小話集1
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(支配人/恋人)
「支配人、今いい人居らんのやったらウチと付き合わへん?」
「あ?」
まるでべったりと甘えるような声と、少し驚いたような声が聞こえてきてスタッフルームに入ろうとしていたななしはピタリと動きを止めてしまった。
ドアノブをつかもうとしていた右手は中にいるであろう支配人の真島とキャストの女の子の会話を耳にした途端に引っ込んで行く。
中に入ろうとしていただけで特にやましい事は無かったのだが、何故か妙に焦ってしまいななしは咄嗟に息を殺し壁に張り付いた。
早くこの場から退散すれば良かったのだが、いま扉の向こうで繰り広げられている告白まがいの会話をどうしても聴き逃してはならないような気がして。
悪いことだとは知っていながらもななしは息を潜めたまま二人の会話に耳を欹てていた。
「そんな変な事言うとらんとはよ帰り。もう他の子皆帰ったで」
「変な事やない。ウチは真剣に言うてんねんで!」
「ほな余計に帰らなアカンな。タク代出したるさかい帰りや」
「ウチの話聞いとるん?告白しとんやで」
キャストの「告白」の二文字にななしはドキリとしてしまった。
やはり今向こう側で行われているのは告白まがいの会話ではなく正真正銘、真島に向かっての告白らしい。
ますます壁一枚を隔てて盗み聞きしては不味いのでは…と思うものの、少しの好奇心と妙な不安でその場からなかなか足を動かすことが出来なかった。
「はぁ、聞いとる。なんで俺がええねん。他にもようさん働いてくれるボーイおるやろ、店長かておるし」
「支配人が一番カッコええやん。嫌な客に絡まれとっても助けてくれるし、物腰柔らかいし、関西弁なのもギャップやし、身長大きしい!声低いし!なんでも出来るし、完璧主義やし!一生懸命働いとる姿に皆ドキドキしとるよ。ウチも他の子とよく仕事が出来てかっこええね〜って話で盛り上がるし!」
キャストの子はあそこがかっこいい、ここがかっこいいと真島に対してそれはもう嬉しそうに話している。ななしには饒舌に話続けるキャストの顔は見えなかったが、声音から彼を慕う心情がよく分かった。
恋をしているんだな。
この支配人の真島吾朗という男に。
最初はななしもそうであったため、キャストの子の気持ちがよく分かる。
『(でも…なんだか…)』
キャストの言う真島のかっこいい部分を聞いているとモヤモヤとし複雑な気持ちになるようだったのだが、どうしてかそれとは別に微かな違和感を感じたのだ。
勿論ななしからみても真島はカッコイイ。スタイルもよく眼帯を着用してはいるもののその目の鋭さやくっきりと深い彫りなどは彼の顔をより端正に見せている。
だけどどうだろう、物腰柔らかいというのは客に対してだけであるし、一生懸命働いている…というのも少しだけ語弊があるような気がした。
"そうしなければならない"から物腰柔らかく接しているだけで本当の真島は少しワイルドで細かいことはあまり気にしない。仕事もかなり嫌々行っている
喧嘩もするし、背中には仰々しい刺青もある。
でもとても親切で、文句を言いながらも困っている人には声を掛けたり、手を差し伸べたり…。
何があっても途中で投げ出すということはせず、己を貫き通す頑固さがあって、それでいてとても繊細で時々子供っぽい所もある。
ななしにとって恋人である真島とはそういった人物だ。
だがキャストの女の子からはそうは見えていないらしい。
きっと彼女は"真島吾朗"ではなく、"支配人"に惚れているという事なのだろう。
真島のカッコイイ部分や素敵な部分は自分だけが知っていればいいとななしは思うのだが、反面もっと彼の事を知って欲しいとも思う。
『(……でももっと好きになっちゃうかもなぁ)』
だがやはり真島は自分の恋人で、誰にも奪われたくない大切な存在だ。本当の姿は自分だけに見せて欲しいし、見る事が出来るのは恋人として…自分だけの特権であってほしいと切に思う。
真島には悪いがグランドのキャストからは"かっこいい支配人"と認識されていて欲しい。
本当の真島を知るのは自分だけで十分だ。今までも、これから先もずっと。
あまりにも自分勝手な独占欲が胸の中に広がってしまって。
とても嫌な女になりつつあるとななしはどこか苦しげにため息を吐いた。
「…ほうか一生懸命に…アンタにはそう見えてんのやな」
「…え?」
