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「みんながみんな、May I speaking English?にビビりすぎなんだっつーの、日本の英語教育から間違ってんだよ。あれは意味合いとしてはもう直訳すんな!ちょっと話してもいいですかだと思え!!それを、NO English!とかI can`t speak English!で返すな!!」
「それに関しては、なんというか、済まない」
伊黒の彼女も残念ながら雪姫の後輩として語学方面では頼り切りだったようで。
雪姫は、伊黒がほぐした焼き鳥のねぎまに箸を突き刺した。
「ほんと、いいよねぇえ。愛嬌だけで、『次のExchangeで、この荷物を、ばって出してこっちのスーツケースにザザってインできますか!?』で、通じちゃうんだもんよ。丁寧なマニュアルより、要は表情とニュアンスでコミュニケーションは半分以上なんとかなってるもんねぇ」
「冬野は、ほら、オーストラリア系からは親しまれてるだろう、留学の賜物で」
「スラングが抜けてないから、笑われてんだよ!!何なら香港人?って聞かれたことありますけど!?イギリス植民地系のなまり、超ダサい。Thank youが、音だけならテンキューの国よ。トゥデイがトゥダイ、sayがサイに聞こえる国よ!!せめてシドニーならマシだったのに、何故キャンベラ!?ほんとにあそこは首都だったのか!?何もねーわ、シドニーと時差あるわ、田舎だわ」
高校時代にオーストラリアに留学して、帰国してからしばらくは日本語を忘れていたという雪姫。
使わなすぎたのと、ホームステイで24時間英語だと、中華料理の看板の漢字だけでも喜べた。
オーストラリアでの食事がマズすぎたのと、ホームステイ先で嫌がらせを受けていたせいで痩せて帰国したのだった。
何が一番おいしかったかと聞かれて、向こうのマックという悲しい報告は当時伊黒の聞いた感想だ。サイズスケールが狂ってるのと、ペプシとコーラは日本と味が逆だというどうでもいい雑学付きで。
たまたま帰国してから直ぐ韓国人のディズニーランド案内を押し付けられて、全英訳してきたという。
そして修学旅行先がカナダということで、担任の体育教師にやはり会話を丸投げされてうんざりしたエピソードは伊黒も居合わせていた。
「要は何を聞きたいか、必要な単語さえ聞き取っとけばいいんだっつうの。オーストラリア人の単数に複数系使ったりするはちゃめちゃ文法聞いてたら、学校英語で泣きたくなるわ」
「今はさすがに、もっと実践的なんじゃないか?」
「なんで免税目指すやつって、芸能人が好きなだけとかばっかなの!!芸能人のときだけ人をレジから追い出して、終わったら再レシートだしてこっそり持って帰ったりしてさぁ」
「真面目に英語やってればCA方面に流れるからじゃないか?」
「あー!!なんでこういう半端な人間って少ないの!?そんでチーフたちが投げた新人教育が、なんで特別手当でないあたしに丸投げのまま延々と続いて、そんで2ヶ月で消えんの!!!いつまで一人2レジ担当こなしてなきゃいけないわけ!?そんで辞めてほしいやつはいつまでも居るし、3ヶ月めにして、英語ファイルマニュアルの一番上を指差して、これどういう意味なんですかぁー?って聞くわけ!!イカレてるから!!!!」
弾丸のように愚痴で縦断爆撃をしながらも、雪姫はメニューを読み伊黒の分のおかわりまで選び、自分も大ジョッキで飲む作業はノンストップ。
昔から、合コンだ幹事だと押し付けられたせいで、もはや一つの芸に近い。