夏祭り(赤葦バージョン)
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「すみません、これ二つください――夢主、選んで。出来れば」
「お揃い、でいいんですか?」
特に部内で恋愛禁止はされていない。それで揉める女子マネ陣営でもないが、なんとなく隠していたのは僻むであろうエースがひたすらいちいち面倒だから。
「あの人馬鹿だから気づかないでしょ、このサイズなら問題ないよ」
「その言い方、ちょっと酷い!」
言いつつ、雪姫は熱心に様々な色合いの根付を熱心に見積もる。店主は赤葦たちが立ち止まっていることでいいサクラにしているようで「あれ、可愛くない?」と他の女子逆たちが集まってくるのにほくほく顔だ。
自分の為に、選んでいる雪姫のその笑顔を思うと大抵の事はなんでもないと思える。
元は飾り気のない赤葦の無地のスマホカバーも、今は雪姫とお揃いのシリーズに変わっているし、もう少しの洒落っ気があっても構わない。赤葦が合わせてしまうのは、男気ではなく小さな嫉妬と自分の彼女だと言いたい自己アピール。
「凄い、もう付けてるんですね」
「雪姫のも貸して、付けるよ」
同じシリーズだから、ストラップ紐の通せる場所も悩む事がない。
人通りが少ない脇道の腰掛石に並んで座ると、雪姫はそもそもメインのりんご飴に取り掛かったが、赤葦は根付を付ける方を優先してしまった。
スマホのカバーに、ころりと揃いの林檎の根付が光る。見る度に、きっとこのデートを思い出せるだろう。
「うん?りんご食べないの?」
雪姫は、りんごをコーティングする外の飴を舐めていて、一口目でりんごまで貫通させた赤葦としてはその舌使いが何かもどかしい。
「実はその、りんご飴っていつも買っちゃうんですけど硬くて上手く食べれなくて――冷蔵庫で待機させて次の日もちまちまと食べるっていうパターンで」
下手すると、家族に食べられちゃったり――と、聞き捨てならない内情を聞いてしまえば。
「貸して」
雪姫の手から取り上げた飴を、勢いよく齧る。
お揃いのストラップになった縁のりんご飴が、彼女のお父さんの腹の中に収まった――などという結末はかなり虚しい。無理がない範囲で食べて貰って、食べられないようなら自分で食べたい。
「――甘いね」
赤葦のものと同じりんご飴のはずなのに。
口の中で、禁断の果実はいつまでも甘い。
絡ませた雪姫の指を手繰って、少しだけ引き寄せた。
「キスして、いい?」
いつかその内、そんな確認なんてしなくてもさらっとキスくらい出来てしまうだろう。それでも今は、ゆっくりと気持ちを確認しながら進むだけ。
その細い首を辿りながら、互いの顔の距離を測りながら、まだ始まったばかりの恋しか出来ない不器用なキスを。
触れるだけではない、初めての大人のキスは、そうっとりんご飴の破片を口移しにして。
一緒に、その林檎を齧りながら赤い額をくっ付けて過ごす夏は、まだまだ猛暑になりそうだ。
少しずつ、またお揃いが増えて、楽しい思い出が増えていく。
--------キリトリ線--------
何故、書いたものの中で個人的に1番甘くなった赤葦からアップしてしまったのか←黒尾ラッシュが続いてたから……?
赤葦はむっつりでいて欲しいと思っているのでちょいちょいそういう感じを出しました。
そもそもは1ページで読み終えるさらーっとした内容で、[お迎えスタート]の大地さんからメドレーで、[賑やかす]木兎、赤葦、[花火打ち上げ]黒尾、[帰宅前]菅さん、などでリレー形式にスタートから終わりまでを、当然東京や宮城なわけですがバラバラでも流れになるかなーーと目論んだら、長い長いながーーい!!!
ので、結局個別です……これが私の甘さの限界です
「お揃い、でいいんですか?」
特に部内で恋愛禁止はされていない。それで揉める女子マネ陣営でもないが、なんとなく隠していたのは僻むであろうエースがひたすらいちいち面倒だから。
「あの人馬鹿だから気づかないでしょ、このサイズなら問題ないよ」
「その言い方、ちょっと酷い!」
言いつつ、雪姫は熱心に様々な色合いの根付を熱心に見積もる。店主は赤葦たちが立ち止まっていることでいいサクラにしているようで「あれ、可愛くない?」と他の女子逆たちが集まってくるのにほくほく顔だ。
自分の為に、選んでいる雪姫のその笑顔を思うと大抵の事はなんでもないと思える。
元は飾り気のない赤葦の無地のスマホカバーも、今は雪姫とお揃いのシリーズに変わっているし、もう少しの洒落っ気があっても構わない。赤葦が合わせてしまうのは、男気ではなく小さな嫉妬と自分の彼女だと言いたい自己アピール。
「凄い、もう付けてるんですね」
「雪姫のも貸して、付けるよ」
同じシリーズだから、ストラップ紐の通せる場所も悩む事がない。
人通りが少ない脇道の腰掛石に並んで座ると、雪姫はそもそもメインのりんご飴に取り掛かったが、赤葦は根付を付ける方を優先してしまった。
スマホのカバーに、ころりと揃いの林檎の根付が光る。見る度に、きっとこのデートを思い出せるだろう。
「うん?りんご食べないの?」
雪姫は、りんごをコーティングする外の飴を舐めていて、一口目でりんごまで貫通させた赤葦としてはその舌使いが何かもどかしい。
「実はその、りんご飴っていつも買っちゃうんですけど硬くて上手く食べれなくて――冷蔵庫で待機させて次の日もちまちまと食べるっていうパターンで」
下手すると、家族に食べられちゃったり――と、聞き捨てならない内情を聞いてしまえば。
「貸して」
雪姫の手から取り上げた飴を、勢いよく齧る。
お揃いのストラップになった縁のりんご飴が、彼女のお父さんの腹の中に収まった――などという結末はかなり虚しい。無理がない範囲で食べて貰って、食べられないようなら自分で食べたい。
「――甘いね」
赤葦のものと同じりんご飴のはずなのに。
口の中で、禁断の果実はいつまでも甘い。
絡ませた雪姫の指を手繰って、少しだけ引き寄せた。
「キスして、いい?」
いつかその内、そんな確認なんてしなくてもさらっとキスくらい出来てしまうだろう。それでも今は、ゆっくりと気持ちを確認しながら進むだけ。
その細い首を辿りながら、互いの顔の距離を測りながら、まだ始まったばかりの恋しか出来ない不器用なキスを。
触れるだけではない、初めての大人のキスは、そうっとりんご飴の破片を口移しにして。
一緒に、その林檎を齧りながら赤い額をくっ付けて過ごす夏は、まだまだ猛暑になりそうだ。
少しずつ、またお揃いが増えて、楽しい思い出が増えていく。
--------キリトリ線--------
何故、書いたものの中で個人的に1番甘くなった赤葦からアップしてしまったのか←黒尾ラッシュが続いてたから……?
赤葦はむっつりでいて欲しいと思っているのでちょいちょいそういう感じを出しました。
そもそもは1ページで読み終えるさらーっとした内容で、[お迎えスタート]の大地さんからメドレーで、[賑やかす]木兎、赤葦、[花火打ち上げ]黒尾、[帰宅前]菅さん、などでリレー形式にスタートから終わりまでを、当然東京や宮城なわけですがバラバラでも流れになるかなーーと目論んだら、長い長いながーーい!!!
ので、結局個別です……これが私の甘さの限界です
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