短編 男主
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(仁王/同級生/ギャグ/変態ちっく/テニミュネタ有り)
「嫌じゃ」
昼休みもぐもぐと弁当を友人らと食べていた時。
いつになく真面目な顔で友人の1人仁王が言うのだ。
飄々とした彼からは想像がつかないほど真摯に、しかもがっちり肩を掴みながら。
いきなりの出来事にななしもすぐに反応することは出来ず、箸で持っていた卵やき(甘い)を落としてしまった。すかさず丸井が膝に落ちた卵やき(甘い)を摘みに来たがそれも気にならないくらいにななしはいまの仁王に動揺している。
「うま、甘いわ。美味すぎ」
「つか、何してんすかね?この人らは」
「知らねぇよぃ」
そんな会話は仁王とななしには届いておらず。
丸井と切原は「馬鹿じゃね?」的な瞳で見ていたが、固まったまま進展がない二人に飽きたらしく再び雑談へと戻った。
さて、仁王だが。彼は未だにななしを見つめたまま。たじろぐななしは『あの、どした?』と聞くもじとりと見られるだけでどうしていいか分からない。
『助けてくれ、ブンちゃん、赤也』
「いや、そうなった仁王は誰にもとめられねぇって、知らねぇけど」
『知らんのかい』
「ほっときゃ治るっしょ」
『赤也…適当だな』
「大丈夫っすよー」
「おーい。仁王、なにしてんだよぃ」
「嫌なんじゃ」
『はぇ?なにが?俺もやだよこの状況』
ようやくこたえた仁王だがやはりなにかが「嫌」らしい。思い当たるふしが全くない…こともないが、こんな風にされる理由はない気がする。
なんとか仁王の手からだけでも逃れようとして見るががっしり掴んではなそうとしない。
むしろ力は段々強くなっていくようでななしは早々に『ギブギブ!』と仁王の手を叩いた。
ようやく仁王は肩から手を離したが、その眉間には未だ深いシワが刻み込まれている。
男前な顔だがいまの仁王は悩ましげでいつもよりなんとなくセクシーだ。しかしそんなことはどうでも良いのだ。
ななしはムスッと仁王を睨む。丸井の後ろに隠れながら。
「おっ、あ!何隠れてんだよぃ」
『え、雅治怖いから』
「どしたんすか?仁王先輩」
「とにかく嫌なもんは嫌なんじゃ」
『お!ああー!ブンちゃん俺の弁当半分以上ないじゃん!食べただろ!?』
「俺のせいにするんじゃねぇよ、うっ…腹いっぱい」
『お前だろうが!!』
「いた!ごめん!ごめんって」
『うー、こんなんじゃ、足りないよ…』
「ななし、ワシの焼きそばパンやる。やから、二の腕触らせんか」
『は?』
「あ、地肌でたのむナリ」
『は?なんて?』
あまりの衝撃にななしは目を丸くし聞き返してしまった。
しかし答えは同じく「二の腕を触らせて☆」だ。
こいつ気でも触れたのか?と丸井と目を合わせるが真っ直ぐ見つめてくる仁王はどうやら本気らしい。
「はっ、仁王先輩ちょっと気持ち悪ぃっすよ」
『代弁してくれた。ありがと赤也』
「気持ち悪いとはなんじゃ!こっちは夏服から冬服に変わったせいでななしの二の腕が見れんくなってイライラしとるんじゃぁあ!!」
『嫌って言ってたのそれか…普通に気持ち悪いわ』
「なになに?フェチ?」
「プリッ、ななし限定ぜよ」
『え…初見なんだけど…』
「プピーナ」
会話にならない。都合のいい返事だなとプピーナを恨めしく思っているのもつかの間、仁王はじりじりとななしにつめよる。
グワシ!と腕を掴まれ丸井の後ろにいたななしは引っ張り出されるように前に出た。
