小話集1
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(支配人/恋人)
『これの事かぁ…』
ななしは鏡に映る自身の首を見つめながらそう呟いた。
耳のすぐ下。ちょうどワイシャツの襟からはみ出る肌に、真っ赤に浮かぶのは小さな内出血。それは俗に言う"キスマーク"であり、ななしの首筋で存在を主張している。
『全然気が付かなかった…』
ななしは恋人である真島から昨晩付けられたであろうキスマークを指でなぞる。
昼になりグランドに出勤するまでの間、ななしは自身の首筋にあるキスマークの存在に気がついていなかった。
その存在に気がついたのはグランドに出勤し忙しなく準備をしている際、キャストに「あ!無名君、やらし〜」とイタズラに指摘されてからである。
まさか自分の首筋に…しかも誰もが見える位置にキスマークが付いているとは思っておらずななしは慌てふためいた。
襟を引っ張ったり髪を流したりしてみたものの、まるで調整されたかのように絶妙な位置に付いているキスマークはなにをしても隠すことが出来なかったのだ。
結局グランドが終了するまでの数時間。ななしはキスマークを晒しながら仕事を続けることとなる。
幾度となくキャストやお客に見つかり茶化された為、今日の仕事は普段よりもどっと疲れたように思えた。
しかし茶化すキャストは皆口を揃えて「愛されとんのやねぇ」と、微笑ましそうにそう言う為悪い気はしなかったのも事実。
それから清掃や明日の準備をして真島と二人で帰路に着いた頃。
『真島さん、き…キスマーク付けてたんですか?皆に指摘されちゃいましたよ??』と少し咎めるように真島に言えば彼は「すまん、見えんようにしたつもりやってん」とどこか嬉しそうに口元を緩めていた。
きっと本当に悪気などはなくて、彼なりの愛情表現なのだろう。
それにななしも茶化されるのは気恥しいが、愛おしい真島から与えられるキスマークは吝かでは無い。
寧ろ彼の独占したいという気持ちの表れのような気がして、こちらまで嬉しくなる。
キスマークの事や真島の事を思い出していると、自然と顔に熱が集まってくる。
火照る頬を抑えながらチラリと鏡をみると、そこにはモジモジと小さくなっている自分の姿が映っていた。
顔を赤くし一人悶える様はまるで恋する乙女の様で。そんな姿を目の当たりにすると自分にも女の子らしい一面があったのかと、妙な気持ちになってしまう。
自分らしくないと感じながらもななしは、再び首筋に付いているキスマークを指でなぞった。
肌の感触しかしないが、内側にはたしかな熱を感じる。
───…真島さんはここにいないのに…真島さんの体温を感じているみたい…
キスマーク一つでまるで真島が傍に居るような感覚になるのは、恋人からの確かな愛を感じ心が満たされるからであろう。
『……真島さんもそう思ってくれるかなぁ…』
自分がそう思うように真島も目に見える愛を体に刻まれた時、心満たされてくれるだろうか。
もし嬉しいと、温かいと感じてくれるのなら自分も真島にキスマークを付けてみたい。
それにキスマークを付けることで真島に好意を寄せ色目を使うキャスト達への牽制にもなるかもしれない。
『…よし!』
キスマークを付けることにデメリットはほとんど無い。
自己満足でしかないが色々と決意したななしは、真島さんにキスマークをつけ返す!と一人ガッツポーズを取った。
しかしななしには一つだけ問題があった。
それはキスマークを一度も付けたことがなく、さらに付け方さえ知らないということ。
真島から幾度となく付けられてきてはいるものの、それらの殆どは激しい行為の後に気がつく。
そのため彼がどういう風に痕を残しているのかを全く知らない。
『うーん…』
キスマークを付ける!と息巻いて上手く付けられなかったらそれこそ赤っ恥だ。
