小話集1
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(真島/恋人/支配人真島④の続き?/R15)
「ななし、さっきからどないしてん」
『うん?どないもしてないですよ〜?』
真島は己の背中に抱きついて離れない恋人のななしを見下ろし、そんな質問を投げかけた。
ちなみに家での真島は上半身裸が常であり、今日も上半身裸である。そんな半裸の状態にひっついてくるため頭一つと半分くらいは小さいななしが抱きつけば自ずと肩甲骨辺りに顔がくる。
温かな息が背中にかかる度に少し擽ったく、変な欲が沸き起こりそうになり真島はずっと悶々としている状態。
加えて特に意味も無くくっついていると言うのだから、自分は試されているのかと頭を悩ませるばかりだ。
「ほな、なんでそないにくっついとんねん。便所行けへんやろがい」
『トイレ行きたいんですか?』
「おう」
『じゃ、離れます…』
「……便所や、直ぐ戻ってくる」
ななしにくっつかれて嬉しくないはずはない。
勿論可愛い彼女の肌が肌に触れ合うのはこの上なく幸福だ。
だがただ意味もなく抱きついているというななしに無遠慮に手を出すというのも憚られてしまって。
なるべくこれ以上興奮せぬようにとトイレに行くと(落ち着かせる的な意味も込めて)、そう提案したのだがあまりにもしゅんと落ち込んでしまったから。
真島はとてつもない罪悪感に駆られてしまい腰に回る腕をそっと解いてトイレにへと駆け込んだ。
「(なんであんなに引っ付いてくんねん可愛ええな!!!俺に手ぇ出して欲しいんか!?あ!?据え膳なんか!?誘っとるんか!?)」
プチパニックのまま真島は用を足して手を洗った後、そろりそろりとななしに気づかれないようにリビングへ向かった。
音を立てないようにこっそりななしの姿を盗み見するとソファに座りながらしゅんと小さくなっている。
── アイツ…ホンマに小動物みたいやな……。
もしななしが小動物なら自分は肉食獣だろうか。
言い得て妙だと、と一人頷いているとななしはおもむろに携帯を取り出して何かを見つめ出したのだ。
何を見ているのかは遠くから盗み見している真島には分からなかったが、スマホを見ているななしの顔がとても嬉しそうで蕩けているのはよく分かった。
「……」
一体このタイミングで何を見てそんないやらしい顔をしているのか。
真島は面白くない!と全面に不機嫌オーラを身に纏うと、ソファに座るななしの隣に力任せに腰を下ろした。
「何見とんねんななし」
『え?吾朗さんですけど』
「あぁ!?ゴロウさん?ゴロウさんて俺か?」
『ふふ、貴方以外に誰がいるんですか〜』
「スマホに俺がおるんか?」
『写真ですけどね。この写真、とってもお気に入りなんです』
「…どれや……、なんや後ろ向きやないか!」
『スーツ姿の!ですけどね!』
顔が蕩けていた理由が自分の写真だと分かり安堵した真島。同時に自分の写真でそんな顔になるのか…支配欲がウズウズと刺激されてしまった。
なんとか平静を装いスマホの写真を見れば、そこに写っていたのはななしの言う通り自分自身だったが。顔が写っている訳ではなくて、幹部会に着ていくスーツを身にまとった己の後ろ姿だった。
顔も写らず、表情も一切分からないこの写真がお気に入りだというななし。
スーツ姿がいいというなら他にも顔が写ったものもあるだろうに何故この写真なのか。
真島はななしがなぜこの一枚をお気に入りとしているのか理解できなかった。
『この大きな背中…思い出すんです。グランドで酔っ払いに絡まれてた時に吾朗さんが助けてくれたこと』
「…よぉ覚えとんなぁ」
『忘れませんよ〜!だってあんなにかっこよくて頼もしい背中吾朗さんが初めてだったんですから』
スマホの画面を消し再び腰に張り付いてきて背中に顔を寄せるななしは『懐かしい…』と、小さく呟いた。
密着してくるななしの頭をわしゃわしゃと撫でてやりながら真島はいつの出来事だろうかとはるか昔の記憶を遡ってみる。
しかし色々脳裏で思い浮かべてみるがななしがそういった場面に出くわしている事が少なくないため、いつの出来事かを判断するのは少し難しい。
