小話集1
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(支配人/恋人)
時刻は朝の五時を回ろうとしており、空は若干明るくなりつつある。
そんな早朝、古びたアパートで風呂上がりの真島は髪をガシガシと拭っていた。
「ふぅー…」
疲労と微睡みから来る欠伸を盛大に零し、適当に髪を拭いていた真島の元に『あ〜〜』と少しビブラートがかかったような声が聞こえてくる。
声の主は今日一緒に真島のアパートに来ていた恋人であるななしだ。
二人はアパートにやって来てすぐ激しく体を重ね合わせており、その際ななしは寝落ちしてしまっている。
行為が終わり真島がななしの体を清めている間は気絶したように眠っていたが、どうやら風呂に入っている間に目が覚めてしまったらしい。
茶の間からななしの面白可笑しい声がひっきりなしに聞こえてくる。
何をしているかは不明だが、声が聞こえてくるだけで愛おしさが込み上げてくるようであった真島。
己の口角が自然に上がっていくのが分かり、小さな笑みが零れた。
きっと自分は今とんでもなく締まりのない顔をしているのだろうなと思いつつ、真島は笑みを絶やすことなくゆっくりと浴室の扉を開いた。
扉を開いた先の茶の間ではななしが布団の上に座っており、すぐ側にある扇風機に向かって声を発していたのだ。
なるほど、自分の声が変わるのを楽しんでいたのかと、ななしが意味もなく声を出していた理由を知り納得した真島。
彼女にしては子供っぽい行動だなと観察していると、未だに見られていと気づいていないのかななしは『わーれーわーれーはー、宇宙人だー』とゆっくり間延びした声で話すのだ。
まさか知的なななしがそんな事を言うとは想像すらしておらず、盗み見していた真島は思わず吹き出してしまった。
「フッ!ななしっ、宇宙人って…!」
『ま、真島さんっ!?み、見てたんですか!?』
「す、すまん!」
『わ、笑わないでくださいよ〜!』
流石に此方の存在に気がついたのかななしは勢いよく顔を起こした。
見られて笑われていることが恥ずかしかったか、顔を真っ赤にしながら『声掛けてくださいよ!』と若干怒っている。
そんなプンプンと怒る姿さえ小動物のようで可愛らしくて、真島はますます笑いが込み上げてくる。
腹を抱えながらひーひーと笑っていると、ななしは『笑いすぎです!』となおもプリプリと眉を釣り上げた。
「ななしが可愛ええさかい笑いがとまらんねん。許してや」
『意地悪です!』
「すまん、すまん。もう笑わんさかいそないに怒らんとってや」
『本当に笑いません?』
「笑わん。せやから機嫌直してや」
『約束ですよ?』
「おう、こっちおいでななし」
『ん…』
布団の端の方で小さくなってしまったななし。
流石に笑いすぎたかと反省しながら、ななしに手を差し出し小さな体ごと引き寄せて抱きしめてやる。
素直に胸に寄りかかったななしの背をあやす様に撫でていると、彼女は不服そうに『真島さん忘れてくださいね』とそう言う。
しかしばっちりがっちり目撃してしまったので忘れることは出来そうにない。
寧ろなかなか見ることが出来ないななしの無邪気な一面を垣間見たのだ、本人が嫌がっても絶対に忘れないつもりである。
「ま、扇風機で声変わるのやりたなる時もあるわな」
『…ふふふ、真島さんもあるんですか??』
「俺は卒業したんや」
『こういうのっていくつになってもやっちゃいそうです。アタシも早く卒業しなきゃですね』
「何言うとんねん。ななしは別に卒業せんでもええやん。やりたことすればええ。俺はそんなななしが愛おしいねん」
『呆れちゃったりしませんか?』
「全然せぇへん。むしろ最近こんな可愛ええ子に手ぇ出してもええんかたまに悩むくらいや」
『……ふふふ、普通に手出してるじゃないですか』
「ななしを前に我慢できひんさかいのぉ。許したってや」
『許すも何もアタシは真島さんと一緒にいられることが嬉しいんですからね』
「ヒヒッ、そないに可愛らしいこと言わんとってや。また"手ぇ出したなる"やろ」
『もうダメですよ。今日の仕事に備えて眠らなきゃ』
ななしの言うようにそろそろ眠って今日の勤務に備えなくてはならない時間だ。
昂りつつある熱をななしに押しつけなようにしながら、真島は落ち着くように人知れず深呼吸を繰り返した。
色々と疲れているであろうななしが腕の中で『ふわぁ…』と小さく欠伸をしたため、真島は彼女を抱きしめたまま布団へと倒れ込む。
