小話集1
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(支配人/恋人)
「無名、今ええか?」
『はい、大丈夫ですよ!』
「ほなちょっとついてきてくれるか?」
『?わ、わかりました!』
空いたテーブルの清掃を行っていたななしに小さく声を掛けたのはグランドの支配人である真島だった。
真島はななしの恋人でもある。
同じ職場で働く従業員たちは真島とななしが恋人関係にある事は知らず、彼らもまた極力知られないようにと常日頃気をつけている。
その為できるだけグランドが営業している最中は関わり合わないという暗黙のルールが存在していた。
営業中二人が出来ることと言えば精々アイコンタクトをとったりすることくらいだ。
しかし今日の真島は普段とは少し違うらしい。
今もグランドは営業中だが真島はわざわざななしを探し、ついてくるようにと促したのだ。
勿論仕事の話という可能性もあるのだが、もしそうであるなら移動する必要もなくその場で指示を出すはずだ。
わざわざホールから移動するのだからなにかしら理由があるのかもしれない、とななしは普段より姿勢良く歩く真島の後を小走りで追いかけた。
ホールからバックヤードを進み、次はどこへ向かうのだろうと真島の背中を見つめていると、二階へ通じる階段に到着した。
グランドは二階建てであり、ホールでの二階はVIPルーム、バックヤードでは在庫部屋(という名の物置)となっている。
ホールの二階を行き来することは度々あるが、バックヤードの二階に行くことは殆どない。
ななしは普段使うことない階段を興味深そうに眺めた。
殆ど使われていない為階段は少し寂れており、蛍光灯も長らく変えられていないのかチカチカと点滅している。
仄暗いためかなり不気味であると思いながら、壁を頼りに進んでいると「暗いさかい気ぃつけやななし」と真島の大きな手が差し伸べられた。
『あ、ありがとうございます』
「おう」
真島の優しさと心遣いにキュンとときめきながら差し出された大きな手に己の手を重ねる。
すると直ぐに暖かな温もりに包まれて、真島と手を繋ぐ形となった。
普段働いている最中に触れ合うというスキンシップは取れないため、なんだか妙にソワソワとしてしまう。
皆が働く中二人で手を繋いでいるという背徳感と、微かな緊張感に心臓が早鐘を打つようだった。
「付いたでななし」
『…ここは』
「屋上、やな」
真島の歩みが止まったと顔を上げれば二階の隅にある非常口と書かれた扉が見えた。
真島が言うにはこの奥は屋上となっているらしい。
『えっと…屋上になんの用事があるんでしょう?』
「外出たら直ぐ分かると思うわ」
『なるほど?』
「ほな、おいでななし」
『は、はい!』
仕事の用事で屋上に来るはずがない。
では一体どんな用事があってここに呼び出されたのか。まるで想像が出来なかったななしは疑問に思いながらも、扉を開き招くように手を引く紳士的な真島に導かれ、屋上に足を踏み入れた。
瞬間ムワッと蒸し暑い風が全身を覆い、顔を歪めてしまう。
夜でもこんなに暑いのか…と、夏の夜に少しうんざりしているとななしの耳に聞こえてくる、大きく重たい音。
『えっ、まさかこれって…』
「おう、そのまさかや」
あまりに大きく轟くため地面さえも震えているように感じる音。体の奥に響くような重厚感のある音。
そして答えた真島のどこか楽しそうな顔を見たななしはここに連れてこられた理由も、音の正体も理解した。
この音は打ち上げ花火。
そして真島が仕事中にもかかわらず自分を屋上に連れてきた理由は打ち上げ花火を見せようとしてくれたから。
『見えるんですか!?』
「ビルとビルの間やけどな。この方角から見えるで」
『こっちですね!』
真島の指さす方角へ体ごと向けたななし。
