したが、素早く忍者刀を振り下ろした。
幸いかすりもせず空を切った忍者刀だが半蔵は再び構えている。
「ななし、そなたはとてつもなく愛されているようだな」
『はは』
三太夫により地面に降ろされたななしは一連の出来事についていけていない家康にまるで憐れむようにそう言われた。
家の中で忍者刀と鎖鎌を振り回す彼らをぼんやり眺めるななしは『まぁ、うん。悪くは無いけど』と、そう家康に切り返す。
「そなたあってのあの半蔵と百地殿なのだな」
『うん?』
「ななしみたいな人の事を魔性と言うらしい」
『え?酷い』
あの2人がななしに当てられているのは事実だ。
魔性もあながち間違いではない。
賑やかなことはいい事でもある。
しかし限度もある。
始まったばかりの夏休み。
この先1ヶ月、毎日のようにこうも賑やかになるのだろうか。
家康は少しだけ億劫である、と未だに死闘を繰り広げる半蔵と三太夫を眺めそう思うのであった。
悪くは無いが嬉しくもない
(疲れてしょうがない)
※ななしくん高校卒業→三太夫に誘われて(誘拐)二人暮らしを始める(三太夫のお金で建てた新築、田舎)というう細かな設定がありますが頭空っぽで読んでもらっても多分大丈夫です。
『家康…俺これまじ分かんない…どしよ』
「英語か…ななしは昔から苦手だな」
『まず助動詞ってなにぃ[D:12316]』
「教えるのは構わないが、まず起き上がってくれ」
『うんぅ、家康が冷たい』
「何を言う。教えると言っているのだから冷たくはないだろう」
『はぁーい』
「と、いうか私はまだななしの勉強範囲を履修していない可能性があるのだが…」
『家康頭いいから大丈夫。だと思うぞ、多分?』
「ふふ、なんだそれは。まぁ、見てみよう」
『ありがとう』
大きなローテブルで勉強をしているのは家の持ち主である家康と、幼なじみであるななしだ。
現在、夏休みに突入し彼らは出された宿題を解いているらしい。
ななし1人であれば答えを見ながら丸写し、なのだが。今年は高校1年目ということもあり厳しい監視(家康、半蔵の家)のもと行われている。
暇をしていた(とは名ばかりでななしがいるならと来ていた)三太夫も加わり彼らの勉強を眺めていた。
早々にやる気をなくし寝転がりながら問題集を解いていたななしだったが、家康に窘められむくりと体を起こした。
嫌々ながらも家康から習い(家康の方が年下であるのだが)必死に問題を解くななしを、まるで穴があくように凝視するのは三太夫だ。
夏ということもあり、半そで短パンであるななし。
晒された腕や太ももは白くしなやかだ。
時折短パンからちらりと覗くボクサーパンツや、鎖骨。白くきめ細かい肌は血色よくそれはそれは柔らかそうである。
「……」
ソファに座る三太夫は深々ため息を着くと額を手で押え、背もたれに体を預けるような脱力した。
ななしを見て、思うこと。
……エロい。
その一言に尽きるのだ。
16歳であるななしと26歳である三太夫。
一回り違う彼らだが、お互い相思相愛でありもれなく恋人同士。
それは前世から続く淡い関係である。
もちろんこれからも永劫続く予定だ。
「(だが、歳の差は埋まんねぇからなぁ)」
しかし、10歳。
これはどう足掻こうとも埋められはしない。
お互いそれが、どうした?問題ないだろう状態ではいるのだがやはり10歳はでかい。
まだ未成年であるななし。だが既に三太夫を魅了するには十分すぎる体つきなのだ。
それを良くも悪くも理解していないななしに三太夫はこうしていつも翻弄されている。
今だってチラチラ見える肌にこれでもかと欲情しているし、家康や半蔵がいなければすぐにでも押し倒しているだろう。
結局いつもなんとか理性をつなぎ止めて、悶々とした日々を過ごすしかない。
「あー、だりぃ」
せめて高校卒業までは待てとななしの幼なじみ兼親代わりの半蔵に再三念押しされているため無闇なことは出来ないのが現状だ。
