古き御伽話 しのぶさん百合夢
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「白麗さ…ん?白麗さん?…いない…」
ある日、白麗さんのお屋敷へ行った。
いつものように白麗さんの寝室へ行くと、そこには布団だけがあって白麗さんは居らず。
布団に触れれば冷たくて、寝室から出て時間が経っていることを知る。
「温泉でしょうか」
寝室に居ないのなら温泉かもしれない。
けれど、寝室の襖を開けて一歩廊下に出れば。
たちまち迷路になってしまう仕組みのこのお屋敷。
廊下に出てしまえば振り返っても寝室へは戻れない。
そういう血鬼術が施されているお屋敷なんです。
「永く生きた鬼は、たくさんの血鬼術が使えるんですねぇ」
白麗さんは雪の血鬼術と気を失わせる血鬼術。
他にもこのお屋敷の外観を、普通の建物に見える血鬼術など。
それに加えてお屋敷内を複雑な構造に組み替えたりと、いろんな血鬼術を使えて便利ですよね。
侵入者を絶対に外に出さない構造に、普通なら不安や恐怖を抱くのでしょうけど。
「入ったことのない部屋に入ってみたいですね」
私は何も怖くない。
だって、白麗さんが迎えに来てくれるから。
“…何をやってるのよあなたはもう…”と、呆れながら迎えに来てくれる。
だからむしろワクワク感のほうが強い。
寝室から廊下に出て、振り返る。
襖を開ければ。
「骨董品の部屋だ」
寝室から骨董品の部屋になっていた。
その部屋に入って、無造作に置かれている骨董品を眺める。
「…高そう…」
机の上にあったお茶碗や湯呑み。
骨董品は詳しくはないけれど、これらは有名で高価な伊万里焼きだというのはわかる。
手に取って、マジマジと見つめる。
「…絶対に高い…」
割らないようにそっと戻し、辺りを見る。
掛け軸もあるし、絵もある。
「…自分で集めたというより、きっと頂いたものなのでしょうね」
捨てるに捨てられないからここにある、みたいな感じだと思う。
「…さて、次の部屋へ」
襖を開き、廊下に出る。
同じように振り返って襖を開ける。
「わぁ…」
次の部屋には着物がたくさんあった。
部屋に入って、またマジマジと見る。
「…正絹…」
これまた高い着物…。
「これは葛布…芭蕉布…榀布…日本三代古代布の着物まで…」
一度でも着たのでしょうか…。
寝巻きと彼岸花の白い着物しか見たことないけど…。
このお屋敷中のものを2、3個売ればしばらく何もせずに食べていけそう…。
着てみたいけど、私の身長では寸法が違うから着られない。
「いつか白麗さんの眷属になったら、身長を伸ばして……」
……え?
いつか?
白麗さんの眷属になったら?
「……」
鬼になんてなるはずないのに。
「… 私は何を言ってるんだろう」
頭を振り、着物へと視線を戻して。
「…次の部屋へ行きましょうか」
鬼になった後の未来を想像してしまわないように。
私は襖を開けて、廊下へと出た。
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「白麗さ…ん?白麗さん?…いない…」
ある日、白麗さんのお屋敷へ行った。
いつものように白麗さんの寝室へ行くと、そこには布団だけがあって白麗さんは居らず。
布団に触れれば冷たくて、寝室から出て時間が経っていることを知る。
「温泉でしょうか」
寝室に居ないのなら温泉かもしれない。
けれど、寝室の襖を開けて一歩廊下に出れば。
たちまち迷路になってしまう仕組みのこのお屋敷。
廊下に出てしまえば振り返っても寝室へは戻れない。
そういう血鬼術が施されているお屋敷なんです。
「永く生きた鬼は、たくさんの血鬼術が使えるんですねぇ」
白麗さんは雪の血鬼術と気を失わせる血鬼術。
他にもこのお屋敷の外観を、普通の建物に見える血鬼術など。
それに加えてお屋敷内を複雑な構造に組み替えたりと、いろんな血鬼術を使えて便利ですよね。
侵入者を絶対に外に出さない構造に、普通なら不安や恐怖を抱くのでしょうけど。
「入ったことのない部屋に入ってみたいですね」
私は何も怖くない。
だって、白麗さんが迎えに来てくれるから。
“…何をやってるのよあなたはもう…”と、呆れながら迎えに来てくれる。
だからむしろワクワク感のほうが強い。
寝室から廊下に出て、振り返る。
襖を開ければ。
「骨董品の部屋だ」
寝室から骨董品の部屋になっていた。
その部屋に入って、無造作に置かれている骨董品を眺める。
「…高そう…」
机の上にあったお茶碗や湯呑み。
骨董品は詳しくはないけれど、これらは有名で高価な伊万里焼きだというのはわかる。
手に取って、マジマジと見つめる。
「…絶対に高い…」
割らないようにそっと戻し、辺りを見る。
掛け軸もあるし、絵もある。
「…自分で集めたというより、きっと頂いたものなのでしょうね」
捨てるに捨てられないからここにある、みたいな感じだと思う。
「…さて、次の部屋へ」
襖を開き、廊下に出る。
同じように振り返って襖を開ける。
「わぁ…」
次の部屋には着物がたくさんあった。
部屋に入って、またマジマジと見る。
「…正絹…」
これまた高い着物…。
「これは葛布…芭蕉布…榀布…日本三代古代布の着物まで…」
一度でも着たのでしょうか…。
寝巻きと彼岸花の白い着物しか見たことないけど…。
このお屋敷中のものを2、3個売ればしばらく何もせずに食べていけそう…。
着てみたいけど、私の身長では寸法が違うから着られない。
「いつか白麗さんの眷属になったら、身長を伸ばして……」
……え?
いつか?
白麗さんの眷属になったら?
「……」
鬼になんてなるはずないのに。
「… 私は何を言ってるんだろう」
頭を振り、着物へと視線を戻して。
「…次の部屋へ行きましょうか」
鬼になった後の未来を想像してしまわないように。
私は襖を開けて、廊下へと出た。
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