本気 しのぶさん百合夢
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「…ぅ…」
頭が痛ェ…。
昨夜の、白麗との戦い。
白麗にかけられた血鬼術で、俺は最も簡単に気絶しちまった。
柱として情けねェ限りだが、白麗の野郎が化け物すぎるから9対1で白麗が悪ィな。
まぁ、柱だから強めに血鬼術をかけられた可能性もある。
「…胸糞悪ィ」
昨日の戦いは、白麗に一太刀を浴びせるどころの話じゃなかった。
戦いにすらなってねェ。
負けた以前に、相手にもされてねェ感じだった。
しかもあの野郎、最初の立ち位置から動いてなかった。
動かすことも出来ねェ程の実力の差に絶望した。
あんなんじゃクソ無惨になんて迫れるはずもねェじゃねェか。
「…クソ」
悔しいなんてもんじゃねェ。
情けねェしかない。
柱として情けねェ。
だがまぁ、あの野郎の強さは理解した。
俺がいくら本気で斬りかかろうと、あの野郎はモノともしねェ。
なら、あの野郎に傷を負わせられるくらい挑んでやる。
鬼殺隊と揉めるつもりはないとほざいていたし、あの野郎から反撃されることはねェ。
万が一反撃をされたら、それは“反撃しなきゃいけない”っていう状況に追い込んだってことだ。
暇が出来たらあの野郎を襲撃する。
「…よし…」
まだ頭がクラクラするため、もう少し休もうと寝返りを打った時。
「…ん?」
ムニッと。
なんかわからねェ、柔けェ感触が顔に当たった。
なんだこれ。
その柔らけェ何かを掴むと。
「あらあら、意外と大胆なのねぇ」
頭の上から声が聞こえた。
「…あ?」
誰だ。
声からしてクソ白麗の………。
「は…?」
見上げた先に居たのはやっぱり白麗で。
「ずっと暴言の独り言を言ってたけど、それは私に向けてなのかしら」
俺が掴んでいるのは………。
「……ッッ!!!!?!?!?」
ブワッと全身の血の気が引き、にも関わらず体が熱くなって慌てて立ち上がる。
眩暈?
んなこと言ってる場合か!!!
「ッてめぇ白麗!!なんでここに居やがる!!」
「え?なんでって、ここ私のお屋敷で私の部屋だけどー」
あァ!?
白麗の屋敷だァ!?
なんで俺ァ…白麗…の……。
そうだ。
戦った場所は白麗の屋敷。
気を失った場所も、白麗の屋敷。
「……ッ……ッ」
「落ち着いた?」
白麗はニヤニヤ笑いながら体を起こして。
「人の胸を鷲掴みにしたことに対して、何か言うことないの?」
なんて、ほざき…やがる…。
「……ッ」
誰が人だ誰が。
てめェは鬼で人じゃねェだろ。
しかし、だ。
こいつは鬼だが女だ。
気付かなかったとは言え、鬼だとは言え、俺はこいつの………。
「…す…すま「というか、不死川さんの布団に潜り込んでそう仕向けたのは白麗さんですよね?」
ムカつくが謝らねェといけねェと思えば、胡蝶が握り飯と味噌汁が乗った盆を持って現れた。
どこか不機嫌そうだが。
「…ァ?」
なんで胡蝶まで居やがると言おうと思ったが。
俺はふと白麗の後ろを見れば確かに布団が敷かれている。
俺が寝ていた布団も合わせて3つある。
「……ッてめェ…ッ計ったな…ッ」
「もう、しのぶったら。バラしたらつまらないじゃない」
「おはようございます、不死川さん。白麗さんは不死川さんで遊びすぎですよ」
白麗はニヤニヤ笑いながら立ち上がり、襖を開ける。
縁側の柱に背中を預け、煙管を吹かす。
胡蝶はそれを横目で見つつ、俺の前に盆を置いて。
「簡単ですが、朝ご飯です。どうぞ」
朝飯を作ってくれたらしい。
漬け物まである。
味噌汁の具は、なんか肉が入ってる。
「……」
「この肉は何の肉だァ、とお思いですか?」
俺の思考を読み取ってか、胡蝶がニコニコしながら言った。
「……んなことは…別に思ってねェ」
嘘だが認めるのが癪だ。
「それは鹿肉よ。近所の老夫婦が食べ物をお裾分けしてくれるの。そのお漬け物もその夫婦がくれたものだから、有り難く食べてちょうだい」
飯と白麗を交互に見る。
「白麗さん、いただいたものは粗末にしないでちゃんと食べるんですって」
人以外食えねェのに?
