小話集2
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(真島/恋人)
*スマホあります
『寝てる…』
料理の準備が終わったななしはリビングのソファに寝転がりすやすやと寝息を立てている真島を眺めていた。
真島は朝早くから幹部会に赴いており、彼曰く"今日一日クソくだらない話を死ぬほど聞かされた"そう。
会は早朝から夕方まで開かれ、先程帰ってきた真島はジャケットを脱いだ後直ぐに横になると死んだように眠りについてしまったのだ。
真島が疲れて寝落ちしてしまうことは非常に珍しい。
普段から神室町を練り歩き、桐生や輩と喧嘩をしている真島。毎日飽きもせず学生のようにはしゃぎ、とんでもない運動量になる筈なのだが体力馬鹿の真島は疲れ知らずで、帰宅後もそれなりにパワフルである。
この人の体力は無尽蔵。
ななしは恋人である真島にそんなにイメージを抱いているほどだ。
しかしそんな真島が寝落ちしたのだ。
普段のイメージからは想像も出来ず、少なからず驚いてしまう。
彼が言うように一日をかけて余程くだらない話を聞かされたのだろうか。
ななしは直接幹部会に出席した訳では無いので真相を確かめる術は無かったが、もし本当にそうであったのなら真島が疲れて眠ってしまうのも頷けると妙に納得してしまった。
体を動かせても頭を動かすことは苦手なのかもしれない。
真島は先を見通す能力や計算高い面も持ち合わせているが、当の本人が"考えるより行動"をモットーにしている為日常で頭を使う機会は然程ないのだろう。
故にこうしてたまに頭を使うことで、いつも以上に体力を消耗してしまうのかもしれない。
『知恵熱ってやつかなぁ』
ななしは眉間に皺を寄せ眠っている真島の頬に触れながら、くすくすと肩を揺らし笑った。
真島はななしからすると随分と年上だが、こうしてたまに子供のように思える時もある。
今は幹部会専用の赤のワイシャツを着ているため見た目はかなり厳ついのだが、その実彼は知恵熱で参っている。
見た目と様子にギャップを感じてしいまい、ななしは可愛いやら愛おしいやら、真島に対しての愛情で胸がいっぱいになった。
疲れているなら思う存分眠ればいい、ななしは料理が出来たと真島を無理に起こすことはせず、近場にあったグレーのブランケットを手に取るとスヤスヤと眠っている彼の腹にかけた。
料理は真島が起きた後に一緒に食べる事にしてななしは一旦休憩しようとに着ていたエプロンを外す。
エプロンを畳みローテブルに置いた後、ソファの前に腰を下ろし眠る真島をじっと眺めた。
『…』
ゆっくりと腹を上下し穏やかに眠る真島。
身長の高い彼を同じ目線で見つめることは中々出来ない。それに見る機会がほとんど無いつむじも真島が寝転がっているため今ははっきりと目視できる位置にあった。
スマホを取り出し真島を起こさないようにつむじを撮りつつ、ななしは滅多にない良い機会だと眠る彼を画面越しに観察した。
真島の右目は鋭いが、それらを縁取るまつ毛は思っているよりも多く、とても長い。
髭を携えている為強面ではあるものの女子が羨むほどのくっきり二重で、よくよく見ると本当に端正な顔つきをしているのだ。
それに肌も色白であるし、体も筋肉質で引き締まっているためスタイルがとても良い。
どこを観察しても男らしく精悍で、そして綺麗で。
ななしは画面越しの真島についつい見惚れてしまっていた。
『うーん…かっこいい』
しばしば観察をしているとどうにも自分の行動が変態じみていると思えてしまって、ななしは顔を真っ赤にしながらいそいそと畳んだエプロンの上にスマホ置いた。
