小話集1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(恋人)
『ふふふ』
「ん?どないしたん?」
今日の営業も終わりグランドの施錠を行っていた真島の後方から、鈴の音のようにコロコロ笑うななしの声が聞こえてくる。
振り返ってみるとななしはやはり何かが面白いらしくクスクスと口元に手を当てながら小さく笑っていた。
「どないしたん?そないにおもろいもん見つけたんか?」
正面入口の施錠をし開かない事を確認した後真島は階段を降り、未だに柔らかい笑みを浮かべているななしに問うてみた。
『ふふふ、面白いと言うか可愛いですかね』
「可愛い?ななしがそないに笑うほど可愛いもんなんか近くにあるか?」
『はい、ありますよ』
「独り占めせんと俺にもお教えてや」
『真島さんからは少し見辛いかもしれないですね』
「見辛い?どっか遠くにあるんか?」
未だに肩を揺らし笑っているななしに真島も口元を緩めながら、首をかしげ答えを待っていると彼女はおもむろにこちらを指さしてくる。
自分が指さされどういうこっちゃとますます疑問に思う真島だが、ななしが『馬のしっぽみたいで可愛んです』と言うのでようやく笑っている理由が結ってある"髪の毛"だと言うことを理解した。
「俺の髪の事言うとったんか?せやけどななしが笑うほど可愛ええもんでもないやろ」
『ふふ、真島さんからは見えないからそう思うんですよ。歩くとユラユラ揺れたり、肩にかかったりするのってなんだかとても表情豊かで可愛らしいんです』
「あんまよぉ分からんな…」
ななしの言う可愛らしいはよく理解できなかったが、確かに馬のしっぽ(馬のしっぽも可愛いとは思えないが)のように見えなく無いのかもしれない。
しかし男のごわついた髪を無造作に束ねてあるだけでななしが嬉しそうに笑ってくれると言うのなら、それも悪くは無い。
ただもしななしが髪を高くで結び、笑う度に弛たい、歩く度に靡かせている姿を見た時。きっと今の彼女と同じように自分も"可愛い"と思いきっと惚けたツラをするのだろう。
髪を靡かせ笑う彼女に鼻の下を伸ばす自分が容易く想像出来て、「まぁ、分からんくも無いかもしれんな」と曖昧な返事を送った。
『ふふふ、いつも仕事中に元気もらってるんですよ〜』
「こんなんで元気貰えるんならいつでも見てや」
『はい、明日もがっつり見ますね』
「仕事失敗せんように気ぃ付けるんやで」
『勿論です』
『じゃ、帰りましょうか』と促したななしに頷いた真島は、彼女の手をゆっくり取ると帰路に向け足を動かした。
一歩後ろを歩くななしは未だにクスクス笑っており、きっと揺れている髪を見ているのだろう。
『それにしても真島さんの髪綺麗ですね。本当にサラサラしてる』
「適当に洗っとるだけやけどな」
『え!?適当でこんなにサラサラになるんですか!?う、羨ましいです。アタシの髪とは大違いです』
「俺の髪なんかよりななしの髪の方がふわふわで綺麗やと思うけどな」
『き、綺麗ですか?』
ちらりと肩口から後ろを歩くななしの黒い髪を見つめてみる。
自分の髪なんかよりも細く肌理細かい髪は、フワフワと柔らかそうで。月明かりまでもが反射し、黒い髪をキラキラと彩っており、やはり自分なんかよりもずっとずっと綺麗に見えた。
『でも湿気でクルクルになるし、寝癖は酷いし…。ストレートな真島さんが羨ましいです』
「気にせんでもようけ似合っとんで。ななし」
『ふふ、真島さんにそういってもらえると嬉しいなぁ』
白い頬を桃色に染めて嬉しそうに顔を綻ばせたななし。
人目もはばからず抱きしめてしまいそうになる腕をなんとか押しとどめ、ななしの家に向かう足を早めた。
『わわ、どうしました?真島さん』
「なんでもあらへん」
『早く歩くとめちゃくちゃ揺れてますよ!ふふ、やっぱり馬のしっぽみたいですね』
「ヒヒッ、まだ言うとんか?」
『だって可愛いんだもん』
どっちがや。可愛ええのは。
口から飛び出しそうになった言葉を飲み込んで、真島は小さく笑っている彼女を力いっぱいに抱きしめたい一心でひたすら足を動かした。
atgk
旧サイトで書いたsss。お気に入りのお話だったので思い出しながら書いてみた。
