幸福 リザさん百合夢
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「りんご剥けましたよ」
「ん、ありがとう」
一昨日、アイリさんが目覚めたと知らせを受けたのは夜中で。
すぐに病院へ駆け付けた。
この一月。
集中治療室で、配線だらけのアイリさんをずっと見続けて。
胸が締め付けられた。
一ヶ月間集中治療室にずっと居たの。
予断を許さない状況が続き、集中治療室から出ることが出来なかった。
中央司令部再建と、この国の立て直しにはアイリさんは必要だから。
絶対に失ってはいけない人。
でもそれ以前に、アイリさんは物凄く人望がある人だから。
そんな理由で失いたくないのではなく、みんなアイリさんが好きだから失いたくなかった。
「美味しいりんごね」
「マスタング大佐がくださったんですよ」
「そう、ロイ君が」
アイリさんはまだ体が自由に動かなく、手も痺れているようで。
震える手で左目の眼帯に触れて。
「…リザ、取ってくれる?」
「ですが…取らないほうが…」
アイリさんは小さく微笑んで。
「大丈夫よ」
そう言ったから、私は静かにアイリさんの眼帯へ手を伸ばして眼帯を外した。
ゆっくりと開かれたその左目は。
「あ…瞳の色が…」
綺麗なスカイブルーの瞳が、クリアな瞳になっていた。
右目はスカイブルーで、左目がクリア…。
これもまた綺麗で。
「視力はあるみたいだけど…左右の視力の違いに酔いそう…」
でも、と続けて。
その綺麗な瞳で真っ直ぐ私を見つめて。
「ちゃんとリザが見える」
私の頬に手を伸ばした。
ああ。
愛しい。
私の頬にある、アイリさんの手に自分の手を重ねる。
涙が出る。
生きてる。
ちゃんと生きてる。
今私の頬に触れて、優しい笑みを浮かべてくれている。
「心配をかけたわね」
「…っ本当…ですよ…っもう…!」
どれだけ心配したか。
どれだけ怖かったか。
あなたを失うかもしれないこの不安と恐怖。
わかりますか?
あなたが目覚めたという知らせを受けて、どれだけ安心したか。
集中治療室の中で、真っ直ぐ私を見てくれたあの時。
どれだけ嬉しかったか。
あなたにわかりますか?
本当にもう。
心配ばかりさせて。
またクスクス笑ってますけど、笑い事じゃないんですからね。
アイリさんに誘導されるように、私はベッドに膝を付き、アイリさんへと顔を近づけて。
そっとキスをした。
「ん…ン…」
角度を変えて。
「ン…っふ…っ」
舌を絡め、吐息を吸って。
綺麗なスカイブルーの瞳と、クリアな瞳に囚われながら。
「…ふ…ぁ…っン…っ」
厭らしい水音を響かせながら。
「ん…」
「は…っはぁ…っ」
名残惜しく、リップノイズを立てて離れた。
「…ッつ…!」
「アイリさん!」
途端に、アイリさんが左目を押さえて眉間に皺を寄せた。
「医師を呼びますから待っててください…!」
ベッドから降りようとすれば、アイリさんに腕を掴まれて。
「大丈夫…大丈夫だから…」
痛みから、額に汗を滲ませて。
大丈夫だと嘘を言う。
「そんなわけ…!!」
呼びに行こうにも、アイリさんが手を離してくれない。
「どうしました?」
タイミング良く、医師が来てくれた。
「左目が痛むようなんです」
私はすぐに退き、医師はアイリさんの瞳を診る。
「…視力はあるから、多分後遺症じゃないかしら」
アイリさんが医師にそう言うと、医師も小さく頷く。
「あなたが運ばれてきた時も、眼球を調べましたが…異常は見当たりませんでした…」
痛みはやはり、くり抜かれたことによる後遺症。
「しかし、もう一度精密検査をしてみましょう」
目覚めた今なら、もっと違った検査も出来ると医師は言う。
「いえ「よろしくお願いします」
断ろうとしたアイリさんを遮り、私が医師にお願いをすれば。
「…もう。大丈夫なのに…」
「大丈夫とは言わないんですよ、その痛みは」
アイリさんは頬を膨らませた。
