「大地さぁ〜ん！！雪姫先輩をなんとかして下さいよ！！今日はずっとオレのクラスにいるんスよ！！！」

「ははは……田中……あれをどうにか出来るなんてまだ思ってたのか」

雪姫先輩をノヤっさんに押し付けて、オレは大地さんのところに昼休みに駆け込んだ。
が、大地さんの目が達観通り越して、どこか遠くを見ていた……。3年間あの台風ガールに吹き飛ばされてきたその闇が見えるぜ。

「俺はテスト用紙の名前書くとこに澤村大地と書いてCV日野とルビを振られてから、何もかも……諦めてるぞ。何回俺の責務を全うすると、言わされたことか……」


うああああああー！大地さーん！！(泣)
完璧に諦めてるー！！！

「あれはそう……俺たちがまだ1年の頃、全国模試を雪姫が全国トップ10入りに食いこんで……盛り上がった教頭が雪姫のぶっとんだ行動に注意したら、全教科毎回オール満点だして封じ込めたのを皮切りに」

アオハルを唐揚げかコロッケのように思ってる人が何故頭がいいのかわからんが、学年首位のオール満点は事実だ……あちこちのクラスにいるにも関わらず……。

「更に注意した先生の教科を、テストの裏面に明らかに答え知ってないと書けない応用問題を裏面ビッシリ書き込んでおいで白紙で提出する嫌がらせ、かつ、それを満点で解けたら言うことを聞かなくもないと断言して、全戦全勝すること3年……もう……誰も注意しなくなったんだよ……」

もはや都市伝説に近いが、クイズ大会で気に入らないことがあったらボイコットとか、1人で圧勝したりとか、烏野の偏差値すら左右しかけない得体の知れないモンスターなのである……。

なので、そんな謎の生態のイキモノをどうにかするよりは、好きに過ごさせて全国偏差値だけはキープさせようという、教師たちの暗黙の了解らしい。

俺だって2年で、そこんとこはよーっくわかってるけども、文句くらい――とゆーか愚痴くらい言いたい！

「でも、そうか……今日は2年のクラスをしらみ潰しに回ってるなら俺らは平和だな。すまん、田中」

「すまんと思ってるなら、なにかすけだちしてくださいよぉぉ」

大地さんは、俺の肩を強く叩きながら眩しい笑顔を放った。

「あれは烏野の台風だ。人力で災害に及ぶと思うか？」

遠回しの応援じゃないすか……それ！！
絶対、今日は自分の授業に集中できる日だなぁとか思ってる奴！！！