「……」
チラッと白麗を見ると。
「満たされないし、申し訳ないことに美味しいとも思えないけど頂いたものはちゃんと食べますよ」
肩を竦め、クスクスと笑った。
貰い物を粗末にせず、有り難みを持ってちゃんと食う。
まるで人間みてェじゃねェか、クソが。
俺は手を合わせて。
「いただきます」
飯をくれた人間、作ってくれた胡蝶に対してそう口にした。
「美味しいですか?」
握り飯を食えば、胡蝶に問われる。
「……あァ、美味ェなァ」
ここで意地を張るなんざ情けねェことはしねェ。
「あら素直。不味い、もう一個、くらい言うのかと思ったわ」
「作ってもらった分際で んなこと言えるかァ!」
簡単なものと胡蝶は言ったが、簡単なものでも手間はかかる。
だから文句を言うゴミは俺がぶっ殺してやらァ。
味噌汁も漬け物も全部食って。
「ご馳走様でした」
また両手を合わせてそう言って。
「じゃあなァ!白麗!これから背後には気ィ付けろォ!」
「んま。可愛くない。これから修行よろしくお願いしますくらい言いなさいよね」
「まぁ、不死川さんがそんな素直だと怖いですからね」
なんてほざきやがる二人を無視し、早々と立ち去ってやった。
“始まりの鬼”の強さを知った。
いや、知ってはいた。
ただ改めて感じたと言った方が正しい。
クソ無惨のように、千年もの間 人を喰らい続けたわけじゃねェのに。
千年間、一度たりとも人を喰ったことがねェだろうに。
それなのにあの強さ。
俺たち人間と、潜り抜けてきた死線が違うから。
命を賭けた戦いも、命を狙われただろう回数も。
俺たちとは比べものにならねェくらい多いんだろうな。
人の命を命と尊重し、蹂躙せずに寄り添った鬼。
人から追われてもなお、人を憎まず目に映る人を護ってきた鬼。
クソムカつくが、認めざるを得ないことにムカつきすぎる。
「よぉ、不死川。派手に白麗に挑んだんだって?どうだったんだ?」
鬼殺隊本部に帰還すれば、すぐに宇髄に捕まった。
「…あァ?てめェも挑んでみろよ…そうしたらわかるぜェ…あの化け物のことがなァ…」
「……お前が白麗を化け物って言ってる時点で察するわ…」
あとは甘露寺や伊黒にまで聞かれたが、同じことを言ってやった。
で、胡蝶が本部に帰還した時に。
「…不死川!いくら白麗が鬼だとしてもそれは絶対に駄目だと思うぞ!」
「……不死川、白麗の「あの野郎ォオオ!!!」
この阿呆な煉獄と阿呆な冨岡に言いふらしたらしく、犯罪者を見るような目で見られた。
誤解が解けるまでややしばらくかかったわクソが。
それから。
「出てきなさい、実弥。バレバレなのよ」
「……後頭部に目ん玉付いてんのかァ」
奇襲かけようにもかける前に見つかっちまう。
「鬼ってね、視覚だけじゃなくて嗅覚や触覚まで敏感になるの。例えば、あなたお昼におはぎ食べたでしょ?」
「……」
「とかね?あとは空気の微妙な揺れとかで、しのぶもいるというのがわかるわ」
「「……」」
…傷を付けるより先に、まずはこの化け物に気付かれねェように近づくことから初めねェといけねェってことに気付かされて。
「空気の揺れで気付かれてしまうのなら、どうしたらいいんですか…」
「空気の揺れを感じ取られる前に接近するとかかしらねぇ」
「…人間はなァ…音速を越えられねェんだよ化け物がァ…」
…こいつに傷を付けられる日が来るのかすらわからねェ。
だがまぁ。
強くなるためには。
こいつの理不尽な強さを利用するしかねェってことだなァ。
END
「…ぅ…」
頭が痛ェ…。
昨夜の、白麗との戦い。
白麗にかけられた血鬼術で、俺は最も簡単に気絶しちまった。
柱として情けねェ限りだが、白麗の野郎が化け物すぎるから9対1で白麗が悪ィな。