それでもなかなか真島は起きない。結局暇を持て余したままであったため、ななしはまたぼんやりと真島をみつめてしまっている。
『……』
今度は顔や体ではなく、ソファから垂れている左手をじっくり眺めてみる。
赤色のワイシャツから伸びている太くたくましい腕、ゴツゴツと骨ばった大きな手。
長く節榑た指は爪先まで綺麗に整えられていて、とても清潔感に溢れている。
真島は定期的にそれはもう綺麗に爪の手入れをしている。
理由はななしの肌に傷がついてしまわないように、痛い思いをしないようにする為であり、常に短く保っている。
そんな衝撃の事実を聞かされて以降、綺麗な指先を見る度に自惚れ甚だしいが真島の優しさを感じて、ななしはとても満たされているのだ。
今だって眠る真島の指先は綺麗で、それだけ自分の事を気にかけてくれているとすぐに分かってしまう。
嬉しいような、気恥しいような…それでいて触れたくなるような、なんとも言えないがとてもホクホクとした感情で心が溢れたななしは、傍に垂れている真島の節榑た指先にそっと触れた。
眠ってるせいか真島の体温は高くて、料理をしていたななしにはとても心地良い。
その温もりをもっともっと肌で感じたくなったななしは、真島の大きな手を自身の手で握り指を絡める。
所謂恋人繋ぎをすると、手のひらいっぱいに温もりが伝わってきてななしはうっとり目を細めた。
『ふふふ、あったかい…』
ななしにとって真島の手とは温もりや愛情を感じると同時に、安心感を与えてくれるものであった。
出会った当初からずっと不変なく、今も尚真島はななしの心や体をその大きな手で救ってくれている。
悲しいことや苦しいことがあっても真島の大きな手に甘やかされれば、自然と心に余裕が出来いつも通りでいられる。
今も繋いでいるだけで仕事の疲れも忘れ、穏やかな気持ちになると同時に微睡みが訪れて来るのだから、自分の中で彼の存在とはとても大きいのだと思い知らされてしまう。
『……眠たい…』
ななしはとても幸せな気分のままやってくる微睡みに身を任せることにした。
こんな風に寝落ちする日も悪くないとソファに寄りかかりななしは真島の手を握ったまま瞳を閉じる。
『ふぁぁ〜』
「でっかい欠伸やのぉ」
『…え?』
ソファを背にしていざ眠ろうと大きな欠伸をこぼした所で、頭上から「ヒヒッ!」とそれはもう楽しそうな笑い声が降ってくる。
静かだった空間で自分以外の声が急に響いた事で驚いたななしは咄嗟に顔を起こす。するとそこにはソファに寝転がったままこちらに顔を向けている真島がおり、楽しそうに口角を上げていた。
『お、起こしちゃいました?』
「ん?いや、ずっと起きとった」
『え?お、起きてたんですか!?疲れて寝てたんじゃ…』
「クソくだらん話聞くのは面倒やったけどな。せやけど寝落ちするほど疲れとらんわ」
『……知恵熱じゃなかった…』
「あ?知恵熱ぅ?」
『…い、いえ。ていうか!起きてたなら声を掛けてくださいよ!』
「ヒヒッ。別にええやんけ。お陰でななしの可愛い姿見れたしのぉ」
『ええくないですよ!』
今まで寝息を立てていたとは思えないほどしっかり右目が空いている真島。
それもそのはず、真島は最初からずっと眠ってはいなかったのだ。
ソファで目を瞑っていただけでずっと起きていたらしい。
てっきり幹部会で大ダメージを受け疲労困憊していたと思っていたが、本人はさほどでは無かったようだ。
それなら狸寝入りなんかせずに一声かけてくれれば良かったのに!と、眠る真島にアレコレしてしまったななしは一連の行動を思い起こし顔を真っ赤にしながら狼狽えた。
咎めるように緩く睨むが真島は楽しそうに笑うだけで、特に反省している様子は無い。
