始まり しのぶさん百合夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
'
「……ぅ…ん…」
「あら、起きた?」
目を覚ませば、見知らぬ部屋で。
「…白麗さん…」
視線を動かせば、白麗さんが縁側に座って煙管を吹かせていた。
「ごめんね?ちょっと強めに術をかけちゃって」
私は柱だから、ちょっと強めに血鬼術をかけたみたい。
「…いえ…」
まだ頭がクラクラする。
体を起こし、部屋を見渡す。
「…ここはどこですか…?」
お屋敷のようだけど、あまり使われていないような。
生活感がない部屋だった。
「ここは八百年くらい前まで住んでた屋敷よ」
「…歴史的遺産な年月ですね…」
八百年もの昔に住んでいたお屋敷…。
立ち上がり、白麗さんの隣に座る。
「…隊士たちと会話しました?」
「会話というか、耀哉にしのぶ借りるからって伝えておいてって言っといたわ」
驚いていたわよ、と。
白麗さんは笑った。
「…それは驚きますよ。柱である私をあんな簡単に血鬼術で眠らせて攫うんですから」
「鬼の始祖の力、見せつけちゃったかしら」
「見せつけちゃいましたね」
と、私も笑った。
ああ。
なんだか夢のよう。
こうして白麗さんと過ごすなんて。
「柱としての使命とか責任を気にしてる?」
「…それは…」
白麗さんが横目で私を見つめる。
私が俯くと、白麗さんは私の顎を持ち上げて。
「あなたは私に攫われたの。一緒に来たわけじゃなくて攫われたのよ?」
だから使命や責任を放棄したわけじゃない、と言ってくれた。
「…そう…ですか…ね…」
「そうよ。もし何か言われたら私のせいにしなさいな」
白麗さんはまたクスクス笑った。
「……」
白麗さんのせいに?
「…それもいいですね」
「あは!そんなこと出来ないって言うかと思った」
そのくらい気楽に考えていいんだと教えてくれた。
少しだけホッとして、庭に出てみた。
太陽光ではない明るさに驚く。
「白麗さんの血鬼術ですか?」
「えぇ。八百年前に使った術だけど、未だに解けずにいたみたいね」
白麗さんも庭に出た。
不思議な感覚だ。
こんな明るい場所で白麗さんを見ることが出来るなんて。
「静かなところ…」
「向こうに滝も作ったし、温泉もあるわよ」
「温泉は欠かせないんですね」
「そりゃそうよー。温泉大好きだし」
白麗さんに連れられ、滝を見に行く。
滝の大きさは浄蓮の滝ほど。
綺麗で澄んだ冷たい水かと思いきや…。
「…温泉の滝ですか」
「そ。遊び心満載でしょ?」
温かいお湯だった。
白麗さんは寝巻きの帯を解き、温泉へ入った。
「いらっしゃい、しのぶ」
伸ばされる手。
私も寝巻きを脱ぎ………。
「…私、いつの間に寝巻きになって…」
「え?しのぶがスヤスヤ寝てる間に着替えさせたのよ?」
寝苦しいだろうから、と。
白麗さんは言った。
「…もう」
「ほらほら、今日の夜には発つんだから」
「は、はい」
急かされ、寝巻きを脱いで白麗さんの手を取る。
「良いお湯加減…」
「でしょー?温泉には拘ってますからね」
温泉の気持ち良さに、ホウ…と息を吐く。
「お墓まで遠いんですか?」
「もう少し先よ。ここに着くまでにちょっと間に合わなくて背中が焼けたわ」
「ッ!?焼けた!?」
バッと立ち上がり、白麗さんの背中を見る。
「もう再生してるから大丈夫よ?」
死ぬかと思ったけど、なんて笑ってる。
「…っすみません…っ無理をさせて…っ」
私の我儘で、白麗さんを危険な目に遭わせてしまった…。
「馬鹿ねぇ」
「な…」
白麗さんは私の腕を引き、白麗さんを跨ぐように座らされて。
「さっきも言ったけど、あなたは私に攫われたの。あなたに無理をさせられたわけじゃないの。そこ忘れないで」
ちゅ、と。
口付けをしてくれた。
「…ですが「“ですが”も“でも”も無し。事実は一つしかありません」
なんて綺麗に笑う。
「…優しすぎますよ…」
「あら、優しい私は嫌い?」
「…っそんなわけ…っ」
ないじゃないですか。
好きが溢れて。
今にも爆発しそうなのに。
「ふふ、本当にしのぶは可愛いわよね」
ちゅ、と。
また口付けをしてくれたから。
「ん、積極的じゃない」
私からも求めた。
舌を絡め合う音は滝が打ち付けられる音に掻き消されて。
私と白麗さんしかいないこの空間で。
私たちは熱に溺れた。
.
