始まり しのぶさん百合夢
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「はぁ…」
「蟲柱様、どうされました?」
その日の夜。
任務のために訪れた村で。
倒した鬼の服を数えながら無意識に出たため息で、隊士たちは首を傾げた。
「どこか元気がないように見えますが…」
柱たる者、気分が下がっていることを悟られるとは何たる未熟。
「そんなことありませんよ。大丈夫です」
いつものように笑みを貼り付けて、隊士たちに笑顔を返す。
あれから、どうにかして休めないものかとばかり考えてしまう。
ただの一度でいいから、白麗さんのお母さんに会いに行きたい。
お話を聞くことは出来ないけれど、どうしてもご挨拶がしたい。
そればかり気にして、任務にも身が入らないなんて。
未熟の極み。
「怪我をした方いらっしゃいますか?」
そんな強い鬼たちではなかったけど、一応確認せねば。
「大丈夫です!」
「蟲柱様がほとんど倒してくださいましたし、怪我はしてません!」
よかった。
私は小さく笑み、月を見上げた。
綺麗な月。
私が白麗さんと出会ったのも、こんな綺麗な月が出ていた夜だった。
「…今、何をしてるのでしょうね」
小さく呟く。
またお酒を飲んで酔い潰れているのか。
それとも住民たちとお酒を飲んで盛り上がっているのか。
「お酒を飲まない日なんてないでしょうし」
あ、でもお墓参りの時は飲んでないと言っていた。
会いたいな、なんて。
柱が鬼に会いたいなんて口にしたら、隊士たちは卒倒するだろう。
裏切り者と言われるかもしれない。
それでも私は。
「…会いたいな」
あなたに会いたいんです、白麗さん。
「こんばんは、お嬢さん。今日は月が綺麗ねぇ」
不意に聞こえた声。
私や隊士たちは一斉にそちらを見た。
そこに居たのは。
白銀の長い髪を風に靡かせて。
どの鬼よりも綺麗で深い真紅の瞳をした“赤眼の鬼”
「…白麗…さん…?」
白麗さんだった。
「「……」」
その美しさに、私たちは一瞬見惚れてしまった。
「い、いや…ッ鬼か!!」
「ッ蟲柱様!下がってください!」
けれどすぐにハッとして、柱である私に下がれと。
私を護ろうとしてくれる隊士たち。
「あらあら、坊やたち。私と戦う?」
その様子を見て、白麗さんは目を細める。
どうしてここに白麗さんが?
まさか本当に戦うつもり?
「待っ「ッ舐めるな!」
「俺らだって鬼殺隊だ!無駄死になんてしない!」
私の静止を聞かず、隊士たちは白麗さんに斬りかかった。
待って。
あなたたちが敵う相手ではないし、それ以前に敵じゃない。
白麗さんは鬼だけど、敵じゃないから。
「勇敢なのは素敵だけど、相手の力を見誤れば死に直結するわよ?」
ふ、と。
時が止まったかのように。
白麗さんは隊士たちの間を通って。
「可愛い顔したお嬢さん、抵抗しても無駄ですよ」
私の正面に立って。
私の顎に手を添え上を向かせて。
「…っ」
血鬼術をかけられた。
「「蟲柱様ッッ!!」」
薄れゆく意識の中で見たものは。
間を通られた隊士たちの焦る顔と。
「あなたの威厳、守ったんだから後でご褒美もらうからね?しのぶ」
抱き締められ、耳元で囁かれた言葉に。
このままどこか。
誰もいない、誰も知らない場所へと。
連れ去ってほしいと思いながら。
「……わかり……まし…た…」
“愛しい人”の腕の中で、意識を手放した。
大丈夫。
隊士たちは誰も傷つかない。
白麗さんは、誰も傷つけない。
鬼殺隊へ報告されても、柱の皆さんやお屋敷の子たちは白麗さんだと気づいて心配はしない。
大丈夫、大丈夫。
あなたを信じてます、白麗さん。
.