二人にしては随分と狭く小さな布団であるが、こうして抱き合っていればなんてことは無い。
夏であるため些か暑いが、ななしと引っつけるのならいくらでも我慢出来る。
『…真島さんの髪の毛まだ濡れてる』
「自然乾燥でええ。すぐ乾くわ」
『ん…頭皮に良くないんですよ〜?禿げちゃってもしりませんからね?』
「ななしなら禿げた俺でも好きでおってくれるんやろうなぁ」
『禿げちゃったら考えます』
「ヒヒッ、一回や二回で禿げへんわ」
垂れてくる髪の房を手に取り濡れていると言うななしだが、今日はもう乾かす気力は無い。それにななしから離れるつもりもない。
真島は自身の髪に触れているななしの手をとり、その白い甲に唇を落とす。
柔らかさと温かさを確かめるように何度も唇を押し付けていると、だんだんとななしの大きな目が降りてくる。
そのまま寝てしまえばいいと「おやすみ、ななし」と囁けば彼女は小さく微笑んだ後小さな寝息を立て始めた。
「ホンマに寝つきがええやっちゃで」
真島は眠りについたななしの頭を撫でながらそっと呟いた。
普段仕事に追われて忙しなく働いるななし。
グランドにいる時はやけに達観していて、大人びている。
誰かが彼女に指示を出さなくても率先して働く姿は実年齢よりも遥かに年上のように感じさせた。
しかし腕の中ですやすやと眠る姿や、扇風機で声を変えて楽しむ姿は年相応に無邪気で可愛らしい。
グランドで働いていなければこの子はもっと自由に生きられるし、今のようにずっと無邪気でいられるのに。
「…ななし」
彼女の境遇を嘆いても何かが変わるわけでは無いが、願わくば年相応に無邪気で居られるような生活を送ることが出来るといい。
真島は眠っているななしの額に優しくキスをしながらそんな風に思うのだった。
(真島さん…おはよーです)
(おう、おはようさん)
(ん…まだ眠たいですね…)
(まだもう少し寝とってもええで。昼前や)
(起きます…真島さんとお話したいもん)
((…可愛ええ))
普段はキビキビ働いているし大人っぽいし、実年齢より上に見られているけどななしちゃんは未成年です。
たまに見せる年相応の無邪気な仕草に真島さんがきゅんきゅんしてたら可愛いなと思いかいお話です。
短めですみません!
時刻は朝の五時を回ろうとしており、空は若干明るくなりつつある。
そんな早朝、古びたアパートで風呂上がりの真島は髪をガシガシと拭っていた。
「ふぅー…」
疲労と微睡みから来る欠伸を盛大に零し、適当に髪を拭いていた真島の元に『あ〜〜』と少しビブラートがかかったような声が聞こえてくる。
声の主は今日一緒に真島のアパートに来ていた恋人であるななしだ。
二人はアパートにやって来てすぐ激しく体を重ね合わせており、その際ななしは寝落ちしてしまっている。
行為が終わり真島がななしの体を清めている間は気絶したように眠っていたが、どうやら風呂に入っている間に目が覚めてしまったらしい。
茶の間からななしの面白可笑しい声がひっきりなしに聞こえてくる。
何をしているかは不明だが、声が聞こえてくるだけで愛おしさが込み上げてくるようであった真島。
己の口角が自然に上がっていくのが分かり、小さな笑みが零れた。
きっと自分は今とんでもなく締まりのない顔をしているのだろうなと思いつつ、真島は笑みを絶やすことなくゆっくりと浴室の扉を開いた。
扉を開いた先の茶の間ではななしが布団の上に座っており、すぐ側にある扇風機に向かって声を発していたのだ。
なるほど、自分の声が変わるのを楽しんでいたのかと、ななしが意味もなく声を出していた理由を知り納得した真島。
彼女にしては子供っぽい行動だなと観察していると、未だに見られていと気づいていないのかななしは『わーれーわーれーはー、宇宙人だー』とゆっくり間延びした声で話すのだ。
まさか知的なななしがそんな事を言うとは想像すらしておらず、盗み見していた真島は思わず吹き出してしまった。
「フッ!ななしっ、宇宙人って…!」
『ま、真島さんっ!?み、見てたんですか!?』
「す、すまん!」
『わ、笑わないでくださいよ〜!』
流石に此方の存在に気がついたのかななしは勢いよく顔を起こした。
見られて笑われていることが恥ずかしかったか、顔を真っ赤にしながら『声掛けてくださいよ!』と若干怒っている。
そんなプンプンと怒る姿さえ小動物のようで可愛らしくて、真島はますます笑いが込み上げてくる。
