小話集1
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(古参組/沖田/シリーズ主)
「この件をどう思うななし」
『そうですね…』
「ふむ」
「あ!こういう見方もあるんじゃないすか」
「平助の言う通り。その線も有り得るだろうな」
「ほな、これの件はどういうことや。辻褄が合わんくなるんやないか」
『うーん、新八さんの言うことも一理ありますねぇ』
現在、屯所の土蔵にて土方、沖田、永倉、井上、東堂、ななしが集まっていた。
土方がなにか書状を持ってきており、皆に見せ神妙そうにやりとりをして早くも半刻程が経過している。
あぁでもない、こうでもなと話し合いが続いているがなかなか終わりそうにない。
皆真剣に話をし頭を悩ませている中。どうにも暇で暇で仕方の無い人物がいた。
土方とななしを柱に寄りかかり見つめる沖田だ。
彼は頭をつかい考えるより、先に行動して暴れる方が合理的だと考える所謂脳筋バカ。
こんなちまちま話し合いをするより行動に起こした方がいいに決まっていると、内心で思いつつ暇な時間を持て余していた。
どうせ話し合っても答えなんて見つかりっこない、とぼんやり沖田は柱に寄りかかったまま欠伸を零せば真剣に考えていたであろうななしとばっちりと視線が合ってしまった。
ななしは声を出し注意することこそ無かったが、咎めるように鋭い目で沖田を睨みつけた。
『話し合いにに参加してください!』と声を発さず口を動かし伝えてくるが、沖田はそれに首をふり拒否して見せた。
「(つまらん)」
『(つまるんでこっちに来て話し合いしてください)』
「(つまるってなんやねん)」
『(知りませんよ!早くこっち来て!)』
声に出さずとも各々が思うことはだいたい分かる沖田とななし。あれやこれや身振り手振りで拒否する沖田にななしも食い下がりこっちに来いと鋭い瞳で物申す。
しかし一向に沖田は話し合いに参加する気配はなく、早々に諦めたななしは直ぐに土方の持つ書状に目を落としてしまった。
……なんやねん、おもんないわ。
ななしが構ってくれなくなった事で再び暇になってしまった沖田。
もういっその事土蔵をこっそり抜け出してやろうかと、皆が話し合う輪を見て機を伺っていると再びこちらに視線を寄越したななしとばっちり視線がかち合った。
『(何やってるんですか!?)』
「(あ?そら脱走や)」
『(もう、総司さん!)』
無言でプンプン怒っているななし。リスのように頬を膨らませて顔を赤くしている様はとても可愛らしい。
遠くからそんな可愛らしいななしに見つめられ嬉しそうに笑った沖田。そのままニヤニヤ笑っていると、ふとあることを思いついてしまった。
……今ここでおもろい顔したらアイツ爆笑するんやないか?
緊張感漂う雰囲気、皆が真剣に話し合い時たま重苦しい沈黙が流れるこの空間で。
真面目に話し合いに参加しているななしにむけて変顔をしたらどんな反応をみせてくれるだろうか。
「(おもろそうやんけ!!!)」
静かにしなければならない時ほど、面白いものを目の当たりにしてしまえば笑いが混み上がるというもので。
きっと今プリプリ怒っているななしも笑う違いない。
よし、やってやる。
そうと決まってから沖田の行動は早かった。
土方達の話の合間にこちらを見つめてくる瞬間を見計らって、渾身の変顔をお見舞いする。
彼女が次に顔をこちらに向けた時が、最初で最後の実行の機会だ!
