幸福 リザさん百合夢
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「りんご剥けましたよ」
「ん、ありがとう」
ここは中央総合病院。
アイリさんは一昨日目を覚ました。
ホムンクルスとの長きに渡る戦いは、私たち人間の勝利で終わった。
アイリさんが、そのホムンクルスや黒幕だった軍上層部とずっと一人で戦っていたことを知った。
だから中央勤務で居られたんだろう。
敵も味方も欺き、ずっと一人で…。
一時はアイリさんも、本当はホムンクルス側の人間なのではないのだろうかとさえ思わされるほど。
アイリさんは隠し通すのが上手くて。
最悪私たちと戦うことになったとしても、きっと真実を話してはくれなかったでしょう。
じゃあなぜ、ずっと一人で戦っていたと知ったのか。
それは。
アームストロング少将が中央へ呼ばれたため。
アームストロング少将が目にしたのは、軍上層部がずらりと並ぶ席に招かれたことにより。
そこに座っていたアイリさんが、密かに頭を抱えていた瞬間。
“なんで来ちゃうかな…”
アームストロング少将はアイリさんにそう言われたらしい。
そこから根掘り葉掘り聞き出せば。
なんと十年以上前から戦い続けていたようで…。
“…なんていう阿呆なんだ…”
アームストロング少将は呆れに呆れていたわ…。
でも、アームストロング少将のおかげで、アイリさんが敵ではないと知れた。
もしアイリさんと戦うことになっていたらと考えると。
怖くて。
悲しくて。
息も出来ないくらい苦しくなったことをアイリさんに泣きながら伝えれば。
“…ごめんね…リザ可愛い…”
クスクス笑いながら、アイリさんは強く抱き締めてくれた。
笑い事じゃないのに…もう…。
ホムンクルスとの戦争開戦後、マスタング大佐やエドワード君、スカーと共に地下で敵と戦ったり。
深く潜れば潜るほど、見えたのは血だらけで倒れているアイリさんだった。
ゾッとした。
あまりにも酷い怪我で、血だらけで。
死すら頭に過るくらい。
駆け寄って抱き締めれば、僅かに息をしていて。
ホッとしたけれど。
“ひ、左目が……っ”
アイリさんの、錬成陣が刻まれている左目がなかった。
“彼女の雷は厄介だが見事なものだから、貰ったよ”
敵の錬金術師は、瓶の中にアイリさんの眼球を入れてニタニタ笑っていた。
しかしそこは。
流石と言うべきなのか。
“…目なんかなくても錬成陣いらないの、知ってた?”
血だらけで立ち上がったアイリさんは、エドワード君と同じように両手を合わせることで“雷の力”を使って見せた時は。
不謹慎にも格好良すぎてどうしようと思ってしまった。
その後、敵の国土錬成陣が発動されてアイリさんが消えてしまう瞬間、混乱しそうになった私に。
“帰って来るから!”
アイリさんがそう言ってくれたから。
私は信じて待つことが出来た。
一緒の場所に飛ばされたエドワード君やアルフォンス君、アイリさんの友人であるイズミ・カーティスさんたちがアイリさんを守りながら戦ってくれて。
私たちがアイリさんの下へと辿り着いた時には、アイリさんはもう立てなくなっていた。
こんなに弱っているアイリさんを見たのは初めてで。
こんな大怪我を負っているのを見たのも初めてで。
ゆっくりと、着実に。
アイリさんは死に近づいていた。
でもそれは。
アイリさんの父親のテイルズ氏が助けてくれた。
失われた眼球も、テイルズ氏が持っていた賢者の石の力で創られて。
ただ、ここに来る前にたくさんの人の怪我を治療していたから。
賢者の石はアイリさんの眼球を創った時点で壊れてしまって。
テイルズ氏は自らの生命力を削り、アイリさんを死から救ってくれた。
テイルズ氏は私を見つめて。
“ アイリを…頼んだよ…”
とても優しい笑みを浮かべ、永遠の眠りに就いた。
アイリさんは無意識の中、眠りに就こうとしているテイルズ氏を抱き締めて。
“…愛してる…お父さん…”
小さくそう囁き、涙を零した。
だからテイルズ氏の寝顔は、とても満たされ幸せそうだった。
“直ちに中央総合病院へ搬送しろ!”
