○○しないと出られない
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(真島/何十年先も君との続き?)
*真島の好きな所を五個言わないと出られない部屋
『ど、どうなってるんですか!?』
「どうなっとるんやろなぁ」
真島の誕生日にななしが送ったプレゼントはそこそこ高めのホテルのディナーと宿泊。
神室町を一望できるホテルはななしが思っていた以上に美しく豪華で。それはもう幸福なひと時を真島と過ごしていたのだが、翌日になりいざ帰るか扉を開いた時、それは起こった。
本来なら綺麗な絨毯の廊下に出るはずだったのだが、扉を開いた先は先日いきなり連れて行かれた「何かをしないと出られない部屋」へと繋がっていたのだ。
真島組の事務所だけががその空間と繋がっているものとばかり思っていたが、どうやらどこからでも行けるらしい。
しかしまさか出先のホテルから連れていかれるとは思っていなかった真島とななしは二人同時に大きなため息を着いた。
その場に入ってしまったが最後。
黒い封筒の指示通り行動しなければ扉は出現しないのだろう。
現に入ってきたホテルの扉は無くなり、また完全密室の空間に閉じ込められてしまったらしい。
どうしてこんな非現実的な事が起きるのか…とななしは若干頭が痛くなりつつあったが、真島曰く「神室町はなんでもアリ」らしいので素直に考えることを放棄した。
さて二度目だが、今回はどんなお題だ。
ななしは部屋の真ん中に置かれていた黒い封筒を見つけると躊躇うことなく開いた。
「なんて書いてあんねん」
『うーん、"真島の好きな所を五個言わないと出られない部屋"って書いてありますね』
「あ?好きな所ぉ?」
『てか、なんで名前知ってるんだろう…怖ぁ』
「名指しして来ることもあるんか。ほんま何でもありやな」
『でもまぁ、無理難題ではないので直ぐに出られそうですね』
いつ誰が何の目的でこの空間に連れ出しているのか分からないが、少なくとも自分たちの名前はこの手紙を見るにバレているのだろう。
摩訶不思議でもあるがどうにも不気味にも思えてしまったななしは早く扉を出現させようと真島と向かい合うようにして椅子に腰掛けた。
今回のお題は"真島の好きな所を五個言う"というもの。
前回の腕相撲も難しいお題では無かったが今回のものもそこまで難しくはない。
ただ面と向かって伝えるのは若干気恥しいが、恋人である真島の好きな所なら考えなくても沢山思い浮かぶ。
目の前に座る真島は「ヒヒッ、ほなななし。俺の好きなとこ聞かせてもらおか」と笑っている。
お題が腕相撲の時はあんなにも渋っていたのに、今回は心底楽しそうだ。
『ふふ、まぁ。吾朗さん昨日誕生日だったしこれくらいのサービスはアリかもですね』
「おう!アリやな!」
目の前に座る真島にひとつひとつ好きな部分を説明していくのはそこそこ恥ずかしいものだが。
昨日は特別な日であったし、真島がとても嬉しそうにしているのだから言葉にしてもいいかなと思えた。たまには胸の内を言葉にして相手に伝えることも大切である。
こんな部屋に閉じ込められてから気付くのもどうかと思ったが、今回は機会を貰ったということにして普段言わないことを伝えてみようとななしはゆっくり口を開いた。
『じゃ、一つ目』
「おう、なんや」
『かっこいいところです』
「幅広く言うたのぉ」
『勿論顔もですがそのスタイルとか、生き様とか含めてですよ』
「ヒヒッ、ななしの口から生き様なんて言葉聞けるなんて思っとらんだわ」
『でも本当にそう思ってるんですからね!自由で何者にも縛られない吾朗さん素敵ですよ』
グランドで働いている時から、今現在も。
自分が正しいと思った事を貫く姿勢はななしにとって羨ましく、とてもかっこいいものだった。
誰の意見に左右されることなく我が道を歩く真島は本当に生き生きとしており、誰がどう見ても楽しそう。たまに自由すぎてななしの理解が追いつかないこともあるがそれすらも真島らしいと思う。
『二つ目は喧嘩が強い所です』
「おうななし。見る目あるやんけ」
『ふふ、ただ痛そうだなとは思いますけど。楽しそうなので深く考えないようにしてます』