早く卒業しやがれ、飛び級しろ。などと心の中で悪態をつきながらも三太夫はななしを熱心に見つめ続けた。
「はぁ」
「珍しい、ため息か三太夫 」
「ため息くらいつく」
「飄々としたお前からは想像出来ないな」
「言ってろよ」
おぼんに冷えた麦茶が入ったコップを乗せやってきたのはお母さん…ではなく半蔵だ。
「自分で解け」とななしを小突きながらお茶を机に置き、三太夫の座るソファの端に彼もまた腰掛ける。
頬杖しながらななしを一心に眺める三太夫に何かを悟ったように「なるほど」と呟いた半蔵。
「ななし事か」
「………」
「お前がななしにどれほど執着しているかは知っている。故の葛藤も分からなくはない。しかし、必ず自制はしなければならないぞ」
「ったくよぉ、いちいちうるせぇんだよ」
「口煩く言わなければ自制などしようともせんだろう」
「……出会って数年。物心ついて数十年。据え膳状態が何年続いてると思ってやがる?」
「だからと言って手を出していい理由にはならないだろう」
「頭が死ぬほど硬ぇんだな半蔵。お前はモテねぇ」
「話をそらすな。手を出そうものなら、儂は黙ってないぞ」
「めんどくせぇなぁ。だいたいななしは俺のモンだろ。半蔵がきにすることじゃねぇよ」
「可愛がってきたのは三太夫だけでは無いということだ。意味くらいわかるだろう」
「あ"ぁ"?殺されてぇのか?」
頬杖をついたまま半蔵をきつく睨みつける三太夫。
見えはしない虎の仮面が赤く光っているよう。
怒りを体に纏った三太夫は今にも掴みかかりそうなほどだ。
半蔵は飄々としているものの、何時何が起きても対応出来るくらいには臨戦態勢である。
一触即発。
まさに大喧嘩が勃発しそうなほどピリピリしていた。
そんな様子を家康とななしはまたやっていると苦笑いしながらみつめている。
どうして出会って数十秒で喧嘩できるんだ、と呆れるしかない。
取っ組み合いが始まりそうな雰囲気のふたりを見兼ねたななし。
ローテブルから離れソファに座る三太夫の足をちょいちょいと持っていたシャープペンシルでつつく。
「あ?」
『三太夫』
「ななしじゃねぇか」
三太夫の足元で三角座りをしたななしは『やめなよ』とニコニコ笑った。
「…」
「…」
『ね?』と首を傾げるななしの仕草に三太夫はグッと歯を食いしばる。
…俺の気持ちは露知らずってかぁ?
計らずしも上目遣いをくらってしまい三太夫はまた理性をつなぎ止めるために深ーいため息をつくしかない。
もちろんななしはため息の理由など知りもしない。
愛らしいが小憎たらしい。
可愛いが小悪魔のよう。
ななしを思う気持ちはあれど翻弄され続けるのは三太夫にとって癪だ。
別に邪な気持ちはない、ただ恥ずかしがればいい。
そんなふうに思いながら三角座りをするななしの脇に両手を入れ持ち上げた三太夫。
『うわぁ!?』と驚くななしを尻目に己の足の上に彼を座らせてやる。
まさか抱えられ、座らされるとは思わなかったななしは顔を真っ赤にして三太夫を見つめた。
『な、なにするのさ[D:12316]』
「抱っこしただけだ」
『家康と、半蔵がいるだろ!』
「見せつけてやろうぜ」
『ん、さ、三太夫ぅ』
半蔵がいる手前、ななしに触れるのははばかられる。普段ならキスは解禁しているためスキンシップには必ず用いるが今回はそうはせず。
細身のななしをこれでもかときつく抱きしめてやった。
鼻先にななしの項が触れる。
瞬間香るななしのとても美味しそうな匂いを堪能するように腕に力を入れる。
『く、くすぐったいよ』
「おめぇさんは首筋が弱いよな。昔から変わらねぇな」
『だって、』
「も、百地殿!このような所でそ、そのような戯れは如何なものだろうか!」
「三太夫、今すぐななしを降ろせ。さもなくば切るぞ」
ななしにその気なしだがまるで惚気を見せつけられているような家康と半蔵。
片一方は顔を赤らめあたふたし、片一方は顔を赤らめ怒り狂っている。