目が据わっている、こいつは本気だ。ななしは冷や汗を垂らすと『焼きそばパンいらんから!やめて!』と懇願する。
しかし仁王は答えはしない。答える代わりにニヤリと口角を上げただけ。
「ちなみになんで二の腕?なんかあったろぃ、ほかに。足とか指とか、項とか」
「絶対二の腕じゃ」
「仁王キモッ」
「死ね」
『口悪っ』
「ななしの二の腕はのぉ、白いんじゃ。やけど病弱って程でもないぜよ。健康的な白さじゃ。おなじテニス部じゃが、ムキムキでもなくかといって脂肪がある訳でもないんじゃ。硬すぎず、柔らかすぎず…永遠触っ取れる。ムニムニしたいんじゃ、ひんやりして気持ちいいぜよ…鼻でスンスンしたいんじゃ!!!そのヒンヤリした二の腕を抱きしめたまま眠りたいぜよ。のぉ、触らせてくれんか?」
『今の聞いて触らせる?普通』
「はよう」
『なんか変なスイッチ入ってるんだけど!?』
既に服の上からフニフニと二の腕を、触ってくる仁王。その表情はとても幸せそうだ。世の女性は自ら二の腕を差し出すに違いない。しかしななしは世の女性とは違う。
仁王の幸せそうな顔を今すぐにでもパンチしてやりたい。
ずいずい迫ってくる仁王の顔を押し返しながらなんとか逃げようと[D:36384]くが体格上ななしが勝てることはほぼ無い。体重で押さえつけられれば100%勝てないだろう。
馬乗りになられると勝機はなくなった。
最早我慢するしか道はなく。ワイシャツのボタンを外しながらはぁはぁいう仁王に最後の抵抗にと足をばたつかせた。
案の定全く意味をなさなかったが。
『う、うぅ。ブンちゃん!赤也ぁあ!助けろよー!』
「残念。あの2人はどこかに行ったぜよ」
『は!?』
「2人きりぜよ。楽しむナリ」
『雅治!俺の二の腕たるんでるから!まじで!!』
「プリッ」
『ねぇ!?やめよ!おかしくない!?』
「ピヨッ」
『ねぇ!日本語で会話しようよ!!』
「いただきます!」
『いやぁー!!』
ボタンは、すべて外された。
めくり挙げられたワイシャツの下には仁王の大好きな二の腕。筋肉はあまりないが、脂肪もほぼ無い綺麗な形の二の腕。
半袖や、部活のジャージからちらりと見えるこの二の腕に仁王はいつも興奮してきた。
いつかしゃぶり尽くしたい。
柔らかな肌に八重歯を深くさしてみたい、甘噛みしてみたい、フニフニしてみたい。
そう常々思っていた。
ようやく、ようやくだ。それが今実現できる時。
ゆっくり二の腕に顔を近づける、まず先にふれたのは仁王の鼻先。
柔らかく弾力のある肌は心地よくやはりヒンヤリとしている。
『ひっ、雅治ー!まじか!?まじか!?』
「思った通りのフニフニ具合じゃ」
『自分の二の腕触ればいいだろー!』
「嫌じゃ」
『じゃ、ブンちゃんは?赤也も!』
「あいつらは硬いんじゃ」
『ヒロシは!?』
「割と硬いぜよ」
『精市君柔らかそうじゃん!』
「バッキバキじゃ」
『嘘つき!!』
「嘘じゃなか。今度触らせてもらうナリ」
『まじか、それはそれで気になる…ってぇ!?違う違う!そうじゃない!』
「元気じゃなー」
『もっ。わかったから!やめて!寒いわ』
「なら、温め合うのがいいのぉ」
『もうやだ、この変態』
泣きそうだ。
もう笑っている場合じゃなくなった。
唇で二の腕をフニフニしだした仁王に貞操の危機を感じたななしは『マジでふざけるな!』と怒鳴るが効果はなく。
もう泣き寝入りしかないのか、ななしは現実逃避のために目を強く瞑った。
「仁王君!!!!」
バーン!!