ななしはどうすれば真島の様に上手くキスマークをつけることが出来るだろうかと一人頭を悩ませる。
しかし悩んでいるだけではどうしても想像する事が出来ず。考え抜いた結果、ななしは物は試しだと己の腕に唇を寄せて予行練習をしてみることにしたのだ。
ななしは自分の腕に唇を引っつけて軽く吸い付いてみる。
肌は若干赤くなるものの、真島がつけたものとは違い全体的に薄く、直ぐに消えてしまう。
時間が短のか?と先程より長く唇で吸い着いてみるが、結果はほとんど変わらず。肌は赤くなりはするが直ぐに普通の色に戻ってしまった。
あぁでもないこうでもないと、自分の腕に唇を寄せては離してを繰り返したななし。
傍から見れば異様な光景だが、今ここはななしの住むアパート。咎めるものは誰もいない。
思う存分に検証に検証を重ねて、開始から15分程が経過した頃。
ようやくななしの白い腕には赤い痕が二つできていた。
『よ、よかった…』
大事なのは肌や唇を濡らすこと、それから舌を使うこと。
ただがむしゃらに吸うのではなくて、口の中の空気をなくし真空状態にしてから吸うのが大事だったようだ。
これで明日、グランドで真島に会った際キスマークを付けることが出来るだろうか。
真島が付けたようにギリギリ見えるか見えないか、絶妙な箇所に残してやろう。
そしてグランドのキャストやお客さんから面白おかしく茶化されればいい。
きっと聞かれる度に面倒だと思うだろうが、それは今日一日散々茶化されたななしからの少しばかりの仕返しだ。
『ふふ、明日早く出勤しなくちゃね』
ななしは自分で上手く付けたキスマークを撫でた後、いつもより早くグランドに赴くために就寝の準備を始めた。
まずは一日働いてかいた汗を流すために風呂に入らなくてはならない。
用意してあったパジャマを持っていそいそと風呂場に向かったななし。
しかしこの時のななしはまだ知る由もない。
自分で付けた二つのキスマークが少しの波乱を呼ぶことを。
続きます!
『これの事かぁ…』
ななしは鏡に映る自身の首を見つめながらそう呟いた。
耳のすぐ下。ちょうどワイシャツの襟からはみ出る肌に、真っ赤に浮かぶのは小さな内出血。それは俗に言う"キスマーク"であり、ななしの首筋で存在を主張している。
『全然気が付かなかった…』
ななしは恋人である真島から昨晩付けられたであろうキスマークを指でなぞる。
昼になりグランドに出勤するまでの間、ななしは自身の首筋にあるキスマークの存在に気がついていなかった。
その存在に気がついたのはグランドに出勤し忙しなく準備をしている際、キャストに「あ!無名君、やらし〜」とイタズラに指摘されてからである。
まさか自分の首筋に…しかも誰もが見える位置にキスマークが付いているとは思っておらずななしは慌てふためいた。
襟を引っ張ったり髪を流したりしてみたものの、まるで調整されたかのように絶妙な位置に付いているキスマークはなにをしても隠すことが出来なかったのだ。
結局グランドが終了するまでの数時間。ななしはキスマークを晒しながら仕事を続けることとなる。
幾度となくキャストやお客に見つかり茶化された為、今日の仕事は普段よりもどっと疲れたように思えた。
しかし茶化すキャストは皆口を揃えて「愛されとんのやねぇ」と、微笑ましそうにそう言う為悪い気はしなかったのも事実。
それから清掃や明日の準備をして真島と二人で帰路に着いた頃。
『真島さん、き…キスマーク付けてたんですか?皆に指摘されちゃいましたよ??』と少し咎めるように真島に言えば彼は「すまん、見えんようにしたつもりやってん」とどこか嬉しそうに口元を緩めていた。
きっと本当に悪気などはなくて、彼なりの愛情表現なのだろう。
それにななしも茶化されるのは気恥しいが、愛おしい真島から与えられるキスマークは吝かでは無い。