「ななしが猫みたいにじゃれついてくるさかい勃起抑えんのに必死やったんやで?」
『や、やめてくださいよ〜。せっかく穏やかな時間を過ごしてたのに』
「あぁ?あんな風にエロい触り方してきた癖によぉ言うわ」
『エロくないです!それに起きてるなんて思わないじゃないですか』
「俺の頬いやらしく撫でたやないか。それに手も見てみぃ。こんなんもう誘っとんのと一緒やんけ」
『ち、違いますもん。吾朗さんの手があったかくて…凄く安心するから…アタシ…』
「ほぉ、俺の手で安心しとったんか?」
『んっ』
真島はゆっくりと半身を起こすと空いた手でななしの頬を包む。
手のひらはななしの頬をすっぽりと覆えるほど大きい。
安心できて温もりや愛情を伝えてくれる大きな手が頬をすっぽり覆った事で、怒る気持ちとは裏腹に自然と顔が緩むのを感じたななし。
このままでは真島に"すぐ絆されるやっちゃなぁ"と笑われてしまうに違いない。
なんとか必死に真剣な顔を保つのだが、手の心地良さはそれらを軽く凌駕する程で。
結局ななしは意識とは関係なく、大好きで大好きでたまらない真島の手に猫のように自ら擦り寄ってしまった。
こんなこと恥ずかしいと分かってはいても、心も体もこの温もりを欲してしまって仕方がなかった。
『んー、んふふ、あったかい…』
「お前…やっぱり誘っとんやろ…そんなエロい顔しよって」
『違いますぅ。この手を堪能してるんですぅ』
「手も唇も足もちんこも変わらんやろ。俺の全部堪能せぇや」
『全然違います!アタシはこの手にもっと撫でられたいんです!』
「お前っ、ホンマに…猫みたいなやっちゃなぁ!」
『ふふふっ、違っ!やだっ、髪グチャグチャになっちゃう!』
いつぞや真島に猫に似ていると言われたことがあったが正にその通りなのかもしれない。
もし本当に自分が猫であったら、今のように両手で頬や頭をこねくり回された時はきっと、"ゴロゴロ"と喉を鳴らして彼に擦り寄るのだろう。
髪が乱れる程クシャクシャと頭を撫でられ、頬の形が変わってしまう程揉まれなかなか擽ったい。
しかし愛しい真島に揉みくちゃにされてるのだからと、満更でもないななしは『やめて〜』と言いながらも嬉しそうにしている。
「ほんま…可愛ええやっちゃなぁ。飯もええけどまずはななしを食わせや」
『ん、だ、ダメ。今日は吾朗さんのリクエストした料理を作ったんですから。暖かいうちに食べて欲しいの』
「勃起したままでか?」
『うっ、そ、そうです』
「ヒヒッ!お預けっちゅう訳か。俺は犬やないんやけどなぁ?」
『ふふ、ゴロー待て!ですよ』
「…煽っとる」
『あ、煽ってないです。ほら、起きてるならご飯食べちゃいましょう!』
「後で覚えとけよななし」
『忘れます!』
「ほな今すぐ写真消せよ」
『え!!??見てっ!?』
「最初から起きとった言うたやないか。ななしが何をしたか全部分かっとるわ」
『そ、そんな…消さないですからね!?』
「ヒヒッ!それはななし次第やで?ちゃぁんと覚えときや?」
『お、覚えときます!』
「ほなええわ!飯食おか」
『……怖ぁ』
「あ?なんか言うたか?」
『ひぇ!ご飯食べましょう!!』
真島の意味深な笑顔に耐えきれず、立ち上がるとそそくさとダイニングテーブルへと移動していくななし。
そんなななしの慌てたような後ろ姿に可笑しそうに笑った真島もまたソファから起き上がると、ゆっくりと歩き出した。
(ななし、お前後でスマホ見せや)
(え!?)
(どんくらい写真あるかチェックしとかなアカンしな)
(ア、アカンくないです)
(なんや声震えとんで?やましい写真でもあるんか?)
