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「渋滞…」

イーストシティへ向かう道。

交通事故があったようで、大渋滞。

事故処理車も、この渋滞でなかなか事故現場まで辿り着けないようで。

「…えー、ストライキ中なのに私が行かないとダメかなぁ…」

事故現場までは少し遠いけど、私が対応するべき案件よねこれ…。

「…今日中に間に合うかしら…」

私はため息を零し、車から降りて事故現場に向かった。

うぅ…寒い…。











「いやだから！そっちからぶつかって来たんだろうがよ！」

「はぁ！？いやてめぇだろうが！」

現場に向かえば、何やら喧嘩中で。

ぶつけた、ぶつけられたイライラしてたんでしょうけどね。

「ちょっと落ち着いてください。」

私が双方の間に入る。

「あんた誰だよ！関係ねぇんだから引っ込んでろ！」

「女は黙ってろ！」

「確かに関係もないし、女だけど職業柄黙ってるわけにはいかないんですよ」

女は黙ってろって何よ腹が立つ。

女性軽視の言葉は本当に腹が立つけど、私まで怒るわけにはいかない。

「職業柄！？知るかそんなこと！これは俺とこいつの問題なんだよ！」

「てめぇが前を見てねぇからぶつかったんだろうが！」

胸ぐらを掴み合い、今にも殴りかかりそう。

「ですから、今そんな喧嘩してる場合じゃないんです。大人なら落ち着いてください」

と、一人の男の人の腕を掴むと。

「うるせぇな！」

腕を振り払ったと同時に。

バシッと、私の頬に手が当たった。


「「あ」」


男の人の声が重なる。

「………」

私は視線を戻し、唇に触れれば血が滲んでいて。

「…いや…その…あんたが悪いんだからな！」

私のせいにしてきたため。

「なるほどね」

ニコリと笑って。





「いい加減にしてほしいんだけど」





そう言って、錬金術を発動させた。

「「ひっ！」」

男の人たちは頭を抱えたけれど。

私は別に、攻撃や鎮圧させるために発動させたわけじゃなくて。

「…く、車が…」

「直ってる…？」

双方の車のヘコみを直しただけ。



「ぶつけた、ぶつけられたで苛つくのはわかるけど、喧嘩してる場合じゃないのよ。この事故のおかげで大渋滞してるの。その大渋滞に巻き込まれてる人たちも、あなたたち以上にイライラしてるのよわかる？」



私はジト目で二人を睨んで。

「本当はこんなことしちゃいけないんだけど、私も早く恋人のところに行きたいの。だから今回は直してあげるし見逃してあげるから早く車を動かしてちょうだい」

スッと車を指す。

「は、はい！」

「すみませんでしたっ！」

男の人たちは慌てて車へ行って、一人がこちらへ振り返る。

「…あの…あなたは…」

「私？私はアイリ・セイフォード。軍人よ」

名前を聞かれたから名乗れば。

「“雷鳴の”！？す、すみませんでしたぁ！」

「ほんとごめんなさいぃい！」

そそくさと車を走らせて行ってしまった。

「……なにあれ…人を化け物みたいに…」

男たちの逃げ方にイライラしつつ、私も車を停めているから急がないと。

男たちの後ろにいた車の運転手たちは私に頭を下げて通過して行ったため、私も頭を下げて自分の車へと急いだ。

…結構時間をロスしてしまったわね…。

間に合うといいけど…。


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