pixiv作品 名探偵コナン
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「あ、これ美味しー。食べてみる?」
「ん?どれ」
ある日の昼下がり。
久しぶりに冬華と休みが重なり、天気も良いしでカフェでまったり昼食を摂っていた。
「ほんとだ、美味いな」
「でしょ?ソースがまた合うよね」
「これもなかなか美味いぞ。食ってみろ」
今度は私の料理を食わせてやると。
「ん、おいし。ここのカフェまた来たいなぁ」
お気に召したようで、美味そうに食っている。
「あぁ、いつでも来れるさ」
私はそんな冬華に笑み、カップに口を付ける。
すると。
『緊急車両です!道を開けてください!』
警察車両がサイレンを鳴らして通り過ぎて行った。
これで3台目だ。
「今日なんかあったのかな」
「ああ、やけにパトカーが多いな」
近くで何か事件でもあったのか、警察車両が去った方向を見る。
「県警に電話してみる?」
「私はともかく、お前には出動要請がかかるかもしれんぞ?」
私は交通課だから、大規模な事故でもない限りは出動要請はない。
でもこいつは刑事課で、元空手家だからその力を借りたいということで要請がかかる場合がある。
「…それはやだな」
せっかくのデートだし、と。
冬華はスマホを置いた。
「こっそり見に行くか」
「バレないように?」
「そう」
「乗った」
ニッと笑い合って。
「会計してくる」
立ち上がる。
「いくら?」
「いらんよ。今日は私の奢りだ」
冬華が財布を取り出すのを片手で制止し、クレカを見せれば。
「やった!ありがと!」
冬華は嬉しそうに私の腕に自分の腕を絡めた。
「ほら、ヘルメット」
「はーい」
店を出て、バイクに跨る。
また一台警察車両が過ぎて行ったから。
「運転手さん!前のパトカー追って!」
「しっかり掴まっとけよ?刑事殿」
さながら、刑事ドラマのように警察車両を追いかけた。
「うるせー!!さっさと車を用意しろ!!」
「きゃああ!!」
「わかったからその人を解放しろ!」
人集りの傍にバイクを停め、私たちはヘルメットを脱ぐ。
「人質?取られてる感じ?」
「見えないからよくわからんが、聞こえた声的にそうっぽいな」
背伸びをしてもすごい人集りだから見えず。
「千速、肩車して」
「出来るか。横抱きにならしてやるぞ」
「それでもいい!」
なんて冗談を言いつつ。
「ちょっと失礼」
「通らせてくださーい、警察ですー」
○○と人集りを潜り抜けて最前列へ行く。
「っと。お、重悟」
「っぃ…っ誰かに足踏まれたぁ…」
状況は、男が刃物で女を人質にしていて、興奮している様子。
いつ人質が刺されてもおかしくない切迫した状況で。
あまり良い状況とは言えなかった。
「逃走車両は用意してやるから、その人を離せ」
「近寄るな!!車が来るまで絶対に離さねぇ!」
ナイフを振り回し、誰も近寄れない。
「ああ、くそ…。ここに冬華がいたら…」
という、重悟の呟きは私たちの耳に届いて。
「「……」」
顔を見合わせる。
「ご所望だぞ?」
私はクツクツと笑い、重悟を指す。
「…名乗り出たくないなぁ…」
なんて言いながらも上着を脱いで渡され、襟元のボタンを外した。
「…お前、外しすぎじゃないか?」
「二つしか外してないよ」
動いた時に見えないか不安だ…。
「横溝さーん!」
「!冬華…!と、千速!」
冬華が重悟を呼ぶと、重悟はこちらへ振り返って冬華の姿を確認した時の…。
“勝ったな”
という表情が面白かった。
「頼むぞ、冬華」
「特別手当もらうからね」
「おう、申請しとく」
冬華はため息を零し、星と相対する。
「なんだてめぇ!!近寄るんじゃねぇ!!」
星はますます興奮するが。
「私、学生の頃はそこそこ鍛えてたんだよね」
「あ!?何言ってやがる!!」
そこそこなわけがあるかU18 空手 元世界チャンプが。
「その人、どう見ても華奢じゃん?」
「「え?」」