腹を抱えながらひーひーと笑っていると、ななしは『笑いすぎです!』となおもプリプリと眉を釣り上げた。
「ななしが可愛ええさかい笑いがとまらんねん。許してや」
『意地悪です!』
「すまん、すまん。もう笑わんさかいそないに怒らんとってや」
『本当に笑いません?』
「笑わん。せやから機嫌直してや」
『約束ですよ?』
「おう、こっちおいでななし」
『ん…』
布団の端の方で小さくなってしまったななし。
流石に笑いすぎたかと反省しながら、ななしに手を差し出し小さな体ごと引き寄せて抱きしめてやる。
素直に胸に寄りかかったななしの背をあやす様に撫でていると、彼女は不服そうに『真島さん忘れてくださいね』とそう言う。
しかしばっちりがっちり目撃してしまったので忘れることは出来そうにない。
寧ろなかなか見ることが出来ないななしの無邪気な一面を垣間見たのだ、本人が嫌がっても絶対に忘れないつもりである。
「ま、扇風機で声変わるのやりたなる時もあるわな」
『…ふふふ、真島さんもあるんですか??』
「俺は卒業したんや」
『こういうのっていくつになってもやっちゃいそうです。アタシも早く卒業しなきゃですね』
「何言うとんねん。ななしは別に卒業せんでもええやん。やりたことすればええ。俺はそんなななしが愛おしいねん」
『呆れちゃったりしませんか?』
「全然せぇへん。むしろ最近こんな可愛ええ子に手ぇ出してもええんかたまに悩むくらいや」
『……ふふふ、普通に手出してるじゃないですか』
「ななしを前に我慢できひんさかいのぉ。許したってや」
『許すも何もアタシは真島さんと一緒にいられることが嬉しいんですからね』
「ヒヒッ、そないに可愛らしいこと言わんとってや。また"手ぇ出したなる"やろ」
『もうダメですよ。今日の仕事に備えて眠らなきゃ』
ななしの言うようにそろそろ眠って今日の勤務に備えなくてはならない時間だ。
昂りつつある熱をななしに押しつけなようにしながら、真島は落ち着くように人知れず深呼吸を繰り返した。
色々と疲れているであろうななしが腕の中で『ふわぁ…』と小さく欠伸をしたため、真島は彼女を抱きしめたまま布団へと倒れ込む。
二人にしては随分と狭く小さな布団であるが、こうして抱き合っていればなんてことは無い。
夏であるため些か暑いが、ななしと引っつけるのならいくらでも我慢出来る。
『…真島さんの髪の毛まだ濡れてる』
「自然乾燥でええ。すぐ乾くわ」
『ん…頭皮に良くないんですよ〜?禿げちゃってもしりませんからね?』
「ななしなら禿げた俺でも好きでおってくれるんやろうなぁ」
『禿げちゃったら考えます』
「ヒヒッ、一回や二回で禿げへんわ」
垂れてくる髪の房を手に取り濡れていると言うななしだが、今日はもう乾かす気力は無い。それにななしから離れるつもりもない。
真島は自身の髪に触れているななしの手をとり、その白い甲に唇を落とす。
柔らかさと温かさを確かめるように何度も唇を押し付けていると、だんだんとななしの大きな目が降りてくる。
そのまま寝てしまえばいいと「おやすみ、ななし」と囁けば彼女は小さく微笑んだ後小さな寝息を立て始めた。
「ホンマに寝つきがええやっちゃで」
真島は眠りについたななしの頭を撫でながらそっと呟いた。
普段仕事に追われて忙しなく働いるななし。
グランドにいる時はやけに達観していて、大人びている。
誰かが彼女に指示を出さなくても率先して働く姿は実年齢よりも遥かに年上のように感じさせた。
しかし腕の中ですやすやと眠る姿や、扇風機で声を変えて楽しむ姿は年相応に無邪気で可愛らしい。
グランドで働いていなければこの子はもっと自由に生きられるし、今のようにずっと無邪気でいられるのに。
「…ななし」
彼女の境遇を嘆いても何かが変わるわけでは無いが、願わくば年相応に無邪気で居られるような生活を送ることが出来るといい。
真島は眠っているななしの額に優しくキスをしながらそんな風に思うのだった。
(真島さん…おはよーです)
(おう、おはようさん)
(ん…まだ眠たいですね…)
(まだもう少し寝とってもええで。昼前や)
(起きます…真島さんとお話したいもん)
((…可愛ええ))
普段はキビキビ働いているし大人っぽいし、実年齢より上に見られているけどななしちゃんは未成年です。
たまに見せる年相応の無邪気な仕草に真島さんがきゅんきゅんしてたら可愛いなと思いかいお話です。
短めですみません!