For it was not into my ear you whispered, but
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そして、雪姫が嫌がるその名字は有名な財閥のものだ。
跡取りの一人娘だというのも、外見だけでなく雪姫を自動的に有名にさせてしまう要因なのだ。
そしてそのせいで、雪姫は名字を嫌っている。
更に目立つ要因は
「おう、朝から派手に目立ってんな、ガキ共!」
毎度のように、勝手に出てくるコレも大きい。
どっちの登場のほうが派手なのかと、言い返してやりたい。
学園では番長とか総長だとか、沢山の二つ名を持った3年の宇髄天元の長身が、一切人に遮られずに現れた。
つまりは、他の生徒たちがどっと逃げただけだ。
「あー、てんちゃん!おはよーございます」
「宇髄先輩……ッス」
「おはようございます」
「あれ?一人足んねぇな」
「伊黒ならとっくに教室っすよ」
静かな生活を送りたいと零す、同様の部活仲間の伊黒小芭内は蛇のごとく静かに教室に滑り込んでいるだろう。
「しょーがねーな、ンじゃ新入部員の獲得と、新歓はおまえら仕切れよ」
「はあああ!?」
「何故です」
年功序列で考えて、普通は2年の新部長が仕切るのが、セオリーというものだ。
中等部からそのまま上がってきたとはいえ、1年がやる仕事ではない。
「だって、部の個人戦も団体戦も、今お前らがメインじゃん」
だから何だと思う義勇に、宇髄が今どきアニメでしか見ないようなキメ顔で指を指した。
「つまり、今はお前らがメインの売りもんだぞってこと。そのツラを大いにいかして大量に部員と部費をゲットしてこい」
去年も、個人戦・団体戦に進んでいるのは義勇、不死川、伊黒だけだ。
引退試合の直前に喧嘩で出場禁止を食らった宇髄のせいで、惜しくも全国制覇を逃していた。
「ていうか、全国逃したの宇髄先輩のせいじゃないスか。そんなこと知らねえっす」
「不死川ぁ~、おまえホント分かってねぇなー?伊黒と、コレで部員が釣れると思ってんのか」
コレと呼ばれたのが自分だとわかり、義勇はわずかに顔をしかめる。
しかし、自分から前に行ける性分でもない。
そしてこの先輩になにか言って勝てる気がしない上に勝率もないのは確かだ。
「あー、マジで雪姫、またマネジで戻ってこねーか?サブサブマネでもいいから」
「そんな役職聞いたことないし、色々忙しいから無理ですよー。てんちゃんこそ、噂で聞いたけどホントに大学行くの?ていうか、教育学部って本気?先生泣いてたよ」
「教育学部……!?」
義勇と実弥は、反射で慄く。
この破天荒を擬人化したような先輩が、まさかそんな真面目な路線変更するとは思っていなかった。
せいぜい、ファッションデザインとかモデルの路線くらいが想像範囲だ。
この人が教師になったら生徒が可哀想だ、と、未だ見ぬ生徒に同情さえ出来る。