聖なる夜に リザさん百合夢

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今日は12月25日、クリスマス。


世間ではパーティーやらデートやらで羽目を外してイチャコラしてるんでしょうけどね。

私は忙しさでクリスマスを満喫出来ないのよ。

“今日彼女とデートなんです”

“今日は家族サービスをたくさんするんです”

“今日は恋人とずっと過ごすんです”

なんて幸せそうに報告してくる子たち。


羨ましいわよちくしょう!!


私だってリザと過ごしたい。

もうギューーッと抱き締めて離したくない。

クリスマスにデートもいいけど、やっぱり私は自宅でゆっくりとリザを堪能したいわ。

それだけ私たちは一緒に居れる時間が少ないから。

出掛ける時間があるなら、自宅でリザを一日中抱っこしてたい。

遠距離恋愛になることはわかってて交際したから、仕方ないと言えば仕方ないんだけど…。

私は引き出しから小箱を取り出して。

「……ああもう…」

それを額に付けるように俯いて。

「…会いたくて頭おかしくなりそう…」

ため息を零した。

リザと交際を始めて、初めてのクリスマス。

良い大人がそんなことに拘るのもどうかとは思う。

ええ、思うわよ。

でも会いたいんだもの、仕方ないじゃない。

レイブン中将なんかは家族が待ってるからとかほざいて、私に仕事を押し付けて早々と帰宅しやがるし。

クレミン准将も私には何も告げずに、自分の仕事が終わったら早々に帰宅しやがってたし…。

誰一人として手伝うことをしてくれないポンコツたちにイライラしながら。

窓へと歩み寄って外を見る。

「…雪、か」

クリスマスの日に雪って最高のシチュエーションじゃない。

今頃街は煌びやかなイルミネーションに包まれて、イチャコラしてる恋人たちで溢れているのでしょうね。

「……リザ、何してるかしら…」

警備の仕事があると言っていたけど、さすがにもう終わってるか。

一人で自宅で、私と同じように雪を眺めているのかな。

私と同じように、寂しいと思ってくれてるのかな。

少しでもいいから、会いたいって思ってくれてるのかな。

「…………」

時計を見れば、21時前。

今から車を飛ばせば、何とか間に合う。

デスクへ振り返る。

てんこ盛りの書類。

軍人で少将なのにこの書類の山はなに?なんて思いながら。

なんで私だけこんな忙しく働かないといけないの?

他のポンコツたちは帰宅したのに。

たまには労ってくれないと、ストライキを起こすわよ?

本当に、起こすからね。

退職届けを受理してくれなくても、無断欠勤するから。

軍法会議?

上等、かけたきゃかけなさいよ。

とことん戦ってやるわ。



「うん、決めた」



私はデスクにある小箱をポケットにしまって。

「ストライキを起こしまーす」

誰もいない私の執務室でそう言って。

コートを羽織った。


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