始まり しのぶさん百合夢
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「……白麗さんが起きてる…」
「え、そんな驚くこと?」
「はい…いつも二日酔いで真っ青な顔をして寝込んでますから…」
「……ちょっと禁酒しようかしら」
「あ、こんにちは白麗さん」
「はいこんにちは」
ある日、白麗さんのお屋敷へ訪れれば。
白麗さんが縁側から庭に飛んで来ている雀に餌やりをしていた。
いつも二日酔いで真っ青な顔をしながら寝ているのに、今日は起きてることに驚きました。
「昨日はちょっとお出掛けしててお酒飲めなかったのよ」
「お出掛け、ですか」
「そ」
白麗さんがお出掛けなんて初めてのことではないでしょうか。
「どこまでお出掛けしたんですか?」
白麗さんの隣に座って、白麗さんを見上げると。
「んー?大した用事でもないわ」
はぐらかした。
「…大した用事ではないのなら、教えてください」
はぐらかすということは、どこか後ろめたいことなのだろうか。
人の姿である白麗さんがきょとんと私を見つめる。
「知りたい?」
でもすぐに目を細め、妖艶な笑みを浮かべて。
「…っ知りたいです…」
クッと人差し指で私の顎を上げた。
白麗さんはクスクス笑って、触れるだけの口付けをして。
「母のね、お墓参りに行ってたの」
そう言った。
「…おかあ…さん…?」
「そ。命日だったのよ。まぁお墓参りと言ってもお墓なんてないんだけどね」
何せ千年も前のものなんだから、と。
白麗さんは笑った。
白麗さんの、お母さんの、お墓参り。
「?どうしたの?」
私は白麗さんの寝巻きの袖を掴んで。
「行きたいです」
そう言った。
「え?」
白麗さんはきょとんと私を見た。
「お墓参りです。私も白麗さんのお母さんにご挨拶したいです」
白麗さんにお世話になってますと、お世話してますを伝えたい。
白麗さんはすでに伝えてるかもしれないけれど、鬼殺隊に協力してくれていることも。
人を喰わず、人の命を尊重してくれていることも。
あと。
愛おしい人だと。
白麗さんのお母さんに伝えたい。
「でも、柱が数日間留守にしていいの?」
「それは……」
よくはないけど…。
柱として、責務を果たさなければならないけど…。
「……」
私は無言で俯く。
白麗さんのお母さんのお墓参り、どうしても諦めたくない。
でも数日間も暇をもらうわけにもいかない。
どうしたら…。
どうしたらいいのだろう。
「いつか、暇が出来た時でいいわよ」
そう言って、白麗さんはクスクスと笑った。
いつかっていつ?
五日?……そんなわけがない。
「……そんなに遠いんですか…?」
「諦めなさい」
諦めきれない私の額に、白麗さんはツンと人差し指で突っついた。
「ですが「そんなことより、パンを焼いてみたんだけど食べてみてくれない?美味しかったらあなたのお屋敷の子たちと食べて」
パン?
自分で食べられないのに、パンを焼いた?
「…それって…」
私のために?
私たちのために?
白麗さんは立ち上がって。
「あなたのため以外に、こんなことしませんよ」
クスリと綺麗な笑みを浮かべた。
ああもう。
本当に。
本当に何なんでしょうか、この人は。
「っ」
「わっ!もう、びっくりするじゃない」
私も立ち上がり、白麗さんに抱きつく。
本当に好き。
本当に、好きだ。
「美味しく焼けてるといいんだけど」
「美味しいに決まってます」
「あは!食べなくてもわかる?」
「わかります」
それを口に出来ない歯痒さで、どうにかなってしまいそうなくらい。
「今度、なほたちも連れて来るので一緒に焼きましょう」
「じゃあ美味しそうなイチゴも用意して、ジャムも作っちゃいましょうか」
なんて、次の約束をして。
「暇そうな柱たちの分のパンを焼いて、ジャムサンドにでもして振る舞うのもいいわね」
「きっと皆さん喜んでくれると思いますよ」
なんて。
「だといいんだけど」
「もし文句を言うなら私が毒殺します」
「…笑えない冗談はやめなさい」
二人で笑い合った。
.