再び顔を書状に戻したななしにいそいそ変顔の準備をし始める沖田。
頬に両手を当て口が半開きになるまで押し潰す。
自分ではどうなっているかは確認できないが、きっと緊張感漂う空間でこんな顔を見せつけられたら一溜りも無いだろう。
沖田は準備をしたままななしがこちらに視線を寄越すのを律儀に待った。
暫くして、再びななしがゆっくりこちらを見ようと顔を上げたのを確認した沖田は、渾身の変顔で彼女を真っ直ぐにみつめた。
『っ!?』
顔を上げ沖田を見つめたななしが声にならない声を上げ、咄嗟に口元に手を押し当てた。
肩が小刻みに震えており、明らかに笑いを堪えているようだ。
口元に手を当てたまま眉間に皺を寄せひたすら笑いを堪えているななしは『やめてください!!』とうっすら涙を浮かべた瞳でそう伝えてくる。
しかし沖田は無情にもそう伝えてくるななしを無視し、次の変顔に移る。
今度は眉間を摘み上へ引っ張ってみせた。
『ぶっ!!!!』
「ななし?どうしたのかね」
「おい、腹でも痛いんか?」
「え?大丈夫っすか?ななしさん」
『だ!大丈夫っでっ、す!!』
「おい、声が震えているぞ」
今度は明らかに笑いを堪えきれなかったようで、手で口を抑えながらも面白い声を発したななし。
そのまま見ていられないと思ったらしくその場にしゃがみこんで、肩を震わせていた。
輪を作り話し合いをしていた面々は急にななしがしゃがみ込んだことに驚いたようで、大丈夫かと声を掛けている。
ヒヒッ、そいつ笑っとるだけやで!
ななしの周りに集まり心配そうしている面々をみ、騙されていると声を上げて笑いそうになるのをなんとか我慢する沖田。
まさかななしここまで綺麗に吹き出し笑ってくれるとは思ってもいなかったため、彼は上機嫌だ。
『はぁはぁ…はぁー…お腹つるっ』
「やっぱりお腹痛いんすか?休みます?」
『え!?いや、すみません大丈夫です。ありがとう平助さん』
「調子が悪いのなら無理に参加しなくてもいい。取り急ぎでは無いのだ、休憩していて構わない」
『い、いえ!本当に大丈夫ですから』
「本当か?ななし?」
「遠慮せんでもええんやで」
吹き出してしゃがみ込んだだけで体調は全く悪くないななしは、皆に心配されてオロオロしている。
そんな姿さえ面白くて可愛いらしいと、沖田は彼女を見つめながらニヤニヤと笑っていた。
そんな姿にカチンときたのかななしは心配そうに見つめる永倉に助けを求めるように声を上げた。
『……そ、』
「なんやて?」
『総司さんが!!笑わせてくるんです!!!』
「あ!?何バラしとんねん!!」
『総司さんが悪いんじゃないですか!』
「……」
「あ、なるほど。沖田さん事っすか〜」
「ホンマに呆れてなんも言えんわ。はぁ」
「総司、ななし…お前たち場を弁えることも出来んのか」
『え!?わ、私もですか!?』
「いい加減にしないか。総司もななしも頭を冷やせ。ここで騒ぐな」
『そ、総司さんが悪いのにぃ!』
「ヒヒッ!笑ったお前の負けや」
『ぐ、ぐすん…』
「総司。後で副長室に来い」
「なんでやねん」
『当たり前でしょ…』
「あ?お前誰の味方しとんねん」
『今回は絶対総司さんが悪いじゃないですか!』
「笑う方が悪いわ」
『面白い顔で笑わせる方が悪いでしょー!?』
「…いい加減にしろ!」
ななしと沖田のやり取りは青筋を浮かべた井上により終止符が打たれた。
二人ともポーンと土蔵から追い出されてしまったのだ。
『ひ、酷い!私まで追い出すなんて!』
「ほな、頭冷やしに行こか〜」
『もう、どこ行くんですか!!』
「大竹茶屋で団子くうで」
『本当に頭冷やそうとしてますか!?』
沖田の作戦通り…かは分からないが、暇で仕方なかった話し合いは終わりを迎えた。
