小話集1
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(真島/恋人/R15)
「……」
"フワフワの体や、やわらかい体。大きな瞳。擦り寄ってくる愛らしい姿や、気ままな姿に心も体も癒されちゃいますよね!今日はそんな猫ちゃんの魅力に──…"
「……」
『(吾朗さんめちゃくちゃ真剣に見てる)』
のんびりと寛いでいた真島とななしはソファに座ったまま何の気なしに放送されている番組を見ている最中だ。
大きなテレビには猫の魅力に迫るというとても可愛らしい番組が流れている。
ななしはビール片手にテレビを見つめている真島の姿に小さく肩を揺らし笑った。
真島がテレビを見ること自体はよくあるのだが、あれほど可愛らしい番組を真剣に見ていることはかなり珍しい。
真島の好みはゾンビものや喧嘩ものといった今とは真逆で、文字通り血の気の多いものばかりだ。
そんな真島が血など一滴も流れないような猫ちゃん特集を食い入るように見ている光景に、普段の彼とのギャップを感じてしまったななしは笑わずにはいられなかった。
ローテブルに置いてあった麦茶を飲みながらななしは茶化すように『ふふ、面白いですか?』と、未だに真剣にテレビとにらめっこしている真島に問いかけた。
「…別におもろい思て見とる訳やないで」
『えぇ?そんなに真剣にみてるのに?猫ちゃん可愛いじゃないですか〜』
「……」
『ん?吾朗さん?』
茶化すように問いかけたことが真島に伝わってしまったのだろうか。
問いかけたと同時に何故かテレビからこちらに視線を移した真島。
何を言うでもなく鋭い隻眼がこちらを見つめてくので、茶化したせいで機嫌を損ねてしまったかもしれないとななしは『ご、吾朗さん?』と遠慮がちに話しかけた。
しかし真島はなにも返事をしない。
先程と変わらず、鋭い視線を寄越すばかりだ。
一体どうしたと言うのか。
ななしは真島の視線の理由がわからず困ったように首を傾げ『聞いてます?』と再三声を掛けた。
「おう、聞いとんで」
『急にアタシの顔みてどうしたんですか?』
「ん?一緒やなおもてん」
『一緒?何がです?』
「お前と猫」
『アタシと猫がですか??そんなにつり目かなぁ』
「別にそういうこと言うとる訳やない」
『えぇ?じゃあ、どこか同じなんです?』
真島が顔を凝視していた理由。
それはテレビにも写っている猫とななしが一緒に見えるからだったらしい。
顔つきが猫に似ているという事なのか、雰囲気が猫に似ているという事なのか。
自分と猫を比べてみても何処が似ているのかさっぱり分からず、ななしは頭上にはてなマークを浮かべるばかりだ。
「フワフワでやわこい体、でかい目、擦り寄ってくるし、気ままやし。まんま猫と同じやんけ」
『え、えぇ…全然違いますよ』
「なんでやねん。お前の体フワフワやしやわこいやろが」
『あ、ちょっと!吾朗さん!』
持っていたビールをローテブルに置いた真島は、座るななしの肩を突 くとソファへと押し倒した。
突然の出来事に直ぐに反応できなかったななしはされるがままにソファに倒れてしまった。
驚きに批難の声を上げるもすかさず真島の右腕に両腕を掴まれてしまい、まるで身動きができない。
そのまま意地悪く笑っている真島に嫌な予感しかせず、なんとか彼の腕から逃れようと身をよじるのだがななしでは全く歯が立たない。
力では敵わないと悟ったななしは鋭い視線で真島を牽制するが、彼はそんな視線に怯みもせず。
ヒヒッ!と笑ったかと思うと、空いている左手を服の中へと侵入させたのだ。
『んっ!吾朗さんっ』
「ヒヒッ!やっぱりフカフカでやわこいやないか」
服の中に入った左手は腹を優しく摘んだり撫でたりと、好き勝手に動かされた。
『ふふっ、擽ったいですって!吾朗さんっ』
「ホンマに餅みたいにやわこいのぉ、どんだけでも触っとれるわ」
『脇腹つままないでくださいよっ!』
「やっぱし猫みたいやないか」
『ん、猫のフカフカは毛のことでやわらかいはよく伸びるとか…柔軟って意味合いですよ!触り心地じゃないです吾朗さん』