星と人質の女の声が重なり、顔を見合わせる。
「だから逃走するなら、絶対に足手纏いになるわけ」
冬華は腰に手を当て、肩を竦めて。
「そうしたらあなた、捕まっちゃうよ?いいの?」
「な、何が言いてぇんだ…」
星は動揺し始めた。
「私が代わりに人質になってあげるからさ。その人離してやってよ」
「な、なに…?てめぇが…?」
「ほら、武器も何も持ってない丸腰だしさ」
両手を上げ、丸腰であることをアピールするが。
「…拳という名のナイフよりもヤベェ武器持ってんじゃねぇかよ」
「下手したら拳銃よりもヤバいかもしれんな」
クツクツと笑う私と呆れる重悟の小さな呟きは、私たち以外には届かずで。
星はゴクリと息を呑んで。
「…よ、よし、いいだろう。こっち来い」
冬華の交渉を受けた。
私と重悟は思った。
「「(馬鹿でよかった)」」
と。
…何も出来ない丸腰の女が、人質を代わるだなんて言うわけないだろ。
「もう大丈夫」
「っす、すみませ…っ」
冬華は泣いている人質の女に笑いかけて。
「っさっさと来い!!」
星が冬華にナイフを突きつけたところに。
パキン、と。
「へ?」
「「嘘だろ…」」
U18 空手 元世界チャンピオンの手刀で、ナイフの先端が折れて…。
ドゴ…ッと…。
「ぐ…ッあ゙…ッ」
鈍い音と共に、回し蹴りが星の左側頭部にヒットして…。
「!…あの動きって…」
“お前…!すごいな!!今のすごかった!!”
“え、誰!?誰かわからないけどありがと!”
振り抜いた足を着地させ、その足を軸に繰り出される二連コンボのこの技は、フルコンタクト神奈川県空手選手権・高校生の部と。
U18 空手 世界選手権で見事優勝を勝ち取ったあいつの…。
あ、あいつの…ッ
あいつの得意技…ッ!!
…ッヤバい!!
「重悟!!この技はヤバい!!」
「あ!?何がヤバいんだ!?」
「回し蹴りの後は…ッ」
回し蹴りで相手を吹っ飛ばして、バランスを崩した相手へ容赦なく振り上げられた。
「踵落としだッ!!」
U18の世界大会で付けられた異名。
“無敗の女王”
前世界王者すらも撃墜させてしまったあの踵落としを。
「ッ!?」
あの馬鹿は…ッ!
「死ねゴラァアア!!」
「ッ待て!!冬華!!」
「やめろッ!!冬華!!」
…“無敗の女王”による踵落としが決まる前に…。
「ッバカヤロウが!!」
私と重悟で羽交締めにして止めた…。
「ッだからお前!!いっつもやりすぎなんだよ!!」
「…つい、その…腹が立って…」
「あ、危ねぇ…あと1秒遅かったらあの星まじでヤバかったぞ…」
星は拘束され、警察車両で連行されていった。
で。
現場なら離れた場所で、冬華は重悟に正座をさせられて説教されている。
「でも星を鎮圧させたし、結果オーライでしょ!?」
「んなわけねぇだろ!星の怪我の程度で始末書だ!」
「うっそなんで!?意味わかんない!!」
…回し蹴りがまともに入ってるからな…。
脳震盪で済めばいいが、下手したら頭蓋骨骨折もあり得るレベルの蹴りが入っている。
だがまぁ、その辺は加減をしたんだろう。
というか加減をしないと死ぬ…。
「千速!私悪くないよね!?」
「悪くはないな」
「ほら!横溝さんほら!」
「ほら、じゃねぇ!おい千速!冬華を甘やかすんじゃねぇよ!」
冬華は私の後ろに隠れ、重悟に舌を出した。
「というか休みの私を駆り出したのは横溝さんなんだから横溝さんにも責任あると思う!」
「ぐ…っ」
私はまたクツクツと笑って。
「冬華を駆り出した時点で、大凡の検討はついてたと思うが?」
そう言うと。
「ぅ…っ」
重悟は頭を掻いてため息を零した。
と。
「千速さーん!!」
突然声をかけてきた人物がいた。
「こんにちは!お久しぶりです!」
「!君は……やぁ、久しぶりだな」
振り返れば、そこには毛利探偵の娘…蘭君が立っていて。
「千速、知り合い?」
ひょこっと私の背後から冬華が顔を覗かせた。
「あぁ、少しな。この子は毛利探偵の娘の蘭君だ」