音は響いてくるが姿はまだ見えない。
『真島さん、これを見せようとしてくれたんですね』
「おう、せやけどちょうど働いとる時しかやらんし、こうしてななし連れて抜け出してきたっちゅう訳や」
『なるほど、そうだったんですね。ふふふ、ありがとうございます。とっても嬉しいし、ワクワクします!』
「あんまり前のめりになったらアカン。落ちてまうで」
『ふふふ、落ちませんよ』
「ホンマかぁ?」
『ホンマですぅ』
手すりに掴まり背伸びをしていると危なっかしいと思ったのか、真島が後ろから包むように腕を伸ばしてくる。
そのまま真島も手すりを掴んだためななしは彼の逞しい腕の間に閉じ込められるような形となった。
仕事中に大好きな真島とこんなにも密着して、遠くで打ち上がる花火を見ることが出来る。
これ程嬉しくて幸せなことは無い、ななしは後ろに立っている真島に少し凭れ顔を見上げながら再度『ありがとうございます』と感謝の気持ちを伝えた。
そうすると真島も嬉しそうに目を細めて笑うため、ななしの心は更に温かい気持ちで満たされる。
「お、赤いの見えんでななし」
『あ、見えますね!綺麗〜!』
「せやけどホンマにちょっとしか見えへんな」
『ビルが多いし仕方ないですよ。でも少し見えるだけでも綺麗なのは凄く伝わってきますし、夏って感じがします!』
目の前には二階建てのグランドよりも大きなビルや建物が乱立しており、花火の全容が見れる訳では無かった。
真島は少ししか見えないと不満そうにしているが働きっぱなしでこうした行事とは全く縁がないななしにとっては少しでも花火を感じられたことがとても嬉しかった。
例え隙間からチラリと見える程度の打ち上げ花火だったとしてもだ。色とりどりで美しく、ななしの心を楽しませてくれる。
それに真島が"見せたい"と仕事中に屋上へ連れ出してくれたことで打ち上げ花火を共有できたこともとても嬉しかった。
見せたいと思ってくれた事、そして長年見る事が出来なかった打ち上げ花火に引き合わせてくれたこと。
真島の行動や優しい気持ちに、感謝と愛おしさが募る。
「そないに嬉しそうに笑てくれるんやったらサボった甲斐があるっちゅうもんや」
『ん、真島さん』
真島の優しさに胸を高鳴らせていると、手すりを掴んでいた逞しい手が抱きしめるように腹に回され凭れていた背中がより彼の腹や胸筋に密着する。
二人の距離がゼロになると先程よりも更に暑さを感じたが、それよりも愛おしい恋人と触れ合うことで得られる幸福感が勝って離れるという選択肢は直ぐに消え去った。
寧ろもっと真島の体温を感じたいと、ななしはぐるりと向きを変えて正面から腕を回して大きな体に抱きついた。
「…ななし」
『ん、はい。どうしました?』
優しく頭を撫でてくれる真島に名を呼ばれてゆっくりと顔を起こすと、こちらを見つめる隻眼と視線が合わさる。
とても綺麗な黒の瞳だと思い眺めていると真島は「来年も一緒に見ような」と、低くも優しい声音でそう言うのだ。
『も、もちろんです!アタシも、アタシもそうしたいです…』
「…ほんで時間とか仕事なんかに縛られんと、二人で綺麗に見える場所探そうな」
『…うん。探そうね。真島さん』
ゆっくりと降りてくる薄い唇にななしは応えるように己の唇を押し当て、仕事中だということも忘れ触れ合うだけのキスをした。
お互い理由があってグランドで働いていて、どうにもならないのが現状だ。
抜け出すことが出来るのかもまだ分からない。未来がどうなるかも分からないし、生きるか死ぬかも分からない。
そんな暗く鬱々とした毎日だが、いつかこの先。全てのしがらみから解放され自由になった暁には、なんの気兼ねもなく今日のように二人で打ち上げ花火を見よう。
真島の言葉の真意に気がついたななしは眉尻を下げながらもしっかりと頷いた。真島の望みはななしの望みでもある。