まぁ、柱だから強めに血鬼術をかけられた可能性もある。
「…胸糞悪ィ」
昨日の戦いは、白麗に一太刀を浴びせるどころの話じゃなかった。
戦いにすらなってねェ。
負けた以前に、相手にもされてねェ感じだった。
しかもあの野郎、最初の立ち位置から動いてなかった。
動かすことも出来ねェ程の実力の差に絶望した。
あんなんじゃクソ無惨になんて迫れるはずもねェじゃねェか。
「…クソ」
悔しいなんてもんじゃねェ。
情けねェしかない。
柱として情けねェ。
だがまぁ、あの野郎の強さは理解した。
俺がいくら本気で斬りかかろうと、あの野郎はモノともしねェ。
なら、あの野郎に傷を負わせられるくらい挑んでやる。
鬼殺隊と揉めるつもりはないとほざいていたし、あの野郎から反撃されることはねェ。
万が一反撃をされたら、それは“反撃しなきゃいけない”っていう状況に追い込んだってことだ。
暇が出来たらあの野郎を襲撃する。
「…よし…」
まだ頭がクラクラするため、もう少し休もうと寝返りを打った時。
「…ん?」
ムニッと。
なんかわからねェ、柔けェ感触が顔に当たった。
なんだこれ。
その柔らけェ何かを掴むと。
「あらあら、意外と大胆なのねぇ」
頭の上から声が聞こえた。
「…あ?」
誰だ。
声からしてクソ白麗の………。
「は…?」
見上げた先に居たのはやっぱり白麗で。
「ずっと暴言の独り言を言ってたけど、それは私に向けてなのかしら」
俺が掴んでいるのは………。
「……ッッ!!!!?!?!?」
ブワッと全身の血の気が引き、にも関わらず体が熱くなって慌てて立ち上がる。
眩暈?
んなこと言ってる場合か!!!
「ッてめぇ白麗!!なんでここに居やがる!!」
「え?なんでって、ここ私のお屋敷で私の部屋だけどー」
あァ!?
白麗の屋敷だァ!?
なんで俺ァ…白麗…の……。
そうだ。
戦った場所は白麗の屋敷。
気を失った場所も、白麗の屋敷。
「……ッ……ッ」
「落ち着いた?」
白麗はニヤニヤ笑いながら体を起こして。
「人の胸を鷲掴みにしたことに対して、何か言うことないの?」
なんて、ほざき…やがる…。
「……ッ」
誰が人だ誰が。
てめェは鬼で人じゃねェだろ。
しかし、だ。
こいつは鬼だが女だ。
気付かなかったとは言え、鬼だとは言え、俺はこいつの………。
「…す…すま「というか、不死川さんの布団に潜り込んでそう仕向けたのは白麗さんですよね?」
ムカつくが謝らねェといけねェと思えば、胡蝶が握り飯と味噌汁が乗った盆を持って現れた。
どこか不機嫌そうだが。
「…ァ?」
なんで胡蝶まで居やがると言おうと思ったが。
俺はふと白麗の後ろを見れば確かに布団が敷かれている。
俺が寝ていた布団も合わせて3つある。
「……ッてめェ…ッ計ったな…ッ」
「もう、しのぶったら。バラしたらつまらないじゃない」
「おはようございます、不死川さん。白麗さんは不死川さんで遊びすぎですよ」
白麗はニヤニヤ笑いながら立ち上がり、襖を開ける。
縁側の柱に背中を預け、煙管を吹かす。
胡蝶はそれを横目で見つつ、俺の前に盆を置いて。
「簡単ですが、朝ご飯です。どうぞ」
朝飯を作ってくれたらしい。
漬け物まである。
味噌汁の具は、なんか肉が入ってる。
「……」
「この肉は何の肉だァ、とお思いですか?」
俺の思考を読み取ってか、胡蝶がニコニコしながら言った。
「……んなことは…別に思ってねェ」
嘘だが認めるのが癪だ。
「それは鹿肉よ。近所の老夫婦が食べ物をお裾分けしてくれるの。そのお漬け物もその夫婦がくれたものだから、有り難く食べてちょうだい」
飯と白麗を交互に見る。
「白麗さん、いただいたものは粗末にしないでちゃんと食べるんですって」
人以外食えねェのに?