それはまさに救世主と言えるだろう。
勢いよく扉が開くと現れたのは柳生であった。
脇から丸井と切原が顔を覗かせ「無事かー?」などと呑気に笑っている。
「チッ」
「仁王君、逮捕状が出てますよ。切原君」
「今書きます!」
「でた、柳生の逮捕状!!」
『(何その茶番…)』
「うわ、逮捕状ぜよ!で、なんの罪じゃ?」
「強姦未遂罪」
「リアルだ!」
「リアル!」
『リアル!』
「なんすか?それ」
「いや、仮にも赤也書いたんだから知っとけよ」
『ほら、レイパー。はよどけ』
「レイパーはないナリ。合意ぜよ」
『嘘は良くないよ!?』
「とにかくななし君服を着てください」
『あ、忘れてた』
強姦未遂罪で捕えられた(上から退いた)仁王をよそにななしはボタンを止め直した。
なんだかまだ仁王の唇の感触がしてムズムズする。
何はともあれ昼休みは残り10分。
落ちていた焼きそばパンを開けもさもさと食べるななしは柳生に『ありがとなー』と礼を伝えた。
「気にしないでくださいななし君」
『ありがとうついでにヒロシの二の腕触らせてくれない?』
「え、あ、まぁ。いいですけど」
『わ、マジだ。割と硬い』
「レーザービーム打つんすよ?当たり前じゃないっすか」
手錠をつけられたようにカーディガンをかけられている仁王を連行しながら切原が言う。
それもそうだ、あんな強烈な一撃が出せるのに筋肉がない分けないか。
なんとなく納得して焼きそばパンを食べきった。
丁度そのタイミングで残り5分のチャイムが流れる。
『あ、やばい。チャイム鳴ったし』
「急ぎましょうか」
「だな」
「行きますかー」
「二の腕…二の腕…」
『なんかの呪いだよこれ』
「ななしの二の腕にそこまで執着するとか…仁王まじ変態」
『うん、たしかに』
「もう、来年の夏まで二の腕が見れんくなるなんて、拷問じゃ。冬嫌い」
話しつつ階段を降りていく。急がねば五限目に間に合わない。
少し小走りで走れば仁王も同じように競歩でやって来る。
そしてフニフニと、再び二の腕を触った。
『ちょっとぉ!』
「服の上ならいいじゃろ」
『いやよくない…よくないよー!』
「いいじゃろ??な、な?」
『よくないってば!』
「つまらんナリ」
『はい、つまるつまる!授業始まるよ!!』
「じゃ、俺行きますっすねー」
『バイバイ赤也!ありがとうな』
「先輩も頑張れー」
『どう、がんばれってんだ』
「さ、教室戻るぜよ」
「あ、ななし今気づいたけどさお前ってさ…」
『ん?』
▽▽▽▽▽
「ー、であるからしてこの文は…となる!分かったか?次の文を各自訳してみろ」
フニフニフニフニフニフニ
「ななし分かったかのぉ?」
『………』
「無視は良くないぜよ」
『………』
「ななし?」
『いや、二の腕触んないでくんない!?』
「ドンマイ、ななし」
「今気づいたけどさお前ってさ、仁王の隣だったよな」昼休み最後に丸井に言われ思い出したななしだが、もうなす術はなかった。
きっちり50分間。
休むことなく二の腕をフニフニされたななし。
授業が終わり休み時間になった時でさえ仁王のフニフニはやまず、丸井の哀れんだような瞳が忘れられない。
結局部活までの時間は二の腕を触られ続けるという謎の拷問にあったななし。仁王は本当に幸せそうだったし今もニヤニヤ笑っている。
いつになく心身ともに疲れた様なななしに丸井は「大丈夫か?」と問えばやつれた声で
『なんか…目覚めそう……』
だそうだ。
丸井はななしの崩壊の第一歩を見てしまった気がする。
「正気になれ!」
『二の腕…』
「なんか怖い話みたいになっただろぃ!」
「よし、これから触り放題ぜよ」
「いや、よしじゃねぇよぃ!」
ななしが正気を取り戻すのは…まぁ、本日の部活中だが。
これから夏が来るまで毎日のように二の腕を触られるぞ、丸井はななしの背に手を合わせ「ご愁傷様」と呟いたのだった。
去る夏、追えぬ夏
(早く来い!まじで!)
