ミニ小話
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客へ愛想良く挨拶をして回る真島だが、彼は今とてもイライラしていた。
グランドに連日やってくる太客への挨拶、次から次へと起こるハプニングへの対応。
キャストへの当たり障りない付き合いや支配人としての仕事。
思い起こせば真島にとってありとあらゆる事が苛立ちへと直結している。
それでも真島は毎日何とかそのイライラを去なし"支配人"として務めることが出来ていた。
理由は恋人であるななしが常に寄り添い支えてくれているから。
苛立って仕様がない時も朗らかに笑うななしを見るだけで心が癒され嫌な事が吹き飛んでいくし、そんな彼女と愛を確かめ合うように体を重ねれば他の事など考えられなくなるほど全てが満たされた。
だからどれだけ仕事や己の人生に心が荒んでもななしさえ傍に居てくれればどうにかなるし、生きていけると真島は感じていた。
己にとってななしとは文字通りかけがえのない存在であるのだ。
今日も今日とて仕事や人間関係、接客など…あげればキリがない程苛立ちを感じ心身共に満身創痍の状態であった真島。
今日は何故か客とキャストのトラブルではなくキャスト同士…所謂女同士でのトラブルがあり、彼女達を諌めるのにとても苦労したのだ。
後を引かない男同士の喧嘩とは違い女同士の喧嘩はとても厄介である。
その場で解決したように見えてもお互いのいがみ合いは終わることはなく、結局仕事始めに喧嘩をしてからその後は終業時間まで永遠と陰険な喧嘩をしていたキャスト達。
客に何かをしでかしてしまうのではないかと気が気でなく、仕事中ずっと喧嘩をしたキャスト達を監視していた真島。
一日中気を揉んでいたため仕事が終わった後の体の疲れやストレスが尋常でなく、真島の口からは最早ため息しか出てこなかった。
「はぁぁ」
客やキャスト、従業員が全員帰り静かになったグランド内に真島の重苦しため息が響いた。
丁度ホールの片付けをし終えたななしが戻ってきており、ため息を聞いたのか『お疲れ様です、真島さん』と労わるようにそう言う。
「ななし…」
その声だけでどれだけ心が軽くなる事か。
疲れた体が直ぐに癒える事は無いが、心の充満していたイライラはスっと消えていくようであった。
真島はバインダーや作業に使った物を棚に片付けているななしへ近付くと後ろから抱きつき、彼女の首筋に顔を埋めた。
肌に鼻を押し付け胸いっぱいに吸い込めば、甘やかなななしの香りがし真島はうっとり隻眼を細めた。
『今日は色々ありましたね。本当にお疲れ様です真島さん』
「ななしもお疲れさん…ななしがおらんだら客やろうがキャストやろうが構わんとぶん殴っとるわ…」
『…ダメだって分かってても殴っちゃいたくなるくらいイライラしちゃう時ありますよね。真島さんはきっとそういった瞬間がアタシなんかより沢山あるだろうし…大変ですよね。本当に尊敬します』
「こんな奴尊敬したらアカンで。心で何考えとるか分からん腹黒や」
『ふふふっ、別に腹黒でもいいじゃないですか。アタシはどんな真島さんでも尊敬します!』
「そないな事言うのはななしだけやで…はぁ、ホンマ可愛ええ…」
『真島さん、真島さん』
「ん?」
『ちょっと腕の力緩めて貰ってもいいですか?正面向きたいんです』
「おう」
ぎゅうっと抱きしめていた腕の力を緩めると、ななしがモゾモゾと動きくるりと振り返った。
向き合う形になったななしはニコニコと笑いながら細い腕を伸ばして来るので、真島は少し前かがみになりながら彼女を抱きとめる。
首にななしの腕が周り、先程よりもずっと距離が縮まった。
『真島さんはいつも頑張ってます。真島さんはなに考えてるか分からない腹黒っていいますけど、働いている以上それは普通の事だと思うんです。アタシだって嫌いな従業員もお客さんもいますもん。それでも大人の対応ができる真島さんはとても素敵ですし、アタシにとっては尊敬できる恋人です』
「ななし…」
『でも無理はしないでくださいね!なにもしてあげられないけどお話聞くくらいはアタシにも出来ますから。後アタシにはどんな感情もぶつけていいですからね?我慢しないでくださいね?』
ななしは言い終わると背伸びをし首に回していた手で頭を撫でてきた。
身長が届かないせいかとてもぎこちないが、その手つきや温もりはなによりも真島の心を癒してくれるようであった。
またななしが気遣うように労わるように無理はしないでと言ってくれたことがなによりも嬉しくて、柄にも無く自身の顔に熱が集まるのを感じた真島は咄嗟に顔を逸らした。
いつだって欲しいと思った言葉を投げかけてくれるななしの存在が今の自分にとってどれだけ大切か。
仕事で忙しく辛い思いをしているのはななしとて同じはずなのに、いつだってニコニコと笑っている彼女の尊さに、真島は胸がぎゅうと締め付けられるようであった。
「ななし」
『はい』
「ありがとさん。いつもどんだけ救われとるか…ホンマ好きや」
『ふふ、なにそれ。お互い様ですよ!それにアタシも真島さんが好きです!』
「ふっ、ななしはホンマに可愛ええのぉ」
『真島さんはとってもかっこいいです。アタシいつもドキドキしっぱなしなんですからね』
そう言ったななしの顔は赤みを帯びていて、嘘をついていないということがよく分かる。
そんな素直で恥ずかしがり屋のななしが愛おしい。
