pixiv作品 名探偵コナン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「やば!コピー用紙切れてる!」
「え!?予備は!?」
「ないです…っ」
「あ、発注してあるのでもう少しで届きますよ」
「え!?」
「あと、封筒やファイル系のストックも残りわずかでしたので発注入れて一緒に届くと思います」
「…まじで」
「それから、各部署から着用している制服等の支給要請もあって、必要数注文してて同時に届きます」
「…お…」
「最後に、清掃用品のストックも切れそうだったので注文してますから、今日は荷物がいっぱい!」
「…すげぇ管理力…」
県警勤めになって五日。
今日は備品や支給品などの発注をした。
新米の私が発注業務に着手してもいいのか迷ったけど、必要なものだから。
「…清掃用品は各階からの申告があってから発注してたけど、それも調べたの?」
田中さんが驚きながら問いかけてきた。
「清掃用品は発注履歴から大体予想が出来ますので注文して、発注間隔の短い階へは見に行ってその部署の方々に話を伺いました」
「…い、いつの間に…」
備品関係はデータで確認出来るし、ちょっとでも疑問に思った場合は“速やかに行動を起こす”を徹底していたから。
今回もそれを実行しただけ。
「冬華ちゃーん!これ領収証ー!」
「!はい、拝見させていただきますね」
総務課オフィスの入り口から呼びかけられた。
領収証を受け取り、記載ミスがないかを確かめる。
「冬華ちゃん一切の妥協をしてくれないからちゃんと書いてもらったよ」
「ありがとうございます、助かります」
前の職業柄、どうしても妥協が出来ないから申し訳ないけれど凄く助かる。
氏名、金額、但し書き、その他諸々、ちゃんと記載されている領収証。
…まぁ漢字の間違いは妥協して。
「はい、確かに「冬華ちゃんさ、今度ご飯食べに行かない?」
受け取りました、とは続けられず。
「はい?」
きょとんとして、聞き返してしまった。
「だから、飯食いに行かない?って聞いてんの」
「え…と…」
私が千速の恋人だって多分県警中に知れ渡っていると思うのだけど…。
「あの、ごめ「冬華さんは萩原警部補の奥さんですよ!?何勝手に口説いてるんですか!」
ちょっとびっくりしちゃって、戸惑っていたら田中さんがフォローしてくれた。
「それはわかってんだけど、飯食うくらいよくない?」
浮気なわけじゃないし、と。
職員さんは言った。
「ね!どう!?」
「…っ」
ズイッと近付かれ、一歩下がれば。
「いいわけないでしょ!萩原警部補呼びますよ!?」
田中さんが間に入って助けてくれた。
「…ちっ、またね?冬華ちゃん」
「え?あ、はい、食事は行きませんのでごめんなさい」
「…は、はい…」
田中さんの後ろから断りを入れると、職員さんは肩を落として戻って行った。
「…田中さん、ありがとうございます…助かりました…」
「いえいえ!」
田中さんにお礼を言うと、田中さんはニコリと笑って。
「箱推ししてる人を守るのは当然だから」
そう言った。
「…はこ…おし…?」
今度はきょとんと田中さんを見る。
千速は綺麗だから人気があるのはわかるけど…。
「そう箱推し。結構多いわよ?あなたと萩原警部補のセットで推し始めた人」
…私ごと推してくれてるの?