ななしは真島の頬に両手を宛てがい、己にグッと引き寄せる。
前のめりになってくれた真島の額に己の額をくっつけながら『愛してます、真島さん』と小さく呟いた。
同時に遙か遠くで響いた打ち上げ花火の音。
ななしの小さな呟きがかき消されてしまいそうな程大きい。
しかし真島の耳にはななしの言葉はしっかりと届いていたようで、額をくっつけながら彼もまた「愛しとる」と、愛を囁いた。
『真島さん。お仕事戻りましょうか』
「……」
『ふふふふっ。嫌だって顔に書いてありますね〜』
「おう、嫌やしな」
『アタシも本当はもっと真島さんと一緒にいたいんです。でもアタシ達はまだまだやらなきゃならない事がたくさんあるじゃないですか、ね?』
「せやな…。はぁ、今すぐななしつれて人のおらん島に行きたい気分や」
『ふふっ、じゃあいつかバカンス行きましょうね?それからそこで花火しましょうね!』
「それはめちゃくちゃええ案やな」
『今から楽しみです!』
「俺も楽しみにしとくわ」
『はい!』
本当はまだまだ二人の時間を堪能したかったが仕事をサボると言う訳にも行かず、渋々元来た道を戻る。
『じゃぁ、支配人。私は一旦キッチンに行きますね』
「おう、頼んだで無名」
グランドの中に入ってしまえば恋人では居られない。支配人と従業員という関係に戻ってしまうためななしは少し寂しく感じられた。
だがこの先いつか訪れるかもしれない真島といる穏やかな未来を考えると自然と力が湧いてきて。
ななしは歩き去る真島の背中を一瞥した後、自分もまた振り返りキッチンへと向かった。
『頑張ろっ!』
そうして今日もななしと真島はグランドで必死に働くのだ。
グランドで働いている頃はまだまだ大変だったであろう二人。でもお互いなんとか働いて生きて最終的には明るい未来が訪れます。
ななしちゃんは今日も組長真島さんから愛されていることでしょう!
夏らしく"打ち上げ花火"を題材にしてみましたが…あまり活躍しませんでしたね…笑
「無名、今ええか?」
『はい、大丈夫ですよ!』
「ほなちょっとついてきてくれるか?」
『?わ、わかりました!』
空いたテーブルの清掃を行っていたななしに小さく声を掛けたのはグランドの支配人である真島だった。
真島はななしの恋人でもある。
同じ職場で働く従業員たちは真島とななしが恋人関係にある事は知らず、彼らもまた極力知られないようにと常日頃気をつけている。
その為できるだけグランドが営業している最中は関わり合わないという暗黙のルールが存在していた。
営業中二人が出来ることと言えば精々アイコンタクトをとったりすることくらいだ。
しかし今日の真島は普段とは少し違うらしい。
今もグランドは営業中だが真島はわざわざななしを探し、ついてくるようにと促したのだ。
勿論仕事の話という可能性もあるのだが、もしそうであるなら移動する必要もなくその場で指示を出すはずだ。
わざわざホールから移動するのだからなにかしら理由があるのかもしれない、とななしは普段より姿勢良く歩く真島の後を小走りで追いかけた。
ホールからバックヤードを進み、次はどこへ向かうのだろうと真島の背中を見つめていると、二階へ通じる階段に到着した。
グランドは二階建てであり、ホールでの二階はVIPルーム、バックヤードでは在庫部屋(という名の物置)となっている。
ホールの二階を行き来することは度々あるが、バックヤードの二階に行くことは殆どない。
ななしは普段使うことない階段を興味深そうに眺めた。
殆ど使われていない為階段は少し寂れており、蛍光灯も長らく変えられていないのかチカチカと点滅している。
仄暗いためかなり不気味であると思いながら、壁を頼りに進んでいると「暗いさかい気ぃつけやななし」と真島の大きな手が差し伸べられた。
『あ、ありがとうございます』
「おう」
