ミニ小話
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"明日の昼一緒にどこかで昼食を取ろう"と真島と約束をしていたななし。
せっかく恋人と2人きりで出かけるのだから今日くらい私服ででかけて、グランドに出勤する際に真島のアパートで着替えさせてもらおう。
とても派手とは言えないが普段あまり着ることがない真っ白のパーカーとショートパンツを履いて、グランドの制服が入ったバッグ片手にななしは勢い良く自宅を飛び出した。
真島が服を気に入ってくれるといい。
素敵なお出かけになるといい。
顔を綻ばせてそんな事を考えていれば直ぐに真島が住んでいる蒼天堀通りに到着した。
この通りから路地裏に入れば通い慣れた真島のアパートがある。
『(真島さん…喜んでくれるかなぁ…)』
逸る気持ちを抑えてななしは路地裏に歩みを進めた。
「こんな場所で女の子が何しとん?」
『わっ!』
足を一歩踏み出した丁度その瞬間。
誰かがななしに話しかけ、肩をがっしりと掴んだのだ。
あまりに急に肩を掴まれた為驚いたななしは小さな悲鳴を上げながら咄嗟に振り返る。
そこにはみるからにチャラい金髪の男がおり、「危ないでぇ。こんなとこにおったら」とまるで人を値踏みするようなじっとりとした視線を送ってくる。
爪先から頭までジロジロと見つめてくるナンパ男に一瞬で不快感が溢れたななしは『離してください。用事があるんです』と鋭く睨みつける。
しかし男は「そんなに怒らんでもええやん」とヘラヘラ笑うだけで、肩に置いている手を離そうとしない。
『あの、用事があるんです。だから離してくれませんか?』
「こんな路地裏に用事があるん?あー…もしかして"あっち系"?」
『あ、あっち系?』
「こんな人目につかんとこ来る用事なんて、ヤクザ系か援交系やろ?」
『ち、違います!普通に恋人に会いに来ただけです!』
「別に隠さんでもええって。俺もヤクザ系やし!」
『え…?』
「そんなにビビらんでも取って食ったりせぇへんて!…お姉さんが素直に言うこと聞いてくれれば、な!」
『えっ、ちょっと!やめてくださいっ』
ななしの肩を掴んできたこのナンパ男はどうやらヤクザ(自称)だったらしい。
それが本当であれ嘘であれ関わってはいけない人物であることは間違いない。
まるで着いてこいとばかりに強く二の腕を掴まれてしまったななしはなんとかその場で踏ん張るが、男の腕力が強いせいかズルズルと引きずられてしまう。
『や、やめてっ!』
「俺の行きつけの美味しい料理屋さんがあんねん!そこ行ってからホテル行こか!金も出したるしええやろ?」
『良くないです!!』
「まぁまぁ。どうせ小太りのおっさんと援交しとるんやろ?それくらいなら俺とした方がええや…ろっ……ぁ、え?」
『…な、何?』
こちらを振り返りながらニヤニヤと笑う男に恐怖を感じ、じわりと涙が溢れたななし。
このままどこか知らない所へ連れていかれる…最悪のシナリオが頭によぎった時、ニヤニヤと笑っていた男の声や歩みがスっと止まったのだ。
下世話な話をしていた男がいきなり黙り、歩みを止めたことで必然的にズルズル引きずられていたななし
もその場で立ち止まる形となった。
何故急に立ち止まったのかと不審に思い目の前の男を見上げれば、何故か顔面蒼白で口をワナワナと震わせている。
「あっ」「えっ」と声にならない声を発しながら男は肩を掴んでいた手を離し一歩また一歩と退いていく。
まるで何かを怖がっているような仕草だ。
『あ、あの?』
「ひぃぃぃ!?お、鬼やっ!」
『え?鬼?』
「すんませんでしたぁあぁ!!」
あまりにも急に態度が変わったため最早何かの病気を疑ったななしが大丈夫か確認するために声を掛けたところ、男は飛び上がり脱兎のごとく走り去って行ったのだ。
『お、鬼?』
あまりにも展開が飲み込めず取り残されたななしはポカーンとしていた。
一体鬼とはなんの事なのだろうか。
『ま、まさか…ゆ、幽霊?』
「誰が幽霊やねん」
『うひゃっ!?あ!真島さん!』