未だに土蔵では話し合いが行われているようで誰も出てこない。ならば、ここにいなくてもバレないだろうと沖田はななしの手を取り、小腹を満たすために屯所の前にある大竹茶屋に向かい歩き始めた。
『もう、奢ってくださいよ!!』
「分かっとるわ。ところで変顔どやった?」
『本っっっっ当に、面白かったです』
『ヒヒッ!せやろ?』
そして本当に大竹茶屋に向かった沖田と、ななし。
話し合いが終わり二人を探しに来た井上と永倉にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
「この件をどう思うななし」
『そうですね…』
「ふむ」
「あ!こういう見方もあるんじゃないすか」
「平助の言う通り。その線も有り得るだろうな」
「ほな、これの件はどういうことや。辻褄が合わんくなるんやないか」
『うーん、新八さんの言うことも一理ありますねぇ』
現在、屯所の土蔵にて土方、沖田、永倉、井上、東堂、ななしが集まっていた。
土方がなにか書状を持ってきており、皆に見せ神妙そうにやりとりをして早くも半刻程が経過している。
あぁでもない、こうでもなと話し合いが続いているがなかなか終わりそうにない。
皆真剣に話をし頭を悩ませている中。どうにも暇で暇で仕方の無い人物がいた。
土方とななしを柱に寄りかかり見つめる沖田だ。
彼は頭をつかい考えるより、先に行動して暴れる方が合理的だと考える所謂脳筋バカ。
こんなちまちま話し合いをするより行動に起こした方がいいに決まっていると、内心で思いつつ暇な時間を持て余していた。
どうせ話し合っても答えなんて見つかりっこない、とぼんやり沖田は柱に寄りかかったまま欠伸を零せば真剣に考えていたであろうななしとばっちりと視線が合ってしまった。
ななしは声を出し注意することこそ無かったが、咎めるように鋭い目で沖田を睨みつけた。
『話し合いにに参加してください!』と声を発さず口を動かし伝えてくるが、沖田はそれに首をふり拒否して見せた。
「(つまらん)」
『(つまるんでこっちに来て話し合いしてください)』
「(つまるってなんやねん)」
『(知りませんよ!早くこっち来て!)』
声に出さずとも各々が思うことはだいたい分かる沖田とななし。あれやこれや身振り手振りで拒否する沖田にななしも食い下がりこっちに来いと鋭い瞳で物申す。
しかし一向に沖田は話し合いに参加する気配はなく、早々に諦めたななしは直ぐに土方の持つ書状に目を落としてしまった。
……なんやねん、おもんないわ。
ななしが構ってくれなくなった事で再び暇になってしまった沖田。
もういっその事土蔵をこっそり抜け出してやろうかと、皆が話し合う輪を見て機を伺っていると再びこちらに視線を寄越したななしとばっちり視線がかち合った。
『(何やってるんですか!?)』
「(あ?そら脱走や)」
『(もう、総司さん!)』
無言でプンプン怒っているななし。リスのように頬を膨らませて顔を赤くしている様はとても可愛らしい。
遠くからそんな可愛らしいななしに見つめられ嬉しそうに笑った沖田。そのままニヤニヤ笑っていると、ふとあることを思いついてしまった。
……今ここでおもろい顔したらアイツ爆笑するんやないか?
緊張感漂う雰囲気、皆が真剣に話し合い時たま重苦しい沈黙が流れるこの空間で。
真面目に話し合いに参加しているななしにむけて変顔をしたらどんな反応をみせてくれるだろうか。
「(おもろそうやんけ!!!)」
静かにしなければならない時ほど、面白いものを目の当たりにしてしまえば笑いが混み上がるというもので。
きっと今プリプリ怒っているななしも笑う違いない。
よし、やってやる。
そうと決まってから沖田の行動は早かった。
土方達の話の合間にこちらを見つめてくる瞬間を見計らって、渾身の変顔をお見舞いする。
彼女が次に顔をこちらに向けた時が、最初で最後の実行の機会だ!
