ミニ小話
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『痛っ!』
「うわぁ!ぱっくりいっとる…大丈夫?」
『だ、大丈夫です』
グランドのキッチン。フルーツの盛り合わせを作るために果物を切っていたななしは、不注意で自身の手を切ってしまった。
ジクジクと熱を持ったような痛みと、指先から溢れる血。
そしてななしの血にまみれてしまった果物。
シンクはかなり悲惨な事になっている。
隣にいたボーイは「ゾワゾワするわー!!」と騒ぎながらも切り傷から溢れてくる血を見て即座に反応し、大量のキッチンペーパーをななしへと渡した。
「確かスタッフルームに絆創膏あったと思うし、貼っておいでや」
『すみません…シンクを殺人現場にしてしまいました…』
「まぁそういうこともあるって!」
『ありがとうございます』
傷を負った本人よりも何故か痛そうに顔を歪めているボーイはてきぱきとシンクを掃除しながらななしを快く送り出してくれた。
ボーイに感謝しつつななしは急いでスタッフルームへと向かった。
「お、ななし!」
『あ、真島さん。お疲れ様です!』
「おう、お疲れさん」
スタッフルームには事務仕事をしていたであろう真島だけがおり、ななしを見つけた途端嬉しそうに顔を綻ばせた。
ニコニコと駆け寄ってくる真島がなんだか犬のようで、可愛らしい。
ななしは癒されながらもお目当ての絆創膏を探すべく傍にやってきた真島に『救急箱ってあります?』と問うた。
「ん?こっちにあんで。なんかあったんか……ななし!怪我したんか!?」
『えへへ、ちょっと包丁で手を切っちゃいまして』
「わろとる場合やないやろっ。痛ないんか?傷は深くないんか?他は何処も怪我しとらんのか?」
『わ!?真島さん!?ア、アタシただ指を切っただけですから!お姫様抱っこなんてっ…』
「阿呆!こんだけ血ぃ出とるんやで!?貧血にでもなったらどないすんねん!」
ななしが血まみれのキッチンペーパーで指を抑えていることに気がついたのか真島は血相を変え彼女に詰め寄った。そしてそのままななしの膝裏と腰を抱え、姫抱きにするのだ。
ななしは幾分か取り乱している真島によりソファへと連れられ、座らされる。
「ええか、ここで大人しく待っといてや!?」と、普段は落ち着いた真島が焦ったように言うので、言われた通りなるべく動かないように彼を待つ。
包丁で指を切る事など誰にでもよくあることで、それ自体は別に命に関わるような怪我では無い。
勿論とても深ければ縫合などが必要だろうが、今のななしの怪我は大きく切れているがそこまで深くは無い。
真島は大層慌てているが、そこまで取り乱すような大きな怪我はないのだ。
「絆創膏なんて心許なさすぎる…!包帯の方がええか?とりあえず水で指洗うのが先やな。せやけど無闇に動かしたらななしがつらいやろし…」
『…ふふ、真島さん。少し落ち着いて。アタシは全然元気ですから』
「元気でも痛いやろ?ホンマに可哀想に…」
『大丈夫ですよ!真島さんが心配してくれるから痛みなんかより嬉しい方が勝っちゃってます!あと、絆創膏でお願いします。包帯は指がちょっと動かし辛いから』
「ななしがそう言うなら絆創膏でええか。せやけど痛かったり、血ぃ止まらんかったりしたら問答無用で病院やで?分かったかななし」
『はぁい!真島さん』
随分と手厚い手当は真島の過保護さが伺える。
ただ同時に真島の優しさや思いやりを感じることもできる為ななしの心はとても満たされていた。
とても真面目で、真っ直ぐで、優しくて、格好よくて、そしてたまにお父さんのように過保護で心配性な真島が本当に愛おしくて。
ななしは大きな手をプルプルと震わせながら慎重に絆創膏を貼ろうとしている真島に向かって『ありがとうございます。大好き』と思いのままに呟いた。
「あ」
『あっ』
「…ななしが可愛ええ事言うさかいズレてもうたやんけ」
『ふふふっ。だって真島さんが一生懸命だから嬉しくて』
「あんまり虐めんといてやななし」
『ふふ、ごめんなさい。次は黙ってるんでもう一度貼って貰えますか?』
「ええで。俺の可愛ええ恋人様のために何回でも貼ったるわ」
『ありがとうございます。素敵な恋人様』