「ななしはチンピラにえろうモテるさかいのぉ」
『吾朗さんにモテればそれでいいんですけどね…。いつもご迷惑おかけしてます』
「あほ、迷惑やないわ」
『ありがとうです』
「これからも大人しく俺の傍におれよ」
『へへへ…嬉しい…』
「…ななし、さっきから俺を誘とるんか?」
『え?そんな事ないですけど』
ニコニコと擦り寄ってくる猫のようなななしがあまりにも可愛らしくて。これ以上刺激してくれるなと思いつつも、ななしの柔らかな胸が背中や腕に当たってしまえば下腹部は熱を持ってしまって仕方がない。
分かっていてそういう引っ付き方をしているのか、自由なななしに悶々とするばかりだ。
『吾朗さん、背中見せてください』
「あ?もうようさん見とるやんけ」
『もっと見たいんです』
「勝手にせぇ、せやけどどうなっても知らんで」
『アタシが満足するまで待って下さい』
「お、珍しく乗り気やないか」
『ふふ、どうでしょうか』
いつも気恥しいと悪態をつき事に及ぶまで些か時間を有するが(最終的には快感でトロトロになるしセックスは嫌いではないのだろう)、今日はどうやら彼女も既になにかしらのスイッチが入っている状態らしい。
珍しいとおもいつつこの後気の済む迄抱くと決まったので、それまでは自由にさせてやろうと真島はななしの言う通り背中を向けてやった。
背中をななしに向ければ背後から『はぁ』とうっとりしたようなため息が聞こえてくる。自分で言うのはなんだがこんなにも仰々しい刺青をみてそんな風に色気の混じった声を出すのはこの世のどこを探してもきっとななしだけだろうと思う。
自分を象徴するような刺青をそこまで気に入って貰えれば真島も嬉しいというもので。
般若をゆっくり指でなぞるななしに口元を緩めた。
『桜と般若ちゃんて凄くマッチしてますよね。吾朗さんの背中だからかな』
「ヒヒッ、どやろなぁ」
『吾朗さんに助けられる時は同時にこの白蛇と般若ちゃんにも助けられてるんだなぁって思うと、本当に愛おしいです』
細い指先で般若や白蛇をなぞるななし。
擽ったさに目をほそめていると次いで柔らかい感触がしチュッと可愛らしいリップ音が響いた。
背中の下の方、言うなればもうほとんど腰くらいか。
そんな位置に柔らかく温かい、唇の感触がする。
位置から想像するに般若の口付近だろうか。
背中にいる般若に小さくキスをしているななし。
目には見えなかったがキスをする姿を想像してしまった真島は、顔に手を当てグズグズと溢れ出てくる欲求に耐えるように深く息を吐き出した。
ななしが満足するまで待てと言ったのでまだ待ってやろうと思っているのだが。
こうも煽るように触れられると我慢できなくなるのは彼女がどうしようもないくらい愛おしいからだろうか。
「ななし」
『ん?』
我慢我慢、となんとか耐えていたがやはりななしの手つきや吐息に興奮を抑えることが出来なくなった真島は勢いよく振り向き背後にいる彼女をソファに押し倒すと、積もりに積もった欲望をぶつけるように背中に触れていた唇に己の唇を押し付けた。
唇の柔らかさを堪能し角度を変え何度も貪っているとななしの方から舌を絡めてくる。
真島は興奮のあまり無防備な彼女の胸を揉みしだきながら、ななしの舌を吸い上げ激しく深いキスを繰り返した。
『はぁっ、はぁ、まだ満足してなかったのに…』
「もう我慢できひんわっ。煽ったお前のせいやで」
『ふふ、煽ってないですけど…』
「なんでもええ。抱かせろや」
『ん、ん、…ふふ、勿論』
今度は軽く触れるだけのやさしいキスを繰り返しながら、ゆっくりとななしの衣服を剥いでいく。
白い肌をさらけ出したななしは艶っぽい表情で真島の眼帯に触れた後、そのまま細い腕を逞しい首に回して頭を抱え込むように抱きしめた。
ななしの柔らかい胸に顔を埋めるような形になった真島。
そんな真島の刈り上げられた後頭部を撫で付けながらななしはそっと『ありがとうございます』と呟くのだ。
この状況でありがとうというのは何に対してなのか。
抱かれることに対して?それともキスに対して?
