小話集1
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(真島/恋人)
今日はなんだか仕事が身に入らない。普段どれだけ嫌々でもななしが事務所の中で待っているというだけで適当に終わらせる事が出来るのに。
何度気合いを入れても書類に写った文字は何重にも重なって見えるし、体もなんとなく疲れている。
特に激しい運動をした訳では無いのに、一体どうしたと言うのか。
はぁとため息をつき霞む隻眼をガシガシを擦っていた真島。自分ももう年かもしれない…と、なんとも言えぬ気持ちになっていると、部屋の中央にあるソファに座ったななしから『吾朗さん!』と声が掛けられた。
その声がなんだか慌てたような、切羽詰まったような…どこか怒りを含んだような声音であったため真島はゆっくりと顔を起こした。
視線があった彼女は『こっちに来てください』と自分の隣をバンバンと叩いている。
真島はなんだと思いながらもななしが促す通り立ち上がり、ソファの方へと歩みを進めた。
「どないしてん。まだ構ってやれんで」
『構って欲しいわけじゃないです!』
「ほな、なんや?」
『こっち座って』
「?」
なにか用事があったかと問うが明確な答えは帰ってこず。
ななしの行動に首を傾げていると、急に腕を引かれてソファにボスンと座ってしまった。
気を抜いていたとはいえななしの力で引っ張られただけで崩れるように座ってしまうとは思っておらず、真島は些か驚いたように目を瞬かせる。
思わず「怪力になったんか?」と彼女を見つめると『違うでしょ?鈍いんだから』と呆れたように言われてしまった。
「俺が鈍い?そないな事初めて言われたでぇ」
『貴方は自分のこととなると本当に鈍いです』
「自分のことやと?別に鈍ないわ、俺のことは俺がようさん分かっとる」
『じゃ、おでこ貸してください』
「でこぉ?」
『そうです!触りますよ!』
ななしはそう言うとその白く細い手を伸ばし、宣言通り前髪をかきあげると額に触れてくる。
額を覆うようにななしの手が乗ると、柔らかさと程よい冷たさがとても心地よい。
そのひんやりとした手の感覚に何故か一瞬で微睡みが訪れ、思わず瞼を閉じてしまう程だ。
なんとか半目を開き睡魔を振り払うが、触れている手はとにかく気持ちが良かった。
「あー、気持ちええ」
『やっぱり…吾朗さん。風邪です、風邪』
「あ?誰がやねん」
『だから貴方が風邪引いてるんですって』
「俺が風邪引いとる?そないな訳ないやろ」
『いいえ。断言します。吾朗さんは風邪を引いてます』
額に触れていた手はゆっくり降りてきて次は頬に触れた。
指の背でサワサワと撫でながら『やっぱり熱いですねぇ』とななしは言う。
自分では熱いという感覚は分からなかったが、ななしの小さな手が冷たく気持ちがいいと感じるのは確かだった。
それは彼女の言う通り熱を持っているからだろうか
真島は確かめる為に己の手で額に触れてみるが何も伝わらない。
分からんと首を傾げていると『手袋をつけたままじゃ分からないでしょう?』と。クスクス笑いながらななしに指摘されてしまった。
なるほどと思いつつ手袋を外し額に触れてみるが、やはり熱いかどうかは自分では分からない。
しかし自分では分からないがななしの言う通り風邪を引いているなら仕事に身が入らないことも倦怠感があることもなんとなく納得出来る。
「…分からん」
『安心してください。アタシには分かりますから』
「自信満々やのぉ」
『そりゃぁ、吾朗さんの事ですし。分かりますよ』
「ヒヒッ、俺の事やと分かるんか?」
『当たり前じゃないです。何年のお付き合いになると思ってるんですか』
「どやろなぁ」
ななしと人生を共にすると決め、二人寄り添い生きてきたのは今日で何年目になるだろうか。
両の指では数え切れぬ年数になっているのは確かだ。
『もう吾朗さんの事で分からない事なんてないんです。だから無理しないで少しでも寝てください』
"分からない事なんてない"
長い年月を共にし、愛し合ったからこそでてきた言葉なのだろう。
気付かぬうちにお互いを理解しあってここまで深く結びついていたのかと思うと、心の底から暖かな気持ちが込み上げてくる様であった。
自分で気づけない事もななしになら気づいてもらえる。
そんな関係性が愛おしくてたまらない。
真島は緩む口元を何となく隠しながら、「さすがななしやな」と小さく呟いた。
真島が優しい気持ちになっているとななしが『吾朗さん』とニコニコ笑いながら肩に手を置き、グイグイと力を入れてくる。
逆らうこと無く力に体を委ねると、頭はななしの柔らかな太ももに着地した。