「そ、そうなんですね」
「あら、推されるのは嫌?」
田中さんは首を傾げる。
「あ、いえ…ちは…萩原警部補のファンの方々には嫌われちゃうかなって思ってたので、ちょっと驚いてます」
でも初出勤の時に、お手洗いで千速のファンの人が“あの人だったら納得した”と言ってくれたし…。
認めてくれてる方々が多いことに驚いてしまう。
「あなたが来てまだ五日しか経ってないけど、それでもあなたの人柄の良さが人を惹き付けるんだと思うわ」
田中さんは優しい笑みを浮かべてそう言ってくれた。
「…ありがとうございます…っな、なんだかちょっと恥ずかしいですが…」
本当に辞めちゃうのかしら…。
もっと一緒に働きたかったな。
「そうだ!日曜日に田中さんの送別会をやるんですが、冬華さんもよかったら来ませんか!?」
田中さんと話していたら、田中さんの送別会に誘っていただいた。
「私もいいんですか?」
「もちろん!来てくれると嬉しいな」
ぜひ参加したいけど、千速が許可してくれるかな。
でも、送別会だし。
「行き「萩原警部補に伺ってみてね!」
ます、とは続けられず。
「わかりました、後で聞いてみますね」
田中さんに遮られて苦笑いを零した。
「まいどー!須川急便です!」
そして丁度配達が届いて。
「お疲れ様です。確認しますね」
伝票の住所、宛名、送り主、段ボールの口数などを確認して。
「はい、まち「初めて見る顔っすね!新人さんっすか!?」
また言葉を遮られて。
「あ、はい、そうです」
足のつま先から頭のてっぺんまで見られて。
「へー。じゃあ毎度さんでしたー!」
配達業者さんはニコリと笑い、去って行った。
「…すごい見られた気がする」
「すごい見てたと思う…」
田中さんは眉間に皺を寄せて、配達業者さんが去ったほうを見つめて。
「…一応、萩原警部補に伝えたほうがいいわよ?」
気にしてくれた。
「んー、でも何かされたわけじゃないですし」
変に心配かけたくないから。
「各階に支給品が届いたことを連絡しまーす」
「あ、ありがとうございます」
支給品は注文した本人がここまで取りに来くることになっていて。
「ちは…萩原警部補のは私が受け取っておきますね」
「これと、これですね」
千速の白いハイネックと県警のTシャツを受け取ると。
「冬華!」
「!」
タイミング良く、千速が顔を出した。
「お疲れ様です、萩原警部補」
ヘルメットを脇に抱えているから、これから巡回へ行くみたい。
「これ、あなたのハイネックとTシャツ。私が受け取っておくから」
「あぁ、すまんな。今日昼までには戻れなさそうだから、外で食わんか?」
と、朝持たせたお弁当を渡された。
「いいわよ。どこにいるか連絡してちょうだい」
外で食べる際に一緒に持ってきてくれ、という意味でね。
「わかった。行ってくる」
「えぇ、気を付けてね」
千速が顔を寄せてくるから、頬に一つキスを落とすと。
千速は嬉しそうに巡回へと向かった。
「ふふ、可愛いなぁ」
そんな千速の遠くなる後ろ姿を見つめながらクスクス笑って。
「……はっ!」
気付いた。
「「「……」」」
総務部の、皆さんが、いることに。
「……あ、の…っ」
私はゆっくりと振り返ると…。
「いえ、いいの気にしないで」
「こっちは幸せのお裾分けをしてもらったので!」
「むしろもっとやれ」
「す、すみませんっ」
総務部の皆さんはニヤニヤと笑ってました…。
「すまん、待たせた!」
「!大丈夫よ、今来たとこだから」
お昼頃。
とある公園でお弁当を食べることにした私たち。
今日は他の白バイ隊員さんが体調不良でお休みして、千速が代わりにその隊員さんが取り締まるはずだった区画へと赴いている。
だから、県警から遠くなく尚且つ千速がいる場所からも遠くないこの公園で待ち合わせってわけなの。
千速は白バイを駐車場に停めて、ヘルメットを取りながら降りて。
「この縁石に座って食べよっか」
「うん」
白バイの前にある縁石に座り、千速にお弁当を渡した。
白バイから離れるわけにもいかないしね。
「いただきます」
「召し上がれー」
パカッと音を立ててお弁当の蓋を開ける。
「なんだかピクニックみたいね」
「だな。こういうのも悪くない」
天気も良いし、ピクニック日和よね。
「お茶飲む?」
「ん」
鞄からお茶のペットボトルを取り出して、千速に渡す。
「玉子焼きは最後に食べるの?」
「今日は重悟に食われる心配がないからな」
本当に千速は私の玉子焼きが好きなようで、県警本部でお弁当を食べる時は一番最初に食べていた。
二回も横溝さんに食べられてるから。
「私のも食べる?」
「食べる」
「あーん」
「ん」
自分のお弁当にも入れた玉子焼きを、千速に食べさせてあげる。
「美味しい?」
「うん、美味い」
私が作る料理も、いつも美味い美味い言いながら食べてくれる。
こんなに美味しいって言ってくれるんだもの、作り甲斐があって嬉しくなる。
「あ、そうだ。ね、千速」
「なんだ?」
不意に思い出したのは。
「日曜日に田中さんの送別会にお誘いいただいたんだけど、行ってもいい?」
田中さんの送別会。
お弁当を食べながら、田中さんの送別会へ行ってもいいかを聞くと。
「…送別会?」
「そう、送別会」
途端に眉間に皺を寄せて、とんでもなく嫌そうな表情を浮かべた。
「…酒は一杯までを守るならいいけど」
「一杯!?一杯しかダメなの!?」
「ダメだ」
「え!?なんで!?送別会ってお酒を飲む場でもあるでしょ!?普段飲んでないんだからたまにはいいじゃないっ!」
バッと立ち上がり、千速に抗議すると。
「…お前、最初の同窓会の時のことを忘れたとは言わせんぞ…?」
ジト目で睨んできた…。
「……それを今持ち出すのはズルいと思う」
「ズルくない。大変だったんだからな?あの時…」
…初めての同窓会の時。
私はその時初めてお酒を飲んだ。
当時の私は、千速と忍を送る係だったからお酒を飲む機会がなかった。
でも同窓会の時、参加した元クラスメイトたちに。
“いいから飲んでみろ!美味しいから!”
