本気 しのぶさん百合夢
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「………」
白麗の屋敷の近くまできた。
遠くから見れば、普通の家だ。
しかし、門を潜ればでかい屋敷に変わる。
これは白麗の血鬼術で、ひっそりと暮らすための幻術だった。
普通の人間はちゃんと玄関を通って来るか、玄関から白麗に声を掛け、白麗がそいつを招く。
そうすると、普通の人間は幻術にかかってただの民家に見えるらしい。
俺たち鬼殺隊は玄関から入らないから幻術にかからずにでかい屋敷がちゃんと見える。
“本当、鬼殺隊って礼儀がなってないわよねぇ”
と、文句をほざいていた。
門の前に立つ。
白麗の本気を見てみたい。
ただの興味であり、自分の力がどれほど通じるのかを試してみたい。
あいつは強ェから、本気の本気で戦っても死なねェだろ。
ただあわよくば、傷でも付けられりゃ鬼殺隊の柱として上出来だ。
「あ、本当にいた…」
「…!」
突然、門から顔を出したのは胡蝶で。
「……なんでお前がいるんだァ…」
胡蝶を睨む。
「白麗さんの健康診断のためです。飲んだくれて不健康そのものなので」
「…鬼に健康も不健康もねェだろ…」
白麗に会いに行く口実なんだろう。
こいつ、白麗を好いてるからな。
「血液を採取しすぎて些か不機嫌ですが、いらっしゃいますよ」
どうぞ、と。
胡蝶は笑っている。
「…あの野郎なら血ィくらい死ぬほど抜いても死なねェだろ…」
「再生はしますが、抜かれてる時は気持ち悪くなるらしいですよ」
発見ですね、なんてほざきやがる。
門を潜れば、でかい屋敷が現れて。
「珍しいじゃない、実弥。攻撃登場じゃないの」
「…攻撃登場ってなんだクソがァ…」
白麗がニヤニヤ笑ってやがった。
「いつもは技を仕掛けてきますもんね」
胡蝶は白麗の隣にある急須で茶を淹れて。
「どうぞ」
俺に出してきた。
「……」
俺はそれを受け取らず。
「どうしたの?実弥」
「お腹痛いんですか?」
診察しましょうか?と、胡蝶の言葉にも反応せず。
「……白麗」
白麗の名前を呼んだ。
「なぁに?」
白麗は煙管を吹かして。
「…てめェはどれくらい強いんだ」
「どれくらい?言葉にするのは難しいわねぇ」
甘い煙を吐き出して。
「戦ってみる?私と」
クスリと笑った。
鬼舞辻無惨と同じ日に鬼になった女。
「なんてね」
千年もの間、死なずに生きてきた鬼。
「…白麗さん、冗談ですよね?」
「私は冗談だけど、実弥はどうかしら」
白麗は目を細めた。
「…ああ…戦ってみてェなァ…」
「っ」
俺の言葉に、胡蝶が立ち上がる。
「…俺と本気で戦え、白麗」
てめェの本気を見てみたい。
「私の本気を知ったとして、あなたに何か関係あるの?私は鬼殺隊と揉めるつもりないんだけど」
色々と面倒になりそうだから、と白麗は肩を竦めた。
「…もし俺がてめェに一太刀でも浴びせられたら」
俺は白麗を睨んで。
「俺を鍛えろ」
「え゙?なんか文脈おかしくない?」
勝てやしねェのはわかるし、単純に修行をつけろと言うのも癪に障る。
「そこは俺が勝ったら、とかじゃないかしら」
「うるせェ。どうなんだ、白麗」
だから一太刀。
ただ一太刀。
たった一太刀だ。
その一太刀でも浴びせられたら、この戦いは俺の勝ちだ。
「…まぁ」
白麗はため息を零して、笑みを深めた。
「面白いじゃない」
「白麗さん、待ってください」
胡蝶が俺と白麗の間に立って止めようとする。
「「…ッ!」」
白麗の寝巻きが、赤い彼岸花が描かれた白い着物へと変わって。
髪も白銀の長い髪が結ばれ、高そうな銀の髪飾りを付けて。
ゆっくりと開いた瞳は、どの鬼よりも赤く。
おふくろに、餓鬼の頃に読み聞かされた“赤眼の鬼”そのものだった。
「…は、白麗さん…」
胡蝶の見惚れる表情と声を横目で見る。
「……ふぅ…」
白麗が小さく息を吐けば、白い吐息となって消えて。
油断すれば死ぬ。
白麗から放たれる冷気と、押し潰されそうになるほどの威圧感。
これが。
“始まりの鬼”の本気。
「さぁ、どこからでも、いつでもいいわよ」
気がつけば、辺りには何もない。
白麗の血鬼術で屋敷を片付けたのか。
何でもありだな、こいつ。
「…本当に戦うんですか?不死川さん…白麗さん…」
胡蝶の心配する声。
「大丈夫よ、しのぶ」
白麗は胡蝶へ笑みを向けて。
「すぐ終わるわ」
横目で俺を見て、挑発してきた。
「……面白ぇ…!」
俺は日輪刀を抜き、鞘を放るのと同時に地を蹴った。
.