冬華に簡単に紹介をすると。
「もう「あ、あの!!蒼月冬華さんですよね!?」
蘭君は冬華の声を遮り、詰め寄って手を握った。
「っそ、そうだけど…なんで私を知ってるの?」
…なぜ知り合いなのかは置いといて、私はその手が気になるんだが。
「…というか、あの少年は今日はいないのか?」
さり気なく二人の間に入り、蘭君に問いかける。
途中、重悟は私の肩を叩いて。
「千速、冬華、俺ぁ行くからな」
「ん?ああ、お疲れ」
「ばいばーい」
「始末書と報告書を忘れんなよ?」
「やだ!べー!!」
「ってめっ!こっちだってベーだからな!!」
冬華と重悟はジト目で睨み合い、重悟も舌を出しながら本部へと戻っていった。
「…ガキか、あいつも…」
蘭君も苦笑いを零すほど子供じみた二人に、私は軽くため息を吐く。
「で、あの少年は?」
「き、今日はコナン君は一緒じゃなくて、友達の園子と遊びに来ました!」
「は、初めまして!蘭から千速さんの話は聞いてて、一度会ってみたいって思ってました!」
今度は蘭君の友人が蘭君の背後からひょこっと顔を覗かせて。
「私の「で!冬華さんの話はもう小学生の頃から聞かされてます!」
私の声を遮り、園子君も冬華に詰め寄った。
……またさり気なく間に入る。
「小学生の頃から?」
「私空手やってるんです!元全日本空手チャンピオンの前田聡さんに憧れて…!」
元全日本空手チャンピオンの前田聡。
なんとなく聞いたことはあるような…。
確か、冬華が出場してた大会の会場にもいたような…。
「け、結構前に事件で捕まっちゃったけど…」
ああ、そうだ。
結構前に何かの事件でしょっ引かれた奴だ。
そっちの記憶のが強いな。
蘭君は少し肩を落としたが。
「でもその前田選手が、数年前の大会のインタビューで今のお気持ちをどうぞって言われた時に…」
…あの試合か。
こいつと丁度観てたやつだ…。
「あー…“冬華!お前を超えたらオレと付き合え!”ってやつね」
冬華は苦笑いを零した。
「そうですそうです!それで、当時の映像で蒼月さんが映ってて…!」
“前田ですか?まぁ、良い感じじゃないですかね。知らんけど”
というコメントを拾われてるんだよな。
もっと拾うべき言葉があっただろうに、なんでそのコメントだったのか謎だ。
「前田選手が超えられなかった人だから、いつか会ってみたいって思ってたんですっ!」
蘭君はまた冬華の手を取り、キラキラと笑顔を輝かせている。
「蒼月さんの中学生から高校生までの大会と、U18の世界大会の録画も何回も観ましたっ!」
「蘭、空手を始めたきっかけは前田選手だけど、目指したのは蒼月さんなんですよ」
「テロップで“無敗の女王”って流れる度に興奮して絶対に私も蒼月さんのように強くなりたいって思って…っ」
蘭君はズイズイと冬華に詰め寄り、冬華は詰め寄られた分だけ下がるが。
「っあら、熱烈なファン」
クスクスと笑うだけ。
「でもU18は出場するつもりなかったんだけど」
「顧問に“優勝したら期末考査免除してやるから”って言われて出場したんだよな」
「そう!やるしかないよね」
“えー…大会とか興味ないんだよなぁ…英語喋れないし…日本から出たくない…”
“優勝したら期末考査免除するから!頼むからうちの高校に伝説を産み落としてくれ!!”
“え!?期末考査免除!?やります!!”
“え!?やる!?やったぁあ!!!特訓費用も遠征費用も通訳も学校を挙げて協力するからな!!”
“…優勝したら、だぞ…?冬華…”
上手く乗せられていたが、顧問もや学校側も冬華をその気にさせるのに必死だったんだよな。
「…出場理由が浅はか…」
園子君が苦笑いを零した。
冬華は私たちから一歩離れて。
「でもまさか聡が日本代表に選ばれると思ってなかったんだよねぇ。あいつ弱かったし」
世の中不思議だよねぇ、と懐かしさに目を細めたことはどうでもいい。
今、こいつなんて言った?
「…は?聡?」
前田聡を“聡”って呼び捨てにしなかったか?
は?