どれもしっくり来なかった真島は素直に「なにがや」と彼女に問うた。
『アタシを信じてくれたことです』
「信じた…。どういうことやねん」
『あの時アタシが嘘ついてるかもしれないのに、吾朗さんは「ななしが嘘言うわけない」って真っ先に信じてくれたんです。本当に嬉しくて…思い出したらいても立ってもいられなくなっちゃったんです』
「……お!グランドの前で酔っ払いに絡まれた時の話か」
『!そうです!覚えていてくれたんですか?』
「おう、少し思い出したわ」
そうだ、あの時は確かもう2人で帰宅する寸前だった。グランドに忘れ物をしたため外で待っていてもらっている間にななしが酔っ払いにからまれていたんだ。
酔っ払いは「このガキが悪い」とそれはもう大層怒っていたのだが、それに対してななしは『何もしていない』と言い淀むことなく伝えてきたから、彼女が言うならその通りなのだろうと疑いすらしなかったことを覚えている。
そもそもななしが嘘を言い他人に迷惑をかけるなど当時も今も考えられないことだ。
最終的に殴って追い返したのだが、そのあとも終始ニコニコと嬉しそうにしていたななし。
当時も今と同じように信じて貰えたことに喜びを感じていたのだろうか。
そう思うと目の前にいるななしが益々可愛らしく見えてくるような気がして。
真島はゆっくりと口角をあげた後彼女の肩にそっと顔を埋めた。
『その時、ふふ。大袈裟かもしれないけど、吾朗さんだけでもアタシを信じてくれていたらこれから先どんなことがあっても幸せなんだろうなぁ…て思ったんです』
「ヒヒッ。よかったのぉななし。これからもお前はずっと幸せっちゅうことや」
『これからも信じてくれるって事ですか?』
「当たり前やろ。これから先、死ぬまでずっとや」
『吾朗さん…ふふ、ありがとう。愛してます』
「おう」
ななしは素直で真っ直ぐで。
どんな時も嘘をついたりはしない。
それが真島が惚れたななしという女性だ。
これからもきっと変わることの無いななしをずっと愛すのだろう。
手始めに背中を見て昔の出来事を思い出し、いても立ってもいられなくなったと言うななしを甘やかし、もっと自分なしでは生きられないようにしてやろう。
真島は背中や首に回る腕をゆっくり解いてソファに縫い付けると、嬉しそうな気恥ずかしそうなななしの唇に優しく唇を押し付けた。
「俺も愛しとんでぇ」
唇をひっつけたまま呟いてやると小さく笑う声と振動が伝わってくる。
愛おしさに堪らず笑った真島と、そんな真島に釣られるように肩を揺らしたななし。
そんな二人はいつもより数段穏やかな目交いを楽しむのだった。
お粗末!
支配人真島④の出来事を思い出す話を④を書いている段階で考えていました。
昔を懐かしむっていうシチュが個人的に好きです。
真島さんとななしちゃんはそう事が沢山ありそうだなぁーっていう妄想笑
「ななし、さっきからどないしてん」
『うん?どないもしてないですよ〜?』
真島は己の背中に抱きついて離れない恋人のななしを見下ろし、そんな質問を投げかけた。
ちなみに家での真島は上半身裸が常であり、今日も上半身裸である。そんな半裸の状態にひっついてくるため頭一つと半分くらいは小さいななしが抱きつけば自ずと肩甲骨辺りに顔がくる。
温かな息が背中にかかる度に少し擽ったく、変な欲が沸き起こりそうになり真島はずっと悶々としている状態。
加えて特に意味も無くくっついていると言うのだから、自分は試されているのかと頭を悩ませるばかりだ。
「ほな、なんでそないにくっついとんねん。便所行けへんやろがい」
『トイレ行きたいんですか?』
「おう」
『じゃ、離れます…』
「……便所や、直ぐ戻ってくる」
ななしにくっつかれて嬉しくないはずはない。
勿論可愛い彼女の肌が肌に触れ合うのはこの上なく幸福だ。
だがただ意味もなく抱きついているというななしに無遠慮に手を出すというのも憚られてしまって。
なるべくこれ以上興奮せぬようにとトイレに行くと(落ち着かせる的な意味も込めて)、そう提案したのだがあまりにもしゅんと落ち込んでしまったから。
真島はとてつもない罪悪感に駆られてしまい腰に回る腕をそっと解いてトイレにへと駆け込んだ。
「(なんであんなに引っ付いてくんねん可愛ええな!!!俺に手ぇ出して欲しいんか!?あ!?据え膳なんか!?誘っとるんか!?)」
プチパニックのまま真島は用を足して手を洗った後、そろりそろりとななしに気づかれないようにリビングへ向かった。
音を立てないようにこっそりななしの姿を盗み見するとソファに座りながらしゅんと小さくなっている。