「はぁ…」
「蟲柱様、どうされました?」
その日の夜。
任務のために訪れた村で。
倒した鬼の服を数えながら無意識に出たため息で、隊士たちは首を傾げた。
「どこか元気がないように見えますが…」
柱たる者、気分が下がっていることを悟られるとは何たる未熟。
「そんなことありませんよ。大丈夫です」
いつものように笑みを貼り付けて、隊士たちに笑顔を返す。
あれから、どうにかして休めないものかとばかり考えてしまう。
ただの一度でいいから、白麗さんのお母さんに会いに行きたい。
お話を聞くことは出来ないけれど、どうしてもご挨拶がしたい。
そればかり気にして、任務にも身が入らないなんて。
未熟の極み。
「怪我をした方いらっしゃいますか?」
そんな強い鬼たちではなかったけど、一応確認せねば。
「大丈夫です!」
「蟲柱様がほとんど倒してくださいましたし、怪我はしてません!」
よかった。
私は小さく笑み、月を見上げた。
綺麗な月。
私が白麗さんと出会ったのも、こんな綺麗な月が出ていた夜だった。
「…今、何をしてるのでしょうね」
小さく呟く。
またお酒を飲んで酔い潰れているのか。
それとも住民たちとお酒を飲んで盛り上がっているのか。
「お酒を飲まない日なんてないでしょうし」
あ、でもお墓参りの時は飲んでないと言っていた。
会いたいな、なんて。
柱が鬼に会いたいなんて口にしたら、隊士たちは卒倒するだろう。
裏切り者と言われるかもしれない。
それでも私は。
「…会いたいな」
あなたに会いたいんです、白麗さん。
「こんばんは、お嬢さん。今日は月が綺麗ねぇ」
不意に聞こえた声。
私や隊士たちは一斉にそちらを見た。
そこに居たのは。
白銀の長い髪を風に靡かせて。
どの鬼よりも綺麗で深い真紅の瞳をした“赤眼の鬼”
「…白麗…さん…?」
白麗さんだった。
「「……」」
その美しさに、私たちは一瞬見惚れてしまった。
「い、いや…ッ鬼か!!」
「ッ蟲柱様!下がってください!」
けれどすぐにハッとして、柱である私に下がれと。
私を護ろうとしてくれる隊士たち。
「あらあら、坊やたち。私と戦う?」
その様子を見て、白麗さんは目を細める。
どうしてここに白麗さんが?
まさか本当に戦うつもり?
「待っ「ッ舐めるな!」
「俺らだって鬼殺隊だ!無駄死になんてしない!」
私の静止を聞かず、隊士たちは白麗さんに斬りかかった。
待って。
あなたたちが敵う相手ではないし、それ以前に敵じゃない。
白麗さんは鬼だけど、敵じゃないから。
「勇敢なのは素敵だけど、相手の力を見誤れば死に直結するわよ?」
ふ、と。
時が止まったかのように。
白麗さんは隊士たちの間を通って。
「可愛い顔したお嬢さん、抵抗しても無駄ですよ」
私の正面に立って。
私の顎に手を添え上を向かせて。
「…っ」
血鬼術をかけられた。
「「蟲柱様ッッ!!」」
薄れゆく意識の中で見たものは。
間を通られた隊士たちの焦る顔と。
「あなたの威厳、守ったんだから後でご褒美もらうからね?しのぶ」
抱き締められ、耳元で囁かれた言葉に。
このままどこか。
誰もいない、誰も知らない場所へと。
連れ去ってほしいと思いながら。
「……わかり……まし…た…」
“愛しい人”の腕の中で、意識を手放した。
大丈夫。
隊士たちは誰も傷つかない。
白麗さんは、誰も傷つけない。
鬼殺隊へ報告されても、柱の皆さんやお屋敷の子たちは白麗さんだと気づいて心配はしない。
大丈夫、大丈夫。
あなたを信じてます、白麗さん。
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