寧ろ彼の独占したいという気持ちの表れのような気がして、こちらまで嬉しくなる。
キスマークの事や真島の事を思い出していると、自然と顔に熱が集まってくる。
火照る頬を抑えながらチラリと鏡をみると、そこにはモジモジと小さくなっている自分の姿が映っていた。
顔を赤くし一人悶える様はまるで恋する乙女の様で。そんな姿を目の当たりにすると自分にも女の子らしい一面があったのかと、妙な気持ちになってしまう。
自分らしくないと感じながらもななしは、再び首筋に付いているキスマークを指でなぞった。
肌の感触しかしないが、内側にはたしかな熱を感じる。
───…真島さんはここにいないのに…真島さんの体温を感じているみたい…
キスマーク一つでまるで真島が傍に居るような感覚になるのは、恋人からの確かな愛を感じ心が満たされるからであろう。
『……真島さんもそう思ってくれるかなぁ…』
自分がそう思うように真島も目に見える愛を体に刻まれた時、心満たされてくれるだろうか。
もし嬉しいと、温かいと感じてくれるのなら自分も真島にキスマークを付けてみたい。
それにキスマークを付けることで真島に好意を寄せ色目を使うキャスト達への牽制にもなるかもしれない。
『…よし!』
キスマークを付けることにデメリットはほとんど無い。
自己満足でしかないが色々と決意したななしは、真島さんにキスマークをつけ返す!と一人ガッツポーズを取った。
しかしななしには一つだけ問題があった。
それはキスマークを一度も付けたことがなく、さらに付け方さえ知らないということ。
真島から幾度となく付けられてきてはいるものの、それらの殆どは激しい行為の後に気がつく。
そのため彼がどういう風に痕を残しているのかを全く知らない。
『うーん…』
キスマークを付ける!と息巻いて上手く付けられなかったらそれこそ赤っ恥だ。
ななしはどうすれば真島の様に上手くキスマークをつけることが出来るだろうかと一人頭を悩ませる。
しかし悩んでいるだけではどうしても想像する事が出来ず。考え抜いた結果、ななしは物は試しだと己の腕に唇を寄せて予行練習をしてみることにしたのだ。
ななしは自分の腕に唇を引っつけて軽く吸い付いてみる。
肌は若干赤くなるものの、真島がつけたものとは違い全体的に薄く、直ぐに消えてしまう。
時間が短のか?と先程より長く唇で吸い着いてみるが、結果はほとんど変わらず。肌は赤くなりはするが直ぐに普通の色に戻ってしまった。
あぁでもないこうでもないと、自分の腕に唇を寄せては離してを繰り返したななし。
傍から見れば異様な光景だが、今ここはななしの住むアパート。咎めるものは誰もいない。
思う存分に検証に検証を重ねて、開始から15分程が経過した頃。
ようやくななしの白い腕には赤い痕が二つできていた。
『よ、よかった…』
大事なのは肌や唇を濡らすこと、それから舌を使うこと。
ただがむしゃらに吸うのではなくて、口の中の空気をなくし真空状態にしてから吸うのが大事だったようだ。
これで明日、グランドで真島に会った際キスマークを付けることが出来るだろうか。
真島が付けたようにギリギリ見えるか見えないか、絶妙な箇所に残してやろう。
そしてグランドのキャストやお客さんから面白おかしく茶化されればいい。
きっと聞かれる度に面倒だと思うだろうが、それは今日一日散々茶化されたななしからの少しばかりの仕返しだ。
『ふふ、明日早く出勤しなくちゃね』
ななしは自分で上手く付けたキスマークを撫でた後、いつもより早くグランドに赴くために就寝の準備を始めた。
まずは一日働いてかいた汗を流すために風呂に入らなくてはならない。
用意してあったパジャマを持っていそいそと風呂場に向かったななし。
しかしこの時のななしはまだ知る由もない。
自分で付けた二つのキスマークが少しの波乱を呼ぶことを。
続きます!