「おう、真島さんやで」
取り残されこの場には独りだと思い込んでいたななしの背後から、低くも楽しそうな声が聞こえてくる。
自分の問に返事があったことに驚いたななしは情けない声を上げながら振り返ると、そこにはタキシード姿の真島がおりどこか可笑しそうに笑っていたのだ。
『あ、もしかして真島さんが助けてくれたんですか?』
「ん?俺はただあの男をチラッと見ただけなんやけどな」
『そ、そうだったんですね。でもそれだけで逃げてくなんて…』
「まぁ、ななしの肩掴んどったさかい少し顔に力が入っとったかもしれん」
『でも鬼って失礼すぎますよ!ナンパして人のことバカにして…あの男の人許せない!』
普段から少しだけ強面の真島の顔だがななしにとってはかっこよくてとても素敵なものである。そんな愛しい恋人の顔に驚いて逃げて行った男がどうにも許せずななしは『信じらんない!』とプンプンと怒り心頭だ。
しかし隣にいる真島は大して腹を立てて居ないようで、何故か可笑しそうに笑っていた。
しまいには「代わりに怒ってくれてありがとさん」と嬉しそうに頭を撫でてくる。
真島が怒っていないのならこれ以上ななしが怒っても意味が無い。
不本意ながらも腹立たしい気持ちを落ち着かせて、優しく頭を撫でてくれる真島に擦り寄った。
「ななし、今日えろう可愛ええ服きとるやん」
『んっ。そ、そうですか?えへへ。嬉しい』
「せやけどそないに足出して寒ないんか?」
『ふふふっ、全然寒くないです。真島さんとのデートが楽しみすぎて寒さなんて感じないんです!』
「フッ、俺もデートが楽しみで眠れんかってん」
『そうなんですか!ふふっ、じゃぁ、一緒に楽しみましょうね』
「おう、せやな」
昼食を取るだけだが、真島とななしには立派なデートだ。
この格好なら気にすることないとしっかりと手をつないだ二人は薄暗い路地裏から、明るい大通りを目指し歩くのだった。
((さっきの顔ななしに見せたらどないなるやろか))
(真島さん!何食べます!?)
(せやなぁ、何食べよか)
(いい匂いしすぎて色々食べたい気分です!)
((…この子ならなんでも受け入れてくれるんやろなぁ))
せっかく恋人と2人きりで出かけるのだから今日くらい私服ででかけて、グランドに出勤する際に真島のアパートで着替えさせてもらおう。
とても派手とは言えないが普段あまり着ることがない真っ白のパーカーとショートパンツを履いて、グランドの制服が入ったバッグ片手にななしは勢い良く自宅を飛び出した。
真島が服を気に入ってくれるといい。
素敵なお出かけになるといい。
顔を綻ばせてそんな事を考えていれば直ぐに真島が住んでいる蒼天堀通りに到着した。
この通りから路地裏に入れば通い慣れた真島のアパートがある。
『(真島さん…喜んでくれるかなぁ…)』
逸る気持ちを抑えてななしは路地裏に歩みを進めた。
「こんな場所で女の子が何しとん?」
『わっ!』
足を一歩踏み出した丁度その瞬間。
誰かがななしに話しかけ、肩をがっしりと掴んだのだ。
あまりに急に肩を掴まれた為驚いたななしは小さな悲鳴を上げながら咄嗟に振り返る。
そこにはみるからにチャラい金髪の男がおり、「危ないでぇ。こんなとこにおったら」とまるで人を値踏みするようなじっとりとした視線を送ってくる。
爪先から頭までジロジロと見つめてくるナンパ男に一瞬で不快感が溢れたななしは『離してください。用事があるんです』と鋭く睨みつける。
しかし男は「そんなに怒らんでもええやん」とヘラヘラ笑うだけで、肩に置いている手を離そうとしない。
『あの、用事があるんです。だから離してくれませんか?』
「こんな路地裏に用事があるん?あー…もしかして"あっち系"?」
『あ、あっち系?』
「こんな人目につかんとこ来る用事なんて、ヤクザ系か援交系やろ?」
『ち、違います!普通に恋人に会いに来ただけです!』
「別に隠さんでもええって。俺もヤクザ系やし!」
『え…?』
「そんなにビビらんでも取って食ったりせぇへんて!…お姉さんが素直に言うこと聞いてくれれば、な!」
『えっ、ちょっと!やめてくださいっ』