(………)
(嘘つけんやっちゃなぁ)
ななしちゃんは気まぐれだけど一途な猫ちゃん。気持ちいいの大好き。
真島さんは忠犬、何がなんでもななしちゃんを守るマン(ワン)。
お互い相思相愛です。
*スマホあります
『寝てる…』
料理の準備が終わったななしはリビングのソファに寝転がりすやすやと寝息を立てている真島を眺めていた。
真島は朝早くから幹部会に赴いており、彼曰く"今日一日クソくだらない話を死ぬほど聞かされた"そう。
会は早朝から夕方まで開かれ、先程帰ってきた真島はジャケットを脱いだ後直ぐに横になると死んだように眠りについてしまったのだ。
真島が疲れて寝落ちしてしまうことは非常に珍しい。
普段から神室町を練り歩き、桐生や輩と喧嘩をしている真島。毎日飽きもせず学生のようにはしゃぎ、とんでもない運動量になる筈なのだが体力馬鹿の真島は疲れ知らずで、帰宅後もそれなりにパワフルである。
この人の体力は無尽蔵。
ななしは恋人である真島にそんなにイメージを抱いているほどだ。
しかしそんな真島が寝落ちしたのだ。
普段のイメージからは想像も出来ず、少なからず驚いてしまう。
彼が言うように一日をかけて余程くだらない話を聞かされたのだろうか。
ななしは直接幹部会に出席した訳では無いので真相を確かめる術は無かったが、もし本当にそうであったのなら真島が疲れて眠ってしまうのも頷けると妙に納得してしまった。
体を動かせても頭を動かすことは苦手なのかもしれない。
真島は先を見通す能力や計算高い面も持ち合わせているが、当の本人が"考えるより行動"をモットーにしている為日常で頭を使う機会は然程ないのだろう。
故にこうしてたまに頭を使うことで、いつも以上に体力を消耗してしまうのかもしれない。
『知恵熱ってやつかなぁ』
ななしは眉間に皺を寄せ眠っている真島の頬に触れながら、くすくすと肩を揺らし笑った。
真島はななしからすると随分と年上だが、こうしてたまに子供のように思える時もある。
今は幹部会専用の赤のワイシャツを着ているため見た目はかなり厳ついのだが、その実彼は知恵熱で参っている。
見た目と様子にギャップを感じてしいまい、ななしは可愛いやら愛おしいやら、真島に対しての愛情で胸がいっぱいになった。
疲れているなら思う存分眠ればいい、ななしは料理が出来たと真島を無理に起こすことはせず、近場にあったグレーのブランケットを手に取るとスヤスヤと眠っている彼の腹にかけた。
料理は真島が起きた後に一緒に食べる事にしてななしは一旦休憩しようとに着ていたエプロンを外す。
エプロンを畳みローテブルに置いた後、ソファの前に腰を下ろし眠る真島をじっと眺めた。
『…』
ゆっくりと腹を上下し穏やかに眠る真島。
身長の高い彼を同じ目線で見つめることは中々出来ない。それに見る機会がほとんど無いつむじも真島が寝転がっているため今ははっきりと目視できる位置にあった。
スマホを取り出し真島を起こさないようにつむじを撮りつつ、ななしは滅多にない良い機会だと眠る彼を画面越しに観察した。
真島の右目は鋭いが、それらを縁取るまつ毛は思っているよりも多く、とても長い。
髭を携えている為強面ではあるものの女子が羨むほどのくっきり二重で、よくよく見ると本当に端正な顔つきをしているのだ。
それに肌も色白であるし、体も筋肉質で引き締まっているためスタイルがとても良い。
どこを観察しても男らしく精悍で、そして綺麗で。
ななしは画面越しの真島についつい見惚れてしまっていた。
『うーん…かっこいい』
しばしば観察をしているとどうにも自分の行動が変態じみていると思えてしまって、ななしは顔を真っ赤にしながらいそいそと畳んだエプロンの上にスマホ置いた。