アイリさんはすぐに中央総合病院へと搬送され、そこから一ヶ月も目覚めなかった。
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「りんご剥けましたよ」
「ん、ありがとう」
ここは中央総合病院。
アイリさんは一昨日目を覚ました。
ホムンクルスとの長きに渡る戦いは、私たち人間の勝利で終わった。
アイリさんが、そのホムンクルスや黒幕だった軍上層部とずっと一人で戦っていたことを知った。
だから中央勤務で居られたんだろう。
敵も味方も欺き、ずっと一人で…。
一時はアイリさんも、本当はホムンクルス側の人間なのではないのだろうかとさえ思わされるほど。
アイリさんは隠し通すのが上手くて。
最悪私たちと戦うことになったとしても、きっと真実を話してはくれなかったでしょう。
じゃあなぜ、ずっと一人で戦っていたと知ったのか。
それは。
アームストロング少将が中央へ呼ばれたため。
アームストロング少将が目にしたのは、軍上層部がずらりと並ぶ席に招かれたことにより。
そこに座っていたアイリさんが、密かに頭を抱えていた瞬間。
“なんで来ちゃうかな…”
アームストロング少将はアイリさんにそう言われたらしい。
そこから根掘り葉掘り聞き出せば。
なんと十年以上前から戦い続けていたようで…。
“…なんていう阿呆なんだ…”
アームストロング少将は呆れに呆れていたわ…。
でも、アームストロング少将のおかげで、アイリさんが敵ではないと知れた。
もしアイリさんと戦うことになっていたらと考えると。
怖くて。
悲しくて。
息も出来ないくらい苦しくなったことをアイリさんに泣きながら伝えれば。
“…ごめんね…リザ可愛い…”
クスクス笑いながら、アイリさんは強く抱き締めてくれた。
笑い事じゃないのに…もう…。
ホムンクルスとの戦争開戦後、マスタング大佐やエドワード君、スカーと共に地下で敵と戦ったり。
深く潜れば潜るほど、見えたのは血だらけで倒れているアイリさんだった。
ゾッとした。
あまりにも酷い怪我で、血だらけで。
死すら頭に過るくらい。
駆け寄って抱き締めれば、僅かに息をしていて。
ホッとしたけれど。
“ひ、左目が……っ”
アイリさんの、錬成陣が刻まれている左目がなかった。
“彼女の雷は厄介だが見事なものだから、貰ったよ”
敵の錬金術師は、瓶の中にアイリさんの眼球を入れてニタニタ笑っていた。
しかしそこは。
流石と言うべきなのか。
“…目なんかなくても錬成陣いらないの、知ってた?”
血だらけで立ち上がったアイリさんは、エドワード君と同じように両手を合わせることで“雷の力”を使って見せた時は。
不謹慎にも格好良すぎてどうしようと思ってしまった。
その後、敵の国土錬成陣が発動されてアイリさんが消えてしまう瞬間、混乱しそうになった私に。
“帰って来るから!”
アイリさんがそう言ってくれたから。
私は信じて待つことが出来た。
一緒の場所に飛ばされたエドワード君やアルフォンス君、アイリさんの友人であるイズミ・カーティスさんたちがアイリさんを守りながら戦ってくれて。
私たちがアイリさんの下へと辿り着いた時には、アイリさんはもう立てなくなっていた。
こんなに弱っているアイリさんを見たのは初めてで。
こんな大怪我を負っているのを見たのも初めてで。
ゆっくりと、着実に。
アイリさんは死に近づいていた。
でもそれは。
アイリさんの父親のテイルズ氏が助けてくれた。
失われた眼球も、テイルズ氏が持っていた賢者の石の力で創られて。
ただ、ここに来る前にたくさんの人の怪我を治療していたから。
賢者の石はアイリさんの眼球を創った時点で壊れてしまって。
テイルズ氏は自らの生命力を削り、アイリさんを死から救ってくれた。
テイルズ氏は私を見つめて。
“ アイリを…頼んだよ…”
とても優しい笑みを浮かべ、永遠の眠りに就いた。
アイリさんは無意識の中、眠りに就こうとしているテイルズ氏を抱き締めて。
“…愛してる…お父さん…”
小さくそう囁き、涙を零した。
だからテイルズ氏の寝顔は、とても満たされ幸せそうだった。
“直ちに中央総合病院へ搬送しろ!”
アイリさんはすぐに中央総合病院へと搬送され、そこから一ヶ月も目覚めなかった。
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