「「あ…」」
蘭君と園子君はサァ…ッと顔を青くして、状況をすぐに察したが。
「え?うん、聡。大会の会場でよく顔合わせてたのは知ってるでしょ?」
この阿呆は気付かない。
「…それは何となく覚えてるが、呼び捨てにするような仲なのか?」
大会会場の二階にあるスタンドからしか見たことがないから、名前を呼び合っているなんて知らなかった。
「まぁそうね。聡も私を名前で呼んでたし」
「……」
「え?なんか変?千速だって陣平や横溝さんのこと呼び捨てでしょ?」
…それはそうだが。
「……」
なんか、ムカつく。
「え!?なに!?ねぇ!蘭ちゃん!園子ちゃん!私なんか変!?」
「…い、いえ…」
「変なことは…言ってないけど…」
私は二人に笑みを零して、そして。
「すまない、二人とも。急用が出来たから失礼する」
「えぇえ!?なんでなんで!?どゆこと!?意味わからないんだけど!」
「あ、はい!冬華さん!また今度ゆっくりお話ししましょうね!」
冬華の手を掴み、歩き出した。
この後はショッピングがしたいと言っていたが予定変更だ。
「ねぇ!千速!なんで!?」
「うるせぇ、いいから行くぞ」
「っ全然良くないんだけど!!」
こいつには少し仕置きをしてやらねばならん。
「…っちょ、ちょっと千速…っ」
「なんだ?」
「こんな昼間から…っ」
私たちが来たのはラブホ。
フリータイムで入れる時間帯。
「ごゆっくりどうぞー」
適当に部屋を選び、また冬華の手を引いて部屋に向かう。
「買い物したいってば…!」
「また今度な」
嫌がってるように見えるだろ?
でも嫌じゃないんだよ。
抵抗は口だけで、私に連れてかれるまま。
元世界チャンピオンに本気で抵抗されれば、私など容易く投げ飛ばせるだろうに。
「ここだ」
「ッ千速…!」
部屋に入り、鍵を閉める。
「ラブホなんて学生以来だよな」
「…っ千速が行ってみたいって言ってねって、それよりも話を聞いてよ…!」
鍵とかスマホとか、テーブルに置いて。
「聞いてる聞いてる。風呂入れてくる」
浴室へ風呂を入れに行く。
自宅に帰ってもよかったんだが、ラブホには大人のオモチャが置いてあるから。
今日はオモチャを使って仕置きをしてやろうと思って。
「冬華?」
「…ッ!な、なんでもない!!」
風呂を入れて戻れば、冬華がベッドの横に備え付けられているサイドテーブルの引き出しを開けて顔を真っ赤にさせていた。
そこにオモチャが入っているのか。
「…ね、千速」
「なんだ?」
「ここまで来たら…もうす…するけども…っ」
「ん?」
ベッドに腰を掛けて冬華を抱き寄せると、冬華は私を跨ぐように座った。
「…っ学生の頃にも言ったけどさ…っ」
「あぁ、なに?」
冬華の肩に顔を埋め、首筋に唇を寄せる。
「…絶対にオモチャでイクの嫌だから…」
“見ろよこれ、こんなのあるぞ。どうやって使うんだろうな”
“…見るからに卑猥なオモチャ…絶対に使わないでほしい…”
“なんだよ。面白そうじゃないか”
“っイクなら千速の手でイきたい!!”
「っつー会話をしたよな」
「…っん…っぅん…っだから…っ」
首筋を舐めながら、服のボタンを外して。
“使ったら嫌いになるから”
“お前それは卑怯だろ!”
“あ!使う気でいたんだ!よかったぁ!嫌いになるよ!”
