ミニ小話
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最近目に着くななしはやたらと何かを食べている。
一体何をモグモグパクパクしているのか。
観察していれば、どうやら彼女が食べている殆どはパンであるようだった。
大きなパンを両手に持ちちまちまと食べている姿はそれはもう愛らしいが、最近では嫌そうに顔を顰めながら食すので、真島も気になって仕方がない。
今日事務所にやってきた時もパンを食べているようであれば「嫌なら食べるな」そう言ってやろうと、鼻息を荒くし待機していた真島ったのだが…。
『吾朗さん、お疲れ様です〜』
「おう、お疲れさん…って、おいななし。なんやねんその袋」
『え?パンです』
「……」
そう意気込んでいたのだが事務所にやってきたななしの両手にパンがぎっちり入った袋がぶら下がっていた為、真島は呆れ返ってしまった。
どうしてわざわざ大量のパンを買ってきて嫌そうに食べるというのか。
ソファに座ったななしが『アタシの晩御飯』と早速悲しそうにパンの封を開ける姿に真島はため息を着いた。
「お前なぁ。嫌やったら食うなや。なんでも食べに連れてったるさかいそのパン置いとけ!」
『気持ちはすっごく嬉しいんですけど…このパンを食べてシール集めないといけないので…あ!吾朗さんが行きたいならお供しますよ!隣でパン食べます!』
「あぁ?シールゥ?」
『はい。懸賞に応募したくて沢山買って食べてました』
「なるほどのぉ、ようやく理解したわ」
ななしが毎日毎日飽きもせずひたすらパンを食べていた理由がようやく判明した。
どうやら懸賞に応募するために必要なシールを集めていたようだ。
『これが欲しいんです。点数は…』とななしはキャンペーンのチラシと集めたシールが貼られたハガキをカバンから取り出し丁寧に説明してくる。
ななしが『欲しい』と指を指したのはペア食器で、応募に必要な点数はこの懸賞の中で最も低い5点だ。
「この食器が欲しいんか?」
『はい。デザインに一目惚れしちゃってどうしても欲しかったんです。それにアタシと吾朗さんで使えたら素敵だなぁって思いまして…一口じゃ当たらないだろうから沢山買ってシール集めてたんです』
「だからそないに買っとんか」
『は、はい…すみません。こんな事にお金使っちゃって…』
物欲の少ないななしが何かをここまで欲することは極めて稀だ。
それ程このペア食器が気に入ったのだろう。
「いや、ななしの金なんやさかい好きに使ったらええやんけ」
『ほ、本当に?はぁ、良かったぁ。怒られちゃうかと思いました』
「ヒヒッ!そないな事で怒らんわ。…せやけど"一人で買って消費する"よりもっと効率のええやり方があるんやないか?ななし」
『え?効率のいいやり方ですか?』
「おう」
『うーん?』
ななしが食器を欲っする理由の中に"一目惚れ"以外にも、"吾朗さんと2人で使いたい"と言う理由も混じっていたことが嬉しかった真島は機嫌良さげに口角を上げていた。
そんな優しく可愛い彼女が欲しいというのなら全身全霊で応援するのが恋人であり真島組組長というもの。
恋人として組長として自分に出来ることは何かと今一度考えた結果、とても"いい案"が浮かんだ真島はソファに座るななしの頬をなで意味深に微笑んだ。
「ななし一人で大量に買ったって消費すんのに時間と金がかかるやろ?」
『確かにそうですね〜』
「ほんなら"一人一個ずつ買って消費すればええ"やんけ」
『アタシと吾朗さんでって事?』
「阿呆やな。俺を誰やおもとんねん」
『えっと…真島組の組長さんですよね。……あ!もしかして…』