「なんでもあらへん。それから告白には答えられへんわ」
「そっか〜。支配人もしかしていい人居る感じ?」
自分の中にも嫉妬という感情があるのだなと少しだけ困惑していると、壁の向こうにいる真島はキャストの告白をバッサリと断ったのだ。
彼に限ってあるはずないとは思うが万が一キャストの告白にOKを出してしまったらどうしようか、と気がかりであったななしは真島の断りにホッと胸を撫で下ろした。
「おう、俺の事をちゃんと見てくれるええ子が傍に居てくれんねん」
一人緊張し、一人落ち着いて、忙なく起伏する感情に疲れているとななしの耳にそんな言葉が聞こえてきた。
───…俺の事をちゃんと見てくれるええ子…それって…
思いがけず聞こえてきた言葉をゆっくりと反芻し、頭の中で意味を考え理解すると、途端にななしの顔はゆでダコの様に真っ赤に染まっていく。
同時にこれでもかと熱を感じ、自分の頭から湯気が出ているんじゃないかと錯覚してしまうほどだった。
「もう。最初からそういってくれたらよかったやん。せやけどなんか納得。こんなにええ男が一人なはずないもんなぁ」
「俺がええ男なんて有り得へん。あの子がええ子すぎんねん。俺なんかには勿体ないわ」
「見たい!プリクラとかないん?」
「…なんで見せなアカンねん」
「あるん!?見せてや!」
「あったとしても見せへんわ。せやからはよ帰り。もう3時まわんで」
「あ、ホンマや〜。そろそろ帰らな明日に支障きたすわ」
「もう明日やろ」
「じゃ、タク代頂戴支配人」
「……寄り道せんと帰れよ」
「送ってくれてもええねんで?」
「アホ、はよ帰り」
「…はぁーい。おやすみなさい」
「おう」
ななしが真っ赤な顔で一人悶えていると、不意にスタッフルームの扉が開き中から真島に告白していたであろうキャストの女の子が出てくる。
まさか扉を開けてすぐに人がいるとは思って居なかったらしく「わ!?無名君!?ビックリ〜」ととても驚いたように目を見開いていた。
『す、すみません…』
「ええよ。ほなウチ帰るわ〜」
『はい、さようなら』
「おやすみ〜」
『おやすみなさい』
驚きもつかの間、キャストの女の子は真島から受け取ったであろう一万円札をヒラヒラと揺らしながら、長い廊下を颯爽と歩き去っていった。
「ななし、お疲れさん」
『ま、真島さん!お疲れ様です』
告白などなかったかのようにいつもと変わらない様子で去っていくキャストの後ろ姿を見送りながら、最近の子って切り替え早いんだなぁとお門違いなことを考えていたななし。
そんなななしの頭にポンと手を乗せたのはニヤニヤと笑っている真島だ。
スタッフルームに招き入れるように腕を引かれたななしは、促されるままゆっくりと真島の後を追いかけた。
「入ってきても良かったんやで?」
『き、気づいてたんですね』
「まぁ、せやな」
『す、すみません…盗み聞きするような真似して』
「かまへん。別に聞かれて困るもんでもないしな」
『ふふ、キャストさんが困っちゃうでしょう?』
「確かに、それはそうや」
『でも…ふふ。ありがとうございます』
「ん?なにがや?」
告白をキッパリ断ってくれたことも。
恋人がいるとちゃんと明言してくれたことも。
名前は出せなくても恋人であるななしの存在を少しでも示唆してくれたことは、本人からすればとても嬉しいことだった。
『ふふ、なんでもないです』
「気になんなぁ」
『真島さん』
「おう」
『アタシちゃんと見てます!真島さんの事、だからこれからもよろしくお願いします!』
「ほんま可愛ええやっちゃな」
優しい手の感触が頭からゆっくりと頬に降りてくる。
大きな手で包まれるとどうしようもなく幸福で、先程感じていた不安も微かな嫉妬もどこか彼方へ吹き飛んでいくような気がした。
すると次は自然と彼に対する優しい気持ちが溢れてきて…やっぱりこの人がいい、とななしは頬を包む大きな手に己の手を重ねた。
『帰りましょうか真島さん』
「ほな、俺ん家帰ろか?」
『は、はい!』
「せや、ななし。今度プリクラいくで」
『プリクラ!真島さん知ってるんですか?イマドキですね!』
「実は全然知らん」
『ふふ、知らないんですか??写真みたいな感じです。写真よりは小さいんですけど、写りが良くなるんです』
「ほう、ほなやっぱし撮りにいこか」
『嬉しいです。アタシも撮りたいです』
「ほな決まりやな!」
『やった〜!』
書き出したけどなんじゃこれって感じ。
