聖なる夜に リザさん百合夢

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「はー!あったかーい」

私の部屋に入って、[#dn=1#]さんはハヤテ号を一撫でしてからリビングへ行く。

私は[#dn=1#]さんが掛けてくれたコートをコート掛けに掛けて、遅れてリビングへ。

「今ココアお入れしますね」

[#dn=1#]さんは今体が冷えるでしょうから、暖かいココアを入れようとしたら。

「んー。それより、来て」

来て、と言われたので。

「?はい」

[#dn=1#]さんへと近づけば。

「…っ!」

手を引かれて、[#dn=1#]さんを跨ぐような体勢に…。

間近にある[#dn=1#]さんの綺麗な顔…。

「……[#dn=1#]さん、唇切れてますよ…」

そして思い出すのは、外でキスをした時に血の味がしたこと。

唇を見れば切れてて…。

「ここに来る前に、交通事故を起こしてる人たちに遭遇してね」

なぜ切れたのかを説明してくれて。

「……甘過ぎます」

私は眉間に皺を寄せた。

故意的ではなかったにしろ、女性の顔を殴るなんて…。

いえ、殴ったというより当たっただけなんでしょうけど…。

「だって早く来たかったんだもの。ダメ?」

と、##NAME1##さんは首を傾げるものだから、その表情がなんだか可愛くて。

「…ダメ…ではないですが…」

[#dn=1#]さんの唇を親指で撫でながら。

「……傷ついて欲しくないです…」

本心を口にすると。

「はぁもう…可愛いなぁ…」

[#dn=1#]さんはそう言って頬を赤らめた。

「……」

今更だけど…[#dn=1#]さんの唇柔らかいわね…。

フニフニと[#dn=1#]さんの唇をずっと触れていると。

「なぁに?まだ足りない?」

なんて言われてしまって。

「…っ」

慌てて手を引くと。

さんは私の顎に手を添え、ゆっくりと誘導してきた。

後数センチで唇が触れるというところで止めて、私の顎から手を離した。

「…[#dn=1#]さん…」

真っ直ぐ逸らさず、私を見つめてくる。

私は手を[#dn=1#]さんの肩に置く。

ああ、ダメだ。

[#dn=1#]さんのこの眼差しはダメなの。

抗えないの。

「…っ」

真っ直ぐ見つめてくる綺麗な空色の瞳は、私の欲情をいとも簡単に掻き立ててしまう。

欲しくて、震えてくる。

我慢出来なくて。

「リザ?」

名前を呼ばれたと同時に。

「ん」

[#dn=1#]さんへとキスをした。

ちゅ、ちゅ、と音を立てて。

切れた唇も舐めるように。

舌を絡ませ合いながら、[#dn=1#]さんの手が私の服の中に入って来て。

「…ン、ぅ…っ」

指の腹で胸の先に触れられれば。

「んっんっ」

ピクッと肩が震えた。

唇を離し、私は[#dn=1#]さんの肩に顔を埋めると[#dn=1#]さんは私の首筋に舌を這わせつつ。

胸の先を摘まれて。

「ああっ」

またピクッと肩が震えてしまった。

[#dn=1#]さんは私をゆっくりとソファへ寝かせてくれて。

服を捲られ、胸の先を口に含まれると。

「あぁ…っあ…っ」

私の意思とは関係なく背中が浮いた。

「あ、そうだ」

すると、不意に[#dn=1#]さんが何かを思い出したかのように顔を上げた。

「……?[#dn=1#]さん…?」

どうしたんだろう。

「[#dn=1#]さん?」

突然行為を中断され、疼く体のまま[#dn=1#]さんの後をついて行く。

[#dn=1#]さんは黒いコートのポケットを漁って。

何か隠しながら私へと振り返った。

「どうしたんですか…?」

…何を隠したの?

見せられないもの?