揺れる髪の毛可愛いですよね。
『ふふふ』
「ん?どないしたん?」
今日の営業も終わりグランドの施錠を行っていた真島の後方から、鈴の音のようにコロコロ笑うななしの声が聞こえてくる。
振り返ってみるとななしはやはり何かが面白いらしくクスクスと口元に手を当てながら小さく笑っていた。
「どないしたん?そないにおもろいもん見つけたんか?」
正面入口の施錠をし開かない事を確認した後真島は階段を降り、未だに柔らかい笑みを浮かべているななしに問うてみた。
『ふふふ、面白いと言うか可愛いですかね』
「可愛い?ななしがそないに笑うほど可愛いもんなんか近くにあるか?」
『はい、ありますよ』
「独り占めせんと俺にもお教えてや」
『真島さんからは少し見辛いかもしれないですね』
「見辛い?どっか遠くにあるんか?」
未だに肩を揺らし笑っているななしに真島も口元を緩めながら、首をかしげ答えを待っていると彼女はおもむろにこちらを指さしてくる。
自分が指さされどういうこっちゃとますます疑問に思う真島だが、ななしが『馬のしっぽみたいで可愛んです』と言うのでようやく笑っている理由が結ってある"髪の毛"だと言うことを理解した。
「俺の髪の事言うとったんか?せやけどななしが笑うほど可愛ええもんでもないやろ」
『ふふ、真島さんからは見えないからそう思うんですよ。歩くとユラユラ揺れたり、肩にかかったりするのってなんだかとても表情豊かで可愛らしいんです』
「あんまよぉ分からんな…」
ななしの言う可愛らしいはよく理解できなかったが、確かに馬のしっぽ(馬のしっぽも可愛いとは思えないが)のように見えなく無いのかもしれない。
しかし男のごわついた髪を無造作に束ねてあるだけでななしが嬉しそうに笑ってくれると言うのなら、それも悪くは無い。
ただもしななしが髪を高くで結び、笑う度に弛たい、歩く度に靡かせている姿を見た時。きっと今の彼女と同じように自分も"可愛い"と思いきっと惚けたツラをするのだろう。
髪を靡かせ笑う彼女に鼻の下を伸ばす自分が容易く想像出来て、「まぁ、分からんくも無いかもしれんな」と曖昧な返事を送った。
『ふふふ、いつも仕事中に元気もらってるんですよ〜』
「こんなんで元気貰えるんならいつでも見てや」
『はい、明日もがっつり見ますね』
「仕事失敗せんように気ぃ付けるんやで」
『勿論です』
『じゃ、帰りましょうか』と促したななしに頷いた真島は、彼女の手をゆっくり取ると帰路に向け足を動かした。
一歩後ろを歩くななしは未だにクスクス笑っており、きっと揺れている髪を見ているのだろう。
『それにしても真島さんの髪綺麗ですね。本当にサラサラしてる』
「適当に洗っとるだけやけどな」
『え!?適当でこんなにサラサラになるんですか!?う、羨ましいです。アタシの髪とは大違いです』
「俺の髪なんかよりななしの髪の方がふわふわで綺麗やと思うけどな」
『き、綺麗ですか?』
ちらりと肩口から後ろを歩くななしの黒い髪を見つめてみる。
自分の髪なんかよりも細く肌理細かい髪は、フワフワと柔らかそうで。月明かりまでもが反射し、黒い髪をキラキラと彩っており、やはり自分なんかよりもずっとずっと綺麗に見えた。
『でも湿気でクルクルになるし、寝癖は酷いし…。ストレートな真島さんが羨ましいです』
「気にせんでもようけ似合っとんで。ななし」
『ふふ、真島さんにそういってもらえると嬉しいなぁ』
白い頬を桃色に染めて嬉しそうに顔を綻ばせたななし。
人目もはばからず抱きしめてしまいそうになる腕をなんとか押しとどめ、ななしの家に向かう足を早めた。
『わわ、どうしました?真島さん』
「なんでもあらへん」
『早く歩くとめちゃくちゃ揺れてますよ!ふふ、やっぱり馬のしっぽみたいですね』
「ヒヒッ、まだ言うとんか?」
『だって可愛いんだもん』
どっちがや。可愛ええのは。
口から飛び出しそうになった言葉を飲み込んで、真島は小さく笑っている彼女を力いっぱいに抱きしめたい一心でひたすら足を動かした。
atgk
旧サイトで書いたsss。お気に入りのお話だったので思い出しながら書いてみた。
揺れる髪の毛可愛いですよね。