真島の優しさと心遣いにキュンとときめきながら差し出された大きな手に己の手を重ねる。
すると直ぐに暖かな温もりに包まれて、真島と手を繋ぐ形となった。
普段働いている最中に触れ合うというスキンシップは取れないため、なんだか妙にソワソワとしてしまう。
皆が働く中二人で手を繋いでいるという背徳感と、微かな緊張感に心臓が早鐘を打つようだった。
「付いたでななし」
『…ここは』
「屋上、やな」
真島の歩みが止まったと顔を上げれば二階の隅にある非常口と書かれた扉が見えた。
真島が言うにはこの奥は屋上となっているらしい。
『えっと…屋上になんの用事があるんでしょう?』
「外出たら直ぐ分かると思うわ」
『なるほど?』
「ほな、おいでななし」
『は、はい!』
仕事の用事で屋上に来るはずがない。
では一体どんな用事があってここに呼び出されたのか。まるで想像が出来なかったななしは疑問に思いながらも、扉を開き招くように手を引く紳士的な真島に導かれ、屋上に足を踏み入れた。
瞬間ムワッと蒸し暑い風が全身を覆い、顔を歪めてしまう。
夜でもこんなに暑いのか…と、夏の夜に少しうんざりしているとななしの耳に聞こえてくる、大きく重たい音。
『えっ、まさかこれって…』
「おう、そのまさかや」
あまりに大きく轟くため地面さえも震えているように感じる音。体の奥に響くような重厚感のある音。
そして答えた真島のどこか楽しそうな顔を見たななしはここに連れてこられた理由も、音の正体も理解した。
この音は打ち上げ花火。
そして真島が仕事中にもかかわらず自分を屋上に連れてきた理由は打ち上げ花火を見せようとしてくれたから。
『見えるんですか!?』
「ビルとビルの間やけどな。この方角から見えるで」
『こっちですね!』
真島の指さす方角へ体ごと向けたななし。
音は響いてくるが姿はまだ見えない。
『真島さん、これを見せようとしてくれたんですね』
「おう、せやけどちょうど働いとる時しかやらんし、こうしてななし連れて抜け出してきたっちゅう訳や」
『なるほど、そうだったんですね。ふふふ、ありがとうございます。とっても嬉しいし、ワクワクします!』
「あんまり前のめりになったらアカン。落ちてまうで」
『ふふふ、落ちませんよ』
「ホンマかぁ?」
『ホンマですぅ』
手すりに掴まり背伸びをしていると危なっかしいと思ったのか、真島が後ろから包むように腕を伸ばしてくる。
そのまま真島も手すりを掴んだためななしは彼の逞しい腕の間に閉じ込められるような形となった。
仕事中に大好きな真島とこんなにも密着して、遠くで打ち上がる花火を見ることが出来る。
これ程嬉しくて幸せなことは無い、ななしは後ろに立っている真島に少し凭れ顔を見上げながら再度『ありがとうございます』と感謝の気持ちを伝えた。
そうすると真島も嬉しそうに目を細めて笑うため、ななしの心は更に温かい気持ちで満たされる。
「お、赤いの見えんでななし」
『あ、見えますね!綺麗〜!』
「せやけどホンマにちょっとしか見えへんな」
『ビルが多いし仕方ないですよ。でも少し見えるだけでも綺麗なのは凄く伝わってきますし、夏って感じがします!』
目の前には二階建てのグランドよりも大きなビルや建物が乱立しており、花火の全容が見れる訳では無かった。
真島は少ししか見えないと不満そうにしているが働きっぱなしでこうした行事とは全く縁がないななしにとっては少しでも花火を感じられたことがとても嬉しかった。
例え隙間からチラリと見える程度の打ち上げ花火だったとしてもだ。色とりどりで美しく、ななしの心を楽しませてくれる。
それに真島が"見せたい"と仕事中に屋上へ連れ出してくれたことで打ち上げ花火を共有できたこともとても嬉しかった。
見せたいと思ってくれた事、そして長年見る事が出来なかった打ち上げ花火に引き合わせてくれたこと。