「………」
白麗の屋敷の近くまできた。
遠くから見れば、普通の家だ。
しかし、門を潜ればでかい屋敷に変わる。
これは白麗の血鬼術で、ひっそりと暮らすための幻術だった。
普通の人間はちゃんと玄関を通って来るか、玄関から白麗に声を掛け、白麗がそいつを招く。
そうすると、普通の人間は幻術にかかってただの民家に見えるらしい。
俺たち鬼殺隊は玄関から入らないから幻術にかからずにでかい屋敷がちゃんと見える。
“本当、鬼殺隊って礼儀がなってないわよねぇ”
と、文句をほざいていた。
門の前に立つ。
白麗の本気を見てみたい。
ただの興味であり、自分の力がどれほど通じるのかを試してみたい。
あいつは強ェから、本気の本気で戦っても死なねェだろ。
ただあわよくば、傷でも付けられりゃ鬼殺隊の柱として上出来だ。
「あ、本当にいた…」
「…!」
突然、門から顔を出したのは胡蝶で。
「……なんでお前がいるんだァ…」
胡蝶を睨む。
「白麗さんの健康診断のためです。飲んだくれて不健康そのものなので」
「…鬼に健康も不健康もねェだろ…」
白麗に会いに行く口実なんだろう。
こいつ、白麗を好いてるからな。
「血液を採取しすぎて些か不機嫌ですが、いらっしゃいますよ」
どうぞ、と。
胡蝶は笑っている。
「…あの野郎なら血ィくらい死ぬほど抜いても死なねェだろ…」
「再生はしますが、抜かれてる時は気持ち悪くなるらしいですよ」
発見ですね、なんてほざきやがる。
門を潜れば、でかい屋敷が現れて。
「珍しいじゃない、実弥。攻撃登場じゃないの」
「…攻撃登場ってなんだクソがァ…」
白麗がニヤニヤ笑ってやがった。
「いつもは技を仕掛けてきますもんね」
胡蝶は白麗の隣にある急須で茶を淹れて。
「どうぞ」
俺に出してきた。
「……」
俺はそれを受け取らず。
「どうしたの?実弥」
「お腹痛いんですか?」
診察しましょうか?と、胡蝶の言葉にも反応せず。
「……白麗」
白麗の名前を呼んだ。
「なぁに?」
白麗は煙管を吹かして。
「…てめェはどれくらい強いんだ」
「どれくらい?言葉にするのは難しいわねぇ」
甘い煙を吐き出して。
「戦ってみる?私と」
クスリと笑った。
鬼舞辻無惨と同じ日に鬼になった女。
「なんてね」
千年もの間、死なずに生きてきた鬼。
「…白麗さん、冗談ですよね?」
「私は冗談だけど、実弥はどうかしら」
白麗は目を細めた。
「…ああ…戦ってみてェなァ…」
「っ」
俺の言葉に、胡蝶が立ち上がる。
「…俺と本気で戦え、白麗」
てめェの本気を見てみたい。
「私の本気を知ったとして、あなたに何か関係あるの?私は鬼殺隊と揉めるつもりないんだけど」
色々と面倒になりそうだから、と白麗は肩を竦めた。
「…もし俺がてめェに一太刀でも浴びせられたら」
俺は白麗を睨んで。
「俺を鍛えろ」
「え゙?なんか文脈おかしくない?」
勝てやしねェのはわかるし、単純に修行をつけろと言うのも癪に障る。
「そこは俺が勝ったら、とかじゃないかしら」
「うるせェ。どうなんだ、白麗」
だから一太刀。
ただ一太刀。
たった一太刀だ。
その一太刀でも浴びせられたら、この戦いは俺の勝ちだ。
「…まぁ」
白麗はため息を零して、笑みを深めた。
「面白いじゃない」
「白麗さん、待ってください」
胡蝶が俺と白麗の間に立って止めようとする。
「「…ッ!」」
白麗の寝巻きが、赤い彼岸花が描かれた白い着物へと変わって。
髪も白銀の長い髪が結ばれ、高そうな銀の髪飾りを付けて。
ゆっくりと開いた瞳は、どの鬼よりも赤く。
おふくろに、餓鬼の頃に読み聞かされた“赤眼の鬼”そのものだった。
「…は、白麗さん…」
胡蝶の見惚れる表情と声を横目で見る。
「……ふぅ…」
白麗が小さく息を吐けば、白い吐息となって消えて。
油断すれば死ぬ。
白麗から放たれる冷気と、押し潰されそうになるほどの威圧感。
これが。
“始まりの鬼”の本気。
「さぁ、どこからでも、いつでもいいわよ」
気がつけば、辺りには何もない。
白麗の血鬼術で屋敷を片付けたのか。
何でもありだな、こいつ。
「…本当に戦うんですか?不死川さん…白麗さん…」
胡蝶の心配する声。
「大丈夫よ、しのぶ」
白麗は胡蝶へ笑みを向けて。
「すぐ終わるわ」
横目で俺を見て、挑発してきた。
「……面白ぇ…!」
俺は日輪刀を抜き、鞘を放るのと同時に地を蹴った。
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