でも、やはり左目に異常は見つからなくて。
「この痛みとは一生付き合って行くしかないみたいね」
くり抜かれたことによる後遺症と判断された。
あとは体の痛みも。
今のアイリさんは、軍役復帰出来る状態ではなかった。
でも中央司令部再建にはアイリさんの記憶力と錬金術が必要で。
目覚めてから一週間後。
中央司令部再建に必要な材料を用意しておいて。
「「「セイフォード少将!?」」」
病院から外出許可をもらい、中央司令部へと戻ってきた。
「貴様、大丈夫なのか?」
アームストロング少将がアイリさんに問えば。
「大丈夫よ。とりあえず中央司令部を再建しないと」
ボロボロな中央司令部の前に立ち、手を翳す。
「……セイフォード少将、左目に錬成陣はもうありませんよ?」
「…そうだったわ…」
今まで瞬き一つで使っていた錬金術。
今の左目には錬成陣がないため、それも叶わない。
「不便ねぇ…」
「ほざけ。両手を合わせるだけで使えるじゃないか」
「両手を合わせないと使えない、よ」
ものは言いよう、アームストロング少将と笑いながらアイリさんは両手を合わせて。
地面に手を付き、錬金術を発動させた。
いつもなら発動から造り上げるまで瞬きの速さだったのに、今はゆっくり。
しかし確実に中央司令部が再建されていく。
長年務めた中央司令部を、記憶一つで再建するなんて…。
「…恐ろしい奴だな」
「本当ですね…」
私とアームストロング少将はアイリさんの背中を見つめながら、そう話していた。
中央司令部が再建し終わり、アイリさんが一息吐く。
「…中の確認をお願い。変な箇所があったら報告してね」
アイリさんは座ったまま立ち上がらない。
「アイリさ…セイフォード少将?」
アイリさんの肩に手を置き、顔を覗き込むと。
「…ごめんなさい…今立てないから先に「行くわけないでしょう!あなたは病院です!」
左目を押さえて冷や汗を流していたから、そのまま病院へと運んだ。
この痛みと一生付き合って行くって…。
せめて痛みが和らげばいいのだけれど…。
.
「りんご剥けましたよ」
「ん、ありがとう」
一昨日、アイリさんが目覚めたと知らせを受けたのは夜中で。
すぐに病院へ駆け付けた。
この一月。
集中治療室で、配線だらけのアイリさんをずっと見続けて。
胸が締め付けられた。
一ヶ月間集中治療室にずっと居たの。
予断を許さない状況が続き、集中治療室から出ることが出来なかった。
中央司令部再建と、この国の立て直しにはアイリさんは必要だから。
絶対に失ってはいけない人。
でもそれ以前に、アイリさんは物凄く人望がある人だから。
そんな理由で失いたくないのではなく、みんなアイリさんが好きだから失いたくなかった。
「美味しいりんごね」
「マスタング大佐がくださったんですよ」
「そう、ロイ君が」
アイリさんはまだ体が自由に動かなく、手も痺れているようで。
震える手で左目の眼帯に触れて。
「…リザ、取ってくれる?」
「ですが…取らないほうが…」
アイリさんは小さく微笑んで。
「大丈夫よ」
そう言ったから、私は静かにアイリさんの眼帯へ手を伸ばして眼帯を外した。
ゆっくりと開かれたその左目は。
「あ…瞳の色が…」
綺麗なスカイブルーの瞳が、クリアな瞳になっていた。
右目はスカイブルーで、左目がクリア…。
これもまた綺麗で。
「視力はあるみたいだけど…左右の視力の違いに酔いそう…」
でも、と続けて。
その綺麗な瞳で真っ直ぐ私を見つめて。
「ちゃんとリザが見える」
私の頬に手を伸ばした。
ああ。
愛しい。
私の頬にある、アイリさんの手に自分の手を重ねる。
涙が出る。
生きてる。
ちゃんと生きてる。
今私の頬に触れて、優しい笑みを浮かべてくれている。
「心配をかけたわね」
「…っ本当…ですよ…っもう…!」
どれだけ心配したか。
どれだけ怖かったか。
あなたを失うかもしれないこの不安と恐怖。
わかりますか?
