聖なる夜に リザさん百合夢

'

「それじゃあお疲れ様」

「お疲れ様っしたー」

「お疲れ様でした!」

「っしたー」

退勤したのはなんと23時。

クリスマスだからと羽目を外す人が多くてね。

クリスマスくらい大目に見たい気持ちはあるのだけど、度が過ぎる人たちも中には居て。

拘束したり口頭注意をしたりと忙しかった。

あとは酔った恋人同士が目の前でキスをしたりとね。

本当にこういうイベント時は大変よ。

「あ…雪…」

東方司令部を出れば、ハラハラと雪が降り始めていた。

「シチュエーション的には最高ね。」

やっぱり[#dn=1#]さんと過ごせたらなぁ、なんて思ってしまうことに苦笑を浮かべて。

街の綺麗なイルミネーションを見ながら。

色んなお店のショーウィンドウに飾られているクリスマスツリーや、家族と嬉しそうにプレゼントを抱えている子供を見ながら。

幸せそうな人たちを見て、少しだけ沈んだ気持ちを浮上させて。

少しだけ幸せをお裾分けしてもらって。

「明日も頑張らないと」

明日も仕事だから、早く帰って暖まろうと足早に帰路に着いた。











「ふぅ…」

シャワーを浴びて、ココアを入れた。

ソファに座り、ふぅふぅとココアの湯気を飛ばして。

そっとカップに口付ける。

甘くて美味しい。

もう一口啜り、テーブルに置かれた紙袋を見つめる。

「……いつ渡せるかしらね」

もしかしたら今年中には渡せないかもしれない不安すら過ぎる。

仕方ないことだと頭では理解はしているのに、心は今すぐにでも会いたいと思ってしまっていて。

「…はぁ…」

ため息が出てしまう。

遠距離恋愛は承知で交際して、[#dn=1#]さんの忙しさも承知で交際をして。

それなのに、理解して納得しているはずなのに。

会いたい気持ちが強すぎて。

「…本当、依存してしまってるわよね…」

[#dn=1#]さんに依存しすぎてしまっていることにもため息が漏れた。

[#dn=1#]さんなしでは生きて行けないわよ…もう…。

なんて思いながら。

「…まだ雪降ってるのかしら」

カップをテーブルに置いて、窓へと近づく。

カーテンを開けて空を見ればまだ降っていて。

「これは積もるわね…」

雪掻きしないと、なんてクリスマスに色気のないことを口にして。

何度目かのため息を零し、カーテンを閉めようとした時に。

「…あら?」

視界に入った人。

「こんな雪の中を歩いて………」

で、言葉を止めて、その人物を確認した瞬間。



「ッッ!!!」


窓に両手を付けて目を見開いた。


そして。


「…うそ…!うそ…!!」


焦りながら。



私は外へと急いだ。



.
2/7ページ
スキ