「……白麗さんが起きてる…」
「え、そんな驚くこと?」
「はい…いつも二日酔いで真っ青な顔をして寝込んでますから…」
「……ちょっと禁酒しようかしら」
「あ、こんにちは白麗さん」
「はいこんにちは」
ある日、白麗さんのお屋敷へ訪れれば。
白麗さんが縁側から庭に飛んで来ている雀に餌やりをしていた。
いつも二日酔いで真っ青な顔をしながら寝ているのに、今日は起きてることに驚きました。
「昨日はちょっとお出掛けしててお酒飲めなかったのよ」
「お出掛け、ですか」
「そ」
白麗さんがお出掛けなんて初めてのことではないでしょうか。
「どこまでお出掛けしたんですか?」
白麗さんの隣に座って、白麗さんを見上げると。
「んー?大した用事でもないわ」
はぐらかした。
「…大した用事ではないのなら、教えてください」
はぐらかすということは、どこか後ろめたいことなのだろうか。
人の姿である白麗さんがきょとんと私を見つめる。
「知りたい?」
でもすぐに目を細め、妖艶な笑みを浮かべて。
「…っ知りたいです…」
クッと人差し指で私の顎を上げた。
白麗さんはクスクス笑って、触れるだけの口付けをして。
「母のね、お墓参りに行ってたの」
そう言った。
「…おかあ…さん…?」
「そ。命日だったのよ。まぁお墓参りと言ってもお墓なんてないんだけどね」
何せ千年も前のものなんだから、と。
白麗さんは笑った。
白麗さんの、お母さんの、お墓参り。
「?どうしたの?」
私は白麗さんの寝巻きの袖を掴んで。
「行きたいです」
そう言った。
「え?」
白麗さんはきょとんと私を見た。
「お墓参りです。私も白麗さんのお母さんにご挨拶したいです」
白麗さんにお世話になってますと、お世話してますを伝えたい。
白麗さんはすでに伝えてるかもしれないけれど、鬼殺隊に協力してくれていることも。
人を喰わず、人の命を尊重してくれていることも。
あと。
愛おしい人だと。
白麗さんのお母さんに伝えたい。
「でも、柱が数日間留守にしていいの?」
「それは……」
よくはないけど…。
柱として、責務を果たさなければならないけど…。
「……」
私は無言で俯く。
白麗さんのお母さんのお墓参り、どうしても諦めたくない。
でも数日間も暇をもらうわけにもいかない。
どうしたら…。
どうしたらいいのだろう。
「いつか、暇が出来た時でいいわよ」
そう言って、白麗さんはクスクスと笑った。
いつかっていつ?
五日?……そんなわけがない。
「……そんなに遠いんですか…?」
「諦めなさい」
諦めきれない私の額に、白麗さんはツンと人差し指で突っついた。
「ですが「そんなことより、パンを焼いてみたんだけど食べてみてくれない?美味しかったらあなたのお屋敷の子たちと食べて」
パン?
自分で食べられないのに、パンを焼いた?
「…それって…」
私のために?
私たちのために?
白麗さんは立ち上がって。
「あなたのため以外に、こんなことしませんよ」
クスリと綺麗な笑みを浮かべた。
ああもう。
本当に。
本当に何なんでしょうか、この人は。
「っ」
「わっ!もう、びっくりするじゃない」
私も立ち上がり、白麗さんに抱きつく。
本当に好き。
本当に、好きだ。
「美味しく焼けてるといいんだけど」
「美味しいに決まってます」
「あは!食べなくてもわかる?」
「わかります」
それを口に出来ない歯痒さで、どうにかなってしまいそうなくらい。
「今度、なほたちも連れて来るので一緒に焼きましょう」
「じゃあ美味しそうなイチゴも用意して、ジャムも作っちゃいましょうか」
なんて、次の約束をして。
「暇そうな柱たちの分のパンを焼いて、ジャムサンドにでもして振る舞うのもいいわね」
「きっと皆さん喜んでくれると思いますよ」
なんて。
「だといいんだけど」
「もし文句を言うなら私が毒殺します」
「…笑えない冗談はやめなさい」
二人で笑い合った。
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