そう思っていたら。

[#dn=1#]さんは綺麗に微笑んで。





「メリークリスマス、リザ」





小箱の中身を私に見せるように開いて。



「…うそ…」



その小箱の中身を見て、我が目を疑った。


だって。

だって。



小箱の中身は、シルバーリング。



[#dn=1#]さんが。

恋人がくれる指輪の意味を知らないわけないじゃない。


もう。

どうしよう。

涙が出て。

もうどうしよう。

上手く話せない。

「リザ?受け取ってくれる?」

私の状況を見て、[#dn=1#]さんはまたクスクス笑いながら私の左手を取り、薬指に指輪を嵌めてくれた。

もう一つのシルバーリングは、震えてしまっているけれど私が[#dn=1#]さんの薬指に嵌めた。

「ん、ありがとう」

[#dn=1#]さんは私にキスをしてくれて。




「正式に申し込む時は、もっと高い物を贈るから」




正式に申し込むって。

正式に申し込むって。

「正式に…っ申し込む……っ」

もうプロポーズじゃないこれ。

愛しい人にこんなこと言われて、まともに話せると思う?

高い物なんていりません、[#dn=1#]さん。

この指輪と、あなたが居てくれるだけで満たされますから。

クスクスと笑ってますけど、あなたは私に何をしてるのかわかってますか?


ああ、もう。

本当にもう。

好き。

本当に好き。

好きすぎておかしくなりしそう。


「もう少し先になるけど、この指輪は予約だから」


[#dn=1#]さんは私の左手の薬指にある指輪にキスをしてくれて、泣きすぎて言葉を発せられない私の唇にもキスをしてくれた。


そして。



「好きよリザ。愛してる」



誰よりも愛しい人からの、愛の言葉にますます涙が溢れてしまって。


でも私も、涙を零しながら笑みを浮かべて。



「私も…っ愛してます…っ[#dn=1#]さん…っ!」



愛の言葉を紡いだ。



好き、だけじゃ足りない。

愛してる、でも足りない。

何回言っても、何回言われても。

言い足りないくらい愛しているの。

[#dn=1#]さんが私の名前を言ってくれるだけで胸が弾み、幸せになるの。

あなたの姿を見る度に、手を伸ばして触れて欲しくなるの。

…ずっと傍に居たいの。

いつか正式に申し込んでくれる日を夢見て。

その日を夢見てますから。

[#dn=1#]さん。

どうか、永遠に。

私を好きで居てください。






それから。



私たちは。


ソファーではなくベッドで、溺れるような熱を何度も分かち合った。










「……これ…」

「その…渡すタイミングがなくて…」

翌日、[#dn=1#]さんへと遅いクリスマスプレゼントを渡した。

昨日はほら…指輪が嬉し過ぎて…忘れてたなんて…言えないけど…。

[#dn=1#]さんは紙袋の中からマフラーを取り出して。

「…うわ、うわ…」

グリグリとマフラーに顔を押し付けた。

「うわぁ…これ…やばぁ…」

よかった…喜んでくれてるみたい…。

クルクルと首に巻いて、また顔をマフラーに押し付けて。

「嬉しすぎるぅ…」

そのままベッドに倒れ込んだ。

「[#dn=1#]さんのように上手く編めませんでしたが…」

「上手に編めてるじゃない。ありがとうリザ」

「んっ」

グイッと腕を引かれて、キスをしてくれた。

「大切にするわ…」

というか外したくない、なんて言ってるけど…。

とりあえず…。

「…裸のままマフラーしないでください…」

服を着て欲しい…。

「肌触りも最高…」

「聞いてます?[#dn=1#]さん…」

[#dn=1#]さんはしばらくマフラーの虜になっていたわよ…。






ちなみに。

「はぁ?今日は帰りません。仕事?知らないわよそんなの」

中央司令部から東方司令部に電話が来てね…。

クリスマスに自分だけ働かせたとして、ストライキを起こしている…と仰っていたわ…。



聖なる夜がもたらしてくれた奇跡のような一日。

私は自分の薬指にある指輪と、[#dn=1#]さんの薬指にある指輪を見つめて。

そっと指輪にキスをすると。

「…!」

[#dn=1#]さんは電話をしながらそれを見ていたらしく、同じように指輪にキスをしてくれた。

「[#dn=2#]少将のあのマフラーって、ホークアイ中尉が………中尉…顔が真っ赤っスよ…」

「っ!お、おおおお茶を淹れて来るわね」

「珍しく動揺しながら逃げた…」

「中尉の動揺は珍しくはないよ。」

…ハボック少尉とマスタング大佐はニヤニヤしていたけど…。

「[#dn=2#]少将、そのマフラー貸してくださいよ」

「触らないで殺すわよ」

「……絶対中尉からだ…」

オフィスではこんなやり取りがあったみたい…。



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