天に咲くは乙女の銃口
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暗い夜空に劈くような銃声が、響いた。
草木を滑るように駆ける足音は二人。
否、二人と何かの音が。
そして月明かりの中、人影が大きく跳躍した。
およそ人には不可能なほどの距離を軽々と跳んだ影は、異様な音を立てる化け物の上空へと舞う。
月光がその人影を照らした。
冴え冴えとした青い月の光に、黒いスーツとその手に握られた銃口が光る。
「あたしの結界から鬼は出られないの、残念。この世にさよならを告げてね」
乱射されて異形のものは、血潮を吹きながら地面に転げたが、すぐにその体がじわじわと再生を始めた。
そして下で待ち構えて居た、黒いスーツの胸元がはだけた男が長いナイフを振りかぶる。
「――彈けて死に晒せ、クソ塵雑魚が!!風の呼吸、壱ノ型ァ塵旋風・削ぎィ」
かまいたちのような鋭い風の音を立てて、ナイフが異形の首を捉えて虚空に飛ばした。
ナイフに首を切られた化け物は、焦げたように溶けて消える。
仕留めた二人の黒スーツの二人組は、冷ややかにそれを見守った。
「隊と、シャドウに連絡いれた。撤収まで結界とけないから、お兄は先に帰る?」
「ばぁか、妹だけ残業させられっかよォ。雪姫が残るンなら俺も残るに決まってンだろ」
二人は兄妹。
兄は不死川実弥。
妹は不死川雪姫。
現代の鬼狩り、鬼殺隊の”柱”と呼ばれる、鬼狩りのメンバーの中でも頂点の実力者、風柱と星柱であった。
一章 [天に咲くは乙女の銃口]
戦国の世の前から、異形のもの――鬼の始祖、鬼舞辻無惨を倒すことが出来ず、産屋敷家をトップに鬼殺隊は密かに存在し続けた。
明治の廃刀令のちも、大正までは刀で鬼と戦ってきたが、現代では重火器も使用されている。
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