ミニ小話
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『ど、どうして暖房つけないんですかぁ?』
仕事を終えて事務所にやってきたななしは開口一番にそう言った。
いよいよ冬が到来し肌寒くなってきたため、ななしの言うように暖房をつけて部屋を温める必要があるのだが、この事務所の持ち主である真島は一向に暖房の電源を入れようとはしなかった。
寒くないからつけない、節電の為につけない、真島にも暖房をつけない理由は色々あるのだが、数ある中で最も重要な理由が存在していた。
それは"外から入ってきたななしが暖を求めて引っ付いてくるから"である。
ななしの職場はこの事務所からそれなりに離れている。その為来る前に職場で温まってきたとしても事務所に向かって歩く間に外気で体が冷めてしまうのだ。
今日も沢山歩いて体が冷えてしまったらしいななしは、文句を言いながらもすごい速さでソファに座っている真島に抱きついた。
『…ふぅー。温かい…!』
「ヒヒッ。お前はひやこいのぉ」
『今日は気温がとっても低いんですよ?当たり前です!』
「冬やしのぉ。しゃあないわ」
『貴方が暖房付けてくれればいいだけの話じゃないですかぁ。リモコンどこに行ったんですか?』
「どこやろなぁ?まぁ、暖房なんかに頼らんでも俺が暖めたるさかい安心せぇ」
『安心できないぃー!』
ちなみに暖房のリモコンは真島が座るデスクの引き出しの奥にしまわれている。
てっきりリモコンは無くなったとばかり思っているななしは暖房が恋しいとぼやきながら、真島のジャケットと素肌の間に腕を回してぎゅうと抱きついた。
頬までピッタリと真島の胸に引っ付けると、肌が露出している部分のほとんどがお互いの肌と密着する形となる。
腰や腹に回るななしの肌があまりにも冷たくてブルっと鳥肌が立つ真島。
寒いと言うだけあって肌に当たるななしの腕や頬は氷のように冷たい。
本来なら暖房で温めてやる方がいいと分かってはいるが、こうして冷たい手が腰や腹に回される感覚が妙に好きな真島は、結局毎日暖房は付けないで自分が温めるという選択をしている。
このままではいつしか暖房を付けろ!と怒るななしと対峙する羽目になるだろうが彼女と触れ合える時間に勝るものは無い為、致し方ない。
「…ヒヒッ、まぁ、そん時はそん時やな」
『…なにがですか?』
「ん?気にせんでもええ。それよりもっと俺に引っ付いてあったまらんかい」
『んー…吾朗さんさんの体あったかい…人体カイロだ…』
「ななしの体もだんだんあったこうなって来よったで」
『吾朗さんの体温盗んでるんです』
だんだんと回されている腕から冷たさが消えていく。
彼女の触れている肌が自分の体温に馴染んでいるのだ。
先程まで鼻先を赤らめていたななしは今度は頬を赤く染め、とても愛らしい表情を浮かべている。
いつもこの表情を見られる事や、自分の体温と同じ体温になって行くななしの姿が可愛く、愛おしい。
真島は未だにぎゅうっとしがみついているななしの後頭部と腰にそれぞれ腕を回しさらに引っ付くように抱き寄せた。
「あー、俺までぬくいわ…」
『このまま眠っちゃいそうですよねぇ…はぁ…気持ちいい』
「こんな所で眠ったらアカンで。目ぇ閉じてもええけど家つくまで起きとけよ」
『んー、もちろんでぇす』
「おい、せやから寝たらアカン言うとるやろ」
『だって、吾朗さんがめちゃくちゃあったかいんですもん〜。眠っちゃ駄目ならアタシを突き放してください』
「……突き放すったって…」
こんなにも気持ちよさそうにとろんと瞳を細めて微睡む可愛いななしを突き放すなど、そんな事出来るはずがない。
例え季節が汗が吹き出るような真夏だったとして。今と同じように密着しとんでもなく暑かったとしてもななしを突き放すことなどできないだろう。
ななしも真島が絶対にそんなことをするはずが無い、もしくは出来ないとそう思っているのか『ふふふっ』と笑いながら、さらに脱力し眠るように瞳を閉じた。
『おやすみなさぁい吾朗さん』
「アカン言うとるやろ!ななし」
『んー……』
「おい、ななし?」
暫くしてななしの愛おしい重みを腕に感じた真島。
これは彼女の力が抜けたことを示している。つまりは本当に眠ってしまったのだろう。
返事が無くなってしまったななしの温まりすぎた心地よい体温と、心地よい重みに真島はため息を零した。
