ミニ小話
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(シリーズ主/沖田前提の長倉)
「ななし……こんな所で何をしとんねん」
『あ、新八さん』
新撰組屯所へと通じる階段の傍には沢山の低木がある。
そんな冬になり葉の落ちた低木の裏に、まるで身を隠すように立っているのは平隊士兼一番隊隊長補佐のななしだ。
彼女は低木の裏でコソコソと不審な動きをしていた為、丁度階段を降りてきた永倉の視界の端に嫌でも映る。
『えっ、えーっと…』
「なんや、言えんようなことしとったんか?」
『ち、違いますっ!そんなんじゃないんですけど…えっと…ほら、あそこ見てください…』
「あそこ?…ん?あれは…総司と……誰や?」
こんな所でなにをしていたのかと問えば言い辛そうにしながらも前方を指さすななし。
持ち上がった指の先を見つめれば、少し離れた場所に新撰組の一番隊隊長である沖田と、彼の隣に並ぶ見知らぬ小柄な女性がおりなにやら話をしている様であった。
「なるほど。総司の事が気になるんか」
『……は、はぃ…』
ななしが仕事もせずに低木の裏でコソコソしていた理由が何となくわかった永倉は「そういうことか」と腕を組み、少し離れた距離にいる沖田と女性を見つめた。
沖田の表情は普段通りだが、女性の沖田を見る表情はヤケに艶っぽく色っぽい。明らかに沖田に好意を寄せているということが永倉にもハッキリとわかった。
『あ、あの女性は総司さんが巡回中に輩に絡まれているところを助けた方なんだそうなんです。今日はその時のお礼をしに来たらしいんですが…あの調子でずっと喋っているので…き、気になっちゃって…』
「まぁ、二人で話しとったら気になんのも分からんでもない」
『そ、そうですよね!しかもあの女性とっても美人で綺麗ですし…何もないってわかっていてもどうしても放っておけなくて』
ななしが言うように沖田の隣にいる女性はとても小柄で女性らしい体つきをしている。顔もとても整っており誰が見ても"美人"だと見惚れるほど。
あの麗しい顔で「好きです」などと言われようものならだいたいの男が簡単に落ちるに違いない。
そんな綺麗な女性と想い人 である沖田が話しているという事実が面白くないらしいななしは、眉尻を下げて不安そうにしている。
『私には結える程長く美しい髪はないですし、化粧っ気もありません。可愛らしい着物もないですし、いつも股引ばかりです…そんな私なんかよりもよっぽど…素敵で…綺麗で女性らしい。…総司さんととてもお似合いで、少し羨ましい』
「ななし…」
『………少ししんみりしちゃいましたね!すみません新八さん』
「いや、かまへん。せやけど俺は、あそこにおる女よりもななしの方がよっぽど総司とお似合いやと思うで」
『え?わ、私ですか?』
「おう。大事なのは女性らしいとかそういう事やない。一緒におって安らげるかどうかや」
『安らげるかどうか…』
「せや。お前も総司もお互い一緒におる時どんだけ腑抜けた顔しとるか知っとるか?」
『そ、そんな顔してますか?』
「おう、かなり腑抜けた顔や。新撰組切り込み隊長とは思えんほど緩い顔になるんやで」
『…ふふふ、そんなに腑抜けた顔してるんですか?』
「おう。そうさせとんのはお前なんやでななし。そんだけ一緒におって安らげる存在っちゅうことなんや」
『そ、そっかぁ…』
沢山の事情や理由があってななしは女性の格好もできずに男として生きている。
そして毎日新撰組の仕事をし、女性では持つことさえ滅多にないであろう刀を携え戦いに備えている。
その為ななしの手の平にはいくつも筆や刀の豆ができており、とても女性らしい手とは言い難いものになっていた。
しかしそれらは彼女が一生懸命に生きている証で、一番隊隊長補佐として生きている証だ。
ななしのそんなひたむきな姿勢や生き様が美しく清々しい。そばに居るだけで沖田だけでなく沢山の人々が魅了されているだろう。
現に永倉もまた彼女の一生懸命な姿や前向きで明るい様子にとても好感を抱いているくらいだ。
だから例え髪が長くなくても綺麗じゃなくても、化粧っ気がなくても、女らしくなくても…ななしはななしであり、沖田の隣にいる女性なんかよりもよっぽど美しいと永倉にはそう思えた。
「せやから気落ちせんでもええでななし」
『あ、あの新八さんありがとう。なんだか気持ちが楽になったように思います』
「いや、礼を言われるようなことは言うとらん」
『新八さんってとても優しいですよね。なんだか泣いちゃいそう』
「なんでやねん、ななしは笑っとったほうがええで」
『ふふ、はい。じゃあ、笑ってますね』
ななしはそう言うと白い歯を見せるようににっこりと微笑んだ。
大きな目を細めて口角を上げる様はやはり沖田の隣にいる女性よりも綺麗で美しく感じられる。