その様子をななしの肩口から覗き見ながら三太夫は楽しげに笑った。
「家康坊ちゃんよ、瀬名さんとはイチャつかねぇのか?」
「な、なな!?い、イチャつく!?」
「やめろ三太夫!!」
「半蔵。おめぇちと過保護に育てすぎやしねぇか?家康然りななし然り」
「黙れ!年齢を考えろ!!不相応な事を若やななしに教えるな!」
「し、しかし。私とて男子…瀬名もそれを望むのなら…」
「あぁ、誰だって形で見える愛を伝えられりゃ嬉しいと思うぜ?」
「若!自身のご年齢を思い出してください」
「わ、私は14歳だが…」
「清い付き合いで良い。三太夫の思考回路が奇態なだけです」
「奇態とは言うじゃねぇか。恋人同士触れ合うのは何も変わったことじゃねぇだろ」
『三太夫…』
「ん?」
『こ、これも形で見える愛なのか?』
「……あぁ、そうだな」
『ふふ、嬉しい』
「………」
抱きしめられるななしは顔を赤らめながらモジモジとしている。
本当に嬉しかったらしく三太夫の分厚い胸板に頭をすりすりと擦り付けている。
翻弄されるのが癪で仕返しのつもりで(少しだけでも恥ずかしがればそれで良かったが)抱き上げたのだが、心底嬉しそうなななしに罪悪感すら芽生えてくる。
しかし、それ以上に照れ恥じらうななしが余りにも愛しくて愛しくて。
今まで我慢していたそれらはとんでもないスピードで散り散りになると、三太夫は力任せにななしの頬を両手で掴むとその小さな口に貪るように噛み付いた。
後ろで半蔵と家康の驚いた声が聞こえたが無視を決め込み、ななしの舌に舌を絡ませる。
『んー!っん、ふ』
「はぁ…」
まだ鼻で息継ぎも上手くできないななしは快感と苦痛で体の力が抜けていく。
自分で支えられなくなり後ろに倒れそうになるも屈強な三太夫がそれを支えた。
「若!目を閉じて!!あと、耳も塞いで」
「え?あ、あぁ!」
「三太夫ぅう!!!」
『んぅ、ぅ、さ、三太夫…はぁ』
「あぁ?邪魔すんな半蔵。空気読んで消えてくれ」
「貴様が消えろ!!ななしを置いて今すぐ消えろ」
「出来ねぇ相談だな」
「あれほど手を出すなと忠告しても貴様には通じないようだな…金輪際ななしに近寄るな。この色狂!!」
「てめぇが初心なのは分かった。だが、ななしには近寄るし触るぜ?」
「[D:12316]っ!今すぐ出ていけ!!!」
今日1番の半蔵の叫び声。
耳をふさいでいた家康も快感にヘロヘロになっていたななしも吃驚して肩を揺らした。
三太夫は飄々としておりなんのそのだ。
そんなデケェ声出せるんだなとケタケタ笑っている。
「よし、半蔵に殺られる前に帰るかななし」
『ん?うん?』
「待て、ななしを置いて帰れ」
「やだね」
「この期に及んでまだ言うのか貴様は」
「うぉ!?っぶねぇな!ななし抱えてんのが見えねぇのか!?」
「この儂がななしを切りつけると思うのか?」
立ち上がりななしを抱えたまま帰ろうとしていた三太夫に向かい半蔵はどこから取り出したが、素早く忍者刀を振り下ろした。
幸いかすりもせず空を切った忍者刀だが半蔵は再び構えている。
「ななし、そなたはとてつもなく愛されているようだな」
『はは』
三太夫により地面に降ろされたななしは一連の出来事についていけていない家康にまるで憐れむようにそう言われた。
家の中で忍者刀と鎖鎌を振り回す彼らをぼんやり眺めるななしは『まぁ、うん。悪くは無いけど』と、そう家康に切り返す。
「そなたあってのあの半蔵と百地殿なのだな」
『うん?』
「ななしみたいな人の事を魔性と言うらしい」
『え?酷い』
あの2人がななしに当てられているのは事実だ。
魔性もあながち間違いではない。
賑やかなことはいい事でもある。
しかし限度もある。
始まったばかりの夏休み。
この先1ヶ月、毎日のようにこうも賑やかになるのだろうか。
家康は少しだけ億劫である、と未だに死闘を繰り広げる半蔵と三太夫を眺めそう思うのであった。
悪くは無いが嬉しくもない
(疲れてしょうがない)