真島は今日の疲れを癒すように目の前の大切で愛おし恋人を再び強く抱きしめるのだった。
グランドに連日やってくる太客への挨拶、次から次へと起こるハプニングへの対応。
キャストへの当たり障りない付き合いや支配人としての仕事。
思い起こせば真島にとってありとあらゆる事が苛立ちへと直結している。
それでも真島は毎日何とかそのイライラを去なし"支配人"として務めることが出来ていた。
理由は恋人であるななしが常に寄り添い支えてくれているから。
苛立って仕様がない時も朗らかに笑うななしを見るだけで心が癒され嫌な事が吹き飛んでいくし、そんな彼女と愛を確かめ合うように体を重ねれば他の事など考えられなくなるほど全てが満たされた。
だからどれだけ仕事や己の人生に心が荒んでもななしさえ傍に居てくれればどうにかなるし、生きていけると真島は感じていた。
己にとってななしとは文字通りかけがえのない存在であるのだ。
今日も今日とて仕事や人間関係、接客など…あげればキリがない程苛立ちを感じ心身共に満身創痍の状態であった真島。
今日は何故か客とキャストのトラブルではなくキャスト同士…所謂女同士でのトラブルがあり、彼女達を諌めるのにとても苦労したのだ。
後を引かない男同士の喧嘩とは違い女同士の喧嘩はとても厄介である。
その場で解決したように見えてもお互いのいがみ合いは終わることはなく、結局仕事始めに喧嘩をしてからその後は終業時間まで永遠と陰険な喧嘩をしていたキャスト達。
客に何かをしでかしてしまうのではないかと気が気でなく、仕事中ずっと喧嘩をしたキャスト達を監視していた真島。
一日中気を揉んでいたため仕事が終わった後の体の疲れやストレスが尋常でなく、真島の口からは最早ため息しか出てこなかった。
「はぁぁ」
客やキャスト、従業員が全員帰り静かになったグランド内に真島の重苦しため息が響いた。
丁度ホールの片付けをし終えたななしが戻ってきており、ため息を聞いたのか『お疲れ様です、真島さん』と労わるようにそう言う。
「ななし…」
その声だけでどれだけ心が軽くなる事か。
疲れた体が直ぐに癒える事は無いが、心の充満していたイライラはスっと消えていくようであった。
真島はバインダーや作業に使った物を棚に片付けているななしへ近付くと後ろから抱きつき、彼女の首筋に顔を埋めた。
肌に鼻を押し付け胸いっぱいに吸い込めば、甘やかなななしの香りがし真島はうっとり隻眼を細めた。
『今日は色々ありましたね。本当にお疲れ様です真島さん』
「ななしもお疲れさん…ななしがおらんだら客やろうがキャストやろうが構わんとぶん殴っとるわ…」
『…ダメだって分かってても殴っちゃいたくなるくらいイライラしちゃう時ありますよね。真島さんはきっとそういった瞬間がアタシなんかより沢山あるだろうし…大変ですよね。本当に尊敬します』
「こんな奴尊敬したらアカンで。心で何考えとるか分からん腹黒や」
『ふふふっ、別に腹黒でもいいじゃないですか。アタシはどんな真島さんでも尊敬します!』
「そないな事言うのはななしだけやで…はぁ、ホンマ可愛ええ…」
『真島さん、真島さん』
「ん?」
『ちょっと腕の力緩めて貰ってもいいですか?正面向きたいんです』
「おう」
ぎゅうっと抱きしめていた腕の力を緩めると、ななしがモゾモゾと動きくるりと振り返った。
向き合う形になったななしはニコニコと笑いながら細い腕を伸ばして来るので、真島は少し前かがみになりながら彼女を抱きとめる。
首にななしの腕が周り、先程よりもずっと距離が縮まった。
『真島さんはいつも頑張ってます。真島さんはなに考えてるか分からない腹黒っていいますけど、働いている以上それは普通の事だと思うんです。アタシだって嫌いな従業員もお客さんもいますもん。それでも大人の対応ができる真島さんはとても素敵ですし、アタシにとっては尊敬できる恋人です』
「ななし…」
『でも無理はしないでくださいね!なにもしてあげられないけどお話聞くくらいはアタシにも出来ますから。後アタシにはどんな感情もぶつけていいですからね?我慢しないでくださいね?』
ななしは言い終わると背伸びをし首に回していた手で頭を撫でてきた。
身長が届かないせいかとてもぎこちないが、その手つきや温もりはなによりも真島の心を癒してくれるようであった。
またななしが気遣うように労わるように無理はしないでと言ってくれたことがなによりも嬉しくて、柄にも無く自身の顔に熱が集まるのを感じた真島は咄嗟に顔を逸らした。
いつだって欲しいと思った言葉を投げかけてくれるななしの存在が今の自分にとってどれだけ大切か。
仕事で忙しく辛い思いをしているのはななしとて同じはずなのに、いつだってニコニコと笑っている彼女の尊さに、真島は胸がぎゅうと締め付けられるようであった。
「ななし」
『はい』
「ありがとさん。いつもどんだけ救われとるか…ホンマ好きや」
『ふふ、なにそれ。お互い様ですよ!それにアタシも真島さんが好きです!』
「ふっ、ななしはホンマに可愛ええのぉ」
『真島さんはとってもかっこいいです。アタシいつもドキドキしっぱなしなんですからね』
そう言ったななしの顔は赤みを帯びていて、嘘をついていないということがよく分かる。
そんな素直で恥ずかしがり屋のななしが愛おしい。
真島は今日の疲れを癒すように目の前の大切で愛おし恋人を再び強く抱きしめるのだった。