それでもなかなか真島は起きない。結局暇を持て余したままであったため、ななしはまたぼんやりと真島をみつめてしまっている。
『……』
今度は顔や体ではなく、ソファから垂れている左手をじっくり眺めてみる。
赤色のワイシャツから伸びている太くたくましい腕、ゴツゴツと骨ばった大きな手。
長く節榑た指は爪先まで綺麗に整えられていて、とても清潔感に溢れている。
真島は定期的にそれはもう綺麗に爪の手入れをしている。
理由はななしの肌に傷がついてしまわないように、痛い思いをしないようにする為であり、常に短く保っている。
そんな衝撃の事実を聞かされて以降、綺麗な指先を見る度に自惚れ甚だしいが真島の優しさを感じて、ななしはとても満たされているのだ。
今だって眠る真島の指先は綺麗で、それだけ自分の事を気にかけてくれているとすぐに分かってしまう。
嬉しいような、気恥しいような…それでいて触れたくなるような、なんとも言えないがとてもホクホクとした感情で心が溢れたななしは、傍に垂れている真島の節榑た指先にそっと触れた。
眠ってるせいか真島の体温は高くて、料理をしていたななしにはとても心地良い。
その温もりをもっともっと肌で感じたくなったななしは、真島の大きな手を自身の手で握り指を絡める。
所謂恋人繋ぎをすると、手のひらいっぱいに温もりが伝わってきてななしはうっとり目を細めた。
『ふふふ、あったかい…』
ななしにとって真島の手とは温もりや愛情を感じると同時に、安心感を与えてくれるものであった。
出会った当初からずっと不変なく、今も尚真島はななしの心や体をその大きな手で救ってくれている。
悲しいことや苦しいことがあっても真島の大きな手に甘やかされれば、自然と心に余裕が出来いつも通りでいられる。
今も繋いでいるだけで仕事の疲れも忘れ、穏やかな気持ちになると同時に微睡みが訪れて来るのだから、自分の中で彼の存在とはとても大きいのだと思い知らされてしまう。
『……眠たい…』
ななしはとても幸せな気分のままやってくる微睡みに身を任せることにした。
こんな風に寝落ちする日も悪くないとソファに寄りかかりななしは真島の手を握ったまま瞳を閉じる。
『ふぁぁ〜』
「でっかい欠伸やのぉ」
『…え?』
ソファを背にしていざ眠ろうと大きな欠伸をこぼした所で、頭上から「ヒヒッ!」とそれはもう楽しそうな笑い声が降ってくる。
静かだった空間で自分以外の声が急に響いた事で驚いたななしは咄嗟に顔を起こす。するとそこにはソファに寝転がったままこちらに顔を向けている真島がおり、楽しそうに口角を上げていた。
『お、起こしちゃいました?』
「ん?いや、ずっと起きとった」
『え?お、起きてたんですか!?疲れて寝てたんじゃ…』
「クソくだらん話聞くのは面倒やったけどな。せやけど寝落ちするほど疲れとらんわ」
『……知恵熱じゃなかった…』
「あ?知恵熱ぅ?」
『…い、いえ。ていうか!起きてたなら声を掛けてくださいよ!』
「ヒヒッ。別にええやんけ。お陰でななしの可愛い姿見れたしのぉ」
『ええくないですよ!』
今まで寝息を立てていたとは思えないほどしっかり右目が空いている真島。
それもそのはず、真島は最初からずっと眠ってはいなかったのだ。
ソファで目を瞑っていただけでずっと起きていたらしい。
てっきり幹部会で大ダメージを受け疲労困憊していたと思っていたが、本人はさほどでは無かったようだ。
それなら狸寝入りなんかせずに一声かけてくれれば良かったのに!と、眠る真島にアレコレしてしまったななしは一連の行動を思い起こし顔を真っ赤にしながら狼狽えた。
咎めるように緩く睨むが真島は楽しそうに笑うだけで、特に反省している様子は無い。
「ななしが猫みたいにじゃれついてくるさかい勃起抑えんのに必死やったんやで?」