どうやら今自分は膝枕をしてもらっているらしい。
『風邪を引いた時はゆっくり休むのが一番ですよ』
「ヒヒッ、…一緒に熱下げんのもありやないか?」
『…ありじゃないです。しばらく心も体も休めてください』
「こんなやわこい太もも触らせといてお預けなんてななしも悪いやっちゃなぁ」
『膝枕しただけです!触らせてあげるとは言ってません!』
「ま、言われんくても触るんやけどな」
『勝手に触るのは良いですけど、興奮しないで下さいよ〜』
「しゃあないやろ、ななしに触れとんのやぞ?好きな奴に触れて興奮せん男なんてこの世におらんわ」
『そうかもしれないですけど…貴方は今病人ですよ?少しは自重しないと、ね?』
「風邪なんてあってないようなもんやしな。スパイスみたいなもんや」
『馬鹿な事言ってないで休んでください』
下からななしの事を見上げていると、再びあの柔らかく冷たい手が今度は目を覆うように顔に乗せられた。
直ぐに視界が暗くなった為邪な気持ちを忘れ瞼を閉じると、自然と体の力が抜けていきまた微睡みが訪れてくる。
しかし今度は抗うことなく睡魔に身を任せることにした。
すると存外と早く意識が遠のき始めて、如何に自分の体が限界を迎えようとしていたのかを知る。
『ふふ、ゆっくり休んでくださいね』
「…おう」
ななしの空いている手が頭を撫でるように動かされた。
髪を梳くように優しく、そしてポンポンと宥めるように軽く。
何度も頭を行き来する手の安心感と心地良さは睡魔をこれでもかと増長させた。
色々とやり残したことがあったが、机に向かって仕事をしても身に入らない。なにより自分のことを一番よく分かってくれているななしにストップをかけられるに違いない。
それくらいならばいっそ、彼女の柔らかな太ももと優しさに触れながら一時だけでも休憩しよう。
目を覚ました時きっと今よりも心も体も楽になっているはずだから。
真島は手袋を外した手で目を覆うななしの手を掴んだ後、ゆっくりと意識を手放した。
『…ふふ、寝ちゃった』
聞こえてくる寝息に優しげにはにかんだななし。
起こしてしまわぬよに何度も丁寧に頭を撫でながら、『ゆっくり休んでくださいね』と小さくつぶやくのだった。
風邪を引いたら気付かないで仕事をしてそうな真島さん。これは支配人の頃からだったら萌える(訳:支配人時代も書きたい)
ななしちゃんはよく見てくれてるからすぐ気付く。
でも逆もまたしかりです。
今日はなんだか仕事が身に入らない。普段どれだけ嫌々でもななしが事務所の中で待っているというだけで適当に終わらせる事が出来るのに。
何度気合いを入れても書類に写った文字は何重にも重なって見えるし、体もなんとなく疲れている。
特に激しい運動をした訳では無いのに、一体どうしたと言うのか。
はぁとため息をつき霞む隻眼をガシガシを擦っていた真島。自分ももう年かもしれない…と、なんとも言えぬ気持ちになっていると、部屋の中央にあるソファに座ったななしから『吾朗さん!』と声が掛けられた。
その声がなんだか慌てたような、切羽詰まったような…どこか怒りを含んだような声音であったため真島はゆっくりと顔を起こした。
視線があった彼女は『こっちに来てください』と自分の隣をバンバンと叩いている。
真島はなんだと思いながらもななしが促す通り立ち上がり、ソファの方へと歩みを進めた。
「どないしてん。まだ構ってやれんで」
『構って欲しいわけじゃないです!』
「ほな、なんや?」
『こっち座って』
「?」
なにか用事があったかと問うが明確な答えは帰ってこず。
ななしの行動に首を傾げていると、急に腕を引かれてソファにボスンと座ってしまった。
気を抜いていたとはいえななしの力で引っ張られただけで崩れるように座ってしまうとは思っておらず、真島は些か驚いたように目を瞬かせる。
思わず「怪力になったんか?」と彼女を見つめると『違うでしょ?鈍いんだから』と呆れたように言われてしまった。
「俺が鈍い?そないな事初めて言われたでぇ」
『貴方は自分のこととなると本当に鈍いです』
「自分のことやと?別に鈍ないわ、俺のことは俺がようさん分かっとる」
『じゃ、おでこ貸してください』
「でこぉ?」
『そうです!触りますよ!』
ななしはそう言うとその白く細い手を伸ばし、宣言通り前髪をかきあげると額に触れてくる。
額を覆うようにななしの手が乗ると、柔らかさと程よい冷たさがとても心地よい。
そのひんやりとした手の感覚に何故か一瞬で微睡みが訪れ、思わず瞼を閉じてしまう程だ。
なんとか半目を開き睡魔を振り払うが、触れている手はとにかく気持ちが良かった。
「あー、気持ちええ」
『やっぱり…吾朗さん。風邪です、風邪』