「……ぅ…ん…」
「あら、起きた?」
目を覚ませば、見知らぬ部屋で。
「…白麗さん…」
視線を動かせば、白麗さんが縁側に座って煙管を吹かせていた。
「ごめんね?ちょっと強めに術をかけちゃって」
私は柱だから、ちょっと強めに血鬼術をかけたみたい。
「…いえ…」
まだ頭がクラクラする。
体を起こし、部屋を見渡す。
「…ここはどこですか…?」
お屋敷のようだけど、あまり使われていないような。
生活感がない部屋だった。
「ここは八百年くらい前まで住んでた屋敷よ」
「…歴史的遺産な年月ですね…」
八百年もの昔に住んでいたお屋敷…。
立ち上がり、白麗さんの隣に座る。
「…隊士たちと会話しました?」
「会話というか、耀哉にしのぶ借りるからって伝えておいてって言っといたわ」
驚いていたわよ、と。
白麗さんは笑った。
「…それは驚きますよ。柱である私をあんな簡単に血鬼術で眠らせて攫うんですから」
「鬼の始祖の力、見せつけちゃったかしら」
「見せつけちゃいましたね」
と、私も笑った。
ああ。
なんだか夢のよう。
こうして白麗さんと過ごすなんて。
「柱としての使命とか責任を気にしてる?」
「…それは…」
白麗さんが横目で私を見つめる。
私が俯くと、白麗さんは私の顎を持ち上げて。
「あなたは私に攫われたの。一緒に来たわけじゃなくて攫われたのよ?」
だから使命や責任を放棄したわけじゃない、と言ってくれた。
「…そう…ですか…ね…」
「そうよ。もし何か言われたら私のせいにしなさいな」
白麗さんはまたクスクス笑った。
「……」
白麗さんのせいに?
「…それもいいですね」
「あは!そんなこと出来ないって言うかと思った」
そのくらい気楽に考えていいんだと教えてくれた。
少しだけホッとして、庭に出てみた。
太陽光ではない明るさに驚く。
「白麗さんの血鬼術ですか?」
「えぇ。八百年前に使った術だけど、未だに解けずにいたみたいね」
白麗さんも庭に出た。
不思議な感覚だ。
こんな明るい場所で白麗さんを見ることが出来るなんて。
「静かなところ…」
「向こうに滝も作ったし、温泉もあるわよ」
「温泉は欠かせないんですね」
「そりゃそうよー。温泉大好きだし」
白麗さんに連れられ、滝を見に行く。
滝の大きさは浄蓮の滝ほど。
綺麗で澄んだ冷たい水かと思いきや…。
「…温泉の滝ですか」
「そ。遊び心満載でしょ?」
温かいお湯だった。
白麗さんは寝巻きの帯を解き、温泉へ入った。
「いらっしゃい、しのぶ」
伸ばされる手。
私も寝巻きを脱ぎ………。
「…私、いつの間に寝巻きになって…」
「え?しのぶがスヤスヤ寝てる間に着替えさせたのよ?」
寝苦しいだろうから、と。
白麗さんは言った。
「…もう」
「ほらほら、今日の夜には発つんだから」
「は、はい」
急かされ、寝巻きを脱いで白麗さんの手を取る。
「良いお湯加減…」
「でしょー?温泉には拘ってますからね」
温泉の気持ち良さに、ホウ…と息を吐く。
「お墓まで遠いんですか?」
「もう少し先よ。ここに着くまでにちょっと間に合わなくて背中が焼けたわ」
「ッ!?焼けた!?」
バッと立ち上がり、白麗さんの背中を見る。
「もう再生してるから大丈夫よ?」
死ぬかと思ったけど、なんて笑ってる。
「…っすみません…っ無理をさせて…っ」
私の我儘で、白麗さんを危険な目に遭わせてしまった…。
「馬鹿ねぇ」
「な…」
白麗さんは私の腕を引き、白麗さんを跨ぐように座らされて。
「さっきも言ったけど、あなたは私に攫われたの。あなたに無理をさせられたわけじゃないの。そこ忘れないで」
ちゅ、と。
口付けをしてくれた。
「…ですが「“ですが”も“でも”も無し。事実は一つしかありません」
なんて綺麗に笑う。
「…優しすぎますよ…」
「あら、優しい私は嫌い?」
「…っそんなわけ…っ」
ないじゃないですか。
好きが溢れて。
今にも爆発しそうなのに。
「ふふ、本当にしのぶは可愛いわよね」
ちゅ、と。
また口付けをしてくれたから。
「ん、積極的じゃない」
私からも求めた。
舌を絡め合う音は滝が打ち付けられる音に掻き消されて。
私と白麗さんしかいないこの空間で。
私たちは熱に溺れた。
.