と言われて使えなかった。
「つ、使ったら…っあ…ぁ…あ…っ」
「使ったら?」
鎖骨に唇を滑らせ、下着を上げて親指で胸の先を弄る。
「きら…ぃに…っあ…っあっ」
「嫌いになる?」
「なるン…っんっ」
胸の先を口に含み、舌で弄ぶ。
「あ…っああっ…あっあっ」
甘く歯を立てたり、吸い上げたり、舌先で転がしたりと色んな刺激を与えれば、その度に肩を震わせる。
「あ…っ」
体勢を変え、ベッドへ寝かせて。
「は…っあ…あ…っ」
胸の先を指で転がしながら、冬華の表情を見る。
私など容易く投げ飛ばせるU18 空手 元世界チャンピオンを、こうして組み敷いて抱いている。
大会の時に見せる真剣な眼差しとは打って変わり、熱に浮かされ欲望に揺れる扇状的な眼差しで。
「あ…ぁ…あっち…っはや…っ」
私しか聞くことが出来ない溶けそうなほど甘いその声に。
ゾクゾクと背筋に電流のような熱が駆け巡って。
もっと聞きたい。
そんな欲望が生まれる。
「あっあ…っや…っだ…っイきそ…っ」
胸だけの愛撫に、もう達しそうになっている。
「ん」
まだイきたくないようだから、胸から離れて腹に舌を這わせる。
「は…は…っ」
スカートを捲り、太腿の内側に赤い痕を残す。
「…っぁ…っちはや…っ」
「ん?」
そのまま太腿の内側を舐め、徐々に中心へと近づく。
「は…っそれ…っいま…っや…っだ…っ」
「いつがいい?」
「は…ぁ…ぁ…」
されることを察してが、今は嫌だと言ってきた。
「冬華?」
ショーツの上から、湿り気を帯びるソコに触れると。
「あっあっあっま…ッッ!!」
冬華は背をしならせて。
「え、イったのか?」
「ッッあ゙…ッは…っはぁ…っはぁ…っ」
なんと達してしまった。
まぁ、胸の愛撫でイキそうになってたからな。
「はぁ…っはぁ…っイ…ったぁ…っ」
トロンとした眼差しを私に向けて、息を整えている。
「…はぁ…可愛い…」
「ん…ん…」
顔を上げ、唇にキスをする。
「は…ン…んぅ…」
「ん、風呂見てくるから待っててくれ」
「ん…」
冬華の額にキスを落とし、風呂を見に行く。
丁度良く浴槽に湯が溜まっていたから止めて、寝室に戻る。
「風呂入ろう」
「…うん」
はぁ…と、甘い吐息を吐いて立ち上がる○○。
先に浴室へ行かせて。
「……」
私はベッド横のサイドテーブルの引き出しから、小さなオモチャを取り出して。
「……すまんな、冬華」
タオルの中に隠した。
今日は仕置きだから、使わせてもらうからな。
「あー…気持ちいー…」
二人で湯船に浸かり、まったりする。
オモチャを隠してあるタオルを浴槽の縁に置き、秘密裏に取り出す。
「お前腹筋なくなったな」
どのタイミングで挿入してやろうかな。
「高校卒業してからトレーニング何にもしてないからねぇ…」
改めて腹に触れ、数年前まではあった腹筋が今はなくなっていて。
「プニプニしてる」
「っ太ったみたいな表現やめてよ…!」
腹を摘むと、その手を掴んで怒ってきた。
「…ん?」
「なんだ?」
で。
「千速、何か持ってない?」
オモチャを隠し持ってることがバレそうになったので。
「持ってないよ、ほら」
浴槽の底、私の背後に隠して両手を湯船から出して見せた。
「……」
冬華は私の両手を確認してるが。
「…絶対になんか持ってた」
信用せずに湯船の中を探し始めたため。
「あ…っこら…っやめ…あ…あ…あ…」
冬華の胸の先を摘み、転がすことで強制的に探すのを止めさせて。
「…これ使ったら、嫌いになるんだったか?」
「ッあ…っやだ!やだやだ…っ!あ、あ…っ」
湯船の中で、ゆっくりとソコにオモチャを挿入する。
「千速…!やだって言ったじゃん…っ」
「わかった、なんて言ってないが?それにこれは仕置きだから甘んじて受け入れろ」
弱スイッチをオンにすると。
「なに…あ、あ…あ…あ…や…だ…やだ…あ、あ…あ…」
ビクッと肩を震わせ、背中を反らせた。
「ん」
凭れかかってきたから後ろから抱き締め、白い喉に舌を這わせる。
スイッチから手を離し、クリクリと両方の胸の先を責め立ててやると。
「あぁあ…あ…あ…あっイクッ……ん゙ぅう…ッッ!!」
ビクッと達したから、バイブの強さを弱から中にして。
「あ゙ぁあッあっあっあっイ゙ってる…ッあぁあっ」
「っと、湯船の中は危ないな」
支えてはいるが、さすがに危ないから冬華を横抱きにして風呂から出る。
その間にも。