「楽しんどるさかい痛みも感じんわ」
『それはそれですごい…でも無茶だけはしないでくださいね?』
「ヒヒッ、命あっての物種っちゅうしのぉ」
『本当にそう思ってます?…軽くて怪しい』
「ほな、三つ目いこか」
『もう〜。三つ目は刺青です!!』
「お前ホンマに好きやのぉ」
『はい大好きです』
三つ目は真島の胸から肩、背中にかけてびっしりと入っている刺青だ。
極彩色で目立つ桜と、鋭い双眸の二匹の蛇、極めつけは背中に背負っている仰々しい般若。
見る人を戦かせるような刺青であるが、ななしにとってはどれも愛おしいものだった。
ななしが窮地に陥り真島が助けてくれる時は、同時に般若や蛇にも救われているように思えるのだ。
今では可愛いとすら感じてしまうほど、真島の刺青はななしのお気に入りだ。
「スマホの待受も般若やもんな」
『はい、お守代わりりです』
「誰にも見られんとええのぉ」
『見られてもいいですもーん。自慢してやる』
「あほ、自慢すな。お前の感性は常人とは若干ちゃうんや」
『あ、貶してるでしょ〜』
「褒めとるんや」
『絶対褒めてない。もう四つ目言わないです』
「言わな帰れんで?」
『……』
「言うてみ?」
『…四つ目は…アタシのダメな部分を受け入れてくれているところです』
「ヒヒッ、ダメな部分なんてあるんか?」
『いっぱいありますよ?』
「気ぃつかんだわ」
気が付かなかったと笑っている真島。
だが真島が気が付かなかったからななしにダメな部分が全くないとそういう訳ではなくて。
きっと受け入れてくれて今では当たり前になっているから、気が付いてないと思っているだけだ。
色々な事に巻き込まれ真島に迷惑をかけることもあるし、その度に助けて貰って、慰めてくれて。
他にも酒が弱いくせに沢山飲んで真島に絡んだり、わがままを言ったり、数えてみるとダメな部分はとても沢山ある。
だが真島はそれら一つ一つを理解してきちんと受け入れてくれている。だからこそいつも大きな喧嘩や、揉め事には発展せずにいるとななしは思っている。
つまりはいつだって真島の優しさに甘えているのだ。
『本当に吾朗さんには頭が上がらないです』
「お互い様やと思うで」
『そうでしょうか?』
「俺の隣で足並み揃えられるのはお前しかおらんと思っとる。違うんか?」
『へへへ、そういう事言ってくれるのも好きです。いつも甘やかしてくれてありがとう吾朗さん。あと、違いません。アタシしかいません』
「せやろ、余計な事考えんでええわ」
『ふふ。はい、ありがとうございます』
「ほな、最後の一つやでななし」
『はい。五つ目はこの先もずっと一緒にいたいと思えるところです』
それは四つ目に言ったように甘やかされているからかもしれない。だが将来を思い描いた時傍に居るのはいつだって真島だ。
かっこよくて、漢気に溢れていて、自由気ままで、喧嘩が強くて、素敵な刺青もあって、自分の事を受け入れてくれて、甘やかしてくれる。
一緒にいて安心できて、ずっと傍に居たいと思えたのは真島が最初で最後。
漠然と本当になにも確証は無かったが、同じお墓に入るんだとななしは常にそう思っている。
「ほぉ、ななしはそう思っとるんか」
『ふふ、そうです。なんていうかもう貴方以外考えられないんですよね…隣に誰かが立っているって吾朗さん以外想像もできないです』
「想像せんでええ。そんな機会もうこんやろ」
『アタシもそう思います。だから今後もよろしくお願いします』
「当たり前やろがい」
『ふふ、嬉しい』
「…あんま、可愛ええ顔しとったらどうなっても知らんで」
『…あ、吾朗さん!扉出てきました!OKだったみたいですよ!』
「空気のよめん扉やのぉ」
どうやらお題はクリア出来たようで、今まで壁だった場所には扉が出現していた。
若干瞳をギラつかせた真島からそそくさ逃げるように扉に向かったななしはこの謎空間から早く脱出する為にドアノブを捻る。
開けばそこは真島の誕生日を二人ですごしたホテルの一室に繋がっており、ななしは急いで『吾朗さん!行こう』と、大きく叫んだ。
『脱出ーー!』
のそのそこちらにやって来る真島を尻目にホテルの一室に戻ったななし。
あの空間にいるだけで気が気でなく。やはりどこかで気を張っていたのだろう。ホテルに戻ってくるとへなへなと体の力が抜けるようであった。