眩しい笑顔に心労癒されるようだった永倉はななしの頭を大きく無骨な手で撫で回した。
「ななし……こんな所で何をしとんねん」
『あ、新八さん』
新撰組屯所へと通じる階段の傍には沢山の低木がある。
そんな冬になり葉の落ちた低木の裏に、まるで身を隠すように立っているのは平隊士兼一番隊隊長補佐のななしだ。
彼女は低木の裏でコソコソと不審な動きをしていた為、丁度階段を降りてきた永倉の視界の端に嫌でも映る。
『えっ、えーっと…』
「なんや、言えんようなことしとったんか?」
『ち、違いますっ!そんなんじゃないんですけど…えっと…ほら、あそこ見てください…』
「あそこ?…ん?あれは…総司と……誰や?」
こんな所でなにをしていたのかと問えば言い辛そうにしながらも前方を指さすななし。
持ち上がった指の先を見つめれば、少し離れた場所に新撰組の一番隊隊長である沖田と、彼の隣に並ぶ見知らぬ小柄な女性がおりなにやら話をしている様であった。
「なるほど。総司の事が気になるんか」
『……は、はぃ…』
ななしが仕事もせずに低木の裏でコソコソしていた理由が何となくわかった永倉は「そういうことか」と腕を組み、少し離れた距離にいる沖田と女性を見つめた。
沖田の表情は普段通りだが、女性の沖田を見る表情はヤケに艶っぽく色っぽい。明らかに沖田に好意を寄せているということが永倉にもハッキリとわかった。
『あ、あの女性は総司さんが巡回中に輩に絡まれているところを助けた方なんだそうなんです。今日はその時のお礼をしに来たらしいんですが…あの調子でずっと喋っているので…き、気になっちゃって…』
「まぁ、二人で話しとったら気になんのも分からんでもない」
『そ、そうですよね!しかもあの女性とっても美人で綺麗ですし…何もないってわかっていてもどうしても放っておけなくて』
ななしが言うように沖田の隣にいる女性はとても小柄で女性らしい体つきをしている。顔もとても整っており誰が見ても"美人"だと見惚れるほど。
あの麗しい顔で「好きです」などと言われようものならだいたいの男が簡単に落ちるに違いない。
そんな綺麗な女性と
『私には結える程長く美しい髪はないですし、化粧っ気もありません。可愛らしい着物もないですし、いつも股引ばかりです…そんな私なんかよりもよっぽど…素敵で…綺麗で女性らしい。…総司さんととてもお似合いで、少し羨ましい』
「ななし…」
『………少ししんみりしちゃいましたね!すみません新八さん』
「いや、かまへん。せやけど俺は、あそこにおる女よりもななしの方がよっぽど総司とお似合いやと思うで」
『え?わ、私ですか?』
「おう。大事なのは女性らしいとかそういう事やない。一緒におって安らげるかどうかや」
『安らげるかどうか…』
「せや。お前も総司もお互い一緒におる時どんだけ腑抜けた顔しとるか知っとるか?」
『そ、そんな顔してますか?』
「おう、かなり腑抜けた顔や。新撰組切り込み隊長とは思えんほど緩い顔になるんやで」
『…ふふふ、そんなに腑抜けた顔してるんですか?』
「おう。そうさせとんのはお前なんやでななし。そんだけ一緒におって安らげる存在っちゅうことなんや」
『そ、そっかぁ…』
沢山の事情や理由があってななしは女性の格好もできずに男として生きている。
そして毎日新撰組の仕事をし、女性では持つことさえ滅多にないであろう刀を携え戦いに備えている。
その為ななしの手の平にはいくつも筆や刀の豆ができており、とても女性らしい手とは言い難いものになっていた。
しかしそれらは彼女が一生懸命に生きている証で、一番隊隊長補佐として生きている証だ。
ななしのそんなひたむきな姿勢や生き様が美しく清々しい。そばに居るだけで沖田だけでなく沢山の人々が魅了されているだろう。
現に永倉もまた彼女の一生懸命な姿や前向きで明るい様子にとても好感を抱いているくらいだ。
だから例え髪が長くなくても綺麗じゃなくても、化粧っ気がなくても、女らしくなくても…ななしはななしであり、沖田の隣にいる女性なんかよりもよっぽど美しいと永倉にはそう思えた。
「せやから気落ちせんでもええでななし」
『あ、あの新八さんありがとう。なんだか気持ちが楽になったように思います』
「いや、礼を言われるようなことは言うとらん」
『新八さんってとても優しいですよね。なんだか泣いちゃいそう』
「なんでやねん、ななしは笑っとったほうがええで」
『ふふ、はい。じゃあ、笑ってますね』
ななしはそう言うと白い歯を見せるようににっこりと微笑んだ。
大きな目を細めて口角を上げる様はやはり沖田の隣にいる女性よりも綺麗で美しく感じられる。
眩しい笑顔に心労癒されるようだった永倉はななしの頭を大きく無骨な手で撫で回した。