「嫌じゃ」
昼休みもぐもぐと弁当を友人らと食べていた時。
いつになく真面目な顔で友人の1人仁王が言うのだ。
飄々とした彼からは想像がつかないほど真摯に、しかもがっちり肩を掴みながら。
いきなりの出来事にななしもすぐに反応することは出来ず、箸で持っていた卵やき(甘い)を落としてしまった。すかさず丸井が膝に落ちた卵やき(甘い)を摘みに来たがそれも気にならないくらいにななしはいまの仁王に動揺している。
「うま、甘いわ。美味すぎ」
「つか、何してんすかね?この人らは」
「知らねぇよぃ」
そんな会話は仁王とななしには届いておらず。
丸井と切原は「馬鹿じゃね?」的な瞳で見ていたが、固まったまま進展がない二人に飽きたらしく再び雑談へと戻った。
さて、仁王だが。彼は未だにななしを見つめたまま。たじろぐななしは『あの、どした?』と聞くもじとりと見られるだけでどうしていいか分からない。
『助けてくれ、ブンちゃん、赤也』
「いや、そうなった仁王は誰にもとめられねぇって、知らねぇけど」
『知らんのかい』
「ほっときゃ治るっしょ」
『赤也…適当だな』
「大丈夫っすよー」
「おーい。仁王、なにしてんだよぃ」
「嫌なんじゃ」
『はぇ?なにが?俺もやだよこの状況』
ようやくこたえた仁王だがやはりなにかが「嫌」らしい。思い当たるふしが全くない…こともないが、こんな風にされる理由はない気がする。
なんとか仁王の手からだけでも逃れようとして見るががっしり掴んではなそうとしない。
むしろ力は段々強くなっていくようでななしは早々に『ギブギブ!』と仁王の手を叩いた。
ようやく仁王は肩から手を離したが、その眉間には未だ深いシワが刻み込まれている。
男前な顔だがいまの仁王は悩ましげでいつもよりなんとなくセクシーだ。しかしそんなことはどうでも良いのだ。
ななしはムスッと仁王を睨む。丸井の後ろに隠れながら。
「おっ、あ!何隠れてんだよぃ」
『え、雅治怖いから』
「どしたんすか?仁王先輩」
「とにかく嫌なもんは嫌なんじゃ」
『お!ああー!ブンちゃん俺の弁当半分以上ないじゃん!食べただろ!?』
「俺のせいにするんじゃねぇよ、うっ…腹いっぱい」
『お前だろうが!!』
「いた!ごめん!ごめんって」
『うー、こんなんじゃ、足りないよ…』
「ななし、ワシの焼きそばパンやる。やから、二の腕触らせんか」
『は?』
「あ、地肌でたのむナリ」
『は?なんて?』
あまりの衝撃にななしは目を丸くし聞き返してしまった。
しかし答えは同じく「二の腕を触らせて☆」だ。
こいつ気でも触れたのか?と丸井と目を合わせるが真っ直ぐ見つめてくる仁王はどうやら本気らしい。
「はっ、仁王先輩ちょっと気持ち悪ぃっすよ」
『代弁してくれた。ありがと赤也』
「気持ち悪いとはなんじゃ!こっちは夏服から冬服に変わったせいでななしの二の腕が見れんくなってイライラしとるんじゃぁあ!!」
『嫌って言ってたのそれか…普通に気持ち悪いわ』
「なになに?フェチ?」
「プリッ、ななし限定ぜよ」
『え…初見なんだけど…』
「プピーナ」
会話にならない。都合のいい返事だなとプピーナを恨めしく思っているのもつかの間、仁王はじりじりとななしにつめよる。
グワシ!と腕を掴まれ丸井の後ろにいたななしは引っ張り出されるように前に出た。
目が据わっている、こいつは本気だ。ななしは冷や汗を垂らすと『焼きそばパンいらんから!やめて!』と懇願する。