“あんた酒豪っぽいし、大丈夫だって!”
“車なんて代行頼めばいいんだし!”
と言われて、千速が止めてくれたにも関わらず飲んでいたら。
まぁ…覚えてるのは…。
“待て冬華!!脱ぐな!!”
“っこら!!冬華っ、誰にでもチューをしないの!”
…と、千速と忍になんか…なんか押さえ付けられたことかしら。
その後は覚えてないんだけど、目を離した隙にどっか行って知らない人と酒盛りしてたらしい…。
“お前もう私が居る時しか酒はダメだからな!わかったか!!”
“は、はい…すみませんでした…”
だから千速が居る時以外の飲酒を禁止された…。
「約束出来るか?」
「……」
「出来るのか?」
「…約束しますぇん」
「おい冬華」
「わかりました!約束しますっ」
でもまぁ、あれよね。
千速いないし、2、3杯飲んだってわからないわよね。
要は悪酔いしなければいいだけだし。
「…本当だろうな…?」
千速はまたジト目で私を見てきたから。
ジト目で見つめ返して。
ちゅ、と。
不意打ちでキスをすると。
「…な…っおま…っお前…っ!」
途端に顔を真っ赤にさせた。
「ふふ、顔真っ赤よ?千速」
千速がここまで顔を真っ赤にさせるのは。
「…っ珍しすぎるからだろ…!お前からのキスは…!」
私からキスをすることがあまりないから。
理由としては単純で、私からキスをする隙がないだけ。
だって人目とか気にしないでキスをしてこようとするのよ?
私からキスをする暇もないくらいキスをしてくれるの。
「とにかく、飲み過ぎないように気をつけるから」
ね?と、またキスをすると。
「…っ」
千速が真っ赤な顔で睨んできたので、これはまずいと思って離れようとしたけど。
「んぅ…っ」
もう遅くて、後頭部を押さえられて噛み付くようなキスをされた…。
「ふ…っん…っ」
舌を絡め取られて、艶かしい水音が耳に届く。
場所が場所だけだし、時間も時間だから誰かに見られるかもしれないスリル感がまた熱くさせる。
「…っちは…っや…っン…っぅ…っごは…ン…っ」
それでもまだお弁当を食べてる途中だから。
「ん」
「は…っはぁ…はぁ…っ」
リップノイズを立てて離れれば、息が上がってしまって。
「帰る時は少し前に連絡しろよ?迎えに行くから」
「…わかりました」
残りのお弁当を食べ始めた、その時だった。
『各員、各員。こちら神奈川県警本部。日本大通り方面へ暴走車両有り。付近の白バイ隊は直ちに現場へ急行せよ』
傍に置いてある白バイのヘルメットから、緊急通信が入った。
「「…!!」」
千速と顔を見合わせる。
「出動要請だ」
「えぇ、急がないと」
「あぁ」
千速はお弁当を掻き込むように食べて。
「こちら“横浜 690”、追跡に入る」
『了解』
すぐにヘルメットを被り、すぐに白バイに乗った。
「じゃあ冬華、気を付けて戻れよ?」
「えぇ、千速も気を付けて」
「おう」
車道へと出る際に、停まって行かせてくれた車に左手を挙げることでお礼を伝えて。
「…あ…」
後方にいる私へと手を伸ばし軽く手を振って、暴走車両の追跡へと向かった。
「……もう格好良すぎてヤバい…っ」
さっきまでの千速は顔を真っ赤にさせて可愛かったのに。
今みたいに緊急要請が入った時の、交通機動隊へと切り替わる瞬間の格好良さがたまらないなって思っちゃう。
白バイに乗っている時の千速は本当に格好良い。
いつもの優しくて可愛い表情から一変して、一瞬で獲物を狩るような強く鋭い眼差しになる。
「…これはしばらく治らなさそうだなぁ…」
私はドキドキと心臓を高鳴らせたまま、県警本部へと戻った。
「それでは、お先に失礼します」
「お疲れ様!」
「おつでしたー!」
退勤時間になり、着替えてから総務部を出る。
向かうは千速がいる交通課のオフィス。
この五日間、ずっと千速が総務部まで来てくれてたんだけど。
“…始末書と報告書を書く羽目になった”