「あああっいま…っうごか…っあっイ…ッグ…ッあ゙あッッ!!」
「!おい、今イクな」
ビクンッと体が大きく震え、達した。
「ね…っもうや…っらぁ…っあぁあ…っあっあっあっ」
ベッドに寝かせ、冬華は枕を掴み身を捩らせて強制的に与えられ続ける強い快楽に涙を零した。
…可愛すぎるな、本当に。
「よ、っと」
「あっあ…っな…っに…っ?ああ…っあ…っ」
冬華の足を開き、中心に顔を埋めて。
「やッ!!ま…ッて…ッあっあっあっ!」
バイブの強さを強にして、秘部にある小さな突起を強く吸い上げてやったら。
「だめだめだめだめぇ…ッ!!あ゙ぁああッッ!!」
腰を浮かせ、いとも簡単に絶頂を迎えた。
「あぁあ゙…あ…あ゙…あ…はぁ…っはぁ…っはぁ…っ」
スイッチをオフにしてやれば、全身脱力して。
「…はぁ…っはぁ…は…は…ぁ…ぁ…」
ガクガクと痙攣が続いている。
いつもならこんなに痙攣が続くことはないんだが…。
「冬華?どうした?」
「あ…あ…」
冬華の頬に手を添えて、虚な瞳で放心状態になっている冬華の視界に入るように顔を覗き込む。
「あ…ぁ…ま…ぇ…から…ら…あ…へん…」
待って体が変、と言っている。
「どう変だ?痛い?」
痛いことはしてないはず…。
「冬華?」
「…は…ぁ…」
冬華は段々とトロンとしてきて、ゆっくりと目を閉じた。
ああ、もしかしたら。
深イキしたのかもしれん。
最後の絶頂はかなり強めにイってたからな。
「はは、犯人に回し蹴りとか踵落としをかまそうとして奴とは思えんな」
冬華の頭を撫で、額にキスを落として。
「熊とも戦えそうな奴を手籠にする快感がたまらん」
冬華の隣に身を沈め、クツクツと笑ってやった。
「…千速、別れよ」
「ッ悪かったって!!もう使わないから!!」
二時間が経ち、目を覚ました冬華に別れを切り出された…。
もちろん本気ではないが、それだけ怒っているということだ…。
冬華は私に背中を向けて、身を縮こまらせている。
「…私、オモチャはやだって言ったよね?」
「言いました…」
「…昔からやだって言ってるよね?」
「言ってました…」
そんな冬華の後ろで、私は正座をして頭を垂れている。
「だが深イキしてたし良かっただろ!?」
バッと顔を上げれば。
「…っ良く…なくは…ないけど…!」
冬華はギュッと自分の体を抱き締めて。
「…っわ、私は…っオモチャではイキたくないの…っ」
そう言った。
「…最後は私が「言葉にしないでいい!」
すごく喘いでいたし、絶対に気持ち良かったはずなのに。
「…なんでそんなに嫌なんだよ。気持ち良かったろ?」
そんな拒絶するほどか?
「…私が…なんでオモチャが嫌かわからないの…?」
「…まぁ…快楽が強いから壊れそうになっちまうから…だろうとは思うが…」
自分が自分じゃなくなる感覚が怖いのかな、と思っていたら。
「……」
冬華はチラッと私を見て。
「…全然違うし…全然わかってない…」
ため息を零した。
「なんだよ。今まで以上に気持ち良かったならいいじゃないか」
私がするより鳴いてただろ。
「っ気持ち良さじゃなくてさ…!!」
冬華はバッと私のほうを見て。
「…す、好きな人の手のが…っ幸せだからに決まってるでしょ…!」
真っ赤な顔で、ジト目で睨みながらそう口にした。
好きな人の手のほうが。
幸せだから。
「オ、オモチャってさ…っなんか…遊ばれてる感あるし…っその…私は愛されたいわけで…っ」
オモチャは遊ばれてる感がある。
冬華は、私に愛されたい。
「それなのにオモチャ使われて…お仕置きとかわけわからないこと言ってさ…っこんなに千速しか見てないのにさ…っ」
私は両手で顔を隠して、前のめりでベッドに突っ伏して。
「……ごめん…二度と使わない…」
私の手のほうが幸せだとか。
私に愛されたいとか。
ずっと私から事に持って行っていたから。
無理やりではないにしろ、冬華から誘われたことがないから。
そんなふうに想ってくれていたのは予想外というか。
「…それに、千速だって陣平とか横溝さんを呼び捨てにするのになんで私はダメなのよ…」
「…陣平と重悟は、私たち共通の友と同僚だろ?だが前田聡は…その…」
「千速の知り合いじゃないから?」
「…ん」
突っ伏したまま頷く。
「…もう。そんな嫉妬でこんなオモチャ使われて…」
「すまん…ごめん…もう絶対に使わない…」
はー…。
やばい。
ニヤニヤが止まらない。
愛されたいとか、私の手のが幸せとか。
ヤバすぎんか?