「あ?柔軟?まぁ、アイツらえろう伸びるさかいのぉ…せやけどお前も体はやらかいやんけ」
『や、やわらかいですか?』
「おう、やらかいで」
『んっ!吾朗さん!?』
両腕を掴んでいた右手が離れていったかと思えば、次はその手でななしの膝裏を掴んだ真島。
そのままグッと下半身を持ち上げるように力を入れた後真島の大きな体が覆いかぶさってくる。
膝が顔の横まで持ち上げられ、覆いかぶさってきた真島とななしの額が触れ合う。
至近距離で真島に見つめられ、ななしは思わずギュッと瞳を閉じてしまった。
足を開く自分に、重なる真島。
これではまるで情事中と同じではないか。
額や、服越しとは言え触れ合っている下半身がどんどん熱を帯びてくるようだったななしは『は、離れてくださぃ』とそう言うのがやっとであった。
「ヒヒッ。こんなに足開いて押さえ込まれても痛ないっちゅうのは体がやわこいっちゅう事やろ?柔軟的な意味でな」
『も、それでいいですからっ!こんな格好やめて下さいよぉ』
「…いやらしい顔しとんでぇななし」
『んっ、し、してないですっ』
「誘うような顔してよぉ言う」
『してないっ、んぅ』
次は額では無く鼻先が触れ合い、ゆっくりと唇が重なった。
真島の薄くも柔らかい唇が角度を変え何度もななしの唇を奪う。
その度に甘い吐息が鼻から抜けていきななしは快感に身を震わせることしか出来なかった。
『んっ、吾朗さん…待って…ここソファですっ』
「別にかまへんやろ」
『だ、ダメですよっ。汚しちゃうから』
「変なとこで頑固やのぉ。ほなベッドならええんやな?」
『…ん、いいです』
「言うたな?ななし」
『…嘘は言いません…』
「立てるか?」
『はい』
体を密着させキスをして…たったそれだけの事であったが真島やななしの心を昂らせるには十分すぎるほどで。
次第に快感を欲し疼いてくる体に恥ずかしさを感じるななしだったが、このまま真島と肌を重ねたいと訴えてくる本能に抗うことはせず。
差し出された手を素直にとり、導いてくれる真島に身体を委ねた。
二人の寝室に向かう間も真島と離れ難く、逞しい腕にピッタリくっついていると彼は「ヒヒッ!やっぱり猫みたいやのぉ」と楽しそうに嬉しそうに笑いこちらを見下ろしてくる。
まだそんなことを言っているのかとななしは楽しそうにしている真島をじっとりと見つめ返した。
真島の突拍子もない発言のせいで体が火照り、こうして寝室に向かう羽目になったのだ。
余裕そうに笑って色々なイタズラをしかけてくる彼にいつだって翻弄されっぱなしのななし。別段体を重ねることが嫌なわけではなくて毎回真島の強引さに押し切られてしまい、同じ運命を辿っている事が面白くないのだ。
今日もあっという間に流されこのまま体を重ねたいと身も心も興奮してしまっている。
だがこれではあまりにいつもと変わらないのではないか。
ベッドに到着し真島の膝に触らされたななしは興奮しながらも常々余裕そうな彼をどうにか翻弄できないかと思考を巡らせた。
「なんや、そないに見つめて。もう欲しなったんか?」
『んっ』
何か意趣返しをしようと必死に考えていたため真島の事をずっと見つめてしまっていたようだ。
真島は楽しそうに「熱視線やのぉ」とななしの頬に手を伸ばしてくる。
その節榑た男らしい手はまるで愛でるように動いた。頬を撫でてまぶたをなぞり、するすると顎を擽る。
温かい手が触れる度に心地よく、それだけで気持ちがよかったななしはうっとりと瞳を細め真島の手に擦り寄るとそのまま小さく『にゃぁ』と声を上げたのだ。
これはななしなりに考えた真島への仕返しで、小さな意趣返しであった。
普段イタズラされてばかりなので少しでも彼を驚かせられたら良いと思い、実行したのだ。
「……お前…」
『にゃぁ?』
「……」
今日テレビで放送されていた猫特集のせいで猫のようだ、と繰り返し言っていた真島に文字通り"猫らしく"答えてやったななし。
固まってしまった真島にこれは普段の彼に一矢報いる事ができたのではないかとななし満足気であった。