チェックアウトの時間も差し迫っていたが、ななしは脱力したまま再びベッドにダイブしたのだ。
『ふぁー気持ちいい』
「そんな焦らんでもええやろななし」
『だってまた閉じ込められたら嫌ですもん』
「それより言い逃げはアカンで」
『い、言い逃げじゃ無いですよ。お題クリアの為に頑張っただけです』
「ほなどれもお題クリアのための口からでまかせで本心や無いんか?」
『全部本心に決まってるじゃないですか!』
「せやったら、とびきりのプロポーズしてくれたななしに応えたらなかんな」
『プ、プロポーズって…吾朗さん?』
「五つ目の好きな所はまんまプロポーズやったやろ。ずっと一緒にいたい言うたやんけ。ええで、俺が一生傍におったるわ」
『そ、それは嬉しいですけど…チェックアウトの時間きちゃいますし…連日するつもりですか?』
「延長すればええやろ。安心せぇ、延長料金は俺がはろたる」
『もう、ちょっと…!吾朗さん!』
謎の空間の指示で言わされたのは本当だが。
どれも本心で嘘などない。
真島と死ぬまで一緒にいたいと思っているのも事実である。
しかしその言葉がまさかプロポーズに化けるなんて思いもしていなかったななしは、馬乗りになってくる真島を見て慌てていた。
誕生日当日から今日の朝までどれだけ濃密に絡み合ったか。それを忘れてはおらぬだろうに既に真島中心部は熱を持ち固くなっているのだから驚くばかりだ。
『謎の空間でプロポーズでいいんですか!?』
「場所は関係あらへん、気持ち次第や」
『そうですけど…』
「ななし」
『ん、』
「最高の誕生日プレゼントやったでぇ」
『ご、吾朗さん』
最高のプレゼントだと最高の笑顔で言われてしまったら、なにもかも許してしまいそうになる。
明日から仕事なのに…と蕩けかかった理性でそう思うが、真島の優しいキスでもうなにもかも手放してしまって。
結局甘いひと時に身を任せる訳だが。
こうなった理由が謎の空間でのお題に嗾けられたということだけが若干引っかかる。
誕生日おめです。
短編の続き?と言うか同じ時間枠と言うか。
とにかくいちゃラブさせたかっただけです。
*真島の好きな所を五個言わないと出られない部屋
『ど、どうなってるんですか!?』
「どうなっとるんやろなぁ」
真島の誕生日にななしが送ったプレゼントはそこそこ高めのホテルのディナーと宿泊。
神室町を一望できるホテルはななしが思っていた以上に美しく豪華で。それはもう幸福なひと時を真島と過ごしていたのだが、翌日になりいざ帰るか扉を開いた時、それは起こった。
本来なら綺麗な絨毯の廊下に出るはずだったのだが、扉を開いた先は先日いきなり連れて行かれた「何かをしないと出られない部屋」へと繋がっていたのだ。
真島組の事務所だけががその空間と繋がっているものとばかり思っていたが、どうやらどこからでも行けるらしい。
しかしまさか出先のホテルから連れていかれるとは思っていなかった真島とななしは二人同時に大きなため息を着いた。
その場に入ってしまったが最後。
黒い封筒の指示通り行動しなければ扉は出現しないのだろう。
現に入ってきたホテルの扉は無くなり、また完全密室の空間に閉じ込められてしまったらしい。
どうしてこんな非現実的な事が起きるのか…とななしは若干頭が痛くなりつつあったが、真島曰く「神室町はなんでもアリ」らしいので素直に考えることを放棄した。
さて二度目だが、今回はどんなお題だ。
ななしは部屋の真ん中に置かれていた黒い封筒を見つけると躊躇うことなく開いた。
「なんて書いてあんねん」
『うーん、"真島の好きな所を五個言わないと出られない部屋"って書いてありますね』
「あ?好きな所ぉ?」
『てか、なんで名前知ってるんだろう…怖ぁ』
「名指しして来ることもあるんか。ほんま何でもありやな」
『でもまぁ、無理難題ではないので直ぐに出られそうですね』
いつ誰が何の目的でこの空間に連れ出しているのか分からないが、少なくとも自分たちの名前はこの手紙を見るにバレているのだろう。
摩訶不思議でもあるがどうにも不気味にも思えてしまったななしは早く扉を出現させようと真島と向かい合うようにして椅子に腰掛けた。