「あ?誰がやねん」
『だから貴方が風邪引いてるんですって』
「俺が風邪引いとる?そないな訳ないやろ」
『いいえ。断言します。吾朗さんは風邪を引いてます』
額に触れていた手はゆっくり降りてきて次は頬に触れた。
指の背でサワサワと撫でながら『やっぱり熱いですねぇ』とななしは言う。
自分では熱いという感覚は分からなかったが、ななしの小さな手が冷たく気持ちがいいと感じるのは確かだった。
それは彼女の言う通り熱を持っているからだろうか
真島は確かめる為に己の手で額に触れてみるが何も伝わらない。
分からんと首を傾げていると『手袋をつけたままじゃ分からないでしょう?』と。クスクス笑いながらななしに指摘されてしまった。
なるほどと思いつつ手袋を外し額に触れてみるが、やはり熱いかどうかは自分では分からない。
しかし自分では分からないがななしの言う通り風邪を引いているなら仕事に身が入らないことも倦怠感があることもなんとなく納得出来る。
「…分からん」
『安心してください。アタシには分かりますから』
「自信満々やのぉ」
『そりゃぁ、吾朗さんの事ですし。分かりますよ』
「ヒヒッ、俺の事やと分かるんか?」
『当たり前じゃないです。何年のお付き合いになると思ってるんですか』
「どやろなぁ」
ななしと人生を共にすると決め、二人寄り添い生きてきたのは今日で何年目になるだろうか。
両の指では数え切れぬ年数になっているのは確かだ。
『もう吾朗さんの事で分からない事なんてないんです。だから無理しないで少しでも寝てください』
"分からない事なんてない"
長い年月を共にし、愛し合ったからこそでてきた言葉なのだろう。
気付かぬうちにお互いを理解しあってここまで深く結びついていたのかと思うと、心の底から暖かな気持ちが込み上げてくる様であった。
自分で気づけない事もななしになら気づいてもらえる。
そんな関係性が愛おしくてたまらない。
真島は緩む口元を何となく隠しながら、「さすがななしやな」と小さく呟いた。
真島が優しい気持ちになっているとななしが『吾朗さん』とニコニコ笑いながら肩に手を置き、グイグイと力を入れてくる。
逆らうこと無く力に体を委ねると、頭はななしの柔らかな太ももに着地した。
どうやら今自分は膝枕をしてもらっているらしい。
『風邪を引いた時はゆっくり休むのが一番ですよ』
「ヒヒッ、…一緒に熱下げんのもありやないか?」
『…ありじゃないです。しばらく心も体も休めてください』
「こんなやわこい太もも触らせといてお預けなんてななしも悪いやっちゃなぁ」
『膝枕しただけです!触らせてあげるとは言ってません!』
「ま、言われんくても触るんやけどな」
『勝手に触るのは良いですけど、興奮しないで下さいよ〜』
「しゃあないやろ、ななしに触れとんのやぞ?好きな奴に触れて興奮せん男なんてこの世におらんわ」
『そうかもしれないですけど…貴方は今病人ですよ?少しは自重しないと、ね?』
「風邪なんてあってないようなもんやしな。スパイスみたいなもんや」
『馬鹿な事言ってないで休んでください』
下からななしの事を見上げていると、再びあの柔らかく冷たい手が今度は目を覆うように顔に乗せられた。
直ぐに視界が暗くなった為邪な気持ちを忘れ瞼を閉じると、自然と体の力が抜けていきまた微睡みが訪れてくる。
しかし今度は抗うことなく睡魔に身を任せることにした。
すると存外と早く意識が遠のき始めて、如何に自分の体が限界を迎えようとしていたのかを知る。
『ふふ、ゆっくり休んでくださいね』
「…おう」
ななしの空いている手が頭を撫でるように動かされた。
髪を梳くように優しく、そしてポンポンと宥めるように軽く。
何度も頭を行き来する手の安心感と心地良さは睡魔をこれでもかと増長させた。
色々とやり残したことがあったが、机に向かって仕事をしても身に入らない。なにより自分のことを一番よく分かってくれているななしにストップをかけられるに違いない。
それくらいならばいっそ、彼女の柔らかな太ももと優しさに触れながら一時だけでも休憩しよう。
目を覚ました時きっと今よりも心も体も楽になっているはずだから。
真島は手袋を外した手で目を覆うななしの手を掴んだ後、ゆっくりと意識を手放した。
『…ふふ、寝ちゃった』
聞こえてくる寝息に優しげにはにかんだななし。
起こしてしまわぬよに何度も丁寧に頭を撫でながら、『ゆっくり休んでくださいね』と小さくつぶやくのだった。
風邪を引いたら気付かないで仕事をしてそうな真島さん。これは支配人の頃からだったら萌える(訳:支配人時代も書きたい)
ななしちゃんはよく見てくれてるからすぐ気付く。
でも逆もまたしかりです。