「おう、お前が考えとる通りや。組のもんが一人一個買って食えばそんだけでシール数千枚手に入るやろ」
『す、数千枚!』
「そういう事や。そんだけ集めて数百口出せばなんかしら当たるやろ!」
『か、数の暴力!』
「何も大量に買え言うとる訳やない。たかが200円程度のもん一人一個買うだけでええんや。これならななしの財布も胃袋も安泰やろが」
『で、でもいいんですか?アタシ事なのに皆さんのお力をお借りして』
「ええに決まっとるやろ。お前かて真島組の一人なんやさかい」
『ご、吾朗さん…ふふふ、とても嬉しいです!』
真島同様に真島組の組員たちはななしの事を慕っている。彼女が如何にいい女性か組員たちも理解しているのだろう。
そんな組員たちならななしが困っていると知れば喜んで手を貸すに違いない。
きっと一日もせずに数千枚のシールが手に入るし、それだけのシールがあれば必ずななしが欲しがっているペア食器も当選するはずだ。
我ながらいい案であるとドヤ顔の真島は喜ぶななしを抱きしめた。
腕の中でななしは『ふふふ、楽しみですね』とニコニコとはにかみ目を細めている。
「(この顔が見れるんやったら何でもしたなるっちゅうもんや)」
『たくさん集まったらいい賞も狙ってみましょうね吾朗さん』
「ヒヒッ、せやな」
可愛いらしく愛おしい、柔らかくて美しい。そんなななしの笑顔に胸をときめかせた真島は薄く笑うと、傍に居た彼女の事を余すことなく抱きしめた。
「ほな、ついでにこの温泉旅行も当てよか」
『あ!いいですね〜。吾朗さんと旅行行きたいです』
「当たるとええのぉ」
『当たりますよ。組員の皆とアタシと吾朗さんが力を合わせたらきっと何でも当たるはずです』
「お前はいちいち可愛ええやっちゃっで」
『じゃ、とりあえずこのパン一緒に食べましょうね吾朗さん!』
「…俺にこないに甘いパン食えっちゅうんか?」
『力合わせましょう!ね?』
「…ヒヒッ!敵わんのぉ…」
一体何をモグモグパクパクしているのか。
観察していれば、どうやら彼女が食べている殆どはパンであるようだった。
大きなパンを両手に持ちちまちまと食べている姿はそれはもう愛らしいが、最近では嫌そうに顔を顰めながら食すので、真島も気になって仕方がない。
今日事務所にやってきた時もパンを食べているようであれば「嫌なら食べるな」そう言ってやろうと、鼻息を荒くし待機していた真島ったのだが…。
『吾朗さん、お疲れ様です〜』
「おう、お疲れさん…って、おいななし。なんやねんその袋」
『え?パンです』
「……」
そう意気込んでいたのだが事務所にやってきたななしの両手にパンがぎっちり入った袋がぶら下がっていた為、真島は呆れ返ってしまった。
どうしてわざわざ大量のパンを買ってきて嫌そうに食べるというのか。
ソファに座ったななしが『アタシの晩御飯』と早速悲しそうにパンの封を開ける姿に真島はため息を着いた。
「お前なぁ。嫌やったら食うなや。なんでも食べに連れてったるさかいそのパン置いとけ!」
『気持ちはすっごく嬉しいんですけど…このパンを食べてシール集めないといけないので…あ!吾朗さんが行きたいならお供しますよ!隣でパン食べます!』
「あぁ?シールゥ?」
『はい。懸賞に応募したくて沢山買って食べてました』
「なるほどのぉ、ようやく理解したわ」
ななしが毎日毎日飽きもせずひたすらパンを食べていた理由がようやく判明した。
どうやら懸賞に応募するために必要なシールを集めていたようだ。
『これが欲しいんです。点数は…』とななしはキャンペーンのチラシと集めたシールが貼られたハガキをカバンから取り出し丁寧に説明してくる。