『や、やめてくださいよ〜。せっかく穏やかな時間を過ごしてたのに』
「あぁ?あんな風にエロい触り方してきた癖によぉ言うわ」
『エロくないです!それに起きてるなんて思わないじゃないですか』
「俺の頬いやらしく撫でたやないか。それに手も見てみぃ。こんなんもう誘っとんのと一緒やんけ」
『ち、違いますもん。吾朗さんの手があったかくて…凄く安心するから…アタシ…』
「ほぉ、俺の手で安心しとったんか?」
『んっ』
真島はゆっくりと半身を起こすと空いた手でななしの頬を包む。
手のひらはななしの頬をすっぽりと覆えるほど大きい。
安心できて温もりや愛情を伝えてくれる大きな手が頬をすっぽり覆った事で、怒る気持ちとは裏腹に自然と顔が緩むのを感じたななし。
このままでは真島に"すぐ絆されるやっちゃなぁ"と笑われてしまうに違いない。
なんとか必死に真剣な顔を保つのだが、手の心地良さはそれらを軽く凌駕する程で。
結局ななしは意識とは関係なく、大好きで大好きでたまらない真島の手に猫のように自ら擦り寄ってしまった。
こんなこと恥ずかしいと分かってはいても、心も体もこの温もりを欲してしまって仕方がなかった。
『んー、んふふ、あったかい…』
「お前…やっぱり誘っとんやろ…そんなエロい顔しよって」
『違いますぅ。この手を堪能してるんですぅ』
「手も唇も足もちんこも変わらんやろ。俺の全部堪能せぇや」
『全然違います!アタシはこの手にもっと撫でられたいんです!』
「お前っ、ホンマに…猫みたいなやっちゃなぁ!」
『ふふふっ、違っ!やだっ、髪グチャグチャになっちゃう!』
いつぞや真島に猫に似ていると言われたことがあったが正にその通りなのかもしれない。
もし本当に自分が猫であったら、今のように両手で頬や頭をこねくり回された時はきっと、"ゴロゴロ"と喉を鳴らして彼に擦り寄るのだろう。
髪が乱れる程クシャクシャと頭を撫でられ、頬の形が変わってしまう程揉まれなかなか擽ったい。
しかし愛しい真島に揉みくちゃにされてるのだからと、満更でもないななしは『やめて〜』と言いながらも嬉しそうにしている。
「ほんま…可愛ええやっちゃなぁ。飯もええけどまずはななしを食わせや」
『ん、だ、ダメ。今日は吾朗さんのリクエストした料理を作ったんですから。暖かいうちに食べて欲しいの』
「勃起したままでか?」
『うっ、そ、そうです』
「ヒヒッ!お預けっちゅう訳か。俺は犬やないんやけどなぁ?」
『ふふ、ゴロー待て!ですよ』
「…煽っとる」
『あ、煽ってないです。ほら、起きてるならご飯食べちゃいましょう!』
「後で覚えとけよななし」
『忘れます!』
「ほな今すぐ写真消せよ」
『え!!??見てっ!?』
「最初から起きとった言うたやないか。ななしが何をしたか全部分かっとるわ」
『そ、そんな…消さないですからね!?』
「ヒヒッ!それはななし次第やで?ちゃぁんと覚えときや?」
『お、覚えときます!』
「ほなええわ!飯食おか」
『……怖ぁ』
「あ?なんか言うたか?」
『ひぇ!ご飯食べましょう!!』
真島の意味深な笑顔に耐えきれず、立ち上がるとそそくさとダイニングテーブルへと移動していくななし。
そんなななしの慌てたような後ろ姿に可笑しそうに笑った真島もまたソファから起き上がると、ゆっくりと歩き出した。
(ななし、お前後でスマホ見せや)
(え!?)
(どんくらい写真あるかチェックしとかなアカンしな)
(ア、アカンくないです)
(なんや声震えとんで?やましい写真でもあるんか?)
(………)
(嘘つけんやっちゃなぁ)
ななしちゃんは気まぐれだけど一途な猫ちゃん。気持ちいいの大好き。
真島さんは忠犬、何がなんでもななしちゃんを守るマン(ワン)。
お互い相思相愛です。