再び顔を書状に戻したななしにいそいそ変顔の準備をし始める沖田。
頬に両手を当て口が半開きになるまで押し潰す。
自分ではどうなっているかは確認できないが、きっと緊張感漂う空間でこんな顔を見せつけられたら一溜りも無いだろう。
沖田は準備をしたままななしがこちらに視線を寄越すのを律儀に待った。
暫くして、再びななしがゆっくりこちらを見ようと顔を上げたのを確認した沖田は、渾身の変顔で彼女を真っ直ぐにみつめた。
『っ!?』
顔を上げ沖田を見つめたななしが声にならない声を上げ、咄嗟に口元に手を押し当てた。
肩が小刻みに震えており、明らかに笑いを堪えているようだ。
口元に手を当てたまま眉間に皺を寄せひたすら笑いを堪えているななしは『やめてください!!』とうっすら涙を浮かべた瞳でそう伝えてくる。
しかし沖田は無情にもそう伝えてくるななしを無視し、次の変顔に移る。
今度は眉間を摘み上へ引っ張ってみせた。
『ぶっ!!!!』
「ななし?どうしたのかね」
「おい、腹でも痛いんか?」
「え?大丈夫っすか?ななしさん」
『だ!大丈夫っでっ、す!!』
「おい、声が震えているぞ」
今度は明らかに笑いを堪えきれなかったようで、手で口を抑えながらも面白い声を発したななし。
そのまま見ていられないと思ったらしくその場にしゃがみこんで、肩を震わせていた。
輪を作り話し合いをしていた面々は急にななしがしゃがみ込んだことに驚いたようで、大丈夫かと声を掛けている。
ヒヒッ、そいつ笑っとるだけやで!
ななしの周りに集まり心配そうしている面々をみ、騙されていると声を上げて笑いそうになるのをなんとか我慢する沖田。
まさかななしここまで綺麗に吹き出し笑ってくれるとは思ってもいなかったため、彼は上機嫌だ。
『はぁはぁ…はぁー…お腹つるっ』
「やっぱりお腹痛いんすか?休みます?」
『え!?いや、すみません大丈夫です。ありがとう平助さん』
「調子が悪いのなら無理に参加しなくてもいい。取り急ぎでは無いのだ、休憩していて構わない」
『い、いえ!本当に大丈夫ですから』
「本当か?ななし?」
「遠慮せんでもええんやで」
吹き出してしゃがみ込んだだけで体調は全く悪くないななしは、皆に心配されてオロオロしている。
そんな姿さえ面白くて可愛いらしいと、沖田は彼女を見つめながらニヤニヤと笑っていた。
そんな姿にカチンときたのかななしは心配そうに見つめる永倉に助けを求めるように声を上げた。
『……そ、』
「なんやて?」
『総司さんが!!笑わせてくるんです!!!』
「あ!?何バラしとんねん!!」
『総司さんが悪いんじゃないですか!』
「……」
「あ、なるほど。沖田さん事っすか〜」
「ホンマに呆れてなんも言えんわ。はぁ」
「総司、ななし…お前たち場を弁えることも出来んのか」
『え!?わ、私もですか!?』
「いい加減にしないか。総司もななしも頭を冷やせ。ここで騒ぐな」
『そ、総司さんが悪いのにぃ!』
「ヒヒッ!笑ったお前の負けや」
『ぐ、ぐすん…』
「総司。後で副長室に来い」
「なんでやねん」
『当たり前でしょ…』
「あ?お前誰の味方しとんねん」
『今回は絶対総司さんが悪いじゃないですか!』
「笑う方が悪いわ」
『面白い顔で笑わせる方が悪いでしょー!?』
「…いい加減にしろ!」
ななしと沖田のやり取りは青筋を浮かべた井上により終止符が打たれた。
二人ともポーンと土蔵から追い出されてしまったのだ。
『ひ、酷い!私まで追い出すなんて!』
「ほな、頭冷やしに行こか〜」
『もう、どこ行くんですか!!』
「大竹茶屋で団子くうで」
『本当に頭冷やそうとしてますか!?』
沖田の作戦通り…かは分からないが、暇で仕方なかった話し合いは終わりを迎えた。
未だに土蔵では話し合いが行われているようで誰も出てこない。ならば、ここにいなくてもバレないだろうと沖田はななしの手を取り、小腹を満たすために屯所の前にある大竹茶屋に向かい歩き始めた。
『もう、奢ってくださいよ!!』
「分かっとるわ。ところで変顔どやった?」
『本っっっっ当に、面白かったです』
『ヒヒッ!せやろ?』
そして本当に大竹茶屋に向かった沖田と、ななし。
話し合いが終わり二人を探しに来た井上と永倉にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。