しかし仁王は答えはしない。答える代わりにニヤリと口角を上げただけ。
「ちなみになんで二の腕?なんかあったろぃ、ほかに。足とか指とか、項とか」
「絶対二の腕じゃ」
「仁王キモッ」
「死ね」
『口悪っ』
「ななしの二の腕はのぉ、白いんじゃ。やけど病弱って程でもないぜよ。健康的な白さじゃ。おなじテニス部じゃが、ムキムキでもなくかといって脂肪がある訳でもないんじゃ。硬すぎず、柔らかすぎず…永遠触っ取れる。ムニムニしたいんじゃ、ひんやりして気持ちいいぜよ…鼻でスンスンしたいんじゃ!!!そのヒンヤリした二の腕を抱きしめたまま眠りたいぜよ。のぉ、触らせてくれんか?」
『今の聞いて触らせる?普通』
「はよう」
『なんか変なスイッチ入ってるんだけど!?』
既に服の上からフニフニと二の腕を、触ってくる仁王。その表情はとても幸せそうだ。世の女性は自ら二の腕を差し出すに違いない。しかしななしは世の女性とは違う。
仁王の幸せそうな顔を今すぐにでもパンチしてやりたい。
ずいずい迫ってくる仁王の顔を押し返しながらなんとか逃げようと[D:36384]くが体格上ななしが勝てることはほぼ無い。体重で押さえつけられれば100%勝てないだろう。
馬乗りになられると勝機はなくなった。
最早我慢するしか道はなく。ワイシャツのボタンを外しながらはぁはぁいう仁王に最後の抵抗にと足をばたつかせた。
案の定全く意味をなさなかったが。
『う、うぅ。ブンちゃん!赤也ぁあ!助けろよー!』
「残念。あの2人はどこかに行ったぜよ」
『は!?』
「2人きりぜよ。楽しむナリ」
『雅治!俺の二の腕たるんでるから!まじで!!』
「プリッ」
『ねぇ!?やめよ!おかしくない!?』
「ピヨッ」
『ねぇ!日本語で会話しようよ!!』
「いただきます!」
『いやぁー!!』
ボタンは、すべて外された。
めくり挙げられたワイシャツの下には仁王の大好きな二の腕。筋肉はあまりないが、脂肪もほぼ無い綺麗な形の二の腕。
半袖や、部活のジャージからちらりと見えるこの二の腕に仁王はいつも興奮してきた。
いつかしゃぶり尽くしたい。
柔らかな肌に八重歯を深くさしてみたい、甘噛みしてみたい、フニフニしてみたい。
そう常々思っていた。
ようやく、ようやくだ。それが今実現できる時。
ゆっくり二の腕に顔を近づける、まず先にふれたのは仁王の鼻先。
柔らかく弾力のある肌は心地よくやはりヒンヤリとしている。
『ひっ、雅治ー!まじか!?まじか!?』
「思った通りのフニフニ具合じゃ」
『自分の二の腕触ればいいだろー!』
「嫌じゃ」
『じゃ、ブンちゃんは?赤也も!』
「あいつらは硬いんじゃ」
『ヒロシは!?』
「割と硬いぜよ」
『精市君柔らかそうじゃん!』
「バッキバキじゃ」
『嘘つき!!』
「嘘じゃなか。今度触らせてもらうナリ」
『まじか、それはそれで気になる…ってぇ!?違う違う!そうじゃない!』
「元気じゃなー」
『もっ。わかったから!やめて!寒いわ』
「なら、温め合うのがいいのぉ」
『もうやだ、この変態』
泣きそうだ。
もう笑っている場合じゃなくなった。
唇で二の腕をフニフニしだした仁王に貞操の危機を感じたななしは『マジでふざけるな!』と怒鳴るが効果はなく。
もう泣き寝入りしかないのか、ななしは現実逃避のために目を強く瞑った。
「仁王君!!!!」
バーン!!