ななしの肩を掴んできたこのナンパ男はどうやらヤクザ(自称)だったらしい。
それが本当であれ嘘であれ関わってはいけない人物であることは間違いない。
まるで着いてこいとばかりに強く二の腕を掴まれてしまったななしはなんとかその場で踏ん張るが、男の腕力が強いせいかズルズルと引きずられてしまう。
『や、やめてっ!』
「俺の行きつけの美味しい料理屋さんがあんねん!そこ行ってからホテル行こか!金も出したるしええやろ?」
『良くないです!!』
「まぁまぁ。どうせ小太りのおっさんと援交しとるんやろ?それくらいなら俺とした方がええや…ろっ……ぁ、え?」
『…な、何?』
こちらを振り返りながらニヤニヤと笑う男に恐怖を感じ、じわりと涙が溢れたななし。
このままどこか知らない所へ連れていかれる…最悪のシナリオが頭によぎった時、ニヤニヤと笑っていた男の声や歩みがスっと止まったのだ。
下世話な話をしていた男がいきなり黙り、歩みを止めたことで必然的にズルズル引きずられていたななし
もその場で立ち止まる形となった。
何故急に立ち止まったのかと不審に思い目の前の男を見上げれば、何故か顔面蒼白で口をワナワナと震わせている。
「あっ」「えっ」と声にならない声を発しながら男は肩を掴んでいた手を離し一歩また一歩と退いていく。
まるで何かを怖がっているような仕草だ。
『あ、あの?』
「ひぃぃぃ!?お、鬼やっ!」
『え?鬼?』
「すんませんでしたぁあぁ!!」
あまりにも急に態度が変わったため最早何かの病気を疑ったななしが大丈夫か確認するために声を掛けたところ、男は飛び上がり脱兎のごとく走り去って行ったのだ。
『お、鬼?』
あまりにも展開が飲み込めず取り残されたななしはポカーンとしていた。
一体鬼とはなんの事なのだろうか。
『ま、まさか…ゆ、幽霊?』
「誰が幽霊やねん」
『うひゃっ!?あ!真島さん!』
「おう、真島さんやで」
取り残されこの場には独りだと思い込んでいたななしの背後から、低くも楽しそうな声が聞こえてくる。
自分の問に返事があったことに驚いたななしは情けない声を上げながら振り返ると、そこにはタキシード姿の真島がおりどこか可笑しそうに笑っていたのだ。
『あ、もしかして真島さんが助けてくれたんですか?』
「ん?俺はただあの男をチラッと見ただけなんやけどな」
『そ、そうだったんですね。でもそれだけで逃げてくなんて…』
「まぁ、ななしの肩掴んどったさかい少し顔に力が入っとったかもしれん」
『でも鬼って失礼すぎますよ!ナンパして人のことバカにして…あの男の人許せない!』
普段から少しだけ強面の真島の顔だがななしにとってはかっこよくてとても素敵なものである。そんな愛しい恋人の顔に驚いて逃げて行った男がどうにも許せずななしは『信じらんない!』とプンプンと怒り心頭だ。
しかし隣にいる真島は大して腹を立てて居ないようで、何故か可笑しそうに笑っていた。
しまいには「代わりに怒ってくれてありがとさん」と嬉しそうに頭を撫でてくる。
真島が怒っていないのならこれ以上ななしが怒っても意味が無い。
不本意ながらも腹立たしい気持ちを落ち着かせて、優しく頭を撫でてくれる真島に擦り寄った。
「ななし、今日えろう可愛ええ服きとるやん」
『んっ。そ、そうですか?えへへ。嬉しい』
「せやけどそないに足出して寒ないんか?」
『ふふふっ、全然寒くないです。真島さんとのデートが楽しみすぎて寒さなんて感じないんです!』
「フッ、俺もデートが楽しみで眠れんかってん」
『そうなんですか!ふふっ、じゃぁ、一緒に楽しみましょうね』
「おう、せやな」
昼食を取るだけだが、真島とななしには立派なデートだ。
この格好なら気にすることないとしっかりと手をつないだ二人は薄暗い路地裏から、明るい大通りを目指し歩くのだった。
((さっきの顔ななしに見せたらどないなるやろか))
(真島さん!何食べます!?)
(せやなぁ、何食べよか)
(いい匂いしすぎて色々食べたい気分です!)
((…この子ならなんでも受け入れてくれるんやろなぁ))