本気 しのぶさん百合夢
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「……」
「あ…か、風柱様…あとは我々が…」
「……」
ある夜。
複数の隊士を連れて鬼の討伐へと向かった。
数字のない鬼を前に、一瞬でも体を強張らせて。
頚を落とすにも一苦労。
今の鬼殺隊は弱えと宇髄が嘆いていたが、まさにそうだと感じた。
伊黒のやつだって他の隊士が使い物にならねぇことに落胆してやがった。
こんなことでこいつらはこの先を生きていられるのか?
こんなに鬼への恐怖を抱いているのに、なんで鬼殺隊に入隊したんだ。
「風柱様の手にかかれば、鬼なんて雑魚だよな」
「な。さすが風柱様だよな」
奴らは鬼が着ていた服を数えながら、ケラケラ笑ってやがる。
「……おいてめェら…何笑ってやがる…」
ムカつく。
弱えくせに、死んだ鬼を見て笑ってやがることに。
「え!?あ…っすみません…!!」
「すみません…!!」
奴らはギョッとして謝り、焦り出した。
「……!」
ふと一つの鬼の衣服に視線を落とせば、どこか見たことがあるような着物で。
「……胸糞悪ぃな…」
その白い着物は、白麗の寝巻きに似ているのを思い出した。
……白麗か。
俺は隊士たちが数えて拾っている鬼の服を見る。
あいつはクソ無惨と同じ、始まりの鬼。
どれほど強いのか。
無惨と同じくらい強いのか。
あいつが鬼殺隊本部に来た時、結界内で攻撃を仕掛けた。
正直、傷一つくらいは負わせられるんじゃねェかと思った。
もしかしたらその頚すら撥ね飛ばせるかもしれねェと。
お館様の意向や、胡蝶の想いには申し訳ねェと思ったがあいつは鬼だから。
そう思って、攻撃を仕掛けた。
そしたらどうだ?
奴に傷を付けるどころか、情けねぇが足元に刀が刺さるまで刀を奪われたことにも気づけなかった。
白麗は余裕の笑みを俺に向けて。
“まだまだ甘いわね、実弥ちゃん”
揶揄ってきて。
“…ッ!?”
柱である俺に、背中を向けた。
俺なんて、赤子の手を捻るようなものだと言われているかのような。
蟻が象に挑むようなものだと。
そう言われている気がして。
刀を握り、怒りに任せて斬りかかれば。
白麗は視線だけをこっちに向けて、細めた目を一瞬だけ大きく開いただけで。
“…ッ!?”
足が凍りついた。
白麗の血鬼術だった。
すると、もう6月も終わる時期にハラハラと雪が降り始めた。
これも白麗の血鬼術で。
“その気になれば、こんな脆弱な結界なんて簡単に壊せるんだけど。私と戦う?実弥”
力の差を思い知らされた。
ただ雪を見せられたことと、足を凍らせられただけなのに。
白麗の視線に、一歩を踏み込むことが出来なくなった。
「……どれくらい強いんだ…あの野郎ォ…」
あの一瞬でもああなんだ。
本気を出した時、白麗はどれほど強いのか。
白麗に傷を付けられるようになれれば、クソ無惨にも迫れるのか。
「……ここで解散だァ」
「は、はい!お疲れ様でした!」
「ありがとうございました!!」
隊士たちはなんでか知らねぇが、敬礼をした。
んなことはどうでもいい。
陽が昇るまでまだ時間がある。
「……どうせまた飲み潰れてんだろ」
だから俺は、その足で白麗の屋敷へと向かった。
.
「……」
「あ…か、風柱様…あとは我々が…」
「……」
ある夜。
複数の隊士を連れて鬼の討伐へと向かった。
数字のない鬼を前に、一瞬でも体を強張らせて。
頚を落とすにも一苦労。
今の鬼殺隊は弱えと宇髄が嘆いていたが、まさにそうだと感じた。
伊黒のやつだって他の隊士が使い物にならねぇことに落胆してやがった。
こんなことでこいつらはこの先を生きていられるのか?
こんなに鬼への恐怖を抱いているのに、なんで鬼殺隊に入隊したんだ。
「風柱様の手にかかれば、鬼なんて雑魚だよな」
「な。さすが風柱様だよな」
奴らは鬼が着ていた服を数えながら、ケラケラ笑ってやがる。
「……おいてめェら…何笑ってやがる…」
ムカつく。
弱えくせに、死んだ鬼を見て笑ってやがることに。
「え!?あ…っすみません…!!」
「すみません…!!」
奴らはギョッとして謝り、焦り出した。
「……!」
ふと一つの鬼の衣服に視線を落とせば、どこか見たことがあるような着物で。
「……胸糞悪ぃな…」
その白い着物は、白麗の寝巻きに似ているのを思い出した。
……白麗か。
俺は隊士たちが数えて拾っている鬼の服を見る。
あいつはクソ無惨と同じ、始まりの鬼。
どれほど強いのか。
無惨と同じくらい強いのか。
あいつが鬼殺隊本部に来た時、結界内で攻撃を仕掛けた。
正直、傷一つくらいは負わせられるんじゃねェかと思った。
もしかしたらその頚すら撥ね飛ばせるかもしれねェと。
お館様の意向や、胡蝶の想いには申し訳ねェと思ったがあいつは鬼だから。
そう思って、攻撃を仕掛けた。
そしたらどうだ?
奴に傷を付けるどころか、情けねぇが足元に刀が刺さるまで刀を奪われたことにも気づけなかった。
白麗は余裕の笑みを俺に向けて。
“まだまだ甘いわね、実弥ちゃん”
揶揄ってきて。
“…ッ!?”
柱である俺に、背中を向けた。
俺なんて、赤子の手を捻るようなものだと言われているかのような。
蟻が象に挑むようなものだと。
そう言われている気がして。
刀を握り、怒りに任せて斬りかかれば。
白麗は視線だけをこっちに向けて、細めた目を一瞬だけ大きく開いただけで。
“…ッ!?”
足が凍りついた。
白麗の血鬼術だった。
すると、もう6月も終わる時期にハラハラと雪が降り始めた。
これも白麗の血鬼術で。
“その気になれば、こんな脆弱な結界なんて簡単に壊せるんだけど。私と戦う?実弥”
力の差を思い知らされた。
ただ雪を見せられたことと、足を凍らせられただけなのに。
白麗の視線に、一歩を踏み込むことが出来なくなった。
「……どれくらい強いんだ…あの野郎ォ…」
あの一瞬でもああなんだ。
本気を出した時、白麗はどれほど強いのか。
白麗に傷を付けられるようになれれば、クソ無惨にも迫れるのか。
「……ここで解散だァ」
「は、はい!お疲れ様でした!」
「ありがとうございました!!」
隊士たちはなんでか知らねぇが、敬礼をした。
んなことはどうでもいい。
陽が昇るまでまだ時間がある。
「……どうせまた飲み潰れてんだろ」
だから俺は、その足で白麗の屋敷へと向かった。
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