ニコニコと固まる真島に猫ばりに擦り寄っていると、ななしの視界が急に反転し気づけばフカフカのベッドの上に寝転がっていた。
『ぇ?』
「ななし…煽ったのはお前やで」
『ご、吾朗さん?煽ったわけじゃ…っえ!?』
視界いっぱいに広がる真島と真島の逞しい体。
ソファの時と同様に彼に押し倒され、馬乗りにされてしまっているらしい。
ギラギラとまるで猛獣のように鋭い視線を向ける真島に少し戦くななし。
これはもしや色々と間違えてしまったかもしれないと後悔を始めた時、ななしの耳にはガチャガチャという金属音が聞こえてきたのだ。一体真島は何をしようとしているのかと確認したまさにその瞬間。
両腕が真島のベルトによりがっしりと縛られてしまったのだ。
驚き声を上げたのもつかの間、すぐさま「猫はにゃぁとしか言えへんはずやで?」と真島に口を押さえられてしまった。
『んっんー!』
「にゃぁ、にゃぁ擦り寄ってきたんや。思た通りお前は猫や。明日首輪買うてきたるわ。楽しみにしとれよ?」
『ん、はぁ!ア、アタシはそんなつもりじゃ…』
「にゃぁ、やろ?ななし」
『ぇ、あ…っ…』
「責任もって俺が面倒見たるさかい覚悟しとき」
『う…にゃぁ……』
「ヒヒッ!」
後悔先に立たず。
日頃の真島に対する意趣返しは見事に失敗し、何十倍にもなって返ってきてしまった。
身動きが取れない状態で猛獣のように興奮し息を荒らげる真島に、ななしは『にゃぁ…』と小さく啼くことしか出来なかったのだ。
(ななし、おはよーさん)
(ん、にやぁ?)
(ヒヒッ!今日も猫になるんか?)
(ん、やぁ…喋るぅ)
(可愛ええななしの為にええもん買うてきたで)
(なんですかぁ?)
(どや!)
(く、首輪…)
(これでお前は一生俺の"飼い猫"や。ななし)
(ほ、本気だったんですか…!?)
(本気 や。つけたるさかい起きや)
(い、嫌ですっ)
(あ?)
(付けない)
(…悪い猫にはお仕置が必要やのぉ)
(んっ!にゃぁ!)
祝☆⑳
組長真島さん小話⑳になります。
ドSスイッチのはいった真島さんと、やっぱりいつも通りのななしちゃん。
「……」
"フワフワの体や、やわらかい体。大きな瞳。擦り寄ってくる愛らしい姿や、気ままな姿に心も体も癒されちゃいますよね!今日はそんな猫ちゃんの魅力に──…"
「……」
『(吾朗さんめちゃくちゃ真剣に見てる)』
のんびりと寛いでいた真島とななしはソファに座ったまま何の気なしに放送されている番組を見ている最中だ。
大きなテレビには猫の魅力に迫るというとても可愛らしい番組が流れている。
ななしはビール片手にテレビを見つめている真島の姿に小さく肩を揺らし笑った。
真島がテレビを見ること自体はよくあるのだが、あれほど可愛らしい番組を真剣に見ていることはかなり珍しい。
真島の好みはゾンビものや喧嘩ものといった今とは真逆で、文字通り血の気の多いものばかりだ。
そんな真島が血など一滴も流れないような猫ちゃん特集を食い入るように見ている光景に、普段の彼とのギャップを感じてしまったななしは笑わずにはいられなかった。
ローテブルに置いてあった麦茶を飲みながらななしは茶化すように『ふふ、面白いですか?』と、未だに真剣にテレビとにらめっこしている真島に問いかけた。
「…別におもろい思て見とる訳やないで」
『えぇ?そんなに真剣にみてるのに?猫ちゃん可愛いじゃないですか〜』
「……」
『ん?吾朗さん?』
茶化すように問いかけたことが真島に伝わってしまったのだろうか。
問いかけたと同時に何故かテレビからこちらに視線を移した真島。
何を言うでもなく鋭い隻眼がこちらを見つめてくので、茶化したせいで機嫌を損ねてしまったかもしれないとななしは『ご、吾朗さん?』と遠慮がちに話しかけた。
しかし真島はなにも返事をしない。
先程と変わらず、鋭い視線を寄越すばかりだ。
一体どうしたと言うのか。
ななしは真島の視線の理由がわからず困ったように首を傾げ『聞いてます?』と再三声を掛けた。
「おう、聞いとんで」