とメッセージが来たため。
「…まーた白バイぶつけて停めたんだなー」
修理費が安いといいけど…。
「交通課は、と」
天井にある案内板を見ながら、交通課のオフィスへ行くと。
「いたいた、千速ー」
「!冬華」
自分のデスクでパソコンと睨めっこをしていた。
交通課のオフィスには誰もいない。
「お疲れ様」
「あぁ、お前もな。ここ座っていいぞ」
「ん」
千速が隣のデスクの椅子を引いたから、そこに座らせてもらった。
「報告書と始末書ですか?」
「…そうだ。私は悪くないのにな」
無茶な追跡と、また白バイアタックしたんだろうなぁなんて思いながら。
「修理費は安く済みそうなくらいの傷?」
「…多分」
「多分」
気まずそうに私から視線を逸らした。
私はクスクス笑って。
「まぁ、また何とかするわよ」
「…すまん」
シュンと落ち込む千速を慰めた。
昼間の格好良さはなく、今は可愛くなってる。
「早く終わらせるからな」
「えぇ、待ってる」
慣れない手つきでパソコンをいじっている千速の横顔を見る。
千速って顔がすごく整ってる。
鼻筋もシュッとしてるし、まつ毛も長いし。
本当に綺麗。
口調が男勝りっていうのもギャップがあっていい。
「…なんだよ、そんなジッと見て」
チラッと千速が私を見てきた。
「千速の顔って国宝級だなって思って」
「…はぁ?なんだそれ」
「だって本当に綺麗な顔立ちしてるもの」
と、千速の頬に触れると。
「それを言うならお前だって。国宝中の国宝だからな」
「私はそんなことないわよー」
「お前な。その顔で謙遜すると嫌味になるぞ?」
「…ぅ…」
私の手に自分の手を重ねて、ジッと私を見つめ返してきた。
「……」
「……」
お互い、見つめ合ったまま。
引き寄せられるかのように顔を近づけて、唇が重なり合う瞬間。
「……」
ふと入り口のほうに視線をやって。
「……っ!?!?」
思わず二度見…。
「……なにすんだよ」
「……っ」
「…冬華?」
バッと千速の口を両手で押さえ、私は俯いて。
「……萩原警部補」
「…あ?急に「先に上がりますね!!ではお疲れ様でした!!」
「え!?なんで!?」
立ち上がり、にこりと笑って交通課のオフィスを出る。
「っ待っててくれるんじゃなかっ……た…のか…」
「っお疲れ様でした…っ!!」
……ニヤニヤ笑っている交通部の皆さんの横を通り過ぎて。
千速も走り去る私へ振り返った時に、見られていることに気付いたっぽくて。
遠くから。
『萩原ぁ、お前嫁ちゃんの前だとあんなんなのかぁ?』
『…うるせぇ…』
『いつも格好良い小隊長が可愛く見えました』
『うるせぇよお前ら!さっさと仕事して帰れ!』
揶揄われてる声が聞こえてきた…。
「…あ、危なかった…」
のかはわからないけども…。
だって…キスの一歩手前だったし…。
とりあえず千速には、総務部のオフィスで待ってるからってメッセージを送っておきました…。
「…どのくらいの損傷かしら」
総務部オフィスにて、私のデスクにあるパソコンを起動する。
千速が傷をつけただろう白バイの修理費を考えるために。
何とかするって言った手前、何とかしてあげないとね。
元公認会計士として徹底して管理したいのだけど、相手が千速となると甘やかしたくなっちゃう。
「…2、30万…かかったら結構キツイわね…」
修理費が30万くらいかかるなら、もしかしたら白バイに搭載されている機器も損傷してそう。
千速の感じからして、そこまでの傷ではなさそうだけど。
仮に20万と想定として、これ以下なら嬉しい。って思っておこうかしら。
「…どこから引っ張れるかなー」
カチカチとマウスを動かして各課の予算と経費を見比べたり、手元の資料を見たり。
電卓を叩き、計算をして。
「……き、厳しい…」
なかなか厳しいことに苦笑いを零すしかない。
「…でも…とりあえずこことここから…」
辛うじて引っ張れそうなところを見つけ、白い紙にメモをして。