今回のお題は"真島の好きな所を五個言う"というもの。
前回の腕相撲も難しいお題では無かったが今回のものもそこまで難しくはない。
ただ面と向かって伝えるのは若干気恥しいが、恋人である真島の好きな所なら考えなくても沢山思い浮かぶ。
目の前に座る真島は「ヒヒッ、ほなななし。俺の好きなとこ聞かせてもらおか」と笑っている。
お題が腕相撲の時はあんなにも渋っていたのに、今回は心底楽しそうだ。
『ふふ、まぁ。吾朗さん昨日誕生日だったしこれくらいのサービスはアリかもですね』
「おう!アリやな!」
目の前に座る真島にひとつひとつ好きな部分を説明していくのはそこそこ恥ずかしいものだが。
昨日は特別な日であったし、真島がとても嬉しそうにしているのだから言葉にしてもいいかなと思えた。たまには胸の内を言葉にして相手に伝えることも大切である。
こんな部屋に閉じ込められてから気付くのもどうかと思ったが、今回は機会を貰ったということにして普段言わないことを伝えてみようとななしはゆっくり口を開いた。
『じゃ、一つ目』
「おう、なんや」
『かっこいいところです』
「幅広く言うたのぉ」
『勿論顔もですがそのスタイルとか、生き様とか含めてですよ』
「ヒヒッ、ななしの口から生き様なんて言葉聞けるなんて思っとらんだわ」
『でも本当にそう思ってるんですからね!自由で何者にも縛られない吾朗さん素敵ですよ』
グランドで働いている時から、今現在も。
自分が正しいと思った事を貫く姿勢はななしにとって羨ましく、とてもかっこいいものだった。
誰の意見に左右されることなく我が道を歩く真島は本当に生き生きとしており、誰がどう見ても楽しそう。たまに自由すぎてななしの理解が追いつかないこともあるがそれすらも真島らしいと思う。
『二つ目は喧嘩が強い所です』
「おうななし。見る目あるやんけ」
『ふふ、ただ痛そうだなとは思いますけど。楽しそうなので深く考えないようにしてます』
「楽しんどるさかい痛みも感じんわ」
『それはそれですごい…でも無茶だけはしないでくださいね?』
「ヒヒッ、命あっての物種っちゅうしのぉ」
『本当にそう思ってます?…軽くて怪しい』
「ほな、三つ目いこか」
『もう〜。三つ目は刺青です!!』
「お前ホンマに好きやのぉ」
『はい大好きです』
三つ目は真島の胸から肩、背中にかけてびっしりと入っている刺青だ。
極彩色で目立つ桜と、鋭い双眸の二匹の蛇、極めつけは背中に背負っている仰々しい般若。
見る人を戦かせるような刺青であるが、ななしにとってはどれも愛おしいものだった。
ななしが窮地に陥り真島が助けてくれる時は、同時に般若や蛇にも救われているように思えるのだ。
今では可愛いとすら感じてしまうほど、真島の刺青はななしのお気に入りだ。
「スマホの待受も般若やもんな」
『はい、お守代わりりです』
「誰にも見られんとええのぉ」
『見られてもいいですもーん。自慢してやる』
「あほ、自慢すな。お前の感性は常人とは若干ちゃうんや」
『あ、貶してるでしょ〜』
「褒めとるんや」
『絶対褒めてない。もう四つ目言わないです』
「言わな帰れんで?」
『……』
「言うてみ?」
『…四つ目は…アタシのダメな部分を受け入れてくれているところです』
「ヒヒッ、ダメな部分なんてあるんか?」
『いっぱいありますよ?』
「気ぃつかんだわ」
気が付かなかったと笑っている真島。
だが真島が気が付かなかったからななしにダメな部分が全くないとそういう訳ではなくて。
きっと受け入れてくれて今では当たり前になっているから、気が付いてないと思っているだけだ。
色々な事に巻き込まれ真島に迷惑をかけることもあるし、その度に助けて貰って、慰めてくれて。
他にも酒が弱いくせに沢山飲んで真島に絡んだり、わがままを言ったり、数えてみるとダメな部分はとても沢山ある。
だが真島はそれら一つ一つを理解してきちんと受け入れてくれている。だからこそいつも大きな喧嘩や、揉め事には発展せずにいるとななしは思っている。
つまりはいつだって真島の優しさに甘えているのだ。
『本当に吾朗さんには頭が上がらないです』
「お互い様やと思うで」
『そうでしょうか?』