「……」
チラッと白麗を見ると。
「満たされないし、申し訳ないことに美味しいとも思えないけど頂いたものはちゃんと食べますよ」
肩を竦め、クスクスと笑った。
貰い物を粗末にせず、有り難みを持ってちゃんと食う。
まるで人間みてェじゃねェか、クソが。
俺は手を合わせて。
「いただきます」
飯をくれた人間、作ってくれた胡蝶に対してそう口にした。
「美味しいですか?」
握り飯を食えば、胡蝶に問われる。
「……あァ、美味ェなァ」
ここで意地を張るなんざ情けねェことはしねェ。
「あら素直。不味い、もう一個、くらい言うのかと思ったわ」
「作ってもらった分際で んなこと言えるかァ!」
簡単なものと胡蝶は言ったが、簡単なものでも手間はかかる。
だから文句を言うゴミは俺がぶっ殺してやらァ。
味噌汁も漬け物も全部食って。
「ご馳走様でした」
また両手を合わせてそう言って。
「じゃあなァ!白麗!これから背後には気ィ付けろォ!」
「んま。可愛くない。これから修行よろしくお願いしますくらい言いなさいよね」
「まぁ、不死川さんがそんな素直だと怖いですからね」
なんてほざきやがる二人を無視し、早々と立ち去ってやった。
“始まりの鬼”の強さを知った。
いや、知ってはいた。
ただ改めて感じたと言った方が正しい。
クソ無惨のように、千年もの間 人を喰らい続けたわけじゃねェのに。
千年間、一度たりとも人を喰ったことがねェだろうに。
それなのにあの強さ。
俺たち人間と、潜り抜けてきた死線が違うから。
命を賭けた戦いも、命を狙われただろう回数も。
俺たちとは比べものにならねェくらい多いんだろうな。
人の命を命と尊重し、蹂躙せずに寄り添った鬼。
人から追われてもなお、人を憎まず目に映る人を護ってきた鬼。
クソムカつくが、認めざるを得ないことにムカつきすぎる。
「よぉ、不死川。派手に白麗に挑んだんだって?どうだったんだ?」
鬼殺隊本部に帰還すれば、すぐに宇髄に捕まった。
「…あァ?てめェも挑んでみろよ…そうしたらわかるぜェ…あの化け物のことがなァ…」
「……お前が白麗を化け物って言ってる時点で察するわ…」
あとは甘露寺や伊黒にまで聞かれたが、同じことを言ってやった。
で、胡蝶が本部に帰還した時に。
「…不死川!いくら白麗が鬼だとしてもそれは絶対に駄目だと思うぞ!」
「……不死川、白麗の「あの野郎ォオオ!!!」
この阿呆な煉獄と阿呆な冨岡に言いふらしたらしく、犯罪者を見るような目で見られた。
誤解が解けるまでややしばらくかかったわクソが。
それから。
「出てきなさい、実弥。バレバレなのよ」
「……後頭部に目ん玉付いてんのかァ」
奇襲かけようにもかける前に見つかっちまう。
「鬼ってね、視覚だけじゃなくて嗅覚や触覚まで敏感になるの。例えば、あなたお昼におはぎ食べたでしょ?」
「……」
「とかね?あとは空気の微妙な揺れとかで、しのぶもいるというのがわかるわ」
「「……」」
…傷を付けるより先に、まずはこの化け物に気付かれねェように近づくことから初めねェといけねェってことに気付かされて。
「空気の揺れで気付かれてしまうのなら、どうしたらいいんですか…」
「空気の揺れを感じ取られる前に接近するとかかしらねぇ」
「…人間はなァ…音速を越えられねェんだよ化け物がァ…」
…こいつに傷を付けられる日が来るのかすらわからねェ。
だがまぁ。
強くなるためには。
こいつの理不尽な強さを利用するしかねェってことだなァ。
END
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