真島が絆創膏をしっかりと貼った頃にはすでにななしの指先の血は止まっていたのだが……ラブラブイチャイチャしている二人は気付かない。
「うわぁ!ぱっくりいっとる…大丈夫?」
『だ、大丈夫です』
グランドのキッチン。フルーツの盛り合わせを作るために果物を切っていたななしは、不注意で自身の手を切ってしまった。
ジクジクと熱を持ったような痛みと、指先から溢れる血。
そしてななしの血にまみれてしまった果物。
シンクはかなり悲惨な事になっている。
隣にいたボーイは「ゾワゾワするわー!!」と騒ぎながらも切り傷から溢れてくる血を見て即座に反応し、大量のキッチンペーパーをななしへと渡した。
「確かスタッフルームに絆創膏あったと思うし、貼っておいでや」
『すみません…シンクを殺人現場にしてしまいました…』
「まぁそういうこともあるって!」
『ありがとうございます』
傷を負った本人よりも何故か痛そうに顔を歪めているボーイはてきぱきとシンクを掃除しながらななしを快く送り出してくれた。
ボーイに感謝しつつななしは急いでスタッフルームへと向かった。
「お、ななし!」
『あ、真島さん。お疲れ様です!』
「おう、お疲れさん」
スタッフルームには事務仕事をしていたであろう真島だけがおり、ななしを見つけた途端嬉しそうに顔を綻ばせた。
ニコニコと駆け寄ってくる真島がなんだか犬のようで、可愛らしい。
ななしは癒されながらもお目当ての絆創膏を探すべく傍にやってきた真島に『救急箱ってあります?』と問うた。
「ん?こっちにあんで。なんかあったんか……ななし!怪我したんか!?」
『えへへ、ちょっと包丁で手を切っちゃいまして』
「わろとる場合やないやろっ。痛ないんか?傷は深くないんか?他は何処も怪我しとらんのか?」
『わ!?真島さん!?ア、アタシただ指を切っただけですから!お姫様抱っこなんてっ…』
「阿呆!こんだけ血ぃ出とるんやで!?貧血にでもなったらどないすんねん!」
ななしが血まみれのキッチンペーパーで指を抑えていることに気がついたのか真島は血相を変え彼女に詰め寄った。そしてそのままななしの膝裏と腰を抱え、姫抱きにするのだ。
ななしは幾分か取り乱している真島によりソファへと連れられ、座らされる。
「ええか、ここで大人しく待っといてや!?」と、普段は落ち着いた真島が焦ったように言うので、言われた通りなるべく動かないように彼を待つ。
包丁で指を切る事など誰にでもよくあることで、それ自体は別に命に関わるような怪我では無い。
勿論とても深ければ縫合などが必要だろうが、今のななしの怪我は大きく切れているがそこまで深くは無い。
真島は大層慌てているが、そこまで取り乱すような大きな怪我はないのだ。
「絆創膏なんて心許なさすぎる…!包帯の方がええか?とりあえず水で指洗うのが先やな。せやけど無闇に動かしたらななしがつらいやろし…」
『…ふふ、真島さん。少し落ち着いて。アタシは全然元気ですから』
「元気でも痛いやろ?ホンマに可哀想に…」
『大丈夫ですよ!真島さんが心配してくれるから痛みなんかより嬉しい方が勝っちゃってます!あと、絆創膏でお願いします。包帯は指がちょっと動かし辛いから』
「ななしがそう言うなら絆創膏でええか。せやけど痛かったり、血ぃ止まらんかったりしたら問答無用で病院やで?分かったかななし」
『はぁい!真島さん』
随分と手厚い手当は真島の過保護さが伺える。
ただ同時に真島の優しさや思いやりを感じることもできる為ななしの心はとても満たされていた。
とても真面目で、真っ直ぐで、優しくて、格好よくて、そしてたまにお父さんのように過保護で心配性な真島が本当に愛おしくて。
ななしは大きな手をプルプルと震わせながら慎重に絆創膏を貼ろうとしている真島に向かって『ありがとうございます。大好き』と思いのままに呟いた。
「あ」
『あっ』
「…ななしが可愛ええ事言うさかいズレてもうたやんけ」
『ふふふっ。だって真島さんが一生懸命だから嬉しくて』
「あんまり虐めんといてやななし」
『ふふ、ごめんなさい。次は黙ってるんでもう一度貼って貰えますか?』
「ええで。俺の可愛ええ恋人様のために何回でも貼ったるわ」
『ありがとうございます。素敵な恋人様』
真島が絆創膏をしっかりと貼った頃にはすでにななしの指先の血は止まっていたのだが……ラブラブイチャイチャしている二人は気付かない。