── アイツ…ホンマに小動物みたいやな……。
もしななしが小動物なら自分は肉食獣だろうか。
言い得て妙だと、と一人頷いているとななしはおもむろに携帯を取り出して何かを見つめ出したのだ。
何を見ているのかは遠くから盗み見している真島には分からなかったが、スマホを見ているななしの顔がとても嬉しそうで蕩けているのはよく分かった。
「……」
一体このタイミングで何を見てそんないやらしい顔をしているのか。
真島は面白くない!と全面に不機嫌オーラを身に纏うと、ソファに座るななしの隣に力任せに腰を下ろした。
「何見とんねんななし」
『え?吾朗さんですけど』
「あぁ!?ゴロウさん?ゴロウさんて俺か?」
『ふふ、貴方以外に誰がいるんですか〜』
「スマホに俺がおるんか?」
『写真ですけどね。この写真、とってもお気に入りなんです』
「…どれや……、なんや後ろ向きやないか!」
『スーツ姿の!ですけどね!』
顔が蕩けていた理由が自分の写真だと分かり安堵した真島。同時に自分の写真でそんな顔になるのか…支配欲がウズウズと刺激されてしまった。
なんとか平静を装いスマホの写真を見れば、そこに写っていたのはななしの言う通り自分自身だったが。顔が写っている訳ではなくて、幹部会に着ていくスーツを身にまとった己の後ろ姿だった。
顔も写らず、表情も一切分からないこの写真がお気に入りだというななし。
スーツ姿がいいというなら他にも顔が写ったものもあるだろうに何故この写真なのか。
真島はななしがなぜこの一枚をお気に入りとしているのか理解できなかった。
『この大きな背中…思い出すんです。グランドで酔っ払いに絡まれてた時に吾朗さんが助けてくれたこと』
「…よぉ覚えとんなぁ」
『忘れませんよ〜!だってあんなにかっこよくて頼もしい背中吾朗さんが初めてだったんですから』
スマホの画面を消し再び腰に張り付いてきて背中に顔を寄せるななしは『懐かしい…』と、小さく呟いた。
密着してくるななしの頭をわしゃわしゃと撫でてやりながら真島はいつの出来事だろうかとはるか昔の記憶を遡ってみる。
しかし色々脳裏で思い浮かべてみるがななしがそういった場面に出くわしている事が少なくないため、いつの出来事かを判断するのは少し難しい。
「ななしはチンピラにえろうモテるさかいのぉ」
『吾朗さんにモテればそれでいいんですけどね…。いつもご迷惑おかけしてます』
「あほ、迷惑やないわ」
『ありがとうです』
「これからも大人しく俺の傍におれよ」
『へへへ…嬉しい…』
「…ななし、さっきから俺を誘とるんか?」
『え?そんな事ないですけど』
ニコニコと擦り寄ってくる猫のようなななしがあまりにも可愛らしくて。これ以上刺激してくれるなと思いつつも、ななしの柔らかな胸が背中や腕に当たってしまえば下腹部は熱を持ってしまって仕方がない。
分かっていてそういう引っ付き方をしているのか、自由なななしに悶々とするばかりだ。
『吾朗さん、背中見せてください』
「あ?もうようさん見とるやんけ」
『もっと見たいんです』
「勝手にせぇ、せやけどどうなっても知らんで」
『アタシが満足するまで待って下さい』
「お、珍しく乗り気やないか」
『ふふ、どうでしょうか』
いつも気恥しいと悪態をつき事に及ぶまで些か時間を有するが(最終的には快感でトロトロになるしセックスは嫌いではないのだろう)、今日はどうやら彼女も既になにかしらのスイッチが入っている状態らしい。
珍しいとおもいつつこの後気の済む迄抱くと決まったので、それまでは自由にさせてやろうと真島はななしの言う通り背中を向けてやった。
背中をななしに向ければ背後から『はぁ』とうっとりしたようなため息が聞こえてくる。自分で言うのはなんだがこんなにも仰々しい刺青をみてそんな風に色気の混じった声を出すのはこの世のどこを探してもきっとななしだけだろうと思う。
自分を象徴するような刺青をそこまで気に入って貰えれば真島も嬉しいというもので。
般若をゆっくり指でなぞるななしに口元を緩めた。
『桜と般若ちゃんて凄くマッチしてますよね。吾朗さんの背中だからかな』
「ヒヒッ、どやろなぁ」
『吾朗さんに助けられる時は同時にこの白蛇と般若ちゃんにも助けられてるんだなぁって思うと、本当に愛おしいです』
細い指先で般若や白蛇をなぞるななし。
擽ったさに目をほそめていると次いで柔らかい感触がしチュッと可愛らしいリップ音が響いた。
背中の下の方、言うなればもうほとんど腰くらいか。
そんな位置に柔らかく温かい、唇の感触がする。
位置から想像するに般若の口付近だろうか。
背中にいる般若に小さくキスをしているななし。
目には見えなかったがキスをする姿を想像してしまった真島は、顔に手を当てグズグズと溢れ出てくる欲求に耐えるように深く息を吐き出した。
ななしが満足するまで待てと言ったのでまだ待ってやろうと思っているのだが。
こうも煽るように触れられると我慢できなくなるのは彼女がどうしようもないくらい愛おしいからだろうか。
「ななし」
『ん?』
我慢我慢、となんとか耐えていたがやはりななしの手つきや吐息に興奮を抑えることが出来なくなった真島は勢いよく振り向き背後にいる彼女をソファに押し倒すと、積もりに積もった欲望をぶつけるように背中に触れていた唇に己の唇を押し付けた。
唇の柔らかさを堪能し角度を変え何度も貪っているとななしの方から舌を絡めてくる。
真島は興奮のあまり無防備な彼女の胸を揉みしだきながら、ななしの舌を吸い上げ激しく深いキスを繰り返した。
『はぁっ、はぁ、まだ満足してなかったのに…』
「もう我慢できひんわっ。煽ったお前のせいやで」
『ふふ、煽ってないですけど…』
「なんでもええ。抱かせろや」
『ん、ん、…ふふ、勿論』
今度は軽く触れるだけのやさしいキスを繰り返しながら、ゆっくりとななしの衣服を剥いでいく。
白い肌をさらけ出したななしは艶っぽい表情で真島の眼帯に触れた後、そのまま細い腕を逞しい首に回して頭を抱え込むように抱きしめた。
ななしの柔らかい胸に顔を埋めるような形になった真島。
そんな真島の刈り上げられた後頭部を撫で付けながらななしはそっと『ありがとうございます』と呟くのだ。
この状況でありがとうというのは何に対してなのか。
抱かれることに対して?それともキスに対して?
どれもしっくり来なかった真島は素直に「なにがや」と彼女に問うた。
『アタシを信じてくれたことです』
「信じた…。どういうことやねん」
『あの時アタシが嘘ついてるかもしれないのに、吾朗さんは「ななしが嘘言うわけない」って真っ先に信じてくれたんです。本当に嬉しくて…思い出したらいても立ってもいられなくなっちゃったんです』
「……お!グランドの前で酔っ払いに絡まれた時の話か」
『!そうです!覚えていてくれたんですか?』
「おう、少し思い出したわ」
そうだ、あの時は確かもう2人で帰宅する寸前だった。グランドに忘れ物をしたため外で待っていてもらっている間にななしが酔っ払いにからまれていたんだ。
酔っ払いは「このガキが悪い」とそれはもう大層怒っていたのだが、それに対してななしは『何もしていない』と言い淀むことなく伝えてきたから、彼女が言うならその通りなのだろうと疑いすらしなかったことを覚えている。
そもそもななしが嘘を言い他人に迷惑をかけるなど当時も今も考えられないことだ。
最終的に殴って追い返したのだが、そのあとも終始ニコニコと嬉しそうにしていたななし。
当時も今と同じように信じて貰えたことに喜びを感じていたのだろうか。
そう思うと目の前にいるななしが益々可愛らしく見えてくるような気がして。
真島はゆっくりと口角をあげた後彼女の肩にそっと顔を埋めた。
『その時、ふふ。大袈裟かもしれないけど、吾朗さんだけでもアタシを信じてくれていたらこれから先どんなことがあっても幸せなんだろうなぁ…て思ったんです』
「ヒヒッ。よかったのぉななし。これからもお前はずっと幸せっちゅうことや」
『これからも信じてくれるって事ですか?』
「当たり前やろ。これから先、死ぬまでずっとや」
『吾朗さん…ふふ、ありがとう。愛してます』
「おう」
ななしは素直で真っ直ぐで。
どんな時も嘘をついたりはしない。
それが真島が惚れたななしという女性だ。
これからもきっと変わることの無いななしをずっと愛すのだろう。
手始めに背中を見て昔の出来事を思い出し、いても立ってもいられなくなったと言うななしを甘やかし、もっと自分なしでは生きられないようにしてやろう。
真島は背中や首に回る腕をゆっくり解いてソファに縫い付けると、嬉しそうな気恥ずかしそうなななしの唇に優しく唇を押し付けた。
「俺も愛しとんでぇ」
唇をひっつけたまま呟いてやると小さく笑う声と振動が伝わってくる。
愛おしさに堪らず笑った真島と、そんな真島に釣られるように肩を揺らしたななし。
そんな二人はいつもより数段穏やかな目交いを楽しむのだった。
お粗末!
支配人真島④の出来事を思い出す話を④を書いている段階で考えていました。
昔を懐かしむっていうシチュが個人的に好きです。
真島さんとななしちゃんはそう事が沢山ありそうだなぁーっていう妄想笑