『急にアタシの顔みてどうしたんですか?』
「ん?一緒やなおもてん」
『一緒?何がです?』
「お前と猫」
『アタシと猫がですか??そんなにつり目かなぁ』
「別にそういうこと言うとる訳やない」
『えぇ?じゃあ、どこか同じなんです?』
真島が顔を凝視していた理由。
それはテレビにも写っている猫とななしが一緒に見えるからだったらしい。
顔つきが猫に似ているという事なのか、雰囲気が猫に似ているという事なのか。
自分と猫を比べてみても何処が似ているのかさっぱり分からず、ななしは頭上にはてなマークを浮かべるばかりだ。
「フワフワでやわこい体、でかい目、擦り寄ってくるし、気ままやし。まんま猫と同じやんけ」
『え、えぇ…全然違いますよ』
「なんでやねん。お前の体フワフワやしやわこいやろが」
『あ、ちょっと!吾朗さん!』
持っていたビールをローテブルに置いた真島は、座るななしの肩を
突然の出来事に直ぐに反応できなかったななしはされるがままにソファに倒れてしまった。
驚きに批難の声を上げるもすかさず真島の右腕に両腕を掴まれてしまい、まるで身動きができない。
そのまま意地悪く笑っている真島に嫌な予感しかせず、なんとか彼の腕から逃れようと身をよじるのだがななしでは全く歯が立たない。
力では敵わないと悟ったななしは鋭い視線で真島を牽制するが、彼はそんな視線に怯みもせず。
ヒヒッ!と笑ったかと思うと、空いている左手を服の中へと侵入させたのだ。
『んっ!吾朗さんっ』
「ヒヒッ!やっぱりフカフカでやわこいやないか」
服の中に入った左手は腹を優しく摘んだり撫でたりと、好き勝手に動かされた。
『ふふっ、擽ったいですって!吾朗さんっ』
「ホンマに餅みたいにやわこいのぉ、どんだけでも触っとれるわ」
『脇腹つままないでくださいよっ!』
「やっぱし猫みたいやないか」
『ん、猫のフカフカは毛のことでやわらかいはよく伸びるとか…柔軟って意味合いですよ!触り心地じゃないです吾朗さん』
「あ?柔軟?まぁ、アイツらえろう伸びるさかいのぉ…せやけどお前も体はやらかいやんけ」
『や、やわらかいですか?』
「おう、やらかいで」
『んっ!吾朗さん!?』
両腕を掴んでいた右手が離れていったかと思えば、次はその手でななしの膝裏を掴んだ真島。
そのままグッと下半身を持ち上げるように力を入れた後真島の大きな体が覆いかぶさってくる。
膝が顔の横まで持ち上げられ、覆いかぶさってきた真島とななしの額が触れ合う。
至近距離で真島に見つめられ、ななしは思わずギュッと瞳を閉じてしまった。
足を開く自分に、重なる真島。
これではまるで情事中と同じではないか。
額や、服越しとは言え触れ合っている下半身がどんどん熱を帯びてくるようだったななしは『は、離れてくださぃ』とそう言うのがやっとであった。
「ヒヒッ。こんなに足開いて押さえ込まれても痛ないっちゅうのは体がやわこいっちゅう事やろ?柔軟的な意味でな」
『も、それでいいですからっ!こんな格好やめて下さいよぉ』
「…いやらしい顔しとんでぇななし」
『んっ、し、してないですっ』
「誘うような顔してよぉ言う」
『してないっ、んぅ』
次は額では無く鼻先が触れ合い、ゆっくりと唇が重なった。
真島の薄くも柔らかい唇が角度を変え何度もななしの唇を奪う。
その度に甘い吐息が鼻から抜けていきななしは快感に身を震わせることしか出来なかった。
『んっ、吾朗さん…待って…ここソファですっ』
「別にかまへんやろ」
『だ、ダメですよっ。汚しちゃうから』
「変なとこで頑固やのぉ。ほなベッドならええんやな?」
『…ん、いいです』
「言うたな?ななし」
『…嘘は言いません…』
「立てるか?」
『はい』
体を密着させキスをして…たったそれだけの事であったが真島やななしの心を昂らせるには十分すぎるほどで。
次第に快感を欲し疼いてくる体に恥ずかしさを感じるななしだったが、このまま真島と肌を重ねたいと訴えてくる本能に抗うことはせず。
差し出された手を素直にとり、導いてくれる真島に身体を委ねた。