しかし聞こえてくる「はぁ」と言うた溜め息はどこか満更では無さそうだ。
仕事を終えて事務所にやってきたななしは開口一番にそう言った。
いよいよ冬が到来し肌寒くなってきたため、ななしの言うように暖房をつけて部屋を温める必要があるのだが、この事務所の持ち主である真島は一向に暖房の電源を入れようとはしなかった。
寒くないからつけない、節電の為につけない、真島にも暖房をつけない理由は色々あるのだが、数ある中で最も重要な理由が存在していた。
それは"外から入ってきたななしが暖を求めて引っ付いてくるから"である。
ななしの職場はこの事務所からそれなりに離れている。その為来る前に職場で温まってきたとしても事務所に向かって歩く間に外気で体が冷めてしまうのだ。
今日も沢山歩いて体が冷えてしまったらしいななしは、文句を言いながらもすごい速さでソファに座っている真島に抱きついた。
『…ふぅー。温かい…!』
「ヒヒッ。お前はひやこいのぉ」
『今日は気温がとっても低いんですよ?当たり前です!』
「冬やしのぉ。しゃあないわ」
『貴方が暖房付けてくれればいいだけの話じゃないですかぁ。リモコンどこに行ったんですか?』
「どこやろなぁ?まぁ、暖房なんかに頼らんでも俺が暖めたるさかい安心せぇ」
『安心できないぃー!』
ちなみに暖房のリモコンは真島が座るデスクの引き出しの奥にしまわれている。
てっきりリモコンは無くなったとばかり思っているななしは暖房が恋しいとぼやきながら、真島のジャケットと素肌の間に腕を回してぎゅうと抱きついた。
頬までピッタリと真島の胸に引っ付けると、肌が露出している部分のほとんどがお互いの肌と密着する形となる。
腰や腹に回るななしの肌があまりにも冷たくてブルっと鳥肌が立つ真島。
寒いと言うだけあって肌に当たるななしの腕や頬は氷のように冷たい。
本来なら暖房で温めてやる方がいいと分かってはいるが、こうして冷たい手が腰や腹に回される感覚が妙に好きな真島は、結局毎日暖房は付けないで自分が温めるという選択をしている。
このままではいつしか暖房を付けろ!と怒るななしと対峙する羽目になるだろうが彼女と触れ合える時間に勝るものは無い為、致し方ない。
「…ヒヒッ、まぁ、そん時はそん時やな」
『…なにがですか?』
「ん?気にせんでもええ。それよりもっと俺に引っ付いてあったまらんかい」
『んー…吾朗さんさんの体あったかい…人体カイロだ…』
「ななしの体もだんだんあったこうなって来よったで」
『吾朗さんの体温盗んでるんです』
だんだんと回されている腕から冷たさが消えていく。
彼女の触れている肌が自分の体温に馴染んでいるのだ。
先程まで鼻先を赤らめていたななしは今度は頬を赤く染め、とても愛らしい表情を浮かべている。
いつもこの表情を見られる事や、自分の体温と同じ体温になって行くななしの姿が可愛く、愛おしい。
真島は未だにぎゅうっとしがみついているななしの後頭部と腰にそれぞれ腕を回しさらに引っ付くように抱き寄せた。
「あー、俺までぬくいわ…」
『このまま眠っちゃいそうですよねぇ…はぁ…気持ちいい』
「こんな所で眠ったらアカンで。目ぇ閉じてもええけど家つくまで起きとけよ」
『んー、もちろんでぇす』
「おい、せやから寝たらアカン言うとるやろ」
『だって、吾朗さんがめちゃくちゃあったかいんですもん〜。眠っちゃ駄目ならアタシを突き放してください』
「……突き放すったって…」
こんなにも気持ちよさそうにとろんと瞳を細めて微睡む可愛いななしを突き放すなど、そんな事出来るはずがない。
例え季節が汗が吹き出るような真夏だったとして。今と同じように密着しとんでもなく暑かったとしてもななしを突き放すことなどできないだろう。
ななしも真島が絶対にそんなことをするはずが無い、もしくは出来ないとそう思っているのか『ふふふっ』と笑いながら、さらに脱力し眠るように瞳を閉じた。
『おやすみなさぁい吾朗さん』
「アカン言うとるやろ!ななし」
『んー……』
「おい、ななし?」
暫くしてななしの愛おしい重みを腕に感じた真島。
これは彼女の力が抜けたことを示している。つまりは本当に眠ってしまったのだろう。
返事が無くなってしまったななしの温まりすぎた心地よい体温と、心地よい重みに真島はため息を零した。
しかし聞こえてくる「はぁ」と言うた溜め息はどこか満更では無さそうだ。