とりあえずモテモテ真島さんい悶々とするななしちゃんを書きたかった( ˇωˇ )
「支配人、今いい人居らんのやったらウチと付き合わへん?」
「あ?」
まるでべったりと甘えるような声と、少し驚いたような声が聞こえてきてスタッフルームに入ろうとしていたななしはピタリと動きを止めてしまった。
ドアノブをつかもうとしていた右手は中にいるであろう支配人の真島とキャストの女の子の会話を耳にした途端に引っ込んで行く。
中に入ろうとしていただけで特にやましい事は無かったのだが、何故か妙に焦ってしまいななしは咄嗟に息を殺し壁に張り付いた。
早くこの場から退散すれば良かったのだが、いま扉の向こうで繰り広げられている告白まがいの会話をどうしても聴き逃してはならないような気がして。
悪いことだとは知っていながらもななしは息を潜めたまま二人の会話に耳を欹てていた。
「そんな変な事言うとらんとはよ帰り。もう他の子皆帰ったで」
「変な事やない。ウチは真剣に言うてんねんで!」
「ほな余計に帰らなアカンな。タク代出したるさかい帰りや」
「ウチの話聞いとるん?告白しとんやで」
キャストの「告白」の二文字にななしはドキリとしてしまった。
やはり今向こう側で行われているのは告白まがいの会話ではなく正真正銘、真島に向かっての告白らしい。
ますます壁一枚を隔てて盗み聞きしては不味いのでは…と思うものの、少しの好奇心と妙な不安でその場からなかなか足を動かすことが出来なかった。
「はぁ、聞いとる。なんで俺がええねん。他にもようさん働いてくれるボーイおるやろ、店長かておるし」
「支配人が一番カッコええやん。嫌な客に絡まれとっても助けてくれるし、物腰柔らかいし、関西弁なのもギャップやし、身長大きしい!声低いし!なんでも出来るし、完璧主義やし!一生懸命働いとる姿に皆ドキドキしとるよ。ウチも他の子とよく仕事が出来てかっこええね〜って話で盛り上がるし!」
キャストの子はあそこがかっこいい、ここがかっこいいと真島に対してそれはもう嬉しそうに話している。ななしには饒舌に話続けるキャストの顔は見えなかったが、声音から彼を慕う心情がよく分かった。
恋をしているんだな。
この支配人の真島吾朗という男に。
最初はななしもそうであったため、キャストの子の気持ちがよく分かる。
『(でも…なんだか…)』
キャストの言う真島のかっこいい部分を聞いているとモヤモヤとし複雑な気持ちになるようだったのだが、どうしてかそれとは別に微かな違和感を感じたのだ。
勿論ななしからみても真島はカッコイイ。スタイルもよく眼帯を着用してはいるもののその目の鋭さやくっきりと深い彫りなどは彼の顔をより端正に見せている。
だけどどうだろう、物腰柔らかいというのは客に対してだけであるし、一生懸命働いている…というのも少しだけ語弊があるような気がした。
"そうしなければならない"から物腰柔らかく接しているだけで本当の真島は少しワイルドで細かいことはあまり気にしない。仕事もかなり嫌々行っている
喧嘩もするし、背中には仰々しい刺青もある。
でもとても親切で、文句を言いながらも困っている人には声を掛けたり、手を差し伸べたり…。
何があっても途中で投げ出すということはせず、己を貫き通す頑固さがあって、それでいてとても繊細で時々子供っぽい所もある。
ななしにとって恋人である真島とはそういった人物だ。
だがキャストの女の子からはそうは見えていないらしい。
きっと彼女は"真島吾朗"ではなく、"支配人"に惚れているという事なのだろう。
真島のカッコイイ部分や素敵な部分は自分だけが知っていればいいとななしは思うのだが、反面もっと彼の事を知って欲しいとも思う。
『(……でももっと好きになっちゃうかもなぁ)』
だがやはり真島は自分の恋人で、誰にも奪われたくない大切な存在だ。本当の姿は自分だけに見せて欲しいし、見る事が出来るのは恋人として…自分だけの特権であってほしいと切に思う。
真島には悪いがグランドのキャストからは"かっこいい支配人"と認識されていて欲しい。
本当の真島を知るのは自分だけで十分だ。今までも、これから先もずっと。
あまりにも自分勝手な独占欲が胸の中に広がってしまって。
とても嫌な女になりつつあるとななしはどこか苦しげにため息を吐いた。
「…ほうか一生懸命に…アンタにはそう見えてんのやな」
「…え?」
「なんでもあらへん。それから告白には答えられへんわ」
