ミニ小話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大晦日と言えどななしに休みは無い。
年中無休であるグランドは今日もばっちりと営業予定である。
昼の3時頃から出勤して、年が明けるまでをグランドで従業員やお客さん、そして恋人である真島と過ごすことになるのだろう。
年末を1人寂しく過ごすよりある程度知った仲である従業員や、気前のいいお客さん、優しくかっこいい真島と例え仕事だとしても賑やかに過ごせることはななしにとってありがたい事であった。
グランドで新年を迎えるため、"今年の汚れは今年のうち"と言うように年内中に風呂に入ることは難しい。
帰ってから身を清める事になるが、部屋の汚れなら…基大掃除なら出勤前に十分に出来る。
ななしはいつもより早く起きてから、グランドへ出勤する数時間の間にできるだけ部屋を綺麗にしようとゴミ袋片手に一生懸命に掃除をしていた。
それから黙々と掃除をしていると、恋人の真島が「おはようさん」とアパートにやって来て、2人で大掃除をすることとなった。
ただ大掃除といっても家具やゴミはほとんど無いため、先程持っていたゴミ袋もまだスカスカである。
掃除機や雑巾がけをテキパキと済ませて、ある程度部屋が綺麗になった所でななしと真島は休憩しようと、テーブルの前に腰を下ろしていた。
『ありがとうございます真島さん。お疲れなのに体力使わせちゃってすみません』
「ええねん。それにななしの部屋も元々綺麗やし、ほとんど何もしとらんわ」
『ふふ、ありがとうございます。そう言われるとなんだか照れちゃいますね。でも真島さんのお陰で綺麗になったんですよ?』
「ほな、俺も少しは役に立てたって事やな」
『少しじゃないです!とっても助かりました!』
「フッ、ほうか。ななしに喜んでもらえてなによりや」
『はい、本当にありがとうです!』
「おう」
優しい真島のお陰で随分と早く大掃除を終わらせることが出来た。
彼がいてくれたおかげで高い場所もすっきり綺麗になった。
『真島さん、暖かいお茶入れますね!』
「ほな、貰うわ」
『はい!少し待っててくださいね』
「おう、火傷せんよぉにな」
『はぁい』
「それよりななし」
『なんですか?』
「この机にある紙の束なんなんや?」
急須にティーパックとお湯を注いでいると真島は何かが気になったらしく頭の上にはてなマークを浮かべている。
急須とコップをふたつ運びながら真島がなにを見て疑問に思っているのかとななしも机を見つめた。
そこには真島が言った通り白く細長い紙の束が置かれている。
『あ、これは大事なものです!』
「大事なものなんか?」
『はいっ、これは捨てずに取っておきます』
「紙とちゃうんか?」
『えっと、これは…レシートです』
「レシート、あのもの買ったら貰えるレシートか?」
『は、はい。そのレシートです。でもこのレシートは中でもとっても特別なものなんですよ!』
「ポイントが貯まるとかなんかに使えるレシートか?そないにあっても嵩張るだけやないか?」
『そうじゃないんです。えっと、これは…』
ななしは急須等を机に置いた後、紙の束…レシートを手に取る。
確かに傍から見ればただのレシートであるが、ななしが持っているレシートは彼女の宝とも言えるものなのだ。
大事に保管していたレシートは全て真島と訪れた店で貰ったもの。割り勘をしたりななしが払って受け取ったものを纏めて大事に保管している。
ななしにとってこれら1枚1枚は真島とすごした大切な思い出なのだ。
いつまでも幸せな時間や感情を忘れないように、自分が貰ったものだけでもと大切にしている。
『アタシと真島さんの思い出なんです…2人で一緒にご飯食べた時やコンビニに行った時に貰ったレシートでいつも凄く嬉しかったから…忘れたくなくて大事に保管してたんです』
「なるほどそういう事やったんか」
『はい。だからこれからも大事に保管予定なんですよ』
「ななしは律儀なやっちゃのぉ」
『そ、そうですか?』
「せやけどこれから永遠に全部とっとくんか?」
『うーん、出来れば』
「これからずっと一緒におって何十回、何万回と2人ででかけるやろ。その気持ち忘れる暇なんてないんちゃうか?」
『ずっと一緒に…?』
「なんやちゃうんか?俺はそのつもりやで」
『アタシも真島さんと一緒にいたい。これからもずっとっ』
「せやったらやっぱり忘れる暇なんて無いのぉ」
口角を上げた真島はスっと腕を持ち上げると、レシートの束を持っていたななしの頬へ手を滑らせた。
触れた真島の指先は微かに冷たく、ななしの肩がピクリと揺れる。
だが同時に彼からの優しさや愛情が触れた指先からひしひしと伝わってくるようで。ななしは嬉しさに堪らず自ら頬を擦り寄せた。
まだまだ未来は先が見えないし、不安な部分も多い。
だが他でもない真島がずっと一緒にいるとそう言ってくれたことはななしにとってなによりも嬉しかった。
それに不思議と彼が言うならきっとずっと一緒なのだろうと妙な自信さえ湧いてくる。
『そっかぁ、このレシートがなくてもきっと嬉しい気持ちを忘れたりしないですね』
「俺はそう思うで」
『ふふ、じゃぁ思い切って捨ててみます!』
「これぞ大掃除やな!」
『そうですね!』
「また、一緒に飯食いに行こか。これからもずっとな」
『はい、絶対一緒に行きましょうね!真島さん』
頬を滑る手が今度は唇に触れ、どちらからともなく顔が近づく。
気がつけば柔らかな唇と唇が重なり合い真島とななしはキスをしていた。
『真島さん、まだ早いけど来年も再来年もずっとずっとよろしくお願いしますね』