二人の寝室に向かう間も真島と離れ難く、逞しい腕にピッタリくっついていると彼は「ヒヒッ!やっぱり猫みたいやのぉ」と楽しそうに嬉しそうに笑いこちらを見下ろしてくる。
まだそんなことを言っているのかとななしは楽しそうにしている真島をじっとりと見つめ返した。
真島の突拍子もない発言のせいで体が火照り、こうして寝室に向かう羽目になったのだ。
余裕そうに笑って色々なイタズラをしかけてくる彼にいつだって翻弄されっぱなしのななし。別段体を重ねることが嫌なわけではなくて毎回真島の強引さに押し切られてしまい、同じ運命を辿っている事が面白くないのだ。
今日もあっという間に流されこのまま体を重ねたいと身も心も興奮してしまっている。
だがこれではあまりにいつもと変わらないのではないか。
ベッドに到着し真島の膝に触らされたななしは興奮しながらも常々余裕そうな彼をどうにか翻弄できないかと思考を巡らせた。
「なんや、そないに見つめて。もう欲しなったんか?」
『んっ』
何か意趣返しをしようと必死に考えていたため真島の事をずっと見つめてしまっていたようだ。
真島は楽しそうに「熱視線やのぉ」とななしの頬に手を伸ばしてくる。
その節榑た男らしい手はまるで愛でるように動いた。頬を撫でてまぶたをなぞり、するすると顎を擽る。
温かい手が触れる度に心地よく、それだけで気持ちがよかったななしはうっとりと瞳を細め真島の手に擦り寄るとそのまま小さく『にゃぁ』と声を上げたのだ。
これはななしなりに考えた真島への仕返しで、小さな意趣返しであった。
普段イタズラされてばかりなので少しでも彼を驚かせられたら良いと思い、実行したのだ。
「……お前…」
『にゃぁ?』
「……」
今日テレビで放送されていた猫特集のせいで猫のようだ、と繰り返し言っていた真島に文字通り"猫らしく"答えてやったななし。
固まってしまった真島にこれは普段の彼に一矢報いる事ができたのではないかとななし満足気であった。
ニコニコと固まる真島に猫ばりに擦り寄っていると、ななしの視界が急に反転し気づけばフカフカのベッドの上に寝転がっていた。
『ぇ?』
「ななし…煽ったのはお前やで」
『ご、吾朗さん?煽ったわけじゃ…っえ!?』
視界いっぱいに広がる真島と真島の逞しい体。
ソファの時と同様に彼に押し倒され、馬乗りにされてしまっているらしい。
ギラギラとまるで猛獣のように鋭い視線を向ける真島に少し戦くななし。
これはもしや色々と間違えてしまったかもしれないと後悔を始めた時、ななしの耳にはガチャガチャという金属音が聞こえてきたのだ。一体真島は何をしようとしているのかと確認したまさにその瞬間。
両腕が真島のベルトによりがっしりと縛られてしまったのだ。
驚き声を上げたのもつかの間、すぐさま「猫はにゃぁとしか言えへんはずやで?」と真島に口を押さえられてしまった。
『んっんー!』
「にゃぁ、にゃぁ擦り寄ってきたんや。思た通りお前は猫や。明日首輪買うてきたるわ。楽しみにしとれよ?」
『ん、はぁ!ア、アタシはそんなつもりじゃ…』
「にゃぁ、やろ?ななし」
『ぇ、あ…っ…』
「責任もって俺が面倒見たるさかい覚悟しとき」
『う…にゃぁ……』
「ヒヒッ!」
後悔先に立たず。
日頃の真島に対する意趣返しは見事に失敗し、何十倍にもなって返ってきてしまった。
身動きが取れない状態で猛獣のように興奮し息を荒らげる真島に、ななしは『にゃぁ…』と小さく啼くことしか出来なかったのだ。
(ななし、おはよーさん)
(ん、にやぁ?)
(ヒヒッ!今日も猫になるんか?)
(ん、やぁ…喋るぅ)
(可愛ええななしの為にええもん買うてきたで)
(なんですかぁ?)
(どや!)
(く、首輪…)
(これでお前は一生俺の"飼い猫"や。ななし)
(ほ、本気だったんですか…!?)
(
(い、嫌ですっ)
(あ?)
(付けない)
(…悪い猫にはお仕置が必要やのぉ)
(んっ!にゃぁ!)
祝☆⑳
組長真島さん小話⑳になります。
ドSスイッチのはいった真島さんと、やっぱりいつも通りのななしちゃん。