あなたが目覚めたという知らせを受けて、どれだけ安心したか。
集中治療室の中で、真っ直ぐ私を見てくれたあの時。
どれだけ嬉しかったか。
あなたにわかりますか?
本当にもう。
心配ばかりさせて。
またクスクス笑ってますけど、笑い事じゃないんですからね。
アイリさんに誘導されるように、私はベッドに膝を付き、アイリさんへと顔を近づけて。
そっとキスをした。
「ん…ン…」
角度を変えて。
「ン…っふ…っ」
舌を絡め、吐息を吸って。
綺麗なスカイブルーの瞳と、クリアな瞳に囚われながら。
「…ふ…ぁ…っン…っ」
厭らしい水音を響かせながら。
「ん…」
「は…っはぁ…っ」
名残惜しく、リップノイズを立てて離れた。
「…ッつ…!」
「アイリさん!」
途端に、アイリさんが左目を押さえて眉間に皺を寄せた。
「医師を呼びますから待っててください…!」
ベッドから降りようとすれば、アイリさんに腕を掴まれて。
「大丈夫…大丈夫だから…」
痛みから、額に汗を滲ませて。
大丈夫だと嘘を言う。
「そんなわけ…!!」
呼びに行こうにも、アイリさんが手を離してくれない。
「どうしました?」
タイミング良く、医師が来てくれた。
「左目が痛むようなんです」
私はすぐに退き、医師はアイリさんの瞳を診る。
「…視力はあるから、多分後遺症じゃないかしら」
アイリさんが医師にそう言うと、医師も小さく頷く。
「あなたが運ばれてきた時も、眼球を調べましたが…異常は見当たりませんでした…」
痛みはやはり、くり抜かれたことによる後遺症。
「しかし、もう一度精密検査をしてみましょう」
目覚めた今なら、もっと違った検査も出来ると医師は言う。
「いえ「よろしくお願いします」
断ろうとしたアイリさんを遮り、私が医師にお願いをすれば。
「…もう。大丈夫なのに…」
「大丈夫とは言わないんですよ、その痛みは」
アイリさんは頬を膨らませた。
でも、やはり左目に異常は見つからなくて。
「この痛みとは一生付き合って行くしかないみたいね」
くり抜かれたことによる後遺症と判断された。
あとは体の痛みも。
今のアイリさんは、軍役復帰出来る状態ではなかった。
でも中央司令部再建にはアイリさんの記憶力と錬金術が必要で。
目覚めてから一週間後。
中央司令部再建に必要な材料を用意しておいて。
「「「セイフォード少将!?」」」
病院から外出許可をもらい、中央司令部へと戻ってきた。
「貴様、大丈夫なのか?」
アームストロング少将がアイリさんに問えば。
「大丈夫よ。とりあえず中央司令部を再建しないと」
ボロボロな中央司令部の前に立ち、手を翳す。
「……セイフォード少将、左目に錬成陣はもうありませんよ?」
「…そうだったわ…」
今まで瞬き一つで使っていた錬金術。
今の左目には錬成陣がないため、それも叶わない。
「不便ねぇ…」
「ほざけ。両手を合わせるだけで使えるじゃないか」
「両手を合わせないと使えない、よ」
ものは言いよう、アームストロング少将と笑いながらアイリさんは両手を合わせて。
地面に手を付き、錬金術を発動させた。
いつもなら発動から造り上げるまで瞬きの速さだったのに、今はゆっくり。
しかし確実に中央司令部が再建されていく。
長年務めた中央司令部を、記憶一つで再建するなんて…。
「…恐ろしい奴だな」
「本当ですね…」
私とアームストロング少将はアイリさんの背中を見つめながら、そう話していた。
中央司令部が再建し終わり、アイリさんが一息吐く。
「…中の確認をお願い。変な箇所があったら報告してね」
アイリさんは座ったまま立ち上がらない。
「アイリさ…セイフォード少将?」
アイリさんの肩に手を置き、顔を覗き込むと。
「…ごめんなさい…今立てないから先に「行くわけないでしょう!あなたは病院です!」
左目を押さえて冷や汗を流していたから、そのまま病院へと運んだ。
この痛みと一生付き合って行くって…。
せめて痛みが和らげばいいのだけれど…。
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