「そっか〜。支配人もしかしていい人居る感じ?」
自分の中にも嫉妬という感情があるのだなと少しだけ困惑していると、壁の向こうにいる真島はキャストの告白をバッサリと断ったのだ。
彼に限ってあるはずないとは思うが万が一キャストの告白にOKを出してしまったらどうしようか、と気がかりであったななしは真島の断りにホッと胸を撫で下ろした。
「おう、俺の事をちゃんと見てくれるええ子が傍に居てくれんねん」
一人緊張し、一人落ち着いて、忙なく起伏する感情に疲れているとななしの耳にそんな言葉が聞こえてきた。
───…俺の事をちゃんと見てくれるええ子…それって…
思いがけず聞こえてきた言葉をゆっくりと反芻し、頭の中で意味を考え理解すると、途端にななしの顔はゆでダコの様に真っ赤に染まっていく。
同時にこれでもかと熱を感じ、自分の頭から湯気が出ているんじゃないかと錯覚してしまうほどだった。
「もう。最初からそういってくれたらよかったやん。せやけどなんか納得。こんなにええ男が一人なはずないもんなぁ」
「俺がええ男なんて有り得へん。あの子がええ子すぎんねん。俺なんかには勿体ないわ」
「見たい!プリクラとかないん?」
「…なんで見せなアカンねん」
「あるん!?見せてや!」
「あったとしても見せへんわ。せやからはよ帰り。もう3時まわんで」
「あ、ホンマや〜。そろそろ帰らな明日に支障きたすわ」
「もう明日やろ」
「じゃ、タク代頂戴支配人」
「……寄り道せんと帰れよ」
「送ってくれてもええねんで?」
「アホ、はよ帰り」
「…はぁーい。おやすみなさい」
「おう」
ななしが真っ赤な顔で一人悶えていると、不意にスタッフルームの扉が開き中から真島に告白していたであろうキャストの女の子が出てくる。
まさか扉を開けてすぐに人がいるとは思って居なかったらしく「わ!?無名君!?ビックリ〜」ととても驚いたように目を見開いていた。
『す、すみません…』
「ええよ。ほなウチ帰るわ〜」
『はい、さようなら』
「おやすみ〜」
『おやすみなさい』
驚きもつかの間、キャストの女の子は真島から受け取ったであろう一万円札をヒラヒラと揺らしながら、長い廊下を颯爽と歩き去っていった。
「ななし、お疲れさん」
『ま、真島さん!お疲れ様です』
告白などなかったかのようにいつもと変わらない様子で去っていくキャストの後ろ姿を見送りながら、最近の子って切り替え早いんだなぁとお門違いなことを考えていたななし。
そんなななしの頭にポンと手を乗せたのはニヤニヤと笑っている真島だ。
スタッフルームに招き入れるように腕を引かれたななしは、促されるままゆっくりと真島の後を追いかけた。
「入ってきても良かったんやで?」
『き、気づいてたんですね』
「まぁ、せやな」
『す、すみません…盗み聞きするような真似して』
「かまへん。別に聞かれて困るもんでもないしな」
『ふふ、キャストさんが困っちゃうでしょう?』
「確かに、それはそうや」
『でも…ふふ。ありがとうございます』
「ん?なにがや?」
告白をキッパリ断ってくれたことも。
恋人がいるとちゃんと明言してくれたことも。
名前は出せなくても恋人であるななしの存在を少しでも示唆してくれたことは、本人からすればとても嬉しいことだった。
『ふふ、なんでもないです』
「気になんなぁ」
『真島さん』
「おう」
『アタシちゃんと見てます!真島さんの事、だからこれからもよろしくお願いします!』
「ほんま可愛ええやっちゃな」
優しい手の感触が頭からゆっくりと頬に降りてくる。
大きな手で包まれるとどうしようもなく幸福で、先程感じていた不安も微かな嫉妬もどこか彼方へ吹き飛んでいくような気がした。
すると次は自然と彼に対する優しい気持ちが溢れてきて…やっぱりこの人がいい、とななしは頬を包む大きな手に己の手を重ねた。
『帰りましょうか真島さん』
「ほな、俺ん家帰ろか?」
『は、はい!』
「せや、ななし。今度プリクラいくで」
『プリクラ!真島さん知ってるんですか?イマドキですね!』
「実は全然知らん」
『ふふ、知らないんですか??写真みたいな感じです。写真よりは小さいんですけど、写りが良くなるんです』
「ほう、ほなやっぱし撮りにいこか」
『嬉しいです。アタシも撮りたいです』
「ほな決まりやな!」
『やった〜!』
書き出したけどなんじゃこれって感じ。
とりあえずモテモテ真島さんい悶々とするななしちゃんを書きたかった( ˇωˇ )