今までこんな言葉を言われたことがないから耐性がない。
「…次使ったら離婚だから…」
「…っ離婚…っ」
あー、もう。
ヤバい。
別れようではなく、離婚。
「…お前…っヤバ…っすぎ…っ」
ニヤニヤが止まらん。
「…っお風呂入ってくる…!」
冬華はベッドから降りて、また浴室に行った。
から。
「いたっ痛いっ!痛いって!冬華っ!」
「ッオモチャを捨てろっ!」
「っ持ってないから!見てみろ!本当に持ってないから!」
追いかけたら手を掴まれて壁に押し付けられた…。
「…両手を上げろ」
「ん」
「…ポケットは?」
「全裸だぞ?あるわけないだろ」
「あるだろ!一箇所!」
「…お前な」
「……今のは失言…」
私は腰に手を当てて。
「二度と使わない、約束する」
小さく笑い、冬華を引き寄せた。
「…信じるからね?」
「あぁ、私の手で愛して幸せにしてやるよ」
「…ぅん」
そうして、もう一度だけ冬華を抱いて。
「買い物、まだ時間あるがどうする?」
「…もう疲れたから帰る」
「私の家な」
ホテルから出て、バイクに乗った瞬間。
「きゃああ!引ったくりよぉ!!」
悲鳴が上がった。
「「…!」」
引ったくり犯が、私たちの前をバイクで走って行ったので。
「掴まれ!」
「やーだー!疲れてるー!」
「警察官だろ!」
逃走犯を追った結果。
私のライテクで逃走犯を追い抜いて。
「逃げんなゴラァアア!!!」
「ッば…ッ!バカヤロォオオッ!!!」
「ぐあ…ッ!!」
冬華は走行中に看板の鋼管パイプを掴み、クルッと回転して逃走犯目掛けて蹴りをぶち込んだ。
「っお、おい冬華…!?」
吹っ飛んだ逃走犯を、冬華は鋼管パイプを掴んだままもう一度回転し、今度は鋼管パイプを足場にして飛び、逃走犯を掴んで。
「…っと!」
なんかクルクルっとアクロバティックに着地した…。
「……人間がしてていい身体能力じゃない…」
空手とか関係ない身体能力に絶句もんだよ…。
「あのなぁ…」
「…だからぁ…私はぁ…引ったくり犯をぉ…」
通報後、駆け付けた重悟にまた正座をさせられた冬華。
と。
「…なんで私まで…」
今回は私も…。
店先の防犯カメラに、冬華のアクロバティックターザンの動きがばっちり映っていたらしく、言い逃れ出来ない。
「はぁ…毎回犯人が軽傷で済んでんのなんで?」
「手加減してるからじゃん」
「今回のやつ、どうやって手加減したんだよ」
「…まぁ、色々とさ」
冬華は気まずそうに重悟から視線を外した。
「野生で育ったのか?ターザンなのか?」
「神明流の元空手家です」
「元を付けるな。お前は現在進行形で空手家だよ」
重悟も呆れながら頭を掻き、冬華の首筋を見て頬を赤らめる。
さっきは付いてなかったキスマークが付いていたら、私たちが何をしていたのかくらい検討が付くだろう。
「ま、まったく…。今日はもういいから森へ帰れ…」
「森ってなに!?人を野生児みたいに!」
「野生児だろ」
コホンと軽く咳払いをして、払うように手を動かした。
…そうして私たちは。
「はー…散々な日だったぁ…」
「ユーバーイーツでも頼むか」
「さんせー…」
私の自宅へと帰ってきた。
ん?また抱くのか、って?
いや、さすがにもう無理はさせられないから抱かないさ。
すでに明日に響きそうだし、ゆっくり休むよ。
「あ…っあ…っああ…っち、ちはや…っ」
「ん?なんだ?」
「…っあ…っせ、せい…っよく…っどうなって…っンのよ…っあ…っあ…っ」
「なんか今日、ムラムラすんだよな。だから私の手でたくさん愛してやるから!」
翌日、遅刻した。
END