「明日、総務部の皆さんに相談してみよっと」
それで、皆さんからの許可が得られたなら何とかなるわね。
「ふぅ…」
パソコンを閉じて、一息吐くと。
「冬華ー、終わったー」
「!千速」
千速が顔を覗かせた。
「意外と早くに終わったのね?」
もう少しかかるかと思ったけど。
「…あいつらが早く行ってやれっつって手伝ってくれた」
あいつら、とは。
あそこにいた交通課の皆さんのこと。
「…な、なんか言ってた…?」
「“この幸せの白いバイクが!”って意味不明なことを言われた」
千速はケラケラと笑って気にしてなさそう。
よかったけど…。
「ごめんね…?これからはちゃんと気を付けるわね」
そういう雰囲気になっても、グッと我慢しないとって思って言ったのに。
「…気を付けんでいい。私はしたい」
「…ぅ…」
そう言われちゃったら…何も言えないじゃない…っ
「今日はタイミングが悪かっただけだ」
「…そ、そもそも職場ですることじゃないのよ…」
千速が傍に居ると、ついつい気が緩んじゃうのがダメよね。
気をしっかり引き締めないと。
って思っていたら。
〜♪ 〜♪ 〜♪
総務部の電話が鳴った。
「電話だな」
「えぇ、電話ね」
もう受付時間外なんだけど、何か緊急かと思って。
「出るのか?」
「何かあったのかも」
受話器を上げて。
「お電話ありがとうございます。神奈川県警察本部でございます」
対応に入る。
すると。
『…ハァ…ハァ…お、お姉さん…パンツ何色穿いてるの…?ハァ…ハァ…』
パンツの色を聞かれた…。
某企業に勤めている時も、結構かかってきた悪戯電話。
「え?パンツの色ですか?」
と言葉に出せば。
「…はぁ?」
千速が眉間に皺を寄せて。
「おい、受話器をよこせ」
受話器へ手を伸ばしたのを片手で制する。
『大丈夫』と口パクで言い、私はにこりと笑って。
「パンツ穿いてませんよ」
そう言うと。
『ハァ!?』
「はぁ!?!?」
受話器の向こうの男性と、千速は同時に驚きの声を上げた。
『っ詳しく「では失礼します。あ、ここは警察なのでそういう電話は危険ですよ?気を付けてくださいね」
と言って、受話器を置いた。
慣れたものよね、本当。
「こういう相手はね、恥ずかしがったら負けなのよ」
最初こそ怖くて不安だったけど、頻繁にかかってくるから慣れちゃって、今みたいに受け流せるようになったらかかって来なくなった。
「…お前…」
「なぁに?」
千速は私の中心部分を見て、口を押さえながら。
「…穿いてない「そんなわけないでしょ」
恥ずかしそうに言うから、食い気味に否定しといた。
「あれは愉快犯を揶揄うための嘘なんだから」
そう言っても、千速の視線は私の中心部分…。
「…千速?」
「ちょっと確かめさせてくれ」
「っばか…っ!穿いてるってば…!!」
抱き締められ、スカートを捲し上げられて。
「っ千速!!ここオフィスなんだから…っ!」
ペローンとパンツ丸出しにされた…。
「…なんだ…穿いてるのか…」
「…穴があったら入りたい…」
自分で言った言葉がこう返ってくるとは思わなかったわ…。
「…もう。帰りましょ…」
スカートを整えて、鞄を肩にかける。
「今日はお前のパンツを脱がす」
「…なんか、えっちな感じがしない言葉ね」
小学生の男の子が言いそうな言葉を口にする千速に、なんだか笑っちゃった。
「ご飯どこかで食べて行く?」
「そうだな。時間も時間だし、食いに行こうか」
そうして。
千速が私へと手を伸ばしてきたから。
その手を取り、指を絡ませるように手を繋いで。
「というか、県警本部にイタ電とは大した度胸だな」
「適当にボタンを押したらたまたま県警だったのかしらね?」
「それなら口頭で“神奈川県警本部”だと言った時点で切られそうだが」
「確かに!その度胸は認めざるを得ないわね!」
なんて笑い合いながら、県警本部を後にした。
END