真島の行動や優しい気持ちに、感謝と愛おしさが募る。
「そないに嬉しそうに笑てくれるんやったらサボった甲斐があるっちゅうもんや」
『ん、真島さん』
真島の優しさに胸を高鳴らせていると、手すりを掴んでいた逞しい手が抱きしめるように腹に回され凭れていた背中がより彼の腹や胸筋に密着する。
二人の距離がゼロになると先程よりも更に暑さを感じたが、それよりも愛おしい恋人と触れ合うことで得られる幸福感が勝って離れるという選択肢は直ぐに消え去った。
寧ろもっと真島の体温を感じたいと、ななしはぐるりと向きを変えて正面から腕を回して大きな体に抱きついた。
「…ななし」
『ん、はい。どうしました?』
優しく頭を撫でてくれる真島に名を呼ばれてゆっくりと顔を起こすと、こちらを見つめる隻眼と視線が合わさる。
とても綺麗な黒の瞳だと思い眺めていると真島は「来年も一緒に見ような」と、低くも優しい声音でそう言うのだ。
『も、もちろんです!アタシも、アタシもそうしたいです…』
「…ほんで時間とか仕事なんかに縛られんと、二人で綺麗に見える場所探そうな」
『…うん。探そうね。真島さん』
ゆっくりと降りてくる薄い唇にななしは応えるように己の唇を押し当て、仕事中だということも忘れ触れ合うだけのキスをした。
お互い理由があってグランドで働いていて、どうにもならないのが現状だ。
抜け出すことが出来るのかもまだ分からない。未来がどうなるかも分からないし、生きるか死ぬかも分からない。
そんな暗く鬱々とした毎日だが、いつかこの先。全てのしがらみから解放され自由になった暁には、なんの気兼ねもなく今日のように二人で打ち上げ花火を見よう。
真島の言葉の真意に気がついたななしは眉尻を下げながらもしっかりと頷いた。真島の望みはななしの望みでもある。
ななしは真島の頬に両手を宛てがい、己にグッと引き寄せる。
前のめりになってくれた真島の額に己の額をくっつけながら『愛してます、真島さん』と小さく呟いた。
同時に遙か遠くで響いた打ち上げ花火の音。
ななしの小さな呟きがかき消されてしまいそうな程大きい。
しかし真島の耳にはななしの言葉はしっかりと届いていたようで、額をくっつけながら彼もまた「愛しとる」と、愛を囁いた。
『真島さん。お仕事戻りましょうか』
「……」
『ふふふふっ。嫌だって顔に書いてありますね〜』
「おう、嫌やしな」
『アタシも本当はもっと真島さんと一緒にいたいんです。でもアタシ達はまだまだやらなきゃならない事がたくさんあるじゃないですか、ね?』
「せやな…。はぁ、今すぐななしつれて人のおらん島に行きたい気分や」
『ふふっ、じゃあいつかバカンス行きましょうね?それからそこで花火しましょうね!』
「それはめちゃくちゃええ案やな」
『今から楽しみです!』
「俺も楽しみにしとくわ」
『はい!』
本当はまだまだ二人の時間を堪能したかったが仕事をサボると言う訳にも行かず、渋々元来た道を戻る。
『じゃぁ、支配人。私は一旦キッチンに行きますね』
「おう、頼んだで無名」
グランドの中に入ってしまえば恋人では居られない。支配人と従業員という関係に戻ってしまうためななしは少し寂しく感じられた。
だがこの先いつか訪れるかもしれない真島といる穏やかな未来を考えると自然と力が湧いてきて。
ななしは歩き去る真島の背中を一瞥した後、自分もまた振り返りキッチンへと向かった。
『頑張ろっ!』
そうして今日もななしと真島はグランドで必死に働くのだ。
グランドで働いている頃はまだまだ大変だったであろう二人。でもお互いなんとか働いて生きて最終的には明るい未来が訪れます。
ななしちゃんは今日も組長真島さんから愛されていることでしょう!
夏らしく"打ち上げ花火"を題材にしてみましたが…あまり活躍しませんでしたね…笑