サーモン&ラディッシュ[冨岡夢連載]
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「いかにも、ヤンキーが更生して教師目指す系ストーリーとか、てんちゃんなら地味で嫌とか言いそうなのに」
「まあ、地味だよなぁ、この俺様にしては。でも、こう、逆に派手かもしれねぇと思ってな。つうか、お前ホント情報早いな、昨日の話だぞ」
「だって、先生マジ泣きしてたし」
元々が、中等部剣道部のマネジをしていたとはいえ宇髄にこれほど躊躇なく懐ける生徒は少ない。
進路担当教師も、思わず口を滑らせたのだろうが。
自身も大変だというのに、教師の相手までしているとは、世話焼き度が天井すぎる。
「んじゃ、部活紹介ンときだけでも雪姫がマイク持って説明してやってくれや。不死川じゃ、新規マネ候補逃げるわ、冨岡じゃ突っ立ってボソボソ棒読み、伊黒に至ってはドタキャンすら目に見えるわ」
「いえ、俺が」
無意識に雪姫を後ろ手に隠すようにして、義勇は前に出ていた。
説明会に出てしまえば、なし崩しに雪姫が抜け出せなくなるのは、この2年の付き合いで計れる。
無責任なOKはしない。
しかしそれでは、雪姫の私生活のほうは更に厳しいことになる。
そしてその私生活の内情は、たまたまとはいえ義勇しか知らないのだ。
「まさかの冨岡!?お前、人前で派手に部活紹介できんのかよ!!」
「雪姫に負担かけさせるわけには。俺が前に出るくらい、どうでもいいことですから」
「ぎゆくん、何か凄い恥ずかしいセリフになってるよ……」
どの辺が恥ずかしいのか、義勇には今ひとつよくわからない。
雪姫への負担を減らせるくらいなら、自分がどうなろうと対して興味は沸かないが。
「しょーがねぇな、ンじゃあ俺も少しは手伝うけどなぁ、冨岡一人じゃ危なっかしいからだかんな」
「無理するなよ、不死川」
「こっちのセリフだ、ボケェ!!」
「うーわー、お前ら先輩の前でアオハルですか。間違ってもお前らの代で剣道部潰すなよ」
「宇髄先輩だけはソレ言ったら終わりじゃねえっすか」
「うんうん、てんちゃんはちょっと控えた方がいいよ。今後の内申のためにも」
宇髄参上もあって校門の前は、四人だけだったのが、その頭上に朝のHRの知らせが鳴る。
高等部の校舎は、中等部より遠い。
阿吽の呼吸で、実弥が三人分の鞄を、義勇が雪姫を抱えあげて校舎へ走った。
当然のように校舎裏へ向かう宇髄が、そんな後輩たちに手を振って見送る。
番長先輩が教育学部へ落ちる方へ賭ける男たちと、無事に合格して教員免許を取る方へ賭ける雪姫。
その雪姫の予想が当たって、後輩たちが泣き崩れるのは未だ先の話だ。