それはまさに救世主と言えるだろう。
勢いよく扉が開くと現れたのは柳生であった。
脇から丸井と切原が顔を覗かせ「無事かー?」などと呑気に笑っている。
「チッ」
「仁王君、逮捕状が出てますよ。切原君」
「今書きます!」
「でた、柳生の逮捕状!!」
『(何その茶番…)』
「うわ、逮捕状ぜよ!で、なんの罪じゃ?」
「強姦未遂罪」
「リアルだ!」
「リアル!」
『リアル!』
「なんすか?それ」
「いや、仮にも赤也書いたんだから知っとけよ」
『ほら、レイパー。はよどけ』
「レイパーはないナリ。合意ぜよ」
『嘘は良くないよ!?』
「とにかくななし君服を着てください」
『あ、忘れてた』
強姦未遂罪で捕えられた(上から退いた)仁王をよそにななしはボタンを止め直した。
なんだかまだ仁王の唇の感触がしてムズムズする。
何はともあれ昼休みは残り10分。
落ちていた焼きそばパンを開けもさもさと食べるななしは柳生に『ありがとなー』と礼を伝えた。
「気にしないでくださいななし君」
『ありがとうついでにヒロシの二の腕触らせてくれない?』
「え、あ、まぁ。いいですけど」
『わ、マジだ。割と硬い』
「レーザービーム打つんすよ?当たり前じゃないっすか」
手錠をつけられたようにカーディガンをかけられている仁王を連行しながら切原が言う。
それもそうだ、あんな強烈な一撃が出せるのに筋肉がない分けないか。
なんとなく納得して焼きそばパンを食べきった。
丁度そのタイミングで残り5分のチャイムが流れる。
『あ、やばい。チャイム鳴ったし』
「急ぎましょうか」
「だな」
「行きますかー」
「二の腕…二の腕…」
『なんかの呪いだよこれ』
「ななしの二の腕にそこまで執着するとか…仁王まじ変態」
『うん、たしかに』
「もう、来年の夏まで二の腕が見れんくなるなんて、拷問じゃ。冬嫌い」
話しつつ階段を降りていく。急がねば五限目に間に合わない。
少し小走りで走れば仁王も同じように競歩でやって来る。
そしてフニフニと、再び二の腕を触った。
『ちょっとぉ!』
「服の上ならいいじゃろ」
『いやよくない…よくないよー!』
「いいじゃろ??な、な?」
『よくないってば!』
「つまらんナリ」
『はい、つまるつまる!授業始まるよ!!』
「じゃ、俺行きますっすねー」
『バイバイ赤也!ありがとうな』
「先輩も頑張れー」
『どう、がんばれってんだ』
「さ、教室戻るぜよ」
「あ、ななし今気づいたけどさお前ってさ…」
『ん?』
▽▽▽▽▽
「ー、であるからしてこの文は…となる!分かったか?次の文を各自訳してみろ」
フニフニフニフニフニフニ
「ななし分かったかのぉ?」
『………』
「無視は良くないぜよ」
『………』
「ななし?」
『いや、二の腕触んないでくんない!?』
「ドンマイ、ななし」
「今気づいたけどさお前ってさ、仁王の隣だったよな」昼休み最後に丸井に言われ思い出したななしだが、もうなす術はなかった。
きっちり50分間。
休むことなく二の腕をフニフニされたななし。
授業が終わり休み時間になった時でさえ仁王のフニフニはやまず、丸井の哀れんだような瞳が忘れられない。
結局部活までの時間は二の腕を触られ続けるという謎の拷問にあったななし。仁王は本当に幸せそうだったし今もニヤニヤ笑っている。
いつになく心身ともに疲れた様なななしに丸井は「大丈夫か?」と問えばやつれた声で
『なんか…目覚めそう……』
だそうだ。
丸井はななしの崩壊の第一歩を見てしまった気がする。
「正気になれ!」
『二の腕…』
「なんか怖い話みたいになっただろぃ!」
「よし、これから触り放題ぜよ」
「いや、よしじゃねぇよぃ!」
ななしが正気を取り戻すのは…まぁ、本日の部活中だが。
これから夏が来るまで毎日のように二の腕を触られるぞ、丸井はななしの背に手を合わせ「ご愁傷様」と呟いたのだった。
去る夏、追えぬ夏
(早く来い!まじで!)