「俺の隣で足並み揃えられるのはお前しかおらんと思っとる。違うんか?」
『へへへ、そういう事言ってくれるのも好きです。いつも甘やかしてくれてありがとう吾朗さん。あと、違いません。アタシしかいません』
「せやろ、余計な事考えんでええわ」
『ふふ。はい、ありがとうございます』
「ほな、最後の一つやでななし」
『はい。五つ目はこの先もずっと一緒にいたいと思えるところです』
それは四つ目に言ったように甘やかされているからかもしれない。だが将来を思い描いた時傍に居るのはいつだって真島だ。
かっこよくて、漢気に溢れていて、自由気ままで、喧嘩が強くて、素敵な刺青もあって、自分の事を受け入れてくれて、甘やかしてくれる。
一緒にいて安心できて、ずっと傍に居たいと思えたのは真島が最初で最後。
漠然と本当になにも確証は無かったが、同じお墓に入るんだとななしは常にそう思っている。
「ほぉ、ななしはそう思っとるんか」
『ふふ、そうです。なんていうかもう貴方以外考えられないんですよね…隣に誰かが立っているって吾朗さん以外想像もできないです』
「想像せんでええ。そんな機会もうこんやろ」
『アタシもそう思います。だから今後もよろしくお願いします』
「当たり前やろがい」
『ふふ、嬉しい』
「…あんま、可愛ええ顔しとったらどうなっても知らんで」
『…あ、吾朗さん!扉出てきました!OKだったみたいですよ!』
「空気のよめん扉やのぉ」
どうやらお題はクリア出来たようで、今まで壁だった場所には扉が出現していた。
若干瞳をギラつかせた真島からそそくさ逃げるように扉に向かったななしはこの謎空間から早く脱出する為にドアノブを捻る。
開けばそこは真島の誕生日を二人ですごしたホテルの一室に繋がっており、ななしは急いで『吾朗さん!行こう』と、大きく叫んだ。
『脱出ーー!』
のそのそこちらにやって来る真島を尻目にホテルの一室に戻ったななし。
あの空間にいるだけで気が気でなく。やはりどこかで気を張っていたのだろう。ホテルに戻ってくるとへなへなと体の力が抜けるようであった。
チェックアウトの時間も差し迫っていたが、ななしは脱力したまま再びベッドにダイブしたのだ。
『ふぁー気持ちいい』
「そんな焦らんでもええやろななし」
『だってまた閉じ込められたら嫌ですもん』
「それより言い逃げはアカンで」
『い、言い逃げじゃ無いですよ。お題クリアの為に頑張っただけです』
「ほなどれもお題クリアのための口からでまかせで本心や無いんか?」
『全部本心に決まってるじゃないですか!』
「せやったら、とびきりのプロポーズしてくれたななしに応えたらなかんな」
『プ、プロポーズって…吾朗さん?』
「五つ目の好きな所はまんまプロポーズやったやろ。ずっと一緒にいたい言うたやんけ。ええで、俺が一生傍におったるわ」
『そ、それは嬉しいですけど…チェックアウトの時間きちゃいますし…連日するつもりですか?』
「延長すればええやろ。安心せぇ、延長料金は俺がはろたる」
『もう、ちょっと…!吾朗さん!』
謎の空間の指示で言わされたのは本当だが。
どれも本心で嘘などない。
真島と死ぬまで一緒にいたいと思っているのも事実である。
しかしその言葉がまさかプロポーズに化けるなんて思いもしていなかったななしは、馬乗りになってくる真島を見て慌てていた。
誕生日当日から今日の朝までどれだけ濃密に絡み合ったか。それを忘れてはおらぬだろうに既に真島中心部は熱を持ち固くなっているのだから驚くばかりだ。
『謎の空間でプロポーズでいいんですか!?』
「場所は関係あらへん、気持ち次第や」
『そうですけど…』
「ななし」
『ん、』
「最高の誕生日プレゼントやったでぇ」
『ご、吾朗さん』
最高のプレゼントだと最高の笑顔で言われてしまったら、なにもかも許してしまいそうになる。
明日から仕事なのに…と蕩けかかった理性でそう思うが、真島の優しいキスでもうなにもかも手放してしまって。
結局甘いひと時に身を任せる訳だが。
こうなった理由が謎の空間でのお題に嗾けられたということだけが若干引っかかる。
誕生日おめです。
短編の続き?と言うか同じ時間枠と言うか。
とにかくいちゃラブさせたかっただけです。