ななしが『欲しい』と指を指したのはペア食器で、応募に必要な点数はこの懸賞の中で最も低い5点だ。
「この食器が欲しいんか?」
『はい。デザインに一目惚れしちゃってどうしても欲しかったんです。それにアタシと吾朗さんで使えたら素敵だなぁって思いまして…一口じゃ当たらないだろうから沢山買ってシール集めてたんです』
「だからそないに買っとんか」
『は、はい…すみません。こんな事にお金使っちゃって…』
物欲の少ないななしが何かをここまで欲することは極めて稀だ。
それ程このペア食器が気に入ったのだろう。
「いや、ななしの金なんやさかい好きに使ったらええやんけ」
『ほ、本当に?はぁ、良かったぁ。怒られちゃうかと思いました』
「ヒヒッ!そないな事で怒らんわ。…せやけど"一人で買って消費する"よりもっと効率のええやり方があるんやないか?ななし」
『え?効率のいいやり方ですか?』
「おう」
『うーん?』
ななしが食器を欲っする理由の中に"一目惚れ"以外にも、"吾朗さんと2人で使いたい"と言う理由も混じっていたことが嬉しかった真島は機嫌良さげに口角を上げていた。
そんな優しく可愛い彼女が欲しいというのなら全身全霊で応援するのが恋人であり真島組組長というもの。
恋人として組長として自分に出来ることは何かと今一度考えた結果、とても"いい案"が浮かんだ真島はソファに座るななしの頬をなで意味深に微笑んだ。
「ななし一人で大量に買ったって消費すんのに時間と金がかかるやろ?」
『確かにそうですね〜』
「ほんなら"一人一個ずつ買って消費すればええ"やんけ」
『アタシと吾朗さんでって事?』
「阿呆やな。俺を誰やおもとんねん」
『えっと…真島組の組長さんですよね。……あ!もしかして…』
「おう、お前が考えとる通りや。組のもんが一人一個買って食えばそんだけでシール数千枚手に入るやろ」
『す、数千枚!』
「そういう事や。そんだけ集めて数百口出せばなんかしら当たるやろ!」
『か、数の暴力!』
「何も大量に買え言うとる訳やない。たかが200円程度のもん一人一個買うだけでええんや。これならななしの財布も胃袋も安泰やろが」
『で、でもいいんですか?アタシ事なのに皆さんのお力をお借りして』
「ええに決まっとるやろ。お前かて真島組の一人なんやさかい」
『ご、吾朗さん…ふふふ、とても嬉しいです!』
真島同様に真島組の組員たちはななしの事を慕っている。彼女が如何にいい女性か組員たちも理解しているのだろう。
そんな組員たちならななしが困っていると知れば喜んで手を貸すに違いない。
きっと一日もせずに数千枚のシールが手に入るし、それだけのシールがあれば必ずななしが欲しがっているペア食器も当選するはずだ。
我ながらいい案であるとドヤ顔の真島は喜ぶななしを抱きしめた。
腕の中でななしは『ふふふ、楽しみですね』とニコニコとはにかみ目を細めている。
「(この顔が見れるんやったら何でもしたなるっちゅうもんや)」
『たくさん集まったらいい賞も狙ってみましょうね吾朗さん』
「ヒヒッ、せやな」
可愛いらしく愛おしい、柔らかくて美しい。そんなななしの笑顔に胸をときめかせた真島は薄く笑うと、傍に居た彼女の事を余すことなく抱きしめた。
「ほな、ついでにこの温泉旅行も当てよか」
『あ!いいですね〜。吾朗さんと旅行行きたいです』
「当たるとええのぉ」
『当たりますよ。組員の皆とアタシと吾朗さんが力を合わせたらきっと何でも当たるはずです』
「お前はいちいち可愛ええやっちゃっで」
『じゃ、とりあえずこのパン一緒に食べましょうね吾朗さん!』
「…俺にこないに甘いパン食えっちゅうんか?」
『力合わせましょう!ね?』
「…ヒヒッ!敵わんのぉ…」