ミニ小話
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真島のマンションにある革張りの大きなL字のソファで持ち主である真島とななしが二人で寛いでいた。
真島はななしの柔らかな膝を枕にし感触を楽しみながら流れているテレビを横目でぼんやりと見ている。
ななしも真島と同じテレビを眺めており、面白いのか時折体を揺らしながら小さく笑っていた。
「……」
太ももの柔らかさや笑う度に伝わる振動は真島にとって心地よいものであると同時にとても愛らしいく、心が満たされるよう。
日常の喧騒などを忘れるほど穏やかな時間をななしと過ごしている真島だが、ひとつだけどうしても気になる事があった。
それはテレビを見ているななしの右手がするすると
指の腹や手の平で髭を上下左右様々に摩り、まるで真島がななしの太ももの感触を楽しむように彼女もまた髭のチクチクとした感触を無意識に楽しんでいるようであった。
触られて不快と言うわけではないが、擽ったくて仕方がない真島は止まることの無いななしの手をやんわり掴み「ななし」と彼女の名を呼ぶ。
するとななしはすぐに気が付いたらしく『どうかしました?』と笑顔のまま下を向きこちらを見つめた。
照明を背にしているためかななしの髪や輪郭がキラキラと輝いており、真島は眩しさについ目を細めた。
『吾朗さん?』
「おう、ななし」
『なんでしょう?』
「…お前、無意識か?」
『うん?アタシ何かしてましたか?』
「永遠と髭触っとんの気づいとらんのか?」
『え!?さ、触ってました!?』
「テレビ見ながら滅茶苦茶触っとったやないか」
『完っっ全に無意識だった…』
「せやろなぁ」
やはりななしは無意識のうちに手を伸ばし髭を触っていたらしく、指摘されとても驚いている。
『すみません、顔に触られるのってあまり嬉しくないですよね!今後気をつけます』
「別に触んのはええ。せやけどお前の触り方こしょばいねん」
『ふふふっ、触るのはいいんですか?』
「あ?そらええやろ。別に遠慮する関係やないんやさかい」
『それもそうですね。じゃあ、今後も多分触りますね!』
「それはかまへん。せやけど触るならガッツリ触れよ?」
『なんですかガッツリ触るって』
「ガッツリっちゅうたらガッツリや」
『ふふ、分かんないです』
「ヒヒッ、ほな教えたる。ガッツリっちゅうのはこんな感じや」
『わっ!ちょっ、吾朗さんっ』
真島はすぐ近くにあるななしの頭に手を置くと光に反射しキラキラと輝いている髪をわしゃわしゃと撫でまわした。
『なにするんですかー!』と怒るななしだが満更でもないようで顔は終始ニコニコと笑っている。
ななしの髪質はフワフワである為、真島がわしゃわしゃと撫で回せば髪はそのまま癖を作り、あちら此方にピンと跳ねた。
見上げるななしの両サイドの髪が跳ねまるで猫のようになっている。
「ヒヒッ、ええ感じになったでななし」
『もう〜、アタシもがっつり触ってやる!』
髪を跳ねさせたままななしは顎に手を置くと真島と同じような手つきで髭を撫で回した。
髭は髪のように柔らかいものでは無いため撫で回しても痛いだけだろうに、ななしは何処か楽しそうに『ジョリジョリ〜』と髭を触る手を止めようとはしない。
無意識に触るくらいなのだ、余程髭が好きなのだろう。
真島は楽しそうに口角を上げた。
「ななしは髭が好きなんやな」
『ん〜、どうでしょう。髭と言うより吾朗さんだから好きって感じですかね?他の人の髭は触りたいと思わないもん』
「ヒヒッ、なんやそれ。可愛ええ事言うやんけ」
『だって本当ですもん。貴方だから無意識のうちに触っちゃうんです。それに綺麗に整えてあるし触り心地も最高なんですから』
「髭なんか整えても痛いやろ」
『それがいいんじゃないですか』
「お前は変わっとるのぉ」
『えー?なにそれ、褒め言葉ですよね?』
「ヒヒッ、せやな。褒め言葉や」
『ふふ、嬉しい』
こちらを見下ろすななしがあまりにも嬉しそうに眉を離し、愛くるしく笑うため真島は思わず跳ねた髪を整えた後、彼女の後頭部を包み自身に引き寄せていた。
「ななし、ホンマ……可愛ええのぉ」
『吾朗さんはかっこいいです。髭も髪もホクロも全部』
髭を触り続けていたななしの手がゆっくりと動き移動すると、今度は唇をなぞった。
髭もだが唇をなぞる指先もとても擽ったい。
そのままどちらからともなく顔が近付き気が付けばいつもとは違う角度で真島とななしの唇がゆっくりと触れ合った。
『んっ、はぁ』
「ななし、もっかいや」
『ふふ、うん』
キスは擽ったいだけでなく、とても気持ちがいい。
真島は合わせた唇を動かしながらゆっくりと瞳を閉じた。