「フッ、こちらこそずっとよろしく頼むで」
年中無休であるグランドは今日もばっちりと営業予定である。
昼の3時頃から出勤して、年が明けるまでをグランドで従業員やお客さん、そして恋人である真島と過ごすことになるのだろう。
年末を1人寂しく過ごすよりある程度知った仲である従業員や、気前のいいお客さん、優しくかっこいい真島と例え仕事だとしても賑やかに過ごせることはななしにとってありがたい事であった。
グランドで新年を迎えるため、"今年の汚れは今年のうち"と言うように年内中に風呂に入ることは難しい。
帰ってから身を清める事になるが、部屋の汚れなら…基大掃除なら出勤前に十分に出来る。
ななしはいつもより早く起きてから、グランドへ出勤する数時間の間にできるだけ部屋を綺麗にしようとゴミ袋片手に一生懸命に掃除をしていた。
それから黙々と掃除をしていると、恋人の真島が「おはようさん」とアパートにやって来て、2人で大掃除をすることとなった。
ただ大掃除といっても家具やゴミはほとんど無いため、先程持っていたゴミ袋もまだスカスカである。
掃除機や雑巾がけをテキパキと済ませて、ある程度部屋が綺麗になった所でななしと真島は休憩しようと、テーブルの前に腰を下ろしていた。
『ありがとうございます真島さん。お疲れなのに体力使わせちゃってすみません』
「ええねん。それにななしの部屋も元々綺麗やし、ほとんど何もしとらんわ」
『ふふ、ありがとうございます。そう言われるとなんだか照れちゃいますね。でも真島さんのお陰で綺麗になったんですよ?』
「ほな、俺も少しは役に立てたって事やな」
『少しじゃないです!とっても助かりました!』
「フッ、ほうか。ななしに喜んでもらえてなによりや」
『はい、本当にありがとうです!』
「おう」
優しい真島のお陰で随分と早く大掃除を終わらせることが出来た。
彼がいてくれたおかげで高い場所もすっきり綺麗になった。
『真島さん、暖かいお茶入れますね!』
「ほな、貰うわ」
『はい!少し待っててくださいね』
「おう、火傷せんよぉにな」
『はぁい』
「それよりななし」
『なんですか?』
「この机にある紙の束なんなんや?」
急須にティーパックとお湯を注いでいると真島は何かが気になったらしく頭の上にはてなマークを浮かべている。
急須とコップをふたつ運びながら真島がなにを見て疑問に思っているのかとななしも机を見つめた。
そこには真島が言った通り白く細長い紙の束が置かれている。
『あ、これは大事なものです!』
「大事なものなんか?」
『はいっ、これは捨てずに取っておきます』
「紙とちゃうんか?」
『えっと、これは…レシートです』
「レシート、あのもの買ったら貰えるレシートか?」
『は、はい。そのレシートです。でもこのレシートは中でもとっても特別なものなんですよ!』
「ポイントが貯まるとかなんかに使えるレシートか?そないにあっても嵩張るだけやないか?」
『そうじゃないんです。えっと、これは…』
ななしは急須等を机に置いた後、紙の束…レシートを手に取る。
確かに傍から見ればただのレシートであるが、ななしが持っているレシートは彼女の宝とも言えるものなのだ。
大事に保管していたレシートは全て真島と訪れた店で貰ったもの。割り勘をしたりななしが払って受け取ったものを纏めて大事に保管している。
ななしにとってこれら1枚1枚は真島とすごした大切な思い出なのだ。
いつまでも幸せな時間や感情を忘れないように、自分が貰ったものだけでもと大切にしている。
『アタシと真島さんの思い出なんです…2人で一緒にご飯食べた時やコンビニに行った時に貰ったレシートでいつも凄く嬉しかったから…忘れたくなくて大事に保管してたんです』
「なるほどそういう事やったんか」
『はい。だからこれからも大事に保管予定なんですよ』
「ななしは律儀なやっちゃのぉ」
『そ、そうですか?』
「せやけどこれから永遠に全部とっとくんか?」
『うーん、出来れば』
「これからずっと一緒におって何十回、何万回と2人ででかけるやろ。その気持ち忘れる暇なんてないんちゃうか?」
『ずっと一緒に…?』
「なんやちゃうんか?俺はそのつもりやで」
『アタシも真島さんと一緒にいたい。これからもずっとっ』
「せやったらやっぱり忘れる暇なんて無いのぉ」
口角を上げた真島はスっと腕を持ち上げると、レシートの束を持っていたななしの頬へ手を滑らせた。
触れた真島の指先は微かに冷たく、ななしの肩がピクリと揺れる。
だが同時に彼からの優しさや愛情が触れた指先からひしひしと伝わってくるようで。ななしは嬉しさに堪らず自ら頬を擦り寄せた。
まだまだ未来は先が見えないし、不安な部分も多い。
だが他でもない真島がずっと一緒にいるとそう言ってくれたことはななしにとってなによりも嬉しかった。
それに不思議と彼が言うならきっとずっと一緒なのだろうと妙な自信さえ湧いてくる。
『そっかぁ、このレシートがなくてもきっと嬉しい気持ちを忘れたりしないですね』
「俺はそう思うで」
『ふふ、じゃぁ思い切って捨ててみます!』
「これぞ大掃除やな!」
『そうですね!』
「また、一緒に飯食いに行こか。これからもずっとな」
『はい、絶対一緒に行きましょうね!真島さん』
頬を滑る手が今度は唇に触れ、どちらからともなく顔が近づく。
気がつけば柔らかな唇と唇が重なり合い真島とななしはキスをしていた。
『真島さん、まだ早いけど来年も再来年もずっとずっとよろしくお